ドルディアに生まれた転生者   作:キ65

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底の底と墓と血痕とベガリット大陸と知り合いと迷宮とチキンレースと再会と転移の迷宮と完璧ルーデウスとゲロ

 

 渓谷の底深く。

 

 俺は生きていた。

 

 赤竜山脈にある渓谷は全て峡谷と形容してしまっても過言はない。

 

 赤竜の下顎もその例に漏れず通れる場所が峡谷上部にあるというだけで、その谷底は複雑な様相を露わにしていた。

 

 このは谷底はかつて大量の雪解の水が、長い年月をかけて削りに削ったのだろうが、その大量の雪解け水の鱗片は壁に刻まれる曲がりくねった独特の紋様だけに刻まれていた。

 

 

 痛みを堪えて立ち上がり、上を見上げる。

 

 随分と下に落ちてしまった様だ。

 

 案外あんなことがあったのに、冷静な頭だ。他人事の様にそう思う。

 

 

 俺が気絶してから、どのくらいの時間が経ったのだろうか?

 

 妙に頭はスッキリとしていて、急ぐ気が起きない。

 

 ルーデウスは、アイツに殺されてしまったのだろうか?

 

 エリスは無事なのだろうか?

 

 ルイジェルドはあの後トドメを刺されてしまったのか?

 

 

 最悪な事態を考えるが、やる気が起きない。

 

 

 

 この体はわかってしまったのだろう。

 

 今この峡谷を駆け上がった所で、最悪の事態は既に起こり、手遅れだと。

 

 

 ノソノソと崖を、登る。

 

 

 2日後だろうか。闘気で腕を壁に刺しながらやっとのこさ上がったあの場所には、焚き火の跡と大量の血痕と魔術で作ったらしき石柱と石を積み上げた墓標の様なものがあった。

 

 全ては終わっていた。

 

 見当がついた、ルーデウスは殺されてしまったのだろう。致死量以上の血痕が石柱辺りに見つけそう思った。

 

 

 ルーデウスの遺体については大方な予想だが、起きたルイジェルドとエリスがパウロの所に持って帰ったのだろう。

 

 そして遺体を持って帰れない俺には、この積まれた石の墓標という訳だ。

 

 

 積まれた石を激情のままに蹴り飛ばす。

 

 エリスとルイジェルドが俺を悼んで積み上げてくれた石。

 

 罰当たりやエリスやルイジェルドの気持ちを踏み躙るものだと分かっていても、当たり散らす。

 

 

 落ち着いた。

 

 

 石を積み上げ直しながら考える。

 

 

 ヒトガミについて気になって来た。アイツは目付きの悪い不気味な奴だったがそのヒトガミという言葉を、ルーデウスが出すまではこちらと事を構える気はなかった様に見える。

 

 ヒトガミの使徒とはなんだ?

 

 ヒトガミ?人神ではないのか?

 

 なぜその言葉を出した瞬間、奴が怒った?

 

 

 ルーデウスはなぜ知っていた?

 

 夢に出て来るとは?

 

 

 疑問だけが浮かび上がって、なにも決まらない。

 

 

 

 しかしこんな時が何度もあった事を思い出した。

 

 ギレーヌとの再会。

 

 ルーデウスとの再会。

 

 あの時俺が問題を乗り越えたのは俺が強くて、ギレーヌとルイジェルドを倒せたから結果的に上手くいったのでは?

 

 

 今回の失敗は俺が奴より、弱かったことに起因するのでは?

 

 奴を圧倒してたら、ルーデウスが殺される事もなかったのだ。

 

 

 

 そう思った時、俺の腹の底から活力が湧いて来る。

 

 目標が出来た。

 

 

 今までの様な、最強という曖昧な目標じゃない。

 

 奴を倒せるまで強くなる。

 

 負けない男になる。

 

 守れる様になる…!

