≫本来ならフジキセキ(富士奇石)からあやかりコンゴウキセキ(金剛奇石)にする予定だったがコンゴウは冠名なので諦め、フジミキセキという名前になったというエピソードかある
・美亜が時々使う冠名フジミの由来は?
≫不死身、富士見などが考察していると思われるが伏見が由来。筆者が伏見の読み方をフジミと読み間違えたのと不死身のように延々と活躍し続けるようにその冠名を使わせることにした
・キタサンサイレンス
≫サンデーサイレンスの項目を覗いたらその名前があったので記載。サンデーサイレンス産駒初の勝利馬にして大野商事こと北島三郎氏の所有馬。オークス馬エイシンサニーなどを輩出した栄進牧場から庭先取引で手に入れた牝馬であるらしいがこれ以上の情報は不明
≫新馬戦を勝ちSS産駒初となる出走及び勝利を挙げフジキセキなど他のSS産駒達も後に続くように勝ちまくった功労者といえる。しかしキタサンサイレンス自身のその後の戦績は札幌3歳S2着と重賞の舞台で一度だけ善戦しただけに終わり後は馬券圏外と早熟な馬で、産駒も残すことは出来なかった
≫それはさておき競馬界で北島三郎と言えばキタサンブラックの馬主であることは有名だが意外にも馬主歴は長く、ウマ娘で【サトノ家のウマ娘はGⅠを勝てない】などというジンクスがあるがキタサンブラックがキタサン家という家名を背負ったウマ娘であった場合サトノダイヤモンドやサトノクラウンのストーリーが破綻するくらいには馬主歴は長くGⅠも勝てなかった。そんな最中でSS産駒初となる初出走&初勝利を飾れた本馬のことをどう思っているのかはわからないが、競馬関係者にとって現代日本競馬の新たな幕開けの幕開けとなった馬であったのは過言でもない
・アグネスサージャン
≫キタサンサイレンスが最初のSS産駒勝利馬ならこの馬は最後に生まれたSS産駒。
≫アグネス、というからにはアグネスタキオンなどと関わりがあると予想する通りこの馬はアグネスフライトやアグネスタキオンの全弟であり、タキオン、フライトに続いて期待され新馬戦を勝利。しかし故障し兄達のように活躍することなく引退。引退後にタキオンが死んだのでサージャンも種牡馬入りするかと思われたがフライトが存命だったこともあり当初の予定通り乗馬入りしている
≫誰でもいいからウマ娘化したアグネスサージャンの小説を作ってくれーっ!
・ドゥラメンテ&イクノディクタス&オルフェーヴル実装
≫ドゥラメンテとイクノディクタスについてはようやく来たというべきか大方の予想通りというべきか待ってましたよ本当に。勿論限界まで引いたしなんならゼンノロブロイ、衣装違いファル子、ヤエノムテキも引いたね。意外にもハロウィンライス含め所持済の星3のウマ娘も来なかった
≫オルフェーヴルのサポート実装にはビビったね。今までオルフェーヴルといえばフジキセキの中の人が演じる予定だったあのマスクのウマ娘をイメージしていただけにかなり変わったのは驚いたし、何よりもサポートで早速実装するあたりビビったね。他にも初登場でサポート実装されたキャラはいくらかいたけどオルフェーヴルほどビビったのはいなかったと思う
・ラインクラフト
≫ウマ娘で育成実装されたので記載
≫05世代の競走馬で父はエンドスウィープ、母父サンデーサイレンスとどこかで見たような血統の持ち主だが、これはアドマイヤムーンと同じであり父エンドスウィープ母父サンデーサイレンスの組み合わせが如何に優秀かよく分かる。ちなみに父エンドスウィープは競走馬時代は後の米国二冠馬タバスコキャットやパーソナルエンスンを母に持つ超良血馬でアワーエンブレムと言った馬達に先着する実績があるが父親としての側面は当時の世界記録を樹立する
