≫最強世代はよく98世代とか、10世代とか言われるが最弱世代はどうなのかというと二つ候補が挙がる。一つ目は89世代で外国産馬、内国産馬含めて古馬GⅠを勝ったのがオサイチジョージの宝塚記念のみという悲惨すぎる結果で納得のいくものがある。しかし二つ目の世代である00世代の内国産馬は全滅、外国産馬のみが古馬GⅠを勝つというこれまた悲惨なことになっており、その外国産馬にしても中央GⅠに限定すれば8勝のみで前の世代である97世代(13勝)や98世代(14勝)、99世代(13勝)に比べると余りにも情けない数値となる
≫しかも00年にエアシャカールやアグネスフライトといった3歳馬(旧4歳)の内国産馬のトップ達がJCに挑んだ結果惨敗したので尚更最弱世代の印象が深くなってしまった。アグネスフライトはともかくエアシャカールはJCを苦手としていたのでまだ擁護出来るもののやはり古馬GⅠ勝利がなかったのが致命的でそれに関しては擁護のしようがない
≫ちなみに00世代の欧州はサキー、シンダー、ジァイアンツコーズウェイ等ヤベーのしかおらず日本が最弱世代だと海外の世代が強くなるジンクスでもあるのだろうか?日本でも00世代は外国産馬の最強世代であったのは事実であるし、もしかしたら日本に来ていればもっと活躍したであろう馬もいたかもしれないと思うと残念に思う。ちなみにエイシンフラッシュの父キングズベストもこの世代
【さあいよいよ皐月賞が始まります】
【今年のクラシック第一弾皐月賞、これをフジミキセキが勝てば英ダービーへ、勝てなければ国内に留まりますが、今年は弥生賞を勝って勢いに乗っていますし、期待したいですね】
【今回の皐月賞で各馬どのような走りを見せてくれるのでしょうか? 各馬ゲートに収まり、皐月賞スタート!】
ゲートが開く音と共に各馬がゲートから飛び出る。
ラガーレグルスは1枠1番でゲート内で最も待機時間が長かったにも関わらず出遅れることなく順調にスタートし、その一方でフジミキセキはやや出遅れる形となった。
【おっと、フジミキセキがやや出遅れてスタートしましたがレースに影響はなさそうです】
そのフジミキセキが出遅れたのをいいことにダイタクリーヴァは楽々と先行集団へと入り込み、ラガーレグルスがその後ろで控え、更にエアシャカールもその付近で様子を見る。
「(ちとマズイな、スローペースになる上にマークもかなりされているとなると面倒だな)」
フジミキセキの鞍上である創也が体内時計でペースを読んで判断し手綱を捌いた。
【さあ第一コーナーを曲がって先頭はパープルエビスが先頭に立ちました、その次にマイネルコンドル、内に通ってスプリングS2着ナインマスターズ、そして5番手の位置にダイタクリーヴァがいます】
先行集団を尻目にフジミキセキ達が最後方で控える形となった皐月賞、序盤から動くことはなくスローペースの逃げを容認し、終盤にかけて仕掛け始める。
「(──と普通ならそうなるんだろうな。だが俺を抑えたところでフジミキセキは抑えられた訳じゃない。確かに人馬一体という言葉があるが俺はあくまでもフジミキセキの力を引き出すだけの存在だ。俺とフジミキセキが一つになった訳じゃない)」
創也がコーナーを利用し先頭集団までの位置取りを確認し、それをフジミキセキに伝達するとフジミキセキが頷いた。
「(ポジションを譲ってもこのままでいいってことか。俺も同じ意見だ。レースは後半──いや、そうじゃない?)」
【さあここで1000mを通過し、61秒とややスローな展開を迎えましたがこのスローペースが後方の馬にどんな影響を与えるのでしょうか?】
【黒い馬体もあってフジミキセキには不気味さがありますね】
【おっと、ここでダイタクリーヴァとラガーレグルスが動き始めました。これはちょっと早すぎないか!?】
やがて1000mを通過し、各馬の位置が変わりだす頃、その流れに乗るようにダイタクリーヴァとラガーレグルスが仕掛け、ペースが大幅に上がっていった。
「(まさかそっちから仕掛けてくるとはな。有り難い話だ)」
しかしその一方でエアシャカールとフジミキセキだけは動かず、まるで肉食動物が獲物を仕留めるかのように雌伏しその時を待つ。
「(よし、少しずつ上げていこう。ゆっくりでいい、あまり加速し過ぎても意味ないからな)」
フジミキセキの位置取りを調節し、最後方から後方集団へと上がっていき、そしてコーナーに入っていく。
【最終コーナーを曲がり切り、いよいよ最後の直線へとやってきましたがフジミキセキはまだ後方集団! 残り310mしかないぞ!】
そして迎えた残り310m、直線に入りダイタクリーヴァが先頭へと躍り出る。そこに外からラガーレグルスが並ぶと、エアシャカールが捲り追い込みをかける。
そしてフジミキセキは僅かな隙間から馬群を抜き、加速していく。
「(やっべ、怒られるな。まあ斜行してきたこいつ等が悪いんだから仕方ないか)」
馬群を無理やり割いたことに怒られることを予測した創也だが手を抜かず鞭を使い、射程圏内に入ったフジミキセキが一気に加速する。
──いっくぞーっ!!