 

 

 

 ルーデウス…今は亡き、同郷の士よ…

 

 終ぞ打ち明けられなかったが、黄泉の国でまみえようならばは、日本のことを語り尽くそうぞ。

 

 

 

 赤竜の下顎を抜け、アスラ王国についた。

 

 

 街に着くなり、俺は酒を買って。ルーデウスの故郷フィットア領の方向に、酒瓶をひっくり返した。

 

 これで俺の中での弔いは済んだ。

 

 

 これから一人で、ベガリット大陸に行こうと思う。

 

 エリスやルイジェルドと会って生きていることを伝えたいが、どこにいるかも分からない状況だ。

 

 

 それに俺は奴を超えると誓ったが、エリスやルイジェルドの顔を見ると覚悟が鈍ってしまう気がしてならなかった。

 

 唯一の心残りであるギレーヌ、フィリップ、ヒルダ、サウロスは、エリスがやがて見つけてくれることだろう。

 

 ルイジェルドとエリスに悪いが、当分は俺は死んだことにしてもらおう。

 

 

 

 ベガリット大陸に向かう理由だが、奴を倒す為の修行と道具探しの迷宮だ。

 

 

 ウィシル領にある港町から、ベガリット大陸への航路を探す。

 

 案外速く見つかり早速乗り込んで、中央大陸を後にした。

 

 

 

 長い航路なので物思いに耽る時間は、大量にあった。

 

 

 アイツを倒す方法も考える。

 

 やっぱり、NOUMINNの剣を増やすなんてみみっちい技じゃなくて、顔量産型騎士王剣士の様に剣からビームを出すべきだっただろうか…

 

 

 考えてわかったことは、考えても仕方ないということだけだった。

 

 とにかくベガリット大陸に着いたら修行だ!

 

 

 

 嫌なこと困難が立ち塞がった時、俺は前世のジャンプと今世でどうすればいいのか学んだ。

 

 修行だ。

 

 

 ベガリットの砂を踏み鳴らし交易路を外れて、魔物を倒しながら奥地を旅する。

 

 たまに見つかる。村で、片言の闘神語で意思疎通をはかり休息を取る。

 

 魔物を退治し、迷宮都市ラパンへ方角だけを合わせて赴く。

 

 

 100メートルを越すようなどでかい魔物や、猫耳が生えても居ないのに誘惑を仕掛けて来る魔物のサキュバス、ケッ!猫耳生やして出直してこい!

 

 等しく膾斬りにして、殺しながら行く。

 

 

 さすがチャンスを求める冒険者と商人の大陸なだけある。天大陸以外の大陸全てに赴いただけあって俺の知り合いにもあった。

 

 そいつは魔大陸で出会った知り合いの冒険者で、どうやらラパンの迷宮で一山当てるために、ベガリット大陸に来たのだそうだ。

 

 

 ラパンに案内してくれると言うので、断る理由もないのでついて行くことにした。

 

 道中の魔物は全部俺が倒す。

 

 

 サキュバスにもあったが、そいつはなぜか平然としていた。

 

 俺と同じ猫耳の信奉者なのかな?

 

 そんなことを思いながら、久しぶりにあったにしては妙に距離の近いそいつを不思議に思いながら旅をすると、数ヶ月ほどでラパンについた。

 

 

 名残惜く感じてくれているのかパーティを組もうと誘われたが、俺は迷宮に一人で潜るつもりだったので断った。

 

 

 冒険者の羨望の目にドヤ顔で返しながら、迷宮潜りの準備にラパンを練り歩く。

 

 それもそのはず、迷宮で一攫千金を狙っている。冒険者にとって俺は、メチャクチャ有名な成功者兼大ベテラン。俺の姿が特徴的なこともあって、道を歩くと俺を弟子にして下さいと土下座する剣士の青年、パーティを組んでくださいと土下座するむさいハゲのおっさん魔術師、それらを眺めるのは優越感に浸れていい気分だった。

 

 御利益があると、体をベタベタ触って来るむさ苦しい時たま加齢臭漂う冒険者共を振り払い。

 

 迷宮へ入った。

 

 

 

 今日も剣を払うだけの仕事が始まるお。

 

 剣を振り回して、迷宮の魔物達をスプラッタ。

 

 そしてその血と肉で食事休憩してまた再会。

 

 それを1ヶ月ほど続けて、飽きたら地上に出て疲れを取る。

 

 そのサイクルを数回ほど続け、最初の頃は異名が大蛮族と迷宮狂いが混在していたが、呼び名が迷宮狂い一色になった頃だった。

 

 

 

 ある冒険者が俺に喧嘩を打って来たのだ。

 

 そいつの言うには、「俺は一年以上迷宮に潜っていられる。お前は1ヶ月ちょっとで調子に乗っている井の中の蛙だ」と、なんだコイツとは思ったが、周りの人の盛り上がりはすごく賭け事なんかも初めて、俺はあれよあれよと言ううちに、迷宮潜伏一年間潜り倒しチキンレースに参加することになり。