≫桜花賞でジャパニーズスーパースターシーザリオを生涯唯一敗北に追いやっただけでなく、NHKマイルCでも優勝してみせた生粋のマイラー。タニノギムレットなどクラシックに歩んだ馬が挑む例はあったがクラシック優勝馬がNHKマイルCを勝ったのは初でキングカメハメハ(NHKマイルC、日本ダービー)以来の変則二冠馬となった。その後は重賞には手が届くもののGⅠには届かずまさかの早逝。同期の子孫が活躍することもあるが余りにも惜しまれる死だった
≫ちなみに海外の同期にメジロアルダンを通してノーザンテースト直系の血を残した中国の競走馬WuDi、ドバイミレニアムの血を広めたドバウィがいる
・スティルインラブ
≫ウマ娘化されたので記載
≫史上二頭目の牝馬三冠馬……なのだが、アドマイヤグルーヴのライバルという意識があるせいで影が薄い。1986年のメジロラモーヌ以来17年ぶりに牝馬三冠を達成し歴史的な快挙を果たしており、この間隔の広さは現時点で牝馬三冠史上最長となるのだが、アドマイヤグルーヴが米国でいうイージーゴア、スティルインラブがサンデーサイレンスのようなものであり実力はアドマイヤグルーヴの方が上のような扱いをされており三冠全て一番人気になれないという不遇を見せている。一冠目や二冠目はまだ実績がほとんどなかったので理解出来るが三冠最終競走で二冠馬が一番人気にならない事例は牝馬に限定すればこの馬だけであり、日本の牡馬だとシンザンくらいしかおらず、それだけアドマイヤグルーヴの人気が凄まじかったとも言える。尚その後は勝てずにひっそりと引退した。勝てなくなった要因として父サンデーサイレンス、母父ロベルトという血統背景(ヘイルトゥリーズンの3×3のクロス)が主な理由だと言われているが真相は不明である
≫そんな彼女の繁殖成績はどうかと言われると牡馬1頭だけ生み出し死亡した。その上競走馬として大成しなかったのでスティルインラブの血そのものは繋ぐことは出来なかった。もし長生きしていればアドマイヤグルーヴがドゥラメンテを輩出したようになっていたのかもしれないし、逆に全く活躍することもなかったのかもしれない。繁殖牝馬としての実力を隠したまま早逝した
・筆者が考えるインブリードについて
≫筆者は2×◯などといった先祖が2代先にある馬を対象とした繁殖馬をクロスさせるような生産者はバカだと思っている。良くも悪くもバカという意味なので決してアホという訳ではない。そもそもインブリードはその対象の馬の血を濃くするためにするのでリスクを背負う為にやるものではない。つまりロマン探求者といえそれ自体は強く否定はしないがやはり正面切ってバカといいたくなる。無事是名馬という言葉がある通り怪我なく走り切ることが重要であると考えている(その方が結果的に賞金額を稼ぎやすいし)ので怪我をするリスクを増やすなど愚の骨頂と言えてしまう
≫しかし2×◯以上となるかなり強いインブリードの対象が牡馬ではなく牝馬であるならどうかというと競走馬としては大成しにくいかもしれないが繁殖用としては優秀になると考えている。というのも牝馬のクロスが起こる場合は稀なことであり、意図しなければ起こせないからだ。
≫例えば国内にスターズアラインドやムサナーダという牝馬がいるがこの馬達の血統は父シーザスターズ母父ガリレオという血筋であり、血統表を見るとアーバンシーの2×3(とノーザンダンサーの5×4)の非常に危険な配合であるが次の代で考慮するべきことはアーバンシーの血が流れていない馬を探すしかないのだが、欧州ではガリレオ系が流行しているのでドバウィなどガリレオやシーザスターズの血が流れていない相手を見つけるのは難しいが、日本の種牡馬ならほぼ確実にアーバンシーのクロスにならない
≫スターズアラインドはジャスタウェイを種付けしてJBCレディスクラシックを制したテオレーマを輩出したので繁殖馬として優秀であったのは疑いようがない。ただテオレーマの兄弟にあたる馬はテオレーマ以上にダンジクの血が強くなったりミスタープロスペクターの血がクロスしたりするのと、孫であるテオレーマ2023(父コントレイル)はサンデーサイレンスの3×4のクロスなのであまり期待出来そうにない