「(っ!?)」
その瞬間、創也はサードプレジデントやナインティギアに騎乗した時を思い出した。かつて赤い弾丸と呼ばれた史上最強の追込馬シルキーサリヴァンの血を継ぎ覚醒したサードプレジデントとナインティギア。フジミキセキもサードプレジデントを通してシルキーサリヴァンの血が流れており、その血が覚醒しようとしていた。
【残り200を切ってエアシャカールかラガーレグルスかダイタクリーヴァか、いや一気にきた! 一気にフジミキセキだ! フジミキセキが先頭に躍り出たーっ!】
「な、なんだぁっ!?」
いくら射程圏内に入っているとはいえそれはゴールまでに差し切れるかどうかの話であり、残り200mで差し切られるなどとこの場にいた全員が予想出来ようがない。それぞれの鞍上、胤、佐島、棚が必死に追うもその差は開いていく一方だった。
【6馬身、7馬身、これはもう追う必要はない、追う必要はないぞ! フジミキセキ危なげなく完勝! 強すぎる! 2着にエアシャカール、3着にダイタクリーヴァ、4着にラガーレグルス、5着にナインマスターズ】
勝ちタイム1分58秒0と歴代2位のタイムを叩き出したフジミキセキ。しかしその掲示板には審議のランプがついていた。
「(まああんだけ強引な騎乗をしたんだ。だけどフジミキセキの降着はやめてくれよ。斜行もしてないし、むしろ向こうがしてきたんだから降着はないとは思うが……処分を受けるなら俺だけにしてくれ)」
創也がそう祈り、しばらくすると審議のランプが消え、着順が確定する。
1着 フジミキセキ
2着 エアシャカール
3着 ダイタクリーヴァ
勝ちタイム1分58秒0
上がり3F32秒6
「(なんとか着順通りか。セーフ。これで安心して英ダービーにいけるが、後で無茶をさせたことを謝っておかないとな)」
審議を乗り越え勝つことが出来たフジミキセキ陣営はホッと一息をついた。
「ふざけるな! あんなのドーピング使っているだろ! そうでなければあんなに加速するわけがない!」
しかしそれでも不満に思うのはフジミキセキを軸から外し馬券を買わなかった馬券師達である。フジミキセキの余りの加速に納得のいかない馬券師達はフジミキセキに文句をつける。
「そうだ反則だろ!?」
「このレースは無効だ! フジミキセキを失格にしろ!」
「いやサードプレジデントという前例があるからドーピングとは言えねえよ!」
「そうだそうだ!」
その馬券師の怒号は周囲の人間にも伝染し、賛同する者と反論する者で観客席は2分し、やがてそれは大きくなる。そしてその騒動の中でインタビューが始まった。
「フジミキセキに騎乗した月城創也騎手、おめでとうございます。このレースについてコメントをお願いします!」
「とにかくフジミキセキが強かったですね。秋天のナインティギアを思い出しましたよ。現時点で勝てる馬は世界でも一握りくらいでしょうね。下手したら現役では世界最強かもしれません。少なくとも自分が騎乗したフルハートを負かした凱旋門賞馬パントレセレブルはニエル賞で前が壁になった状態で敗れていますし、それとほぼ同じ状況下で惜敗するどころか圧勝してしまうフジミキセキは本当に強いですよ」
「ドーピング疑惑がありますがそれについてコメントは?」
「心当たりありませんね。少なくとも自分はフジミキセキに世話をした時禁止薬物に該当するものを与えたことはありませんから。ただ皆さんがドーピングだと思ってしまうほどにフジミキセキが強かったということでもあります」
「審議についてはどう思われますか?」
「それについては心当たりがあったので焦りましたね。とはいえ僅かな隙を見て抜け出せフジミキセキが勝てたので本当に良かったです。自分のせいで降着なんてなったら自分を恨みますし、英ダービーのプランも白紙になりかねませんでしたからね」
様々な質問に対して冷静に答える創也。その対応に馬券師達は次第に熱が冷め、落ち着きを取り戻していく。やがて罵声が飛び交うほどの騒動からいつしか歓声が上がるほどまで会場の雰囲気は明るくなっていった。
そして表彰式が行われ、フジミキセキが犬のように耳を伏せ創也にすり寄ってくる。
──お兄さん、ご褒美ご褒美!
「よしよし、良く頑張ったな」
創也が頭を撫でると気持ち良さそうに目を細める。そして頭を撫でるのを止めると今度はフジミキセキが頭を創也に擦りつける。
それを偶々見かけたインタビューアーが創也に声をかけた。
「本当に信頼されているんですね、月城騎手」
「まあ見て分かる通りというか、懐かれているというか、そんな感じです。サードプレジデントとクラフトボーイとフジキセキを足して3で割ったような感じですね。初対面の人間に対しても警戒心はゼロですし、すごく大人しいですよ。こんな可愛らしい馬が世界トップクラスの馬なんて信じられませんよね」
苦笑しながらもフジミキセキと信頼関係を築いていることをアピールする創也。するとインタビューアーがソワソワし始め、声に出した。
「もし宜しければ触らせても貰っていいですか?」
「駄目ですよ。互いに雑菌とかで影響を及ぼすかもしれませんからね。しばらくの間は育成牧場で放牧しているのでそちらで必要な手続きをしてから触りに来てください」
「あっ、配慮が足りずに申し訳ありません」
「いえご配慮して頂ければそれで構いませんよ」
その後、フジミキセキは育成牧場にて放牧され、そのインタビューアーは完全にプライベートでフジミキセキと触れ合う機会を設けることになるのだが、それ以上に育成牧場に取材のネタが転がっていたので誠実に対応したそのインタビューアーが独占記事を書けることになり得をしたのは言うまでもない。
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