≫かつて実在していた会社でメジロ牧場の正式名称。この名前を出しているこの小説が規約違反になるかと思いきやそうではない。
≫規約によると「実在の企業を全面に押し出す、またはその企業を貶めたり攻撃する意図のある作品の投稿や書き込み」が違反に当たるが、過去に実在していたなどの過去の企業については記載されていない。メジロ牧場は既に解散しており過去の企業となっている為、規約違反に当たらないと推測している。
≫しかしそれで必要以上に全面に押し出したり、逆に貶めたり攻撃もしないのには理由があり、そんなことをすれば過去の企業も対象になりかねない為で史実モチーフの競馬小説やウマ娘二次小説の大半が消えてしまいかねないので細心の注意を払っている。小説投稿者の皆様もご協力の方お願いいたします
≫因みに舎太グループをモチーフにした大グループやシンボリ牧場は現在も実在しているのでこっちの方が注意しなかればならないという苦しみがある。
日本にて、サードプレジデントとサンデーサイレンスは種牡馬入りしたにも関わらず、種牡馬専用の放牧地で過ごすことはなく育成牧場にて身体を鍛えている。サードプレジデントはともかくサンデーサイレンスがここにいる理由、それはサードプレジデントにライバル視していたからでサードプレジデントが育成牧場にいこうとするとその馬運車に何故か潜り込み、自分も負けじとついてきたのである。無理に馬運車から出そうとすればサンデーサイレンスが持ち前の気性難で暴れ出してしまうので仕方なくサードプレジデントと一緒に育成牧場に行かせることにした。
本来であれば種牡馬としての活動もある為、太らせない為にサードプレジデントには特別メニューを組んでいるが、サンデーサイレンスはサードプレジデントほど食事も多くないのでその必要はなくそこそこの運動量にしようとしたが、サードプレジデントにライバル視しているせいでサンデーサイレンスは想定外以上に動く。芝、ダート、坂路、プールありとあらゆる運動で身体を動かし、いつしかこの育成牧場でサードプレジデントと並び最も動ける馬として知れ渡っていた。2頭ともに種牡馬であるにも関わらずにだ。
そんなある日、サンデーサイレンスと併走する黒鹿毛の馬と対峙する。
──久しぶりだな。青いの
──てめえか。忘れちゃいねえぞ
サンデーサイレンスと黒鹿毛の馬──ナインティギアが対峙する。その黒鹿毛の馬こそナインティギアでありサンデーサイレンスとは数年ぶりの再会となる。
「こうしてナインティとサンデーが併走するのは初めてか?」
「走ったこと自体はJC以来になりますよ」
「そういえばそうだったな」
馬上の人間が騒いでいるがナインティギアとサンデーサイレンスにとっては別にどうということはなく、互いに視線を逸らすことはない。
──青いの、どうやら貴様が俺の併走相手ということか。
──黒いの、あの時の屈辱は二度と忘れはしない。
「いくぞナインティ、準備しろ」
睨み合いが続く中、それを止めたのはナインティギアに騎乗している創也だ。創也の手綱に引かれてナインティギアが移動するとサンデーサイレンスが鼻で笑うがナインティギアは無視した。
──面白い奴だ。あの赤いのと同じ態度を取るとは気に入った
そんなスカした態度をサンデーサイレンスが気に入り、そして興味を持ったのか、ナインティギアを追いかけ始め──
「こらこら! まだ早いぞ!」
牧場スタッフの手によりダートへと向かった。
日本のダートと米国のダートの違いは大きい。日本のダートが砂であるのに対して米国のダートは土である。故に日本のダートよりも芝に近い部分がある。
サンデーサイレンスが得意とする馬場は米国のダートで、日本の芝に適応したのもそういった背景がある。
今回併走に使われている馬場は日本のダートというよりも米国のダートそのものの馬場に近いダートで、米国の競馬場に近いものだった。
「さあ行け!」
ナインティギアとサンデーサイレンスが駆け出していくと少しナインティギアが遅れを取るが引き離されもせずにいる当たり、ナインティギアも相当な素質の持ち主である。