「どう? ナインティギアとクラフトボーイ、それにフジミキセキの評価記事を書いてみない?」
サードプレジデントを評価した記事が新しい上司に目に止まり、そのような提案をされた。
ナインティギアとクラフトボーイはまだ記事にしていなかったし、記事にするのも丁度良い。だが──
「フジミキセキについては引退するまで評価が定められませんので少々お待ち頂けませんか? 一応現時点でインタビュー等をした上で引退後に改めてその評価を関係者の皆様にお伺いしたいので」
フジミキセキの評価は現時点では出来ない。したとしても〇〇級の素質とかそんなふうになるだろう。そんな曖昧なことをしても良いのか? これがゴジップ記事の取材ならしても良いと答える記者は多くおり、競馬記事も同じと見ていると痛い目に遭う。競馬記事は馬主つまり大企業の社長などといった社会的立場の強い人間が見るものでもある。それらに
ナインティギアの馬主の星崎氏は携帯電話などを取り扱い、現代の社会現象を引き起こした張本人でありその影響力は極めて大きく某大物政治家も動かした。またクラフトボーイの馬主であり星崎氏の娘でもある月城美亜氏は現代社会にこそ影響力は薄いが星崎氏よりも馬主といった競馬関係者への影響力は大きく競馬関係で目をつけられたら最期といって良い。少なくともラガーレグルス事件を引き起こした一般人がこの2人に目をつけられ、その人物は勿論一族に至るまで社会的に抹殺されたのだから。
そんな権力を持った方々に無礼を働けば私は当然、この会社も社会的に抹消されるだろう。
「OK。フジミキセキについては引退後に記事にする形で、それ以外を進めて欲しい」
「了解しました」
さて、今回はどのように取材しようか。
「ナインティギアとクラフトボーイの評価についてですか」
「はい、是非とも担当した調教師という立場で見た評価をお願いします」
まずナインティギアとクラフトボーイを担当した旭川調教師に取材を申し込んだ。
「ナインティギアはご存知の通り当初は素質こそあれど評判は良くない馬だった」
「確かにとんでもない気性難で有名でしたね。確か新馬戦で立ち往生するわ、スタッフを蹴り飛ばすわ、レースで遊んだかと思ったら加速して斜行してきた馬ごと吹っ飛ばすわともう濃過ぎるエピソードばかりですよね」
新馬戦のエピソードだけでこの有り様なんだ。朝日杯ではソラを使って2着、皐月賞では落馬、日本ダービーでは放馬&暴走に加えて観客に傷害を加える……誰がどう見ても狂っているとしか思えない。
「それならまだマシだよ。厩舎にいた時は生きた心地がしなかった。厩舎のボスのサードプレジデントと敵対して空気が最悪になるのは日常で、サードプレジデントが不在の時に周囲の厩舎を含めた大ボスになっているし、独特のカリスマってもんがあった。もう王様になる為に生まれてきたようなもんだ」
「王様って……」
「とはいえ自分に敵対する輩だけで面倒見はいいんだ。敵対した場合は人間にも容赦なかったよ。サードプレジデントやナインティギアを目的とした人間がウチの厩舎に不法侵入してきた時なんかはその人間を骨折させて動けなくさせたりしているしな」
「敵対しなかった場合は?」
「基本的には温厚だな。競走生活をしている間はピリピリしていたが桶を鳴らして餌を要求するだけだし、見慣れたスタッフなら心を開いてくれた。そのおかげで加東騎手が騎乗出来たんだが」
そう言えば舎太ファームで見学可能な気性難な馬として有名になっていたし、刺激させなければ大人しいというのは本当らしい。ただそれ以上にナインティギアが種付け嫌いで見学したとしても種付けに影響しないと判断したのが大きいのだろう。月夜牧場のサンデーサイレンスは種付けしまくるので管理も徹底的にしているのだとか。
