では、どうぞ
「うっ!全身が痛む」
宿のベッドの上でライトが小さく呟いた。
「本当に5000回やらせるとは、いって~」
天空山で狩りをして帰ってきたと同時にベッドに倒れこんだが、全身の痛みと考え事により寝ることはできなかった。
「これからどうするんだろうな」
今まではやりたいことが次から次へと浮かんだ。しかし、今は浮かばない。ハンターとは何かとまで考え始めたのだ。
どうして俺はモンスターを狩っているんだろうが、狩ることに意味はあるんだろうか。
目標を見失ったライト。ライトはしばらくベッドの上から動かなかった。
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「おはようございます」
ぎこちなく歩いてくるライトがいた。やはり狩りの後に素振り5000回はきつかったかな?
目にくまもあるな、寝ていないのか。何よりも敬語を使っている。おかしいな。
前の狩りといい元気がない。しばらく様子を見るか。
「今日は何をするんですか?」
「お前の上位昇格の報告だ」
いくらライトの上位昇格をジルの独断で決めていいと言われても、さすがにギルドマスターには報告しないといけない。今日はその報告にいこうと思っていたんだが。
「俺なんかが上位に上がってもいいんでしょうか?」
「……」
滅入ってるな。どうしようか。とりあえず
「お前がなんと言おうと俺が決めたことだ。文句はいわせん」
と無理矢理切り捨てた。
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「ギルドマスター、ライトのことで」
ライトは集会所の食卓に座ってる。
「おおジル。ちょうどいいところに来た。お主に言いたいことがあったんじゃ」
えっ?なんだろうか。
「お前の探していたモンスターが見つかったよ」
「っ!!」
「お主の言ったとおり、通常より一回り大きく片目に傷があるテオテスカトルが」
やっとだ。今度こそ、あのときの俺とは違う。
しかし、ジルには気になることがあった。
その事を言う前にギルドマスターはさらに話を続ける。
「ナグリ村に近い地底火山の外れで見つけたそうだ。ギルドが狩り場として指定していない場所じゃ」
「じゃが、残念ながら無謀な二人組のハンターが討伐を試みて、あっけなく敗れたようじゃ。それに刺激されたのか他の所へ飛びさってしまった。」
「すまない。お主が天空山にいっておるときに現れたのだ」
「いや、いいです」
それを聞いて安心した自分がいた。
「今はあいつがいますから。次はあいつと力をあわせて狩りたいと思います」
まだ復習心は消えることはなく。恐らくこれからもずっと残るだろう。あいつを倒すまでは。それでも前とは違う気がした。前の周りが見えていなかった自分とは。
「変わったのぅジル」
「そう、かもしれません。きっとライトが変えてくれたんでしょう」
ライトは絶対に死なせない。二度も同じ失敗は犯さない。
「で、ライトを上位にあげることにします」
ティガレックス狩猟には失敗したものの、本来の目的はリオレウスだ。問題はないだろう。
「そうか今度ギルドカードを更新しておくよ」
「ありがとうございます」
「ところで本人は?」
ギルドマスターが不思議そうに聞いてきた。
「あそこにいるんですが、なぜか元気がないんです。何が原因かあまりわからなくて……」
ジルはライトの方を見ながらそういった。
「ふむ、まあそれを解決するのも師としてやるべきことじゃろう」
予想どおりの回答だ。あたりまえではあるが。
「そうじゃな、バルバレの町を紹介でもしてやったらどうじゃ?」
「今さらですか?」
ジルは苦笑をしながらライトの方へと向かった。
「ほんとうにかわったのぅジル」
ギルドマスターの小さな呟きは届くはずもなかった。
「ライトちょっとバルバレを歩かないか?」
食事を終わらせているライトにジルは話しかけた。
ライトは大食いな方だと思う。しかし、今はジルと張り合うぐらいの少食だ。
行かなきゃダメですか?そんな表情を露骨に出して顔を向けてきた。
「ほら行くぞ!」
ジルはほぼ引きずるようにライトを引っ張り、集会所を後にした。
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バルバレの町は今日も賑やかだった。
それとは対照的にライトは暗かった。そこだけ太陽の光がさしていないような暗さだ。
行商人が集まっている場所に差し掛かったとき、ついにライトが口を開いた。
「ハンターをやる意味ってなんだろう」
ジルはそれを聞いた瞬間にすべてを理解した。なぜライトが元気がなかったのかも。
「ライトそれは今にわかる」
「えっ?」
すると近くの行商人がよってきてジルにしゃべりかけてきた。
「この前はありがとうございます。お陰で助かりました」
それはまるでジルを神と崇めるように恭しく話しかけてきた。
「ハンターとして当然のことをしたまでです」
その行商人が言ったことにより、周りから次々と行商人がお礼をのべてきた。
そのたびにジルは律儀に返す。
その様子を見ていたライトは唖然としていた。
一通り終わったジルが行商人の輪から抜け出してきた。
「ほらなこうやって意味があるんだ。前言ったよな?クエストは依頼者がいるから成り立つと。依頼者はもちろん感謝をする。最初の方は名も世間に知れわたらず、こうやって直接来ることもない」
「だけどな、地道にクエストを受けてどんどん名が知れわたるとな、さっきのように直接感謝してくる人も珍しくはないんだ」
ライトの顔にだんだんと光がさしてきた。
「俺はな最初は鬱陶しいと思った。だけど今は役にたっているんだなと、感謝を受け止められるようになったんだ」
「そして、俺を変えてくれたのは紛れもない、ライトお前だ」
ライトはハッと顔を上げジルを正視した。
「お前はハンターになって一人の人生を変えた。お前がいなかったら俺は今装備を身に付けてはいなかっただろう。それにまだ達成していない目標があるだろ?お前にも」
「たくさんのモンスターを見ること……」
「そうだ。それがお前がハンターを続ける意味だ」
ライトにいつもの元気が戻ったところを、ジルはこの目ではっきりと見た気がした。
「俺は目標を見失っていたのか」
ライトはかつてのジルのように小さく呟いた。
その時。
「あら、やっと見つけましたわ」
ゲッ、この声は……
「リリス!久しぶりだな!」
さっきのシリアスはどこにいった、という感じでライトが声を上げた。
「久しぶりね。ライトが上位に上がったと聞いたからきましたよ」
はっ!?さっきギルドマスターに話したばっかりだぞ?
それが表情に出たのかリリスが
「私の情報網をあまく見ちゃいけませんよ?」
恐ろしい女だ。こいつと一緒にいてろくなことがなかったような。
「あっ、それで上級祝いですわ」
リリスはポーチから巾着袋を取り出した。
「はい、まずは10万ゼニー」
はっ!!?
さっきよりも驚愕したジル。
ありがとうとなんの疑問もなく受けとるライト。一方リリスも子供に小遣いを渡すように軽く渡していた。
一回のクエストで二人で行けば分け前が約2000ゼニーぐらいだろうか。10万は大金だ。それをライトに上げてもいいんだろうか?
「もうひとつはいっているのよ」
そして、リリスが取り出した物はジルをさっきよりもさらに驚かせる物だった。
紅いきれいな宝石のような丸い玉。
紅玉と呼ばれるとても珍しいアイテムだ。滅多に出ないそのアイテムは幸運の証でもある。
ジルの装備にも使われている『火竜の紅玉』と呼ばれるリオレウスの紅玉だ。
「これを使うのではなくお守りとして持っていてほしいですの」
紅玉を渡すとは大胆だな……
ありがとう、と笑顔で礼を言っているライトは、きっと価値をわかっていないだろう。
「ちなみに今回はしばらくバルバレに滞在する予定なので、どうぞよろしく」
滞在するのか……
「ところで今から何にいくの?」
「今日は採取ツアーに行こうと思っているんだが……」
その途端リリスは興味を失ったのか
「そうですか、じゃあ私は宿に帰ってますね」
と言って最初と同じように静かに消えていった。
撃退成功か?
「師匠は気づいていないけど宿って……」
というライトのささやきはジルの耳には全く届かない。
「そういえば採取ツアーってなんだ?」
もうこのくらいじゃ驚かない。
「採取のためのクエスト。目的は特にないから自由にフィールドを探索できる」
「だからモンスターに邪魔されることなく、上位特別の鉱石等を集めるぞ」
「はいっ!」
前と同じように元気なライトの声がバルバレに響きわたった。
次回はいよいよ上位の世界へ。
自分の小説を見ると、最初の方が戦闘シーンをしっかりと書いているような気がしました。
だから戦闘シーンにもっと力を入れたいと思います。
ありがとうございました。