≫書き終わってなかったから。2話分の話を1話にしているので許して下さい!
・シンダー
≫史実の英愛ダービー馬にして凱旋門賞馬。ニジンスキーやコマンダーインチーフなど英愛ダービー制覇した馬が何故か凱旋門賞を制することは出来ずにいた。その上挑戦する度に着順が悪くなるというとんでもないジンクスのようなものがあった。しかしシンダーがそれを覆し、そのジンクスを破り英愛ダービーを制した馬が凱旋門賞を勝つ例は2023年末時点でシンダー以外に皆無であり、その中でも凱旋門賞を二度に渡って挑戦したハイシャパラルはどちらも3着に敗れていることからシンダーのその強さは伺える。しかし本当の彼の強さはメンバーが揃った英ダービーや凱旋門賞といった大レースを連勝する能力だけでなく愛ダービーやニエル賞といったレースでも圧勝することだろう。筆者的にはもう少し高い評価を得てもおかしくない競走馬の1頭でもある。ここから先は長くなるので飛ばしてもいいぞ!
≫父はセントジェームスパレスSを制したグランドロッジ。母はダルシャーンやダララ等を輩出した牝系の子孫のシンタラ、母父は第1回BCターフを制したラシュカリ。くっそ長くなるのでグランドロッジのみについて語る。グランドロッジは祖父に大種牡馬ダンジグ、父にチーフズクラウンを持つだけでなくチーフズクラウンを通してセクレタリアトの血が流れている。しかしこの馬の競走成績はGⅠ競走を1勝したのみであり物足りない感じがするが種牡馬としては世界各国にGⅠ馬を輩出しており、シンダーはその2年目の産駒にあたりダンジグ系を世界各国に広めた功績がある
≫そんなシンダーの子孫が繁栄しているかと言われると微妙なところはあるがGⅠ馬を輩出しておりそこそこの成績であった
・サキー
≫史実の英ダービー2着にして凱旋門賞馬。主に活躍したのは古馬になってからだが3歳時点で既に素質馬として認められていた。しかし英ダービーで2着に敗れた後はエクリプスSに出走するも敗走しその年のキャリアはそこで終わる。しかし翌年英国際S、凱旋門賞を勝利し、ダート競走の頂点であるBCクラシックでも2着と素晴らしい成績で終えその後もドバイWCで3着とダート適正の高さを見せつけた。ここから(以下略)
≫父はセントジェームスパレスSとクイーンエリザベスⅡ世S勝ち馬のバーリ、母はエクセラーなどを輩出した牝系のタワキブ、母父は大種牡馬サドラーズウェルズ。クイーンエリザベスⅡ世Sで外ラチで走るという奇襲がハマりリッジウッドパール(GⅠ4勝、負けたのもこのレースのみ)を6馬身差をつけ勝利したバーリだが種牡馬としてはイマイチでありサキー以外の産駒でGⅠ馬を輩出しておらずサキー以外の子孫は栄えていない
≫種牡馬としてのサキーだが伊国のリーディングサイアーになったサキーズシークレットを輩出し、繁栄に成功している。こうしてみてみると父が失敗に近い種牡馬であったにも関わらず子孫繁栄したサキー、父が名種牡馬であったのにも関わらず子孫を繁栄させられなかったシンダーと対極的であり、これもまたサラブレッドの面白さといえるだろう
・ザフライングダッチマン
≫優駿達の蹄跡で古い馬順に検索したら3番目に出てきたのと英ダービー回ということもあり記載。1849年の英ダービー馬であり16戦15勝2着1回と素晴らしい競走成績の持ち主であり、これよりも英国調教馬で上の競走成績の持ち主といえば以前紹介したブリガディアジェラートとかオーモンドとか片手で数えるくらいしか思い浮かばないってレベルでヤバい
≫こういった馬にありがちなことだが産駒が走らないのが定石で失敗種牡馬になりがちだが、ザフライングダッチマンも失敗種牡馬と一部では評価されているが余りにも早計である。初年度から英ダービー馬を輩出したり1855年〜1862年には英国種牡馬ランキング10位以内かつ最高2位に入っていたりしているのでこいつが失敗種牡馬ならサンデーサイレンスと同時期にいたブライアンズタイムのことを失敗種牡馬と言ってしまうくらいには早計。むしろ成功種牡馬と言っていいくらいには活躍していた