「なるほど。ところで加東騎手とのエピソードを教えて頂けませんでしょうか?」
「加東騎手の名前を出したのは実はオーナーである星崎オーナーなんだ」
「えっ? そうなんですか?」
「サードプレジデントが凱旋門賞に出走する関係で京都大賞典に出走するナインティギアの代打の騎手の候補に選ばれたのが胤、柴太、刑部の三名。しかしいずれも先約があったんだ」
「確かにありそうですね。それで次に名前が上がったのが加東騎手だと?」
「まあその通りで。実績があり気性難の馬と誠実に向き合える人物でしかも確実に空きがある。それが加東騎手だったというわけだ。今でこそトップジョッキーの仲間入りを果たしてるが当時は過小評価されていた1人。コネとマグレでGⅠやダービーを勝ったなんて酷い言われようだったが我々は採用した」
アンバーシャダイやホウヨウボーイ、シリウスシンボリに騎乗した人間になんて評価だ。過大評価する訳ではないがそこまで過小評価される騎手も珍しいのではないだろうか。
それはともかく当時の加東騎手の評価は低くそれは陣営にもわかっていたはず。その三名以外にも候補はいたはずだ。
「久宝元騎手とかは思いつかなかったんですか?」
久宝調教師はその当時は胤などといった天才騎手から見本になるとまで評価が高く、気性難もお手の物といったトップジョッキーの1人であった。それを推薦しなかったのは理由があるのだろうと思い詮索すると割とすぐに返答してくれた。
「確かに騎手の見本みたいな乗り方をするし優秀だが、胤、柴太、刑部の気性難を乗りこなせる三名がダメな時点で久宝も別の先約があるだろうと思ったし、名前すら出せなかった」
なるほど。久宝云々についてはここまでにしよう。あまり詮索しても久宝調教師について尋ねる取材になってしまう。それは私の本意ではない。これについてはさっさと切り上げよう。
「それで加東騎手に代わられて良かったことはどんなことでしたか?」
「ナインティギアの心の成長が見られたことだな。確かに騎乗技術そのものは創也の方が上だ。しかしナインティギアの気性難が緩くなったのは加東騎手によるものだし、そのお陰で世界最強馬にまで成り上がれた。もし加東騎手でなければ春天で勝てずに引退することになっただろう」
要するに加東騎手はナインティギアにとって相棒というほどではなかったものの自分を支えた相方だったということだろう。
「なるほど有難うございます。ナインティギアに関して最後に一つだけお伺いしても宜しいですか?」
「どんなことだ?」
「ナインティギアがサードプレジデントに勝つとしたらどんなレースですか?」
「そんなの秋天しかない。それ以上の距離になるとサードプレジデントが十中八九勝つし、4歳時に秋天に出走しておけばヤエノムテキに最低8馬身差をつけて勝っただろう」
「そ、そこまで仰られますか?」
「本当にナインティギアが得意なのは芝2000mの中距離レース。能力が高すぎるが故に他の距離でも勝っただけで本来であれば芝2000以外の距離はあまり得意ではない。サードプレジデントがセクレタリアトならナインティギアはスペクタキュラービッドのようなもの。秋天の舞台で全盛期のナインティギアに勝てるとしたら全盛期のサードプレジデントでも五分五分といったところだ」
まさかそこまで評価しているとは……それでもKGⅥ&QESでも圧倒していたし、芝2400mが本当に適正外とは思えない。そんなことを発信したら世界中の人間から顰蹙を買うことになる。これで月城騎手が同じことを言っていたら流石に発信せざるを得ないがその時はその時だ書こう。
後日月城騎手に尋ねたが似たような返答であったが違いがあるとしたら「二度とアスコット競馬場には連れていかない」と付け加えていたくらいだ。確かにあの逸走には見ているこっちも冷や汗ものだったがやはり実際に経験するのでは大きく違うというのだろう。