「おおっ、速いなぁ」
「そりゃ現役の時は米国最強格と言われてましたからね。それにしても……」
「うん?」
「ナインティギアもダート適性ありそうですね。ダートの併走相手にサンデーについていける馬なんて他にサードプレジデントくらいしかいませんよ」
「そうだな。もし凱旋門賞に勝つならサンデーサイレンスとナインティギアは欠かせない。それどころかサードプレジデントすらもな」
そうしてナインティギアとサンデーサイレンスが走り続ける。
「(やはりコーナーが弱点か。KGⅥ&QESでもそうだが小回りが苦手なのか? 有馬記念連覇を出来たのはやはりナインティギアがそれだけ優れた馬という証拠なのか)」
併走していくうちにナインティギアの欠点を見つけていく創也。創也の指摘は間違いではなくナインティギアは小回りが苦手であるが、それはサードプレジデントやサンデーサイレンスと比較したらの話しであり、GⅠ競走馬としては上位に来るレベルである。
「(コーナーが曲がるのが下手くそでも他の馬との差が隔絶としていれば三冠を獲ったワーラウェイのように勝てるが、凱旋門賞時点のナインティはそうじゃない。既に他の馬と互角かそれよりも劣る可能性もある。少しでも楽をさせてやらないといけない)」
ナインティギアに健康の不安がなければそのまま放置しても問題ないが今はそうではない。検査結果こそ問題なしとされているが、創也はナインティギアが病に侵されているのを感じ取っていたこともあり弱点を少しでも改善出来るようにしていた。
──うぜえっ! そんなことをする必要なんざねえんだよ!
しかしナインティギアの気性の荒さにより創也の思惑も上手くいかず、コーナーの弱点を克服することはなく、サンデーサイレンスに2馬身以上千切られてしまう。
「(ダメか……それなら長所を伸ばすしかなさそうだ)」
サンデーサイレンスの走りを見てそれを学び取って欲しいという思惑は上手くいかずその翌日にサードプレジデントと洋芝で走る。
サードプレジデントが選ばれた理由はナインティギアの併走相手をこなせる相手が現役では極少数でクラフトボーイ、別厩舎ならメジロマックイーンくらいしかおらず、その2頭は今放牧中でありそれまで酷使されていた脚や身体を癒やしているからで他にも該当する馬がいない為である。
そこで白羽の矢が立ったのがサードプレジデントである。サードプレジデントとナインティギアは互いにストレスを与えてしまう相手でもあるが併走相手としては最高の相手でもある。それこそ昨日ナインティギアと併走していたサンデーサイレンスよりも相性が良く、互いに高め合える相手同士でもある。その為サードプレジデントはナインティギアの併走相手として選ばれている。KGⅥ&QES前にサードプレジデントが併走相手となったのもそういった背景がある。
そんなこんなでナインティギアの凱旋門賞に向けた調教をし、宿泊施設へ戻ると創也の携帯電話が鳴り響く。
「おっと、携帯電話か……もしもし? 月城です」
携帯電話を取り通話状態にするとその相手は意外な人物からだった。
「有限会社メジロ牧場の北乃実夜です。月城創也さんのお電話で間違いないですね?」
「北乃の御婆様でしたか。お世話になっています」
「いえいえ、私の方もお世話になっていますよ。それとメジロの御婆様で構いませんよ」
「恐縮です、メジロの御婆様」
「さて挨拶はこの辺にして月城騎手にお願いしたいことがありましてお電話させて貰いました」
「お願い?」
「今年の秋の天皇賞と有馬記念、もし騎乗馬がいなければ私のメジロルイスに乗っていただけませんか?」
北乃からの突然の依頼。それも秋の天皇賞と有馬記念で鞍上を務めて欲しいという内容であった。
「私は構いませんが、それまでメジロルイスの主戦騎手の方は?」
「その件についてはご安心下さい。こちらで手配済みなので」
「分かりました。しかし秋天や有馬となるとテキと相談した上での騎乗となりますので確定次第連絡させて頂きます」
