≫この話に不適切な表現があったと指摘がありましたので内容を大幅に変更いたしましたのでご確認の方お願いします
・主役級の架空競走馬達のテーマ
≫サードプレジデントのテーマは「世界に突如現れた巨大な壁」、ナインティギア&クラフトボーイは「兄の背中を超える」、フルハートは「成長」、フジミキセキは「全ての集大成」とテーマがあります
・世界四冠
≫この小説内におけるKGⅥ&QES、凱旋門賞、BCクラシック又はターフ、JCの四つのレース。この小説では世界制覇とかそんな単語で説明しているが小説内の呼び名はこうなっている
≫ちなみに2000年までに同一年で制したのは皆無で、同一年に限定しなくても達成したのはサードプレジデントのみ。BCクラシック、JC、KGⅥ&QESを勝ちリーチまで届いたのがフルハート、ザファイナルの2頭でそれぞれ凱旋門賞2着、未出走(出走予定はあった)。JCとKGⅥ&QESの2レースを制したのがナインティギアと2つ制するだけでも非常に難しいものになっている
≫ちなみのちなみにフルハートとザファイナルは米国古馬三冠を達成&ドバイWCを制しており、凱旋門賞で負けたり故障したりするのはそれが原因──かもしれない
・ドゥラメンテサポートを引いた筆者はヴ姉妹の2人の育成ガチャ引かなかった?
≫何度でも言う!ダイワメジャーとドゥラメンテが出るまで育成ガチャは引きません!サポートもドゥラメンテ完凸で全体的に充実し始めてきたし引く必要性もなくなったし、3周年でダイワメジャーやドゥラメンテが育成ガチャで出なければ貯まる一方になる。
≫育成ガチャのドゥラメンテで天井まで回せば多分シュヴァルグランやヴィブロスといったピックアップで引き損ねたウマ娘や他にピックアップで引くことが出来なかった他のウマ娘も出るでしょ(フラグ)
・ウマ娘のストイックな奴らでチームを組む
≫ふと思いついたシリーズ。ウマ娘でストイックな奴らと言えばエアグルーヴ、ドゥラメンテ、アドマイヤベガ、キングヘイロー、グラスワンダーあたりだと思うが、この中で1番世俗的なキンへとグラスがアヤベあたりに煽られて張り切るのを見てみたい。またベロちゃんがドゥラとアヤベを止める常識人ポジになるのを見てみたい……と思った。誰でもいいから書け
・アヤベさん、煩悩塗れになる
≫ふと思いついたシリーズ。最近おもしれー女になりつつあるアヤベさんだが二次創作で見られるカレンチャンの女トレーナーの性格、ふわふわソムリエアヤベさんの概念をさらに詰め込んだらどうなるのか見てみたい。
「ハッピーバレンタインですわ、ミキ」
サードプレジデントに両手を添えられチョコレートを渡されるとその渡されたフジミキセキは困惑しながらも感謝を伝える。
「あ、ありがとうございますサードプレジデント先輩」
「照れなくても宜しくてよ。これは本命チョコではなく友チョコという奴ですわ。貴女好みに合わせてビターチョコレートにしてありますので安心して食べて下さいませ」
「友チョコ……ふふっ、そういうことなら嬉しいです」
「それとミキ、もし他の方々にチョコを贈られて食べ切れない場合は私に相談して下さいな。貴女好みのビターチョコレートと言っても食べられる数に限度はあるでしょう?」
「それはまあ……」
「その点私ならいくらでも食べられます。余ったら私が全部平らげますので」
「お、お手柔らかにお願いします……」
「それはそうとミキは私にチョコを贈ってくれないのですか?」
サードプレジデントが珍しくしょぼんとした顔になる。それを見て慌ててフジミキセキが答える。
「あっ! ち、違うんです。友チョコなんて初めて知りましたから用意していないだけで、その〜……今から作ってきます!」
「お待ちなさいな。せっかくですので一緒に作りましょう」
「えっ、でも……」
「私とあろうものが創也様に夢中になるあまりお父様やお母様宛のチョコレートを作り損ねてしまいましたの。そのついでに一緒に作っても問題ないでしょう?」
「まあ、そういうことなら……」
フジミキセキは観念したように頷く。そして二人は材料を買いに近くのスーパーへ向かうことにした。
スーパーの買い出しが終わり、調理室でチョコレートを砕くとフジミキセキが口を開いた。
「……そういえばサードプレジデント先輩のご両親ってどんな方々ですか?」
