ドルディアに生まれた転生者   作:キ65

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ロキシーとビームと二択と守護者と瞬殺と不穏と帰投とシャーリアと剣の聖地

 ギースの迅速な号令により、すぐに帰還する事になった。

 

 役割があんまり無く、体力が有り余っている俺がロキシーを運ぶ事になった。

 

 1ヶ月間体を洗えない状況にいた為か、少し据えた臭いがするが黙っておく。

 

 ルーデウスの嫉妬の目線に何やら居心地の悪さを感じながら、迷宮から帰還した。

 

 

 地上組にとってロキシーの帰還は、士気の向上につながったもちろん俺たちの士気もだ。

 

 ほとんど目に見える形で成果の出ない仕事を、永遠と続けていた俺たちにとってその、目に見える形の成功は例えば自らの失敗を補っただけであっても、すごく嬉しい事だった。

 

 ロキシーは瞬く間に体を洗われ、宿で休息を取る事になった。

 

 

 

 ロキシーはその後一日ほど宿で休息を取ったのち、俺たちの前に姿を現した。

 

 迷宮に潜る者達は潜らない内は、休む事が仕事なので宿で屯っていた時だったので、ちょうどよかった。

 

 なぜかロキシーが緊張した面持ちと動きで、カクカクと俺たちが囲っていたテーブルの一席に着く。

 

 そしてロキシーが喋る。

 

 

 ロキシー復活の知らせだ。

 

 皆が思い思いの、祝福の言葉を投げかける。

 

 俺も、もちろんそうした。

 

 

 お酒をちびちび飲んで考え事をしていると、当然時間は体感で倍早く進んでいき、ロキシー復活の宴会の様でダラダラと駄弁って酒を飲む会は終わった。

 

 

 三日後、今度はロキシーを連れて迷宮に入った。

 

 何故か誰も話題に上げてくれないメガネをクイッと上げて、装備の最終チェックをした。

 

 

 「あの……ずっと思っていたんですが、そのメガネはなんですか?」

 

 

 ルーデウスが来てからかけ始めたメガネであったために、ロキシーからすると迷宮から帰還したら何故か、いきなりメガネをつけていたチビの猫耳が気になったのだろう。

 

 知性に憧れてかけたと正直に言っても、なんかカッコ悪いし理由を考えて来ていた。

 

 「にゃ。これはマジックアイテムで特殊な機能がついているにゃ。」

 

 「へぇーどんな機能なんだ?」

 

 パウロがすかさず聞いて来た。

 

 「秘密にゃ。」

 

 ワザとニヤけながら言うと、嘘だとバレずに済むだろう。

 

 

 そんな計算のもと喋ると、息子の前で最近遠慮していたパウロ、キレた。

 

 怪我しない程度で取っ組み合いをする。

 

 

 しかし、今こう言う時率先して止めてくれた奴がいないのだ。

 

 そうゼニスだ。

 

 

 ゼニスの仲裁によって仕方ねーな、なんて言いながら喧嘩を止めるそれが天丼だったのだが、いないのでずっと続いてしまう。

 

 

 ゼニス……

 

 

 助ける筈のやつに助けを心の中で、求めながら引っ込みがつかないので、手加減しながら殴り合う俺たち。

 

 流石に手加減するのも疲れて来た。パウロも体力がなくなって来る。

 

 このままだとパウロを殺してしまう!

 

 

 けど、仲裁が無いとうまく辞めれない…!

 

 なんで呆れた目で見るだけで、誰も止めてくれないんだ!