 

 1年間、迷宮に籠る事になった。

 

 

 1年間の迷宮生活を終え、早々にギブアップしたらしき喧嘩売って来た冒険者を煽りながら、他の冒険者の歓迎を受けながら地上を歩いていると懐かしい奴に出会った。

 

 

 

 「ギュユスナ!殺されたんじゃ?!」

 

 目の前にいるのは、ありえない物を見る様な目で俺を見るパウロ、俺こう言わなければと確信した。

 

 「残念だったなぁ、トリックだよ」

 

 

 俺の発言により一悶着あったが、パウロとパウロの第二の妻、ギースとタルハンド、ロキシー、それとビキニアーマーさんに女魔術師全員に挨拶できた。

 

 

 「でにゃ、パウロ俺が殺されかけたって事どこで知ったにゃ?ルイジェルドかにゃ?それともエリスにゃ?しかしその事を知っていらって事は、ルーデウスの事も聞いたのか…?」

 

 「どこで知ったて……ルーデウスからの手紙で、読んだんだよ。ギュユスナお前こそどうしていたんだ!赤竜山脈の渓谷から龍神に落とされたって聞いたぞ!なんでラパンにいるんだ?」

 

 

 ん?

 

 ルーデウスからの手紙?

 

 

 ルーデウス!殺されたんじゃ!?

 

 当然、返答は返って来なかった。

 

 

 

 俺の早とちりだったみたいだ。アイツこと、龍神を超える理由がなくなった。ルーデウスの敵討にと張り切って鍛えていたのに、それらの努力が泡と化したのを幻覚した。

 

 

 渓谷に落とされた当時の様に、体に力が入らない。

 

 また無気力な俺に戻ってしまった……

 

 

 もちろん、ルーデウスが生きていたことは嬉しい。大親友ロキシーと会えたのも嬉しい。ギレーヌが見つかっているって言うのも嬉しい。更に言うと案外一緒に風呂に入ったりする仲だったタルハンドに会えたのも嬉しい。

 

 けれどなんかな…

 

 

 

 無気力な気分になりながらもパウロにどうして、ラパンになんか来たのか聞く。

 

 エ。

 

 この街に、ゼニスいるの?

 

 

 長い事この街にいる俺であったが、ゼニスのゼの字も聞いたことのない俺、しかしこの街に居てとある迷宮の中に囚われていると言うのだ。

 

 これでも迷宮のプロである俺は、ゼニスの生存が絶望的なのをわかっている。

 

 

 しかしそのゼニスが潜った迷宮を攻略すると言う、パウロを手伝う事にした。

 

 パウロもわかっているはずなのに…

 

 

 

 

 ゼニスが潜ったと言う迷宮は、ラパンでは難攻不落と名の知られている。

 

 転移の迷宮だった。

 

 

 転移と聞くと俺は頭が痛くなってしまうのだが、我慢してパウロ達と潜ってみるも、俺には向いていない迷宮だった。

 

 普段迷宮を俺一人で攻略する時は、罠も魔物も障害も、この背中の魔剣で蹴散らして進むのだが、この迷宮はそれが出来ない。

 

 

 転移の迷宮はその名の通り、転移の罠が大量に仕掛けられている迷宮なのだ。

 

 今まで通り罠を蹴散らす事は愚か、踏みまくって転移しまくって一生迷宮から出れなくなるだろう。

 

 例えば壁の中に転移されても致命的だ。

 

 

 ん?

 

 壁の中?

 

 *いしのなかにいる*

 

 ささやき - いのり - えいしょう - ねんじろ

 

 ウッ頭が…!