「それではクラフトボーイについてお伺いします。クラフトボーイについては三兄弟の中では成績は振るいませんでしたがやはり相当な素質を秘めていたと思われますが」
「普段の振る舞いは中和剤の役割を持ったバックパサー、走る姿はドクターフェイガー。クラフトボーイを評価するならそう表現するしかない」
「といいますと?」
「普段馬房にいる時はサードプレジデントとナインティギアの喧嘩を諌めたり、他の馬に対しても良く慕われていたし、人間に対してもかなり優しかった。厩舎の癒やしみたいなものだった。だがレースに出ると創也ですら抑えが効かない、そんな馬だ」
「なるほど」
なるほど良くわからん──というバックパサーもドクターフェイガーも知らない読者もいるだろう。
バックパサーは人に触られても動じないほど大人しい馬であり、クラフトボーイが現役の頃はサードプレジデントの気性がバックパサーと言われていたくらいには人懐っこい馬でクラフトボーイはそれサードプレジデント以上に大人しいと認識していたがそれは間違いではなかったか。
ドクターフェイガーはバックパサーの一つ下の競走馬で米国のタイトルを歴史上唯一4部門獲得した怪物だ。その逃げ脚は余りにも速く、斤量60kgを背負った状態でダート1マイル1分32秒2という世界レコードを出し、1マイル戦のみなら最強とまで囁かれているほどだ。ちなみにオグリキャップの安田記念のレコードで1分32秒4だからこれが如何にとんでもない記録かわかるだろう。スピード違反でとっ捕まったという逸話があったと言うほどだから末恐ろしい話だ。そんなドクターフェイガーにも欠点があり何がなんでも先頭で走らないと気がすまない馬でクラフトボーイもその類の馬と旭川調教師は言っている。
「菊花賞で栗毛、逃げ馬ということからメイズイと比較されたりしたし、クラフトボーイが引退してサイレンススズカが現れた頃はサイレンススズカとも比較された。ただ決定的に違うのはクラフトボーイはスタミナが桁違いにあった。距離の融通が効くという意味ではクラフトボーイは歴代の逃げ馬達の中でも屈指のものだし、逃げ馬に限定せずともマイル〜超長距離のGⅠ級相当のレースで勝ったのは三冠馬よりかは多いだろうがそこまで多くない」
「なるほど。では最後にクラフトボーイはサードプレジデントやナインティギアと言った上の兄達に届き得る競走馬でしたか?」
「国内のマイル以下の路線が中長距離並に整っていたなら十分に届き得た。短距離でもサクラバクシンオーにも勝てただろうし、マイルでもノースフライトにも勝てた。しかしそうならなかったのはクラフトボーイが中距離以上でも十分にやれたことが大きく、中距離以上で走った方が金銭や種牡馬価値も高まる。クラフトボーイの真価を発揮させるには時代が悪すぎたと思っているよ」
サクラバクシンオーにも勝てる云々は流石に盛っているとは思うが、クラフトボーイの真価を発揮させるには時代が悪かったというのは同意見だ。もし短距離路線やマイル路線が中距離並に充実していればクラフトボーイはそちらに注力していたかもしれないが、菊花賞馬を短距離やマイルで走らせるなんて批判が殺到していただろう。安田記念参戦については私もどうかと思っていたし。それでも勝つあたり流石としか言いようがないが。
「たらればになりますがサードプレジデント、ナインティギア、クラフトボーイ達三兄弟がどの世代に生まれていたらもっと活躍していたと思いますか?」
「鞍上が全て全盛期の創也だと仮定するならそれぞれ一年早く生まれていたら今よりも活躍出来ていたと思う」
「その理由は?」
「サードプレジデントは成績そのものは変わらないがもっとえげつないレコードを更新していただろうし、ナインティギアは同世代のライバルが強すぎた。89世代の馬なら朝日杯も勝った上に無敗で三冠馬になっただろう。クラフトボーイは菊花賞こそキツくなるが全盛期の創也なら無敗で三冠馬にしてしまう」
