≫取り敢えず競走馬としてのサードプレジデント達の兄弟の話しはここで最終回ですね
≫次回以降は史実と関わりのあった加東そして創也がどのように変わっていくか、そしてサードプレジデント産駒がどのように活躍するか、ウマ娘での彼女達の行動がどうなるかお楽しみにして下さい!
・凱旋門賞シナリオ
≫三女神シナリオの次に出る新しいシナリオ。シリウスシンボリと言った凱旋門賞に出走したウマ娘がシナリオリンクになるであろうと予測されていて、またこれまでの傾向からグラマスよりもステータスが上振れる可能性が高い
≫因みに、これまでの傾向からして忘れ去られる可能性が高いグラマスとオルコックアラビアンを連想したら、オルコックアラビアン等の忘れられた始祖のウマ娘が三女神達を誘拐してシナリオのウマ娘達がレースに挑むという劇場版でありそうなストーリーを思いついてしまった。書ければ書く
【ビワハヤヒデだ、ビワハヤヒデだ! これは強い強い! 圧勝! 菊花賞を勝ったのはビワハヤヒデだ! クラフトボーイやサードプレジデントのタイムに及びませんでしたが歴代3位の記録を刻みました!】
【ベガはベガでもホクトベガ! エリザベス女王杯を制したのはホクトベガです! 加東騎手がやった! ナインティギア鞍上以来のGⅠ勝利です! やはりこの男は本命、伏兵関わらず乗せたら怖い!】
【シンコウラブリイ堂々4連勝! マイルCSを勝ったのはシンコウラブリイ!】
秋のGⅠ競走も終わりを迎えつつある中、いよいよJCを迎えようとしていた。競馬界を牽引する中距離最強馬クラフトボーイのラストランとなるこのレースで凱旋門賞馬アーバンシーの出走。腐っても鯛という諺があるが体調不良とはいえナインティギアを破った凱旋門賞馬である。それ故1番人気に支持されるかと思えば3番人気止まりだった。
1番人気は兄にナインティギアを持ち、日本総大将として名を馳せているクラフトボーイ。これは妥当といえば妥当で無敗を誇っているマイル戦だけでなく中距離、長距離の舞台でも安定感があり血統面も相まって1番人気に支持されていた。
2番人気に支持されている馬それはコタシャーンという馬で、今年に入ってから9戦6勝8連対、そのうちBCターフを含めGⅠ勝率100%という凄まじい戦績の持ち主で地元贔屓がなければ1番人気になっていただろう米国最強馬。いくらアーバンシーがナインティギアを破ったとはいえアーバンシーは凱旋門賞を除いてGⅠ競走を勝っていないのだからアーバンシーよりもコタシャーンが人気を集めるのは無理もなかった。
しかしそれでもオペラハウス等といったアーバンシーよりも実績がある馬がいるにも関わらず、アーバンシーが3番人気に支持されたのは凱旋門賞でナインティギアを破った実績の持ち主だというのがあまりにも大きい。凱旋門賞でナインティギアが破れた時は日本中が騒然としその勝者を知ることになったこともありアーバンシーの名前が知られている。
そんなこんなでパドックでクラフトボーイが歩いていると栗毛の牝馬がクラフトボーイに近づく。
──ねえ、そこの貴方
──ん? 僕のことを呼んだ?
──やっぱり似ているわ。前のレースで凄い走りをしたあの黒い方に。
──黒い方、もしかしてナインティギアって呼ばれていなかった?
──確か乗っている人間にはナインティって呼ばれていたような気がします
──じゃあ僕の兄さんだね。めちゃくちゃ強かったでしょ?
──ええ。でも私が勝ったわ。
──へえ、あのナイン兄さんに勝つなんてやるじゃない。でも僕は負けないよ。ナイン兄さんに勝った実力見せてもらうよ
──今回のレースで貴方にも勝って私が1番強いってこと思い知らせてあげるわ
「(今回はそう怖くないな。アーバンシーはやはりあの時だけか。となれば1番怖いのはコタシャーンだが、クラフトボーイなら心配ない。あの独特の伏兵から発する殺気はないし、あったとしてもクラフトボーイの逃げに着いてこれる奴はいない。とはいえ油断はしない。やれることは全て出し尽くすまでだ)」
レースが始まる前から創也は余裕綽々とばかりに構える。
ファンファーレが鳴り響くと同時にゲートが開き、世界を駆ける競走馬達が一斉にスタートしていく。
【スタートしました。やはりハナに立つのはクラフトボーイとメジロパーマーですが、メジロパーマーを引き離さんとクラフトボーイが加速していきますがメジロパーマーもこれに応えるように加速していき、ハシルショウグン、ライスシャワーがその後ろでついていきます】
またもやクラフトボーイとメジロパーマーが飛ばしまくり多くの日本馬がその後ろについていく。これはクラフトボーイを放っておくと逃げ切られてしまうことを熟知していたからで海外勢はそんな情報を知らないが故の結果だった。
【さあ中団に控えるのはアーバンシーとコタシャーンはこの位置、先頭に戻りましょう】
アーバンシーもコタシャーンも後方に待機している。しかしどちらも仕掛ける様子がない。
「(互いに意識し合って潰れるならそれはそれで結構だ。楽に逃げられる)」
クラフトボーイを先頭にそのまま向こう直線へと突入する。
【先頭は未だにクラフトボーイ、そしてメジロパーマーいい位置、マチカネタンホイザ、ハシルショウグン、ライスシャワーはこの位置、そして今年のダービー馬ウイニングチケットもこの先団に取り付いています】
「(おいおい、いつの間にか日本ってこんな先行争いするようになったのかよ!? これじゃまるで米国そのものだ!)」
あまりに熾烈な先行争いにコタシャーンの鞍上がそう思わずにはいられない。米国にいた頃はとにかく後ろの馬のことなど考えずに自分のペースで走ることが普通だった。それが当たり前で、だからこそ米国の騎手達は皆競い合うようにして前にいる馬を潰そうとしてくるし、ラビットなどという囮のペースメーカーを用意することもある。
日本や欧州の競馬は違い、直線に入ってからヨーイドンという展開が多くスローペースになりがちだ。その為スローペースに適応出来るようにコタシャーン陣営は調教してきたが今回のレースは1000mを57秒で通過している。因みに1989年の同レースの通過タイムが58秒5であることから最早殺人ペースといって良いほどのペースだ。
──先頭は誰にも譲らない! 僕だけの最高の景色なんだぁぁぁっ!