「それぞれ一言で表現すると父はどんなウマ娘も魅了する魔性の殿方、母はマイペースで愉快な方ですわ。そういうミキのご両親はどのような方なのですか?」
「家族皆優しい方ばかりで仲良しですよ。ただ父はちょっと頼りない所もあって、母はもっとふわふわしていますけど」
「とても仲が良さそうで良いですわ。父とナインティの仲が余り宜しくないので羨ましい限りですわ」
「えっ、確かナインってサードプレジデント先輩の腹違いの妹でしたよね。なんで血の繋がっていないサードプレジデント先輩のお母様とではなく血の繋がった父親と仲が悪いんですか?」
「だからこそですわ。父とナインティの仲が悪い理由の一つに同族嫌悪が考えられますわ」
「同族嫌悪、ですか?」
「ナインティはその自覚はありませんがウマ娘たらしなんです。会長やシービー、マルゼンスキー、エース、ラモーヌといった高等部の最上級生やお母様や名家の当主の方々にも気に入られるほどのね」
「確かにまだ中等部なのに不思議なカリスマがありますよね」
「父もトレーナー時代は実力の割に合わないほどにウマ娘達に慕われていた、と母から聞いていますわ。ナインティが父を一方的に嫌うのはウマ娘たらしの本能に従っているだけなんですよ」
「本能ですか……」
「私やクラは父のウマ娘たらしを受け継がなかった。だから私達は父と仲良くやれていますがナインティはそうじゃない。父もナインティも互いに必要最低限の会話しかしませんでしたわ」
「その、サードプレジデント先輩は辛くないんですか? 自分と仲の良い父と妹が喧嘩しているなんて」
「辛くありませんわ。人間誰しも相性が悪い方はいらっしゃいます。ナインティギアというウマ娘はウマ娘たらしと相性が悪くそのウマ娘たらしが父だったというだけでしたから」
「……」
「それにナインティも父に悪辣な態度を取っているにも関わらず金銭面で支援してくれた恩は忘れていませんよ。なんだかんだで1番お父様に仕送りしているのはナインティですから」
「そうなんですか?」
「ええ。私はエンゲル係数が高いので仕送りが少ないですし、クラは2人の実母のお墓の管理にお金を使っています」
「そうですか……あっ、そろそろチョコレートが溶けきってきましたね」
「では容器に入れて形を整えましょうか」
「はい、それで完成です!」
フジミキセキがチョコレートを型から外すとそこには綺麗にチョコで固められたハートの形をしたチョコレートがあった。それをサードプレジデントと一緒に用意した箱に入れる。そしてラッピングを済ませると二人は部屋から出た。
「サードプレジデント先輩、遅れましたがどうぞ」
「ありがとうございますわ。私のミスに付き合ってくれるなんて」
「いえ、とんでもありません。それどころか先輩の家庭事情を聞いてしまうなんて失礼しました」
「構いませんよ。それよりもミキ、弥生賞、皐月賞、英ダービーを連勝し続けたらどんなレースに挑みますの? KGⅥ&QESですの?」
「それも考えています」
「それも、ということはその間に何かレースを挟むということですか?」
「体調が良ければエクリプスSに出走しておこうかと思います」
「愛ダービーではなくエクリプスSですか」
「二カ国ダービーウマ娘っていう称号も悪くないんですが私の本領発揮は2000m付近の中距離。2400mだと少し長くベストパフォーマンスが出来ないのでその調子を万全に仕上げる為にもエクリプスSに出走を決めています」
「なるほど。エクリプスSとなればNo.1とまではいかずともNo.2やそれ相応のウマ娘が集まるでしょう。KGⅥ&QESには凱旋門賞を制したモンジューがいますからステップアップとしてはいいと思います」
「まあその前に弥生賞、皐月賞を連勝しなければいけないのは前提条件なんですよね。弥生賞も皐月賞も油断出来ないウマ娘ばかりですから」
「それなら私が貴女を鍛えて差し上げますわ」
「え?」
フジミキセキはサードプレジデントの言った意味が分からず首を傾げた。それを見たサードプレジデントは楽しそうに微笑むと説明を始める。
「私、トゥインクルシリーズを離れたからと言って衰えている訳ではありませんのよ? むしろその時よりも強くなっていますので仮想相手には力不足になることはございませんわ」
「じ、じゃあ宜しくお願いします」
「ええ。鍛え甲斐がありそうで楽しみですわ」
こうしてフジミキセキのトレーニングメニューはサードプレジデントと二人三脚で組まれることとなったのだった。
ナインティギアには悩みがある。それは姉と妹の両方の性質を持ったウマ娘──中間子でありながら姉サードプレジデントや妹クラフトボーイとは異なり全く別の性格であることだ。
「なんでなんだろうな、こうも姉さん達と違うのは」
ポツリとそう呟き教室で外を眺めているとドアが開き、振り向くと創也がいた。
「そいつの答えはナインティギアだからだよ」
「創也の兄さん」
「よっ、元気にしているか?」
「まあぼちぼちってところだよ。でもさ、ナインティギアだからって答えはどういう意味なんだい?」
「ナインティはナインティギア以外の何者でもないってことだ。例えばお前がサードやクラみたいな性格だとそれはお前じゃない。かと言ってありのままのお前をさらけ出しているのもお前らしくない。ナインティギアというウマ娘はナインティギアにしかなれない。お前らしい存在であり、サードやクラにない要素を持ち合わせている」
「私らしさか……卑屈なのに傲慢で、レース嫌いなのに負けず嫌い、安定を求めるくせにギャンブルが好き、そして姉さんやクラのようにはなれないとわかっているのに近づこうとしている……それが私らしさなのか? 創也の兄さん」
「それが本当のお前ならな。ウマ娘含め人間誰しも矛盾を抱えて生きている。だからこそお前はお前のままでいりゃあいい。変わろうとしなくていい、それがお前の個性であり存在価値だ」
「私らしさ……私が私であること……」
ナインティギアはそれっきり創也の言葉に思い耽ったのだった。
翌週、トレセン学園の門前にて1人の男がたづなに引き止められていた。
「だから俺は娘に呼ばれて来た訳なんですわ」
「でも娘さんがいらっしゃるという証拠がないと……せめて娘さんの本名さえわかれば事実確認を致しますので」
「そうは言われても参ったねェ。キャロもナットーもクラカーも愛称で本名じゃないし、本当に困ったなこりゃあ」
「そうなってしまうとトレセン学園としてはお引き取りお願いする他ございませんので……ご了承の方お願いします」
たづなは困っていると、そこへクラフトボーイがやって来る。
「おはよーっ、たづなさん!」
「おはようございますクラフトボーイさん。今日も元気ですね」
「おっ、クラカー! クラカーじゃないか!」
「あーっ! ファザー!」
「ファザーって父親の意味のファザーですか?」
「そうだよたづなさん! でもファザー、どうしてトレセン学園にいるの?」
「うん? ナットーに呼ばれたんだ話したいことがあるって言われてな」
「ナイン姉がねぇ……たづなさん、そういうことだからファザーをトレセン学園の中に入れてもいい?」
「でしたらあちらの申請書に記載して来訪者カードを受領してから入るようお願いしますね」
たづなが門の受付に誘導し、父親が申請書を書き終え来訪者カードを受け取り入園する。
「それではお気をつけて」
「ありがとたづなさん! それじゃあファザー、いこっか!」
「クラカーは相変わらず元気だな」
そしてクラフトボーイと共にナインティギアの元へ向かう。
「ナイン姉!」
クラフトボーイがナインティギアを見かけるやいなや大声で呼びかける。
「クラ、お前どうしてここに?」
「それはファザーがナイン姉に聞きたいことがあるって来てたから!」
「よっ、呼ばれて来たぜ」
「父さん、久しぶりだな」
「ああ本当にな。それよりも俺を呼んだ理由ってのはなんだ?」
「なんで姉さんやクラは父さんと上手くやっているのに私だけバッドコミュニケーションになるのかわからなかったんだ。でも今のクラフトの言葉を聞いてようやく答えが出たよ」
「ん、つまり?」
ナインティギアは父親を真っ直ぐ見つめて答える。
「私が父さんと上手くいってないのは私に問題があるからだ。父さん、教えて欲しいんだ。父さんはなんで母さん──セクレタリアトというウマ娘がいながら私達の血の繋がった母と浮気したのか、その理由が知りたい」
「ナイン姉……言い方があるよ、それ」
「うるさい。でも知らなきゃいけないことなんだ。たらし親父──父さんを誤解したまま生きたいとは思えない」