≫そして何よりもこいつの本当のヤバさはガロピンの母父であり、直系子孫にトウルビヨンがいることである。この小説を読んでいる皆様なら察したと思うがガロピンはセントサイモンの父、オームやベイヤード(ハイペリオンの直系の祖父)等の母父であり現在のサラブレッドへの影響力は計り知れない。また直系子孫に関してもパーソロン系は勿論、ダイタクヘリオス、日本調教馬初の海外国際重賞制覇を成し遂げたフジヤマケンザンもトウルビヨン系に属するので1970〜1990年代まで日本を栄えさせたという意味では寄与しているし、海外ではマイスワローが競走馬として大成し、アホヌーラとインディアンリッジ親子が種牡馬として大成しその血を広めた
≫2024年1月末時点で国内ではギンザグリングラスやクワイトファインが種牡馬として活動しており衰退こそしているものの直系子孫も現存している。また海外のトウルビヨン系はトルコの二冠を制したりと日本国内よりも栄えているが主流ではないのは確かである
・トルコの競馬について
≫トウルビヨン系やマニラの子孫がどのように活躍したかを調べていくうちにトルコ競馬がどのようなものか気になったので記載
≫トルコと言えば大の親日国家で有名だがそれについては省略させて貰う。トルコはパートⅡ国にあたり、国際GⅠ競走なしという寂しいものだが意外にも近代競馬の歴史は1856年スタートと日本(1862年に日本国内の外国人居留地で始め、JRAの原型である日本競馬会が誕生したのは1936年)よりも古い。そんなトルコの競馬の歴史だがやはりと言うべきかトルコ出身の名馬が少ない。トルコ国以外で影響力のあるトルコ出身の馬といえばトルコの原型であるオスマン帝国の軍馬であり三大始祖のバイアリーターク、芦毛の祖であるオルコックアラビアンなど遥か昔の名馬くらいしか思い浮かばないくらいにはいない
≫しかし名馬が少ないと言われるものの改善しようとしていない訳ではなく、むしろ逆で日本調教馬初のドバイWC馬ヴィクトワールピサや前述したマニラなど競走成績が優れた種牡馬を輸入しておりイタリアを除いたパートⅡ国は当然、下手なパートⅠ国よりも種牡馬のラインナップは充実しており、トルコ競馬の馬産界が本気であると伺える。またギャンブルが良くも悪くも少なくその影響で控除率は日本の倍以上である50%超えと最悪ではあるものの一般人から見たトルコ競馬そのものも人気が高い。下地は充分にありパートⅠ国の一流馬並の強さを持った馬がいてもおかしくないのだが、賞金や遠征費用の割に合わないことも多々あるので実力がありながら無名のまま歴史の影に消えてしまうのだろう
そして迎えた英ダービー当日、英2000ギニーを制した良血馬キングズベストとその2着に埋もれたジャイアンツコーズウェイは不出走であったが、4連勝を飾ったサキー、大種牡馬サドラーズウェルズと愛オークス馬との間に生まれた良血馬にしてニューマーケットSの勝ち馬ビートホロー、レーシングポストトロフィーを勝った名伯楽の刺客アリストートル、愛ナショナルS・デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬シンダー、サードプレジデントとマーリングの間に生まれた良血馬にして重賞2連勝を飾ったエヴリカン等が集結していた。
そんなメンバーが揃ったこともあり、フジミキセキはオッズに差がないとは言え3番人気とこれまでの実績を考えれば信じられないような低評価であった。
「(やれやれ、どうしてこうもこっちの奴らは日本の馬を過小評価するのかね? レーティング歴代世界一位と二位は日本馬だし、最近はエルコンドルパサーがサンクルー大賞で勝ったし、他にもタイキシャトルやシーキングザパールも欧州で実績を残したんだからもう少し高くてもいいもんだが、やっぱり日本のレースを見ていないのが原因か、あるいはパートⅡ国だからか……)」
創也がそんなことを考えながらサキーとシンダーを見る。
「(サキーもシンダーも人気こそフジミキセキよりも低いが1番人気のビートホロー、2番人気のエヴリカンよりも迫力がある。ライバルとなるのはこの馬達だ)」
創也が顔を連ねているメンバーとフジミキセキの実力を比べる。
