では、どうぞ
「なんか騒がしくないか?」
ケチャワチャの狩猟を終え、無事に帰ってきたジル達。
狩りの成功を報告するために訪れた集会所は、いつもとは違う雰囲気で騒がしかった。
騒がしいのはいつものことなのだが……
その中心には一人のハンターがいた。
ジルの防具と同じように背中部分に、羽が生えており色は黒に近い。
その色は見るものに威圧感を与える。
ドラゴンシリーズ。黒龍ミラボレアスの素材を使った、至高の防具。
「あれはまさか……」
「ミハエルじゃないか?」
「嘘だろ、あの古龍を一人で討伐したというミハエルが?バルバレにもとうとう来たか」
周りにいるハンター達の驚きの声がたくさん聞こえてくる。
「誰なんだミハエルって?」
ライトからはまた違った疑問がくる。
「お前は知らないか……ミハエルは英雄だ」
そう語るジルの顔は固かった。
「英雄?それは師匠じゃあ?」
「10年に一人の英雄だ。そうなれば1世代前というものがいる。ミハエルが俺の1世代前だ。」
「へ~、師匠より強いのか?」
「強い。それも圧倒的に。何しろ1つの国を滅ぼした古龍を、たったひとりで討伐したのだから。歴代最強の英雄だ」
「師匠より強いのか……てか、英雄ってのは一体なんなんだ?」
「俺も詳しくは知らないか。気づいたら呼ばれていたんだ。それと、ミハエルの前は確か1世紀ほど英雄がいなかったそうだ。10年に一人とはいえ確実にそうと言うわけではないらしい」
「何歳なんだ?あいつ」
「確か……28じゃなかったっけな?」
「ふーん。他はどんな英雄がいたんだ?」
「英雄が1つの年に4人集まった時があるらしい。その4人組はどんなモンスターにも負けなかったそうだが、ひとりが病死。もうひとりは怪我。そのことが悲しくて自暴自棄になったやつがひとり。最後のひとりは安静に生涯を送ったそうだ」
ライトは黙りこんだ。そしてジル自身が気づかないほど顔がこわばっていた。
「歴史の中に弟子を殺した英雄なんていないんだよ……」
ジルについている称号は弟子殺しの英雄。それを知らないものからは英雄、英雄と崇められる。その一言一言がナイフのように刺さり、心をえぐる。
ライトはそんなことを言わずに信じてくれた。何を信じたのかは知らないがそれなら俺は答えるしかない。
「ライトこの町から出るぞ」
「えっ?」
今は、いやこれからもミハエルとは会いたくなかった。
「ナグリ村へと向かう。狩りの報告はおまえがしといてくれ。俺にはすることがある」
「わかった」
うなずき、受付の方へと向かって行ったライトの背中を眺めながら、ジルは自分の人生について考える。
今までも何度も考えたが、最終的に自分の満足する答えが出てきたことはない。
なのですぐに切り替え、リリスの居場所を考える。
あいつどこにいるんだろうか?
ちょっと用事があります、と言ってどこかへ行った。
本当に自由人って感じだな……
どうでしたかね?英雄の由来等はまたいつか紹介されます。