制御する創也がブレーキをかけないこともあり大はしゃぎのクラフトボーイ。ラストランということもあり自重という言葉を投げ捨てた創也とクラフトボーイのコンビに止められる者はいない。もしここが米国のGⅠ競走ならばラビットを導入して何としてでもクラフトボーイを止めただろうが、そうもいかなかった。JCというレースは一応枠組みとしては国際競走であるが外国馬は招待されるレースでありラビットを挟み込む余裕がない。そうでないにせよJCは競馬オリンピックと比喩されるほどの上澄みのレースでありそこにラビットを挟み込む余裕なんてものは存在しない。
【さあクラフトボーイが後続を突き放し最終コーナーを通過しました!】
残り500m強の直線。中山競馬場ほどの急坂ではないにせよ東京競馬場も最後の直線で坂があり直線に入ってからすぐにそれは存在する。
──あははははっ! 地面が勝手に僕を速くさせている! 僕だけが速く走れるよ!
ゾーンに入ったクラフトボーイが戸惑いながらも更に加速する。そのスピードは後ろの馬達を嘲笑うかのようにどんどん引き離されていく。
【千切った千切った千切った! これはもう独走だ! コタシャーンすらも、アーバンシーすらも追いつけない! 完勝クラフトボーイ! 兄の仇を取った、取ってやったぞクラフトボーイ! 2着にコタシャーン、3着争いにウイニングチケットとナイスネイチャ。5着争いにメジロパーマーとライスシャワー、マチカネタンホイザ。アーバンシーは8着に沈みました】
「日本は魔境か? 何故あれほどの馬がGⅠ競走3勝しかしていないんだ? まるで栗毛のサンデーサイレンスだ。あんな走りをされたら例えクラフトボーイがゴール板前に減速したとしても勝てやしない」
サンデーサイレンスは米国の英雄と呼ぶに相応しいレースをしており、コタシャーンとは比較にならない。そのサンデーサイレンスと同等に並べる程のレベルの競走馬がGⅠ競走3勝、このJCを含めても4勝しか出来ないほど燻っているとは思えず、コタシャーンの騎手はそう呟いた。
勝ちタイム2分21秒8。1989年のサードプレジデントの勝ちタイム2分22秒0、1990年のナインティギアの勝ちタイムが2分21秒8であり、兄達の全力を出した姿に追いついたと言えるだろう。
【いやー、それにしてもクラフトボーイだけでなくコタシャーンを除いて日本馬が上位独占です。昨年はトウカイテイオーやナインティギアがいましたからわかりますが今年は世界に対抗出来うると思っていたのはクラフトボーイだけだと思っていましたがここまでレベルアップしているとは思いませんでした】
【クラフトボーイがサンデーサイレンス並にペースを上げたことも大きな要因だと思いますよ。あれで日本勢がついていったこともあってコタシャーン以外差せるだけの力を残していませんでしたからね。むしろその余力を残させた騎手の腕も素晴らしいですよ。まだ若手なのにあれほどの騎乗技術があるなんて世界は広いと思わされましたね】
【なるほど解説ありがとうございます。有終の美を飾りましたクラフトボーイですがこの後引退式を実施するとのことです。その勇姿を見届けましょう】
有終の美を飾ったクラフトボーイが勝利の余韻に浸っている間、アーバンシーがクラフトボーイに近寄る。
──流石ねクラフトボーイ。完敗よ
──速かったでしょ? 僕の走り!
──ええ。とても。
──でもね、これでようやく兄さん達に追いついたって感じなんだ。万全の時の兄さん達はもっと強いかもしれないよ
──兄さん達ってことはもう1頭いるの?
──うん。人間さんからはサードプレジデントって呼ばれている真っ赤な毛色の大きな馬だよ。とっても強いから会えるといいね!
──大して期待出来ないけど会えたら声をかけておくわ。
それから13年後、凱旋門賞の舞台にて。
【ディープインパクト来ない! ディープインパクトは来ない! 先頭はメイオアスター、英国三冠馬メイオアスター! これが三冠だ! ニジンスキーのジンクスを破り英国三冠馬が凱旋門賞を取り、親子凱旋門賞制覇も達成しました!】
父サードプレジデント、母アーバンシーのメイオアスターが英国三冠及び欧州三冠を制し、種牡馬入りしても欧州にその影響を与えることになるのだがそれはまた別の話しである。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、ここすき、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は未定です