「(サキーかシンダーか、どっちがフジミキセキにとってより強敵になるかまではわからないがどちらにせよこの2頭は上位に来る。どちらをマークしてもフジミキセキは勝てるだろうがダンシングブレーヴのように追込が間に合わないことはないようにしないといけない)」
いくらフジミキセキといえども洋芝で上がり1F10.2というタイムは出せないし、欧州史上最強の追込馬と名高いダンシングブレーヴはそれを出しても敗走している。極端な位置取りは止め、ある程度の位置でレースを進めなければ勝利はない。
【さあいよいよ英ダービー、全馬ゲート入り完了しました。残りは出走の号令を待つだけです今スタートしました!】
そしてゲートが開き、各馬一斉にダービーの最初の冠を手にするべく飛び出していった。
サキーがハナに立ち、先行する中でフジミキセキは中団に位置を取り、シンダーやエヴリカンを見ながらレースを進める。
「(まあこんなものだろうな。ポジション的には悪くない)」
一方シンダーやエヴリカンの騎手達は後ろ目にフジミキセキを見ながらレースを進めていく。本来であればフジミキセキは警戒対象の馬になり得ない。それならサキー等の欧州の馬の方が場馴れしており、より厄介な方であると理解している。しかし創也が主戦騎手として欧州に乗り込んできた競走馬は必ず大レースを勝つというジンクスがある。
特に初見での勝率は非常に高く、対処が間に合わなければ必ず負けるのでどうしようもなかった。アーバンシーが勝った凱旋門賞の時は偶然が重なって生まれた奇跡であるし、パントレセレブルの時はパントレセレブル自身が稀代の名馬でありフルハート対策を徹底していたことで生まれた勝利であった。
それだけに英ダービー出走馬の関係者達は創也を警戒しフジミキセキのレースを研究し、徹底的に対策を取ろうとしたがフジミキセキのレースは逃げから追込まで全て出来る自在脚質であり、一つの脚質で対策を取ろうにも別の走りでねじ伏せられてしまう。
1番汎用性があるのは全馬がフジミキセキをマークし、団子になった状態で抜け出させないことである。しかしラビット以外で囮の馬を出すということをまるでしてこなかった騎手達は互いに連携を取れず創也に出し抜かれることになるし、ましてや創也は多重マークをされた経験を何度もありその抜け出し方は熟知している。故にその考え方は真っ先に捨てた。
では関係者達が下した判断はというと普段通りのレースをした上で創也の動きを研究し、癖を見つけて出し抜くのが現実的であると結論付けた。
とはいえ創也はその程度のことは既に理解しているし、対策を取られても尚それを勝利する程の実力を持っている。
「(日本人騎手に舐められて溜まるかよ!)」
それでも尚、騎手達が創也の動きに注目するのは当たり前のことであり、彼等が創也をマークしているおかげでフジミキセキはレースに集中できる。
「(あの動きは牽制だな。冷静でないようで冷静だ。流石だ)」
だがそれは騎手達が創也の騎乗方法を研究しているように、創也もまた他の騎手の動きを研究していた。フジミキセキが英国の厩舎に到着して以降、創也は毎週欧州のレースで騎乗しており今日まで騎手達の動きを把握し、どのような動きをするかを徹底的に調べている。
そのため創也は騎手達の僅かな動きから相手がどういう意図で動いたのかが手に取るように理解している。
そしてその瞬間はついに訪れた。
「(見える! 何もかもが手に取るようにわかる! フルハート以来のゾーン突入だ!)」
フジミキセキの体調、他の騎手の心情などといった細かいことや競馬場全体といった大雑把なものまで自分の力となる感覚を覚えた創也がゾーンに入ったと自覚し笑みを浮かべるとフジミキセキにもそれが伝わり、加速していく。
【さあここで最後の直線だ! サキーとシンダーが一歩抜け出してフジミキセキが大外からやってきた!】
「(負けられねえ! 絶対に負けてたまるか! ジャパニーズにKGⅥ&QES、凱旋門賞まで奪われて英ダービーまで奪われてたまるか!)」
【サキーもシンダーも関係ない! フジミキセキだ、フジミキセキが一気に抜け出した!】