 

 

 仕方なくパウロに寝技をかけて動きを封じる。

 

 そしたら俺の勝ち、なんで負けたか明日までに考えといて下さい。

 

 

 流石に身動きが一切取れない状況になって観念したのか、パウロもギブアップを俺に告げて茶番はお終いになった。

 

 

 「余興も終わった事ですし、早速行きましょう。」

 

 そうルーデウスが言いながらパウロに治癒魔術をかける。

 

 余興て…

 

 

 息子に無様な姿を晒したせいか、たまに振り返って俺を睨んでくるパウロ。

 

 そのマヌケな姿に失笑を漏らしてしまいながら、安全な地帯を進む。

 

 危険な地帯に差し掛かると、ジョジョに真剣さが帯びて来た。

 

 そう言う君はジョナサン・ジョースター。

 

 

 

 俺だけ自然体の迷宮探索。

 

 俺以外は適度な緊張を保って慎重に物事を進めていた。

 

 

 俺は襲って来る魔物を一歩も動かずに殲滅するだけの簡単なお仕事だけを、こなしていればいいのだ。

 

 

 無心でパウロ達が俺に誘導した。微妙に硬い魔物をスプラッタするだけのマスィーンに徹していると、あっという間に未知の領域についた。

 

 

 その後、ルーデウスのあの時のビーム飛ばす技を使えば、ギュユスナも後衛ができるのではと言う声に、俺は目から鱗が落ちた。

 

 ついでにメガネも落ちた。

 

 

 メガネを掛け直し、俺も剣からビームで敵を倒す。

 

 みんなからのそれ、最初からやれよと言う。無言の威圧で得たストレスを敵にぶつける。

 

 

 ファンタジー世界なのに、一人だけSF兵になった気分だ…

 

 まあゼニスを助ける為だ我慢するか。

 

 

 ルーデウスがパウロを無駄に煽てたせいか、パウロが浮き足立ち始めた。

 

 エリナリーゼと一緒にパウロを諫める。

 

 

 俺は物理的にエリナリーゼは精神的にだ。

 

 体育会系と文化系の暴力とネチネチの、波状攻撃、浸透攻撃によってパウロのメンタルはズタズタ、適度な緊張を取り戻した。

 

 

 たまにジェダイの様に、ビームを撃ち返してくる鎧の魔物も現れたが、ヤムチャのあの微妙な技の様に、ビームを操って事なきを得た。

 

 そして今日の探索は終わった。

 

 

 ラパンに戻り英気を養う。

 

 酒場で慕ってくれている獣族の元に行き武勇伝を語り合ったり、獲物と得物を見せびらかして自慢しあったりした。

 

 

 何故パーティのみんなと呑まないのかは、剣ビームのせいだ。

 

 俺が、最初っから使わなかったから、みんな機嫌が悪いのだ。

 

 

 俺の被害妄想かも知れないが、とてもじゃ無いが耐えられない。

 

 

 

 次の日の攻略では、今まで行ったことのない階層へ行けた。

 

 ロキシーの復活か、ルーデウスの転移の迷宮探索記か、俺の剣ビームか、それら全部か、スムーズな踏破を行えた。

 

 

 目標はあくまでゼニス救出。

 

 

 新たな階層を隅々まで探してさらに下にいく。

 

 さらに新たな階層へ赴いた。

 

 一日で二層は久しぶりだ。

 

 この階層は、ジェダイな魔物は居なくてビーム攻撃が楽だった。

 

 

 そして、ここが転移の迷宮、最下層の様だ。

 

 目の前の、異様な雰囲気の部屋を見て思う。幾度となく経験した迷宮の最下層にある魔物、守護者の前だと。

 

 

 守護者は迷宮の最奥にいる、檄強で人間のクズならぬ、魔物の屑と言うべき、卑劣な初見殺しや範囲攻撃を繰り返す、人間のクズだ。

 

 

 その部屋には、二つの魔法陣があった。

 

 それを認識した瞬間、元黒狼の牙の面々が俺を組み伏せる。

 

 「なんですかいきなり!?」

 

 ルーデウスが驚く声だ。もちろんロキシーも驚いているだろう。

 

 「ふう…危なかったぜ…危うく全滅するところだったぜ。」

 

 「危ないところでしたね…」

 

 「死ぬところだったワイ。」

 

 「勘弁してくれ!」

 

 上から、パウロ、エリナリーゼ、タルハンド、ギースだ。

 

 俺は大人しく目隠しをかけられ、猿轡を噛まされる。

 

 「いいかよく聞けルーデウス…ギュユスナに二択を選ばせるな、必ず失敗もしくは辛い方に当たる。」

 

 「……必ず失敗するなら、一度選んでその反対を試せばいいのでは?」

 

 当然の疑問だな、ルーデウス。

 

 「うむ…それも試したのじゃがな…」

 

 「このヤロウッ!反対に選んだ時だけ、正解を的中させるんだ!」

 

 「「えぇ……」」

 

 

 くそう…

 

 好き勝手言い寄ってからに…!

