深海棲艦大戦、空母の母の軌跡   作:虚影

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今回も短めです。1話目からは考えられない展開かもです。
年末年始は家庭の事情で忙しいのでちょっと更新出来るかわからないです。
それでは本文どうぞ。


空母の母、抜錨(鳳翔side)

『鳳翔、緊急事態が起きた』

お昼の忙しい時間帯を乗り越え、ようやく一息ついた時、提督から通信が入りました。

その声色は硬く、このような通信を送ってきたことは今までになかったので余程の事が起きたのか。

「提督?今すぐ一度そちらに向かいます」

『ああ、頼んだ。こちらに来る時は妖精さんたちも連れてきてくれ』

妖精さんたちも、というのはもしや・・・・?

《どうされましたか、鳳翔殿》

お昼の営業を手伝ってくれ、休憩している妖精さんが私の只ならぬ雰囲気を感じたのか尋ねてきました。

「提督からの通信です。緊急事態が起きたとのことなので向かうとお伝えしたところ、貴方たちも連れてきてくれ、と」

《それは・・・、穏やかではありませんな》

私の艤装補助をしている妖精さんにも関係のあることというのは少ないでしょう。

それに加えて緊急事態という言葉と、あのような雰囲気。

「出撃・・・・でしょうか」

たとえ予備役とはいえ、未だ横須賀鎮守府に所属している身ではあります。

有事の際は出撃することもあるだろう、という覚悟は常に持っています。

しかし所詮私は軽空母、しかも旧式であり艦載機の搭載数も多くない。

そう思考しながらも執務室へ向かう準備を整える。

「そういえば今は鎮守府所属の艦娘のほとんどが出撃もしくは哨戒に出ている・・・?」

横須賀鎮守府に所属している艦娘の情報は、毎朝通信網にて知らされている。

確かそれによると赤城さんと加賀さんの出撃以外にも、今の時刻は大多数の娘が哨戒や他海域への出撃準備で横須賀鎮守府を離れている。

残っているのは海域に出るにはまだ早い演習中の方だけでしょう。

「即応出来るのが私だけなのでしょうか」

嫌な予感がどんどん強まる中、私は駆け足で執務室へ向かった。

 

 

 

「赤城さんと加賀さんが・・・・!?」

「ああ、その通信を最後にこちらからも通信が繋がらなくなった。通信妨害の範囲に入ったものだと思われる」

なんてことでしょう、彼女たちがそれほどの危機に陥るなんて・・・・。

「勿論、連合艦隊の要請は既にしている。が、問題は時間が足りないのだ。今から準備出来次第出撃したとしても到着するまでの時間を考えるとどうしても準備時間の分遅れてしまう」

確かに編成、兵装の積み替え、燃料や弾薬の積み込みの時間を考えると、どうしてもそれだけで時間をかなり消費する。

敵艦の規模を考えるとただでさえ時間に追われている現状、そのような時間をかけている余裕等ありません。

「わかりました。一度は予備役に入ったこの身ではありますが、国の、彼女たちのためなら再び戦火に身を置くことに躊躇いはありません」

「すまん・・・、あいつらを頼んだ」

「任務拝領いたしました。これより一航戦の救援に向かいます」

そう言い提督に敬礼をし、足早に退出して艤装が置いてある倉庫へ向かう。

そちらで艤装を装着してから移動装置にて最寄りの鎮守府に向かい海に出る手筈になっています。

《鳳翔殿》

倉庫に到着すると、そこには先に艤装に飛んだ妖精さんたちが整列していた。

妖精さんは持ち場からは一定の距離しか離れることが出来ない代わりに、その持ち場に一瞬で移動することが出来る。

つまり私直属の妖精さんは私の傍と補助をする私の艤装からあまり離れられない代わりに飛ぶことが出来ます。

「皆さんが聞いたとおり、今現在一航戦のお二人が窮地に陥っています」

並ぶ妖精さんたちに向かって言葉を放つ。

「私一人では戦うことは出来ません。ただ私はあなた方という何かを守る為の力を運ぶことは出来ます。あなた方を再び危険な戦いに連れていく私を許してください。ですがお願いです、私の戦友を守る力を貸してください」

そう告げて私は頭を下げた。

大戦初期ずっと共に戦地で力を振るい続けてくれました。

そうしてやっと束の間の平和を手に入れたというのに、またあの地獄に連れていくことへの罪悪感。

今度ばかりは武運拙く散るかも知れない。

《鳳翔殿》

そう考えていた時、もう一度私の名前を呼ぶ妖精さんの声が聞こえた。

顔を上げると、そこには微笑みを浮かべた皆さんがいました。

《貴方はただ我々に命令をすれば良いのです。彼女たちを支援し、助け出せと。危険な戦い?ええ、上等ですとも。空とは元来危険なものです。ただそこにあるのは透き通る青と白、そして落ちるとお陀仏な地面や海面のみ。そして我ら鳳翔直属航空隊、初めて貴方の背に乗ったその時から、一度たりとも空を忘れたことはありません》

話す妖精さんたちからは今にもジリジリと身を焦がしそうな程の熱意が発されていました。

その瞳は、表情は何処までも真剣で。

「・・・あなた方の覚悟はわかりました」

皆さんなら大丈夫だと確信出来た。

必ず彼女たちを助け出すことが出来ることを。

それならば私も覚悟を決めるのみ。

「横須賀鎮守府所属、軽空母艦娘鳳翔が発令します。総員、搭乗せよ!これより我らは戦友の救援に向かう!」

《了解!》

私の声に呼応し、妖精さんたちは一斉に敬礼しました。

その頼もしい姿につい頬が緩んでしまった。

「共に海を往きましょう、空を駆けましょう。そして共に生きましょう、この先の未来を」

応、と答える妖精さんたちの声。

そうして艤装の中に入った妖精さんにもう一つ命令を下す。

「一機たりとも落ちることは許しません!我らが逝くのは戦場に非ず、皆との未来を見届けた先のみ!総員、奮起せよ!」

 

艤装の中からも響く鬨の声を背に、横須賀鎮守府所属、現予備役艦娘であり元艦娘筆頭鳳翔、抜錨。




恋姫無想の戦前の号令とか好きです。
あれくらい熱く書けたら良いのになぁと思います。
誤字脱字等ありましたら報告していただければと。

感想や評価していただければ歓喜します。

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