騎手達の想いが乗った鞭が競走馬達に入り、サキーもシンダーも後続を置き去りにし加速するが健闘虚しくフジミキセキに置き去りにされてしまい、そのままフジミキセキが一着でゴール板を通過した。
【フジミキセキ一着! 二着にシンダー、三着にサキーが入りました。月城創也が日本人騎手として初めての本場のダービーを制しました!】
日本人として初の英ダービーを勝利するという偉業を達成した瞬間でありそれを見ていた関係者達は自分達の考えを改める必要がありそうだと悟り始めていた。
「や、やりやがった……あの野郎本当に……!」
それをTV中継で見ていた競馬関係者達は歓喜に震え、マスコミも速報で流し競馬界に衝撃が走った。
そして英ダービー勝利から数日と経たずに創也の偉業は日本中に広がり、たちまち話題になる。そのニュースが報じられた次の日には日本中から取材が殺到し厩舎に押しかける。だがこの手の取材を嫌った創也は押しかけたマスコミを出禁にし、さらに自分の勝利を祝ってくれても特に気にすることなく黙々とフジミキセキの調整をする。
「それでは皆様、今後のフジミキセキのローテーションについて発表致します」
「ペケペケ新聞ですが、その前によろしいでしょうか?」
「何でしょうか?」
「今回の英ダービー制覇について月城騎手は何と仰られていたんでしょうか?」
「英ダービーを制した時のコメントですね。あの時の中継を見ていなかったのでしょうか?」
「いえ、そういう訳ではなくもっと深堀りしたインタビューをしたかったのですがコメントが少ないので記事に出来ないんです」
「……はぁ、仕方ないですね。我が夫からそのような質問があった場合こう答えよと伝言されています。一度しか言いませんので耳を済ませてお聞き下さい」
そして静粛になる会場に美亜の鈴の音のような声が響いた。
「自分が英ダービーを勝てたのはフジミキセキのおかげであり、そのフジミキセキも父や旭川調教師といった関係者の皆様によって鍛え上げられ英ダービーを制することが出来た。故に自分1人があたかも英ダービーを制したかのように言われるのは不快であり、自分もフジミキセキも関係者の皆様によってここまで育てられたのでその方々を労うべきである。以上」
美亜が創也の言葉を伝えるとマスコミは一斉に立ち上がり拍手し、会場を埋め尽くすほどの記者達は涙を流していた。
「さて時間もないですし話を戻しましょう。フジミキセキの今後のローテーションについてですがエクリプスS、KGⅥ&QESの2つのレースを予定しています」
それを無視し、美亜がそう告げると涙ぐむ記者が質問した。
「愛ダービーではなくエクリプスSですか?」
「確かに愛ダービーには権威はあるでしょう。しかしそれを無視してエクリプスSに向かう理由はエクリプスSが約2000mの芝のレースだからです」
「しかしKGⅥ&QESは約2400mですよね? KGⅥ&QESのステップアップなら距離が近い愛ダービーの方が良いのではないでしょうか? ましてやKGⅥ&QESはスタミナレースなんですから」
「そういう考えもあるでしょう。しかし私はあくまでフジミキセキが種牡馬入りした際に競走馬としての実績を考えています。それを考慮すると愛ダービーよりもエクリプスSの方が良いと判断したまでです」
「その根拠が2000mのレースだからというものですか?」
「ええ、近い未来に2400mという距離は余りにも長い距離と判断されるようになるでしょう。先ほど貴方が仰ったようにKGⅥ&QESはスタミナレース。しかし近年はスピード化が進んでおりそれについていけなければならなくなっています。ならばそのスピードとスタミナの両方を求められる2000mのレースを勝つことが最も重要になるはずです。ならば今ここでそのレースを選び、種牡馬としての価値を上げておく必要があるのです」
美亜のその言葉は正論であり、納得もしている記者も多かった。だがそれでも食らいつく記者というのはおり、再び尋ねる。
「それならKGⅥ&QESに登録せず別のレースに使った方が良いと思います」
「確かにマイル路線も空いていますし、KGⅥ&QESを無理に狙う必要はないでしょうがKGⅥ&QESには誰がいると思いますか?」
「昨年の凱旋門賞馬モンジュー……!」
「ええ、現役の世界最強の芝馬があのレースに出ます。夫に言わせれば世界最強馬はドバイミレニアムでもなければモンジューでもなくテイエムオペラオーとのことですが間違いなく世間一般的にはモンジューでしょう。そのモンジューを撃破し、BCクラシックでドバイミレニアムをも撃破し、JCでテイエムオペラオーを撃破する。それが私の考えたシナリオということです」
その言葉に記者達が騒然とする。その理由はドバイWCで6馬身差をつけたドバイミレニアムや凱旋門賞でエルコンドルパサーを叩きのめしたモンジューを差し置いてテイエムオペラオーが世界最強馬と創也が評価していたことである。
テイエムオペラオーはまだGⅠ競走を2勝しかしていない上に差をつけて勝利したわけでもない。それにも関わらず創也から高く評価を受けていたことに対して記者達が疑問に思うのは無理もなかった。
「月城騎手は何故そこまでテイエムオペラオーのことを評価しているのでしょうか?」
「そのような質問があった際に夫からこうも伝言を預かっています。今わからない場合は時間が経てばわかる。ドバイミレニアムやモンジューなどを見てもテイエムオペラオー程の競走馬は現役で存在せずフジミキセキでも勝つかどうか危うい、と」
美亜が創也の言葉を引用し、返答するとそれを聞いた記者達は驚愕し、中には信じられないと口にする者もいた。
「丸八新聞です、質問よろしいでしょうか?」
「ええどうぞ」
「先ほどドバイミレニアムを倒す為にBCクラシックに、テイエムオペラオーを撃破する為にJC出走すると仰っていましたが凱旋門賞には出走しないのですか? KGⅥ&QESの後のレースを教えて下さい」
「それはご尤もですね。まず米国のレースは原則BCクラシックのみとなります。サードプレジデントのようにトラヴァースSに出走は致しませんのでご安心下さい。次に欧州でのレースになりますがKGⅥ&QESの後については凱旋門賞の前にステップを踏んでおこうかと思います。それはその時にお伝えしますのでご了承して下さい」
「凱旋門賞は出走すると?」
「怪我とか体調不良さえなければですがね。KGⅥ&QESで勝った馬が凱旋門賞で負けるなんてのは良くある話でKGⅥ&QESと凱旋門賞を制して初めてフジミキセキは世界最強馬の候補に名乗りを挙げれるんですから」
美亜はそう告げると記者達はその言葉の意味を理解し、何も言えなくなった。普通の名馬ならKGⅥ&QESも凱旋門賞も勝てずに終わるだろう。しかしフジミキセキにはそれが出来るだけの実力があると記者達は確信しており妙に説得力のある美亜の言葉に何も言えなくなったのだ。
「他に質問がなければこれで終わりにします」
美亜がそう締めくくり、記者会見が終わった。
「お疲れさんフジミキセキ」
創也が厩舎に戻ると既に馬房の中でフジミキセキは味噌とニンニクを混ぜた飼い葉を食べていた。
「全く、相変わらずだな。そんなお前の相手はと……」
その様子を見た創也はエクリプスSの出走表を確認する。
出走予定馬の中には英ダービーで3着に食い込んだサキーの他に英2000ギニーと愛2000ギニーで2着になったセントジェームスパレスS馬ジャイアンツコーズウェイ、タタソールズ金杯馬であり前走GⅢ競走ブリガディアジェラートSで勢いをつけた日本産の英国調教馬シーヴァがいた。
「まさか日本産の馬とこんなところで戦えるなんて思いもしなかったが英国の馬だ。容赦なんかしないさ。な、フジミキセキ?」
創也がそうフジミキセキに問いかけるとフジミキセキが飼い葉桶から口を離し、創也の目を見つめ鼻息を鳴らす。
すると創也は笑みを浮かべると共にフジミキセキが再び飼い葉桶に頭を突っ込むようにして食べ始めた。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、ここすき、感想の方を宜しくお願いいたします。
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尚、次回更新は来月中には投稿予定です