「その件に関しても連絡済ですよ。旭川先生に確認したら特に騎乗させる予定の馬も決まっておらず後は月城騎手の意志次第とのことでしたのでこうして意志確認しました」
「そういうことですか。それではメジロルイスの騎乗の件お任せ下さい」
「それではよろしくお願いしますね」
そうして創也は会話を終え、旭川の携帯に電話をし、秋の天皇賞と有馬記念でメジロルイスに騎乗することを報告すると旭川が「了解」の一言で承諾した。
「そうと決まればナインティだけじゃなく、メジロルイスのところにもいかないとな……」
メジロルイスを預かっている小久保秀吉厩舎に電話する。
「もしもしこちら小久保秀吉厩舎ですが」
「もしもし騎手の月城創也と申しますが小久保先生はいらっしゃいますか?」
「テキは今不在ですがもし宜しければ伝言をお預かりしましょうか?」
「ではお願いいたします。秋の天皇賞と有馬記念にメジロルイスに騎乗することになりましたのでメジロルイスに調教する際は私に乗らせて下さいますようお願いいたします」
「わかりましたそれではお伝え──」
「その必要はない」
別の男の声が電話越しに響く。その声の持ち主こそメジロルイスを預かる小久保秀吉調教師その人である。この小久保秀吉という調教師は創也のことを気に入っていない。その原因はオーナーの一声で有力馬であるメジロルイスの主戦騎手を無理やり創也に変えられてしまったからだ。しかし大恩ある北乃実夜に恨みなどあるはずもなくその矛先は創也に向けられている。しかし創也の腕前が天才と評される胤以上であることや、その腕を復活させたのがメジロルイスということもあり複雑な感情が創也に向けられている。
故に小久保秀吉に電話が変わると空気が重苦しくなる。
「月城騎手、その申し出はありがたいが、断らせて貰うよ」
「え? それは何故ですか?」
「凱旋門賞、出るんだろう? 確かにKGⅥ&QESでナインティギアは素晴らしい走りを見せたがその後病院で検査したと伺っているよ」
「それはそうですが、ナインティギアに異常は見られませんでした」
「だがしかし妙な噂を聞いてね。最初に検査するように申し出たのは君だという。創也君、何かナインティギアに不安を感じているんじゃないのか?」
それは図星だった。創也はナインティギアが病に侵されているのを感じており、それが凱旋門賞に勝てるかどうかの不安材料でもあった。
「君のことだ。本来なら凱旋門賞に出走を取りやめておきたかったが異常なしという結果が出てしまいオーナー達がそれを許してくれなかった。だからせめて病状が回復出来るよう日本で調教している。それもあたかも絶好調に見えるように」
「……」
「長くなったが結論を言おう。ナインティギアに集中して凱旋門賞を勝って欲しい。ナインティギアが体調不良なら君がついていないと万全な状態で出走させることは無理だろう? そんな万全な状態に出来ない人間に調教中のメジロルイスを乗せる訳にはいかないんだ」
「……はい。わかりました」
「納得して何よりだ。凱旋門賞制覇は日本の競馬関係者の夢でそれをウチのメジロルイスで潰す訳にはいかない。あのメジロの総帥もメジロムサシを凱旋門賞に送り出したことから凱旋門賞というレースがどれほどの価値のあるレースかわかるだろう?」
「はい、わかります」
「月城騎手、頼んだよ」
「はい。必ず凱旋門賞を勝ち取ってみせます」
「期待して待っているぞ」
そうして創也は電話を切る。
「(ああまで言われたら仕方ないか……まあ何もなければ秋天は勝てるだろうな。有力馬らしい有力馬はマックイーンくらいでテイオーは間に合わないだろうし、万全のクラフトボーイ級の強さでもない限りはメジロルイスで一捻り出来る。それをより確信的にしたかったけどナインティギアに集中しなければならないというならやむを得ないか)」
創也は自分にそう言い聞かせ、メジロルイスの調教に関われなかったことに対する悔しさを紛らわせる。
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