確かにあり得ない話ではないのか。しかし全盛期の月城騎手と言っているが今は全盛期を過ぎたとでもいうのか? 成績そのもので言えば93年以降からそこまで変わりないと思うが。
「なるほど有難うございます。では旭川先生、フジミキセキについての取材も宜しいでしょうか?」
「ローテーションのことか?」
「いえ、現時点でのフジミキセキの評価についてです」
「そういうことなら答えるか。フジミキセキはとにかく万能、マイル〜中長距離路線なら現役で世代最強だと思っている。国内だけじゃなく世界含めてだ」
「その理由を伺っても?」
「根拠としては英ダービーを制した。これだけで世代間で世界一強いと証明しているもんだが、英ダービーに出られなかった馬より強いという証明にはならない。中には仕上がりが遅くて英ダービーに出られなかったとかそういった事情がある陣営がフジミキセキを世代最強とは認めない場合もある」
「確かにそうですね」
「しかし、英ダービー2着のシンダーが愛ダービーで9馬身差でぶっちぎったことで欧州のほとんどがフジミキセキを認めただろう。それでも認めない輩はKGⅥ&QESで認めることになる。正真正銘世界最強馬があそこにいるからな」
「あのエルコンドルパサーを凱旋門賞で破ったモンジューですね」
「創也はテイエムオペラオーこそ現役世界最強馬と認めているようだが競馬関係者のほとんどがモンジューと答えるだろう。フジミキセキはそのモンジューに勝つだけの力量を持っている」
月城騎手のテイエムオペラオー推しは一体何なのだろうか。現時点でテイエムオペラオーは今年に入ってから絶好調ではあるものの去年の皐月賞を含めてもGⅠ競走3勝しかしていない。日本馬が世界最強馬と比較するにあたっての最低ラインはGⅠ競走5勝くらいしないと厳しいものがある。
5勝というのは古馬になってから半年が経った時点で総合GⅠ勝利数の話だ。シンボリルドルフであれば5勝、サードプレジデントなら8勝、ナリタブライアンも5勝と日本馬限定でも最低ラインが5勝というだけであり、特に深い意味はない。
故にテイエムオペラオーが世界最強馬と認められているモンジューと比較するには余りにも実績が足りないと個人的には思っているし、そのように考えている記者も多いのではないだろうか。
しかしこの後テイエムオペラオーは世紀末覇王と呼ばれるに相応しい成績を残し、月城騎手の相馬眼は本物であると証明されることになる。
「だからこそKGⅥ&QESに出走することでそれを証明する。フジミキセキは世間が思っているほど弱くはない」
まあ少なくとも国内の評価は最高であるのは事実だし、ほとんどの陣営もそれを認めている。だからこそ──
「そういえばエアシャカールがKGⅥ&QESと凱旋門賞に出走登録したのはご存知ですか?」
エアシャカール陣営はフジミキセキにリベンジを果たす為だけにKGⅥ&QESと凱旋門賞に登録したという噂がある。
皐月賞2着、ダービー2着と惜敗続きのエアシャカールだが、00世代でフジミキセキを除いた競走馬の中ではトップクラスの実力を持っていることは間違いなく現在クラシック最後の一冠である菊花賞の最有力候補としても知られている。通常であれば菊花賞に向けて夏場は休養し疲れを取るのが恒例だ。しかしエアシャカールはそうしなかった。KGⅥ&QESも凱旋門賞もフジミキセキが出走登録したレースであり、フジミキセキに勝って世代最強を証明するだけに遠征してきたのではないかと言う噂も立っている。
「ええよくご存知だよ。陣営がどんな思惑があるのか知らないが関係ない。フジミキセキがベストのレースをすれば誰も追いつけない。それだけの話だ」
旭川調教師はそれがどうしたと言わんばかりに言い放ち、エアシャカールについては全く言及しなかった。