 

 まあ、聞いた話*いしのなかにいる*と言うことはないらしいが、それでも厄介な迷宮だ。

 

 

 

 フルパーティが揃っていても、その内の何人もが迷宮のプロだとしても、探索は難航した。

 

 

 次第にパウロはかつてのウザいほどの余裕が幻だったかの様に萎れていた。

 

 俺には彼を眺めるだけで何かする事は出来なかった。

 

 

 部屋にいても居た堪れず、喧嘩友達もあんな感じに萎れていては喧嘩を売ることも出来ない。

 

 同じく溢れてしまった。

 

 大親友ロキシーとラパンを散策する事にした。

 

 来た時のごたごたや衝撃的なパウロの言によって、何年振りもの感動の再会がなあなあで流されてしまった事に、憤りを感じざるおえなかったので、いい機会だった。

 

 

 

 

 久しぶりに会うロキシーは見た目も身長も、中身もほとんど変わっていない様だったにゃ。」

 

 「身長についてはあなたに言われたくありませんよ。」

 

 「毒舌も変わりないにゃ…」

 

 他愛無い話を続けながら、旧交を温める。

 

 ロキシーも少しは変わったのか、昔はうっかり生意気ジト目美少女魔術師と言った感じだったが、うっかり少し謙虚ジト目美少女魔術師になった。

 

 

 おそらく、あの天才ルーデウスの師匠をしているうちに、自信を吸い取られたのだろう。

 

 ルーデウスよ。俺から生意気ロキシーを奪った罪は重いぞ…

 

 出会った時は覚悟するが良い。

 

 

 俺の頭の中がルーデウスの恨み辛み一色になってしまったからか、話題はルーデウスの方にシフトした。

 

 

 ロキシーが話すルーデウスは俺の知っているとおりのルーデウスだった。

 

 スケベで出歯亀でスケコマシのルーデウスだ。

 

 話す話はルーデウスの助平エピソードに自然となった。

 

 その日は久しぶりに楽しく過ごせた。

 

 

 

 

 そして次の日、ロキシーが迷宮に取り残された。

 

 

 一瞬のことだった。ロキシーが足を踏み外した先に、罠があったのだ。

 

 俺は失意に沈む。その時ロキシーは、俺の目の前に居たのだ…

 

 

 ミイラ取りがミイラになる、次は自分の番かもしれない。

 

 そんな事を言う奴はこのパーティにいないが、士気は大幅に下がった。

 

 

 迷宮に救助に何度も赴く。

 

 しかし、ロキシーは見つからない。

 

 あれが今生の別れだったのだろうか…

 

 力があっても目の前に居てもロキシーを救えなかった。

 

 

 

 

 宿屋の食堂でテーブルに突っ伏す。

 

 普段は何がついているか定かではない、所に顔をくっつけるなどしないのだが、それが気にならない程俺は疲弊してた。

 

 揃ってパウロもテーブルに突っ伏している。

 

 

 初めてアイツに共感出来た気がする…

 

 

 

 宿屋に誰か入って来た。

 

 テーブルに伏せたまま匂いを嗅ぐ、どこか懐かしい匂いとギースの匂いだ。

 

 

 懐かしい匂いのする方を向く。

 

 そこにはパウロ似たパウロ並みの身長をした男と、エリナリーゼが居た。

 

 

 ん?

 

 アイツ、ルーデウスじゃね?

 

 

 パウロが唐突に色めく。

 

 何やらルーデウスに子供が生まれるとか…

 

 

 ……子供?

 

 

 え?

 

 

 「エリスともう結婚したのかにゃ?!」

 

 「いえ…シルフィエットと言う俺の幼馴染とです。ギュユスナ。」

 

 ジトっとした目で俺をみるルーデウス。

 

 「なんであの後、フィットア領に来ないでベガリット大陸に行ったんですか…?フィットア領に墓まで立てたんですよ…」

 

 冷や汗が出る。

 

 「え、えと、にゃね…… る、ルーデウスが死んでしまったと思って、その仇の龍神を倒すためにベガリットに修行に来たんにゃ。フィットア領に行かなかったのはルイジェルドやエリスにその事を言うとついて来そうと思ったからであってだにゃ…」

 

 自分の早とちりでの失敗を話すのは結構辛くて、しどろもどろと喋ってしまったがルーデウスは納得してくれた。

 

 

 「まあ、無事だったらよかったです。ただし、ギレーヌには必ずあって無事だと伝えてくださいね!ギレーヌが泣いているところを俺は初めて見ましたよ!」

 

 「ギレーヌが…肝に命じるにゃ。」

 

 ギレーヌ見つかっていたのか…

 

 会いたい。

 

 

 

 その後遮ってしまったルーデウスとパウロの話が再開した。

 

 俺はその話を聞かずに、考え耽っていた。

 

 

 ロキシーのこと、どう説明しよう…

 

 

 

