太刀の立ち回りは、前世でよく知っている。
だが相手はモンスターでは無い。
人間だ。
だから、多少は動き方は違うかも知れない。
取り敢えず、頸動脈の部位破壊を狙おう。
……死んでたまるか。
ーーーー突き
ーーーー斬り上げ
ーーーー気刃斬り
ーーーー気刃斬り
ーーーー斬り上げ
ーーーー突き
奴が攻撃してくるまでこれを繰り返す。
……きた、奴が銃を打ってくる
ここだ。
特殊納刀……
っ!!!
『居合抜刀気刃斬r【僕は今、何をしている?】
……え?
え?
え?
【何をしようとしてる?】
何って……
殺そうとしてきた相手を……殺そうと……
え?
待って
待って
待って
僕……殺そうとして……
……人を?
僕と同じ、人間を?
あ……この人、血塗れで……倒れてる……
僕が、僕が殺そうとしたから……
あ……
アァ……
ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!!
イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ
ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメェ!!!
ねぇ!!僕のせいで死なないで!!!
嫌だ!!僕のせいで死なないでよぉ!!!!
僕は……僕はっ!!!
『人ゴロシ』になりたくないっ!!!
パートナーっ!!
『なんですかーん?』
ミラボ太刀じゃなくて聖風の杖になれ!!!早く!!
『結構記憶使っちゃうよ?』
うるせぇ!!人ゴロシになりたくないんだよ!!
『あいーっす』
はぁっ!!!はぁっ!!!
『
治れ!!治れ!!治れば人ゴロシにならない!!
やった!!傷が塞がっていく!!血も出なくなってる!!
逃げる!!逃げるから!!!終わったから逃げる!!
もうやだ!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……どうなってんだ」
……奴との殺し合いの途中から記憶が無い
恐らく気絶してしまったのだろう……
最後に奴に銃弾を撃ち込んだのは覚えてるのだが……
それよりおかしいのはこの状況。
まず、何故か止めを刺されずに生きており、オマケに身体中の傷が一つも無くなっている。
どう考えてもおかしい。
一つ、何故……止めを刺さなかった?俺は奴をはっきり殺そうとしたし、奴も俺を殺そうとしていた。
情か?でもアイツと俺とは何の面識もない筈……
知らない人間が襲いかかってきたら俺なら……躊躇いなく殺す。もしや……俺について他にも知ってるのか……?
それとも何かに利用されてる?
激昂中にもあれだけ冷静に頸動脈を狙えるならあり得なくもないが……もしや体に何か付けられてるのか……?でも奴に小型の盗聴器やらGPSやらを付ける金なんてあるのか?
二つ、何故俺の身体に傷一つ無くなっている?
魔法でも使ったんじゃねぇのかって位傷が完璧に塞がっている……訳わからん
明らかに致命的な傷も塞がっている……
……トウチの契約している悪魔の力……?
だったら何故俺を治した?
殺そうとしてきた
ああもう、訳が分からん
だが……一つだけ分かることがある。
アイツは……北白川トウチは
正真正銘の『怪物』だ
マキマが言ってた事は誇張じゃなかった……
っ……やべぇ、今思い出しても冷や汗が流れる……
取り敢えず報告しなければ……
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マキマはどす黒い笑みを浮かべていた。
支配の力を使ってトウチ君と岸辺の戦いを覗いて。
マキマにとって、トウチは初めて出来た愛すべき家族。
孤独な自分に愛を教えてくれた存在。
どうやら、家族と言うものは互いに愛し合い、同じ屋根の下で暮らすものらしい。
勿論マキマからはとんでもなく重い感情がトウチに向けられている。
でも、トウチからはまだそれほどの感情を向けられているとは感じていない。
彼が家族の宣言をしてくれてはいたが、やっぱりそれでは足りない。
彼が、心から自分に依存してくれるようにするには、自分以外に彼の味方を作らないようにする。これがかの『支配の悪魔』が選んだ最適解であった。
今のところ、順調に事は運んでいる。
あの忌まわしい厨二病の悪魔の契約がここにきて功を奏した。
そこだけは感謝しなければならない。
私の側だけが、トウチが心から安心できる場所になる。
そう考えると、嬉しくて嬉しくてたまらない。
さて、そろそろ彼が帰って来る頃だ。
あぁ……愛しのトウチ!!愛しの弟!!
さぁ……
『おかえり』
『ただいま』
マキマは心の中でどす黒く微笑んだ。
あと珍しく筆が乗ったので投稿しちゃった
お許しを……