負けたら何かコメントの一つでもあるだろうがそれは私の仕事ではないし、何よりも個人的にはエアシャカールよりもフジミキセキの方を応援している。フジミキセキが負けるようなことにならないのを祈るばかりだ。
「最後にフジミキセキは歴代の名馬の中でどのくらい強いと思いますか?」
「現時点で全盛期のナリタブライアンかそれ以上、6歳時のナインティギア級かもしれない」
全盛期のナリタブライアン云々はカットしよう。ナリタブライアンファンはサードプレジデントを歴代最強と認めているものの2番手にナリタブライアンという声を挙げるくらいには強いと思っている。
「なるほど歴代でも5本の指に入るほとであると」
故に議論が起こらないようにナリタブライアン云々の所を5本の指に入ると表現するしかない。旭川調教師はナインティギアを管理した立場上ナインティギアの強さを良く知っている。それ故ナインティギア云々についてはカット出来ないがナリタブライアンについては別厩舎の馬で上手くぼかせる。それに旭川調教師がナリタブライアンを認めたなんて記述したらサードプレジデントとナインティギアを除いた他のファンは旭川調教師に恨みを持つだろう。特に【シンザン、シンボリルドルフ、ナリタブライアン誰が強いのか?】なんて議論も挙がるほどで記事によっては煽ることもありそれで炎上した。故にサードプレジデントを除いて最強馬論争を行うのは記者達の間では話題にしない。
「シンザンもシンボリルドルフも、トウカイテイオーもビワハヤヒデもナリタブライアンも皆強かった。だけどフジミキセキはそれらを上回るだけの強さを持っている。日本馬で今のフジミキセキに勝てるとしたらサードプレジデント、全盛期のナインティギア、後は創也が警戒しているテイエムオペラオーくらいしかいない」
そうだった。テイエムオペラオーも記述しないといけないが、どう書くべきだろうか? これについては読者がリップサービスと受け取るだろうしそのまま書いておこう。
このことが原因で月城騎手の評価が爆上がりすることになるがそれはまた別の話だ。
そんなこんなで星崎親子、月城騎手といった関係者に話を伺うと表現こそ違えど凡そ似たような答えであり、それぞれの強みといった要素を加えて原稿が仕上がると編集長に呼ばれた。
「ナインティギアとクラフトボーイ、そしてフジミキセキについての評価の原稿拝見させてもらったよ。メジロマックイーンとか相手方の取材不足が目立つがそれを補うほどの出来だね。良く頑張った」
新しく来たこの編集長は下げてから持ち上げるのが上手い。その話術を知らない者であればその言葉通りに受け取るだろうが私は「なんでナインティギアやクラフトボーイの関係者だけなんだ? 相手方の取材もやれよ」と言っているようにしか思えない。これは私が根っからの記者であり仕上がりがまだまだ不足していたということなのだろう。
「編集長、その記事についてですがまだデータやソースが不足していたので練り直して来ます」
「そう? 相手方の取材や各馬のレースにおける数値化とかも頼める?」
「善処致します」
政治家でそれはノーということに等しいが私は違う。本当にその通り善処するという意味で使用し、記事を書き直す。
「まあ出来ればで良いよ。無理して締め切りまで間に合わないようならこっちの方提出していいから」
遠回しに「締め切りに間に合わなったら出来損ないの方で記事にするからな」と脅してきている。全くこの方はひと使いの上手い方だ。
かくして私は編集長に尻に火をつけられ、全力を尽くし、毎日徹夜して締切期日ギリギリにようやく仕上げ終えると編集長も流石に1週間の代休を取るように行ってきたので申請し暫くの間寝ることにした。本当に死ぬかと思った。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、ここすき、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は未定です