 

 

 「ギレーヌだったら、こう言った二択は必ず的中させるんだけどなぁ……」

 

 パウロの呟きは露と消えた。

 

 

 俺は物理的に無理矢理大人しくさせられて、じっと待っていた。

 

 しばらくすると破裂音が数度響き、目隠しと猿轡が取られた。

 

 

 ふう…

 

 スゲーッ 爽やかな気分だぜ 新しいパンツをはいたばかりの、正月元旦の朝のよーによォ~~~ッ

 

 

 と、言う事で、ルーデウスがどうにか二つの魔法陣問題を攻略してくれました。

 

 

 二つの魔法陣どっちを選ぶ、正解、奥の壁を打ち抜く。

 

 

 わかるか?

 

 

 けれどルーデウスはわかった。知性万歳。

 

 知性が全てを解決する。メガネくい。

 

 

 その壁をぶち抜いた先には、威圧感を放つ赤い魔法陣があった。

 

 「この先、いるな」

 

 そう言ったのは、パウロだった。

 

 俺も同じ意見だ。

 

 

 引き返さずに装備の点検をし、守護者に挑むことになった。

 

 いつも以上に念入りに点検する。ついでにメガネも拭く。

 

 

 魔法陣に入る。

 

 その魔法陣の先は宮殿だった。

 

 柱が何本も連なるギリシャっぽい、荘厳?な場所だ。

 

 

 その奥に鎮座するのは、九つの頭を持つ首長で銅金ずんぐりした蛇だった。

 

 誰かが呟く。

 

 「ヒュドラだ…」

 

 

 俺はその奧に注目した。

 

 「ゼニスだにゃ……」

 

 何故か魔石の中にいる、ゼニス。

 

 

 あれは生きているのだろうか…?

 

 

 そう思っていると、パウロがヒュドラに向かって走り出した。

 

 「ゼニス!」

 

 パウロの叫び声が小玉すると同時に、ヒュドラはその九対の双眸をパウロに向け、鎌首をもたげた。

 

 

 突然のことだったが、パウロに合わせる様に走る。

 

 瞬時にパウロに追いつき併走する。

 

 

 ロキシーとルーデウスが、魔術をヒュドラに放つも弾かれる。

 

 

 パウロが気合いを上げて、切り掛かり2本の首を落とす。

 

 

 そして俺はその後、ヒュドラの他全ての首を切り落とした。

 

 

 

 パウロの首根っこを掴み、バックステップでエリナリーゼの元まで下がる。

 

 その間も、油断なく。

 

 のたうち回る。九つの頭と、体に注意を向け。

 

 

 ヒュドラはピクリとも動かなくなった。

 

 

 とりあえずパウロ達に近づくなと告げ、ヒュドラに近づく。

 

 

 そうしたら最後の抵抗か、尻尾を俺に払って来た。

 

 はっきり言って、死に体の悪足掻きに手間取られる俺ではない。

 

 ミンチにしてやった。

 

 

 勝ったッ!

 

 第3部 完!

 

 

 ……よし死亡フラグを建てても、問題ないな…!

 

 

 

 「勝ったにゃ!!」

 

 

 「……お父さん言い忘れてましたけど、ギュユスナは赤竜の下顎で龍神オルステッドの腕を切り飛ばしたんですよ。」

 

 「な、なるほど……」

 

 

 

 

 その後は、ゼニスと戦利品を連れて街に帰還することになった。

 

 メチャクチャ敬語で感謝を告げるパウロにサブイボを立てながