≫この話と次の話以降出番がほとんどなくなるので記載。
≫21戦12勝とテンプレ通りの戦績の持ち主であり主な勝鞍は菊花賞、天皇賞春連覇、宝塚記念。その他阪神大賞典連覇、産経大阪杯、京都大賞典2回とかなりの名馬であることがうかがえる。
≫メジロマックイーンの特徴は並外れた心臓の持ち主であり心拍数が21回/分という通常のサラブレッドの半分程度の数値を叩き出しており、心臓が巨大なことで知られるオペラオーですら25回/分なのだから相当なものである
≫スタミナについて高く評価されるその一方でスピードについても高く評価されており「マイル戦でも勝負になる」とまで言われ中距離でも結果を出せたスピードの持ち主でもある
≫しかし晩年が近づくにつれて気性難になり坂路調教を嫌がり、挙げ句には三度目の春天でゲート入りを嫌がり、レースに負けた時も「メジロマックイーンはレースが嫌いになったから負けた」と言われる始末である。
≫競走馬生活引退後は何故かサンデーサイレンスとサッカーボーイに気に入られ、片方にメジロマックイーンが近づけばもう片方が嫉妬するという面白いものになっている。
≫2010年前後はドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟やゴールドシップ、フェイトフルウォーなどメジロマックイーンを母父に持つ馬が大活躍したこともあり話題を集め、メジロマックイーンを父に持つ繁殖牝馬を集めた事例もあった
≫ウマ娘での彼女は野球とスイーツ大好き無自覚面白お嬢様として登場。迷言の持ち主としても有名で「ほやあそばせ!」「メロンパフェもお忘れなく!」「かっとばせー!」と言ったようにネットのおもちゃにされるくらいには迷言の持ち主であるが彼女の迷言で有名な「パクパクですわ」は公式で言っていないので注意
≫因みにウマ娘の彼女が野球好きな理由はメジロライアンが原因だったりする
≫またメジロマックイーンとイクノディクタスが同室な理由は栗東であること以外に二つあり一つは当時の賞金王、賞金女王という括りであったこと、そしてもう一つがメジロマックイーンがイクノディクタスに恋していた(騎手情報)ことが起因と考えられている
そして迎えた宝塚記念当日、パドックにてメジロマックイーンがイクノディクタスに近づくとイクノディクタスが嫌がる。
──おい女。何故俺を避ける?
──それはあの方に貴方と一緒にいると思われたくないからです
──はぁっ!?
メジロマックイーンは信じられなかった。それまで近づいても何も思われなかったのに、拒絶の意志を見せてきた。
──では失礼します
──おい待て! あの方って一体、誰のことだ!?
──やっほー、皆。喧嘩しちゃ駄目だよ
イクノディクタスとメジロマックイーンに割り込むように入ってきたのは美少女。光り輝く小柄な栗毛の馬体に可愛らしい顔立ち、そして何よりも愛らしい。その馬の名前はクラフトボーイ。牝馬のような可愛らしい見た目をしているが立派な牡馬である。
──あら、姐さん。おはようございます。
そんなクラフトボーイにイクノディクタスが寄り添うとメジロマックイーンが激昂する。
──……許さん! 許さんぞ! 潰してやる……潰してやるぞ
──そんなことを言わずに、楽しくレースしようよー!
──潰してやるぞクラフトボーイ!
──ありゃ、僕を標的にしたんだ。それなら精々僕のスピードに着いてきて欲しいな
──ほざけ、そんな牝みたいな見た目しやがって。俺がそんな見た目の奴に惑わされるとでも思ったか?
──ほい
クラフトボーイが後ろを振り向き尻を見せるとシャコーグレイド*1とメジロマックイーンを除いた牡馬達が興奮し、今にも襲い掛かろうとしていた。
──ヤラセろ!
──牡だろうが関係あるか!
クラフトボーイの尻に魅せられた牡馬達が一斉に飛び掛かろうとした。
──手を出すな、そいつは俺の獲物だ!
メジロマックイーンが睨みを効かせるとほとんどの牡馬達が静まり返り留まる。だがそれでも例外はあるようで1頭──美亜のもう1頭の所有馬であるダンクソフトランだけが未だにクラフトボーイに飛びつこうとしていた。
──まさか、僕に楯突くってことじゃないだろうね?
──アギャス……
クラフトボーイが殺気を飛ばすとダンクソフトランが狼狽えて股間のモノが萎縮し、耳も垂れてしまう。完全に馬としての格の違いを見せつけられてしまった瞬間だった。
その光景を見たイクノディクタスとニシノフラワー等の牝馬達が畏怖する。
──凄い威圧感……あんなに見た目がかわいいのに、凄い。
──血は争えないものね……あの人のお兄さんを思い出したわ
──お兄さん?
──そっか、貴女は見たことないものね。ナインティギアって呼ばれている黒い馬よ。
──それなら聞いたことがあります! 厩舎のボス達がヘコヘコ頭を下げたって伝説の大ボスの名前がナインティギアって名前だった気がします! あの姐さんは妹さんってことですか?
──概ねあっているけど、僕は牡だって!
訂正する為に会話に割り込み、そこで我に返ったクラフトボーイは慌てて元の場所に戻る。
──うーん、何か凄みが感じられなくなっちゃいましたね
──あれが本当の姐さんなんですよ。そんなところがかわいいんですが……
【さぁ、いよいよやってまいりました! 待ちに待った宝塚記念! 本日のメインレース宝塚記念の本馬場入場です】
【本日の1番人気はこの馬、クラフトボーイ。中距離においてはトウカイテイオー、ナインティギアのみにしか破られていない抜群の安定感を誇る3連勝中の菊花賞馬!】
【2番人気はこの馬、メジロマックイーン。前走春の天皇賞で3着と破れましたが前々走産経大阪杯では他馬を寄せ付けず圧勝し、中距離の適性も高く宝塚記念を制することが期待出来ます】
【やたら気合が入っているのが気になりますが、イレ込みでないことを願いたいものですね】
──ぶっ潰す!
メジロマックイーンが嘶き、クラフトボーイを睨む。それだけでほとんどの牡馬達は萎縮してしまうが、ナインティギアの威圧感にも耐えるどころか意見する力を持つクラフトボーイにとっては何でもなく、唯一牡馬の中でクラフトボーイのみが
平然としていた。
【そして本日3番人気に支持されましたのはニシノフラワー。桜花賞とスプリンターSを制した馬が中距離でも活躍するのでしょうか?】
【続きましては本日4番人気の安田記念3着の実力馬、イクノディクタス。堅実な走りを見せることが出来るのでしょうか?】
ほとんどの牡馬がレース前に発情したこともあり、牝馬であるニシノフラワー、イクノディクタスが相対的に支持されていた。しかしニシノフラワーには適性距離が合っていないことやイクノディクタスが実績らしいものが少なくこの2頭の単勝オッズがそれぞれ10倍を超えていたことから3番人気以降は支持はあってないようなものだった。
【そして各馬ゲートに収まりまして今スタートしました! 好スタートを切ったのはやはりクラフトボーイとメジロパーマー、そしてその後方でメジロマックイーンが追走していきます】
メジロマックイーンは先頭に立ったクラフトボーイの後ろにぴったりとくっついて走る。とはいえクラフトボーイとメジロパーマーが少し減速すればメジロマックイーンが並びかけ、2頭が加速すれば少し減速して半馬身後ろに控える。
「おいおい、これって……」
とある観客がそのレーススタイルに気づくと他の観客達も気づき始める。
「このレースは、トウショウボーイとテンポイントの一騎打ちの再現じゃないか?」
1977年の有馬記念、トウショウボーイとテンポイントが互いにハナを奪い合いながらレースを引っ張っていき互いに意地を張り合い終始一騎打ちの状態でゴールイン。当時の競馬ファンに語り継がれるほどの名勝負を繰り広げた。
メジロパーマーがいること以外はそれを彷彿とさせるレース展開に会場全体が興奮に包まれていく。
「(そういうことか。確かに勝ち目があるとしたらそれしかないってのはわかるが、ハイリスクハイリターン過ぎる)」
クラフトボーイ鞍上の創也が胤の狙いに勘付く。
メジロマックイーンの長所は並外れたスタミナ、それこそ歴代屈指の強心臓の持ち主であり、安静時の心拍数は21回/分と通常のサラブレッドの半分近い数値を叩き出しており、それを上回るのはサードプレジデントくらいしかいない。
つまりスタミナという点ではこの中でメジロマックイーンが一歩抜けておりそのスタミナ勝負に無理やり持ち込ませる。それが胤の考えた作戦だった。
「(冗談だろ!? メジロパーマーを潰す気かよ!?)」
この中で1番被害を受けたのはメジロパーマーである。メジロパーマーも他の馬のスタミナを削り取り末脚を使わせずに逃げた分のリードを保ちつつ逃げ切るレーススタイルである。メジロマックイーンに煽られればその分メジロパーマーもスタミナが切れやすくなり、そうなるとメジロパーマーが逃げることが出来なくなり、結果的にメジロパーマーが不利になってしまう。
【57秒というものすごいハイペースで1000mを通過して未だにメジロパーマー、クラフトボーイ、メジロマックイーンの3頭がハナの奪い合っていますがこれは大丈夫なのでしょうか?】
【クラフトボーイは慣れていますからともかくメジロパーマとメジロマックイーンは大分不利ですね。特にメジロマックイーンはかなり厳しい戦いを強いられることになるでしょう】
「(くそっ、このまま行くしかないのか?)」
メジロパーマー鞍上の鈍出が迷う。メジロパーマーという馬は本質的に逃げ馬であり先頭を譲って逃げるということは出来ない。
そんな鈍出の葛藤を他所にクラフトボーイとメジロマックイーンがメジロパーマーからハナを奪い合う。
【クラフトボーイとメジロパーマー、メジロマックイーンの3頭が後続から20馬身引き離しまだ先頭争いをしています!】
暴走という一言に相応しい大逃げを繰り出す3頭、そしてそのスタミナが切れた瞬間を虎視眈々と狙う後方勢がそれを逃さない。
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