 その後、宿屋にパーティ全員とルーデウスとエリナリーゼが、集まった事によってパウロの音頭により話し合いが始まった。

 

 その過程でルーデウスはロキシーが迷宮に取り残された事を知って、平静を崩していた。

 

 

 しかしそれも束の間、ルーデウスが持って来た。転移の迷宮探索記と言う本によって今までのそれらは覆された。

 

 

 その本は、転移の迷宮の深部まで事細かに書かれており、転移の迷宮を攻略したも同然になる。知識の塊だった。

 

 

 俺はショックを受けた。

 

 ロキシーを力で助けれなかった俺と、悠々と越えその知識を持ってロキシーを助ける道を示すルーデウス。

 

 なんとこの世界の大学にも通っているのだとか。

 

 

 俺が磨くべき力でなく知性だった。

 

 身長も相まって俺はルーデウスに勝てる所が、力だけになった様に思えた。

 

 

 タルハンドやエリナリーゼに慰めてもらいながら、寝床にいき再会の日は終わった。

 

 

 次の日メガネをつけて迷宮に行く。

 

 パウロがルーデウスが来た事に余裕を取り戻し、かつての様にうざったくなっていた。

 

 それは俺にとって嬉しく、喧嘩友達が復活した事によって俺のメンタルはあっという間に回復していった。

 

 

 久しぶりに士気の高い迷宮探索。エリナリーゼとルーデウスが入った事によって、ビキニアーマーさんと女魔術師さんが交代で抜けた。

 

 斥候、ギース。前衛、俺、パウロ。中衛、タルハンド、エリナリーゼ。後衛、ルーデウス。

 

 そんな組み合わせで、迷宮に潜る事になった。

 

 諸事情によって前後したりするが俺は常に前衛だ。

 

 初めて迷宮に潜るルーデウスもいるので、今回は慣らし的な意味を持つ。

 

 

 しかし、あのルーデウスが持って来た本によって、攻略がかなり進んだのでロキシーが見つかるかも知れなかった。

 

 

 転移の迷宮での俺の役割は、用心棒に近かった。

 

 俺の得意分野は、突出して相手を蹴散らし錯乱、そしてその後に黒狼の牙の完璧な連携で切り崩しにかかる。それが基本戦術だったのだが、転移の迷宮ではそれが通用しなかった。

 

 突出したら転移してしまい、仕方なく俺をパーティに組み込んでもタイミングが合わずアタッカーになれず、そしたら出来る仕事がいざという時の切り札兼防衛だけになったのである。

 

 しかし、そのようやく見つけた防御役割も、身長が低い事によって満足にこなせず、けれど迷宮には慣れているので邪魔にはならない。いないよりマシだと言ってただ連れて行かれている状態なのだ。

 

 ここが転移の迷宮でさえ無かったら、すごかったんだ!

 

 

 そんな事を思いながら鼻歌混じりで迷宮を進む。

 

 こんなに緊張感がないのは、ここが地図をすでに書いている場所だからだ。

 

 

 迅速に進んでいくと、ロキシーと逸れてしまった場所についた。

 

 

 するとその瞬間、ルーデウスが叫んだ。

 

 「神の気配がします!」

 

 神?

 

 龍神の言っていたヒトガミとか言う奴か?!

 

 すっかり忘れてしまっていたヒトガミの事を思い出すと共に、魔術を駆使して壁をぶち壊しながら一直線に進むルーデウス。

 

 その姿は何かに取り憑かれた様だった。

 

 

 これが龍神の言っていた、ヒトガミの使徒になったルーデウスだと言うのか…!?

 

 

 突然だったのと転移の迷宮である事とルーデウスがかなりの勢いで進んでいくので、追いつけないでいると突然ルーデウスが止まり、何かを抱き締めた。

 

 

 止まってくれたので、とりあえず周りを警戒してルーデウスが襲われない様にする。

 

 しかしその周りには、魔物の大群がいた。

 

 

 瞬時に剣から闘気ビームを発射して、殲滅する。

 

 改めてルーデウスを見ると、ルーデウスが抱きしめていたのは、ロキシーだった。

 

 なんで?

 

 呆然としていると、ロキシーとルーデウスが何か言葉を交わして、いきなりルーデウスが吐いた。

 

 なんで???

 

 




メモ帳に落書きした。ギュユスナです。
イメージと違う可能性もあるので見るのは慎重にして下さいまし。


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