そうナインティギアが父親に視線を向けると父親が観念したように溜息を吐いた。
「昔のことだ。キャロが生まれて暫くした頃、俺はここトレセン学園に戻ってきたんだ。トレセン学園で前任のトレーナーが入院したのを切欠にシニア級のウマ娘を担当することになった。そのうちの1人がお前達の母さんだ」
「どのくらい強かったの?」
「当初の評価はかなり悪かったらしい。ドブから出てきたウマ娘と呼ばれるほど見栄えも悪かったしOPに昇格することすら出来なかった。ダービーにも出ているが大した成績を挙げることも出来なかった……俺が担当するまではな」
「担当した後は?」
「GⅠ競走を勝ったよ。とんでもねえ出世魚だ。しかしまあそれが良くなかった」
「良くなかったって言われても、どこからどう見ても順風満帆にしか見えないんだけど?」
「端から見ればそうだろうが、彼女は名家の生まれで俺が活躍したのを快く思わない輩も多くいたんだ」
そして父親は母親について語り始めた。
「──とまあ、そんなこんなであいつはドリームシリーズに出ることなくトレセン学園を去り、セクレタリアトの元に避難したんだ」
「何故母さんのところに?」
「そこしか居場所がなかったからさ。だが大きな誤算はセクレタリアトが俺の事を愛していたようにあいつもまた俺の事を愛していたこと、そしてそれをセクレタリアトが見抜いてせっつかせたことだ」
「父さんからじゃないの、か?」
「その通りだ。だからセクレタリアトはお前達を実の子供のように接していただろう? その後はナットーやクラカーが生まれ、俺は再び雲隠れすることになった」
「何故?」
「俺を尾行して居場所を突き止めようとしていたから。それに気付いた俺は離れる必要があった。思惑通り奴らを引き付けることが出来たが、それが出来たのは皮肉にもお前達の母さんが死んだことだった」
「……」
「そうとは知らずに俺はただひたすらに引きつけ興味を失うまで6年間逃げていた。──おかげ様でマスコミの気配なんかもわかるようになってきたというわけだ」
父親が針を投げると悲鳴が聞こえて来た。恐らく誰かが引っかかったのだろう。
「安心しろ峰刺しだ。こういった輩はこうしておかないと面倒になるからな」
秘孔を突き、記憶を失わせると話を続けていく。
「そして俺はあいつらを撒いたと思ってセクレタリアトに会いにいき、彼女の死を初めて知ったんだ。その後はお前達が知る通りだ」
「そんなことが……」
「ナットー、お前が俺のことを憎むのは真っ当な性格だし、むしろキャロやクラカーみたいに生きろというのはキツいはずだ。それを考えた上で判断して欲しい」
「一つ聞きたい」
「なんだ?」
「父さんは母さんや実母の他に浮気相手はいるのか?」
「いないな。それはあの2人に誓おう」
「そもそも私が父さんを憎んでいたのは私達を放っておいて浮気していると思ったからだ。だけど事情が違うならそれで良いんだ」
「ナイン姉、それでいつもファザーのことをたらし親父なんて言っていたんだね」
クラフトボーイが茶々を入れるとナインティギアは無言でクラフトボーイにデコピンを喰らわせた。
「父さん、今まで父の日だのバレンタインだのと何もしなかったからこいつを受け取って貰えるか?」
ナインティギアがそう言って父親にウマホを渡す。
「これは……見たことない型のウマホだな」
「当たり前だ。私が自作したもので非売品だ。その中にSIMカードを入れれば使えるようになる」
「ウマホを自作するなんてうちの娘は天才だな……」
「いざという時の稼ぎ種になるからな。通信機器の時代にこれくらいは作れないと話しにならないからな」
「まあ、今持っているウマホが壊れたりとかで仕事で困った時とかに使わせて貰うさ」
父親がそういってウマホをしまい、ナインティギアはそれを確認するとクラフトボーイに声をかける。
しかしクラフトボーイから反応がない。
見ると涙目になってプルプルと震えていたのだ──理由は察しているがあえて無視すると決めたナインティギアだった。
この数日後、父親はウマホを仕事仲間に自慢したらナインティギアにウマホの制作依頼が殺到したそうな。
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尚、次回更新は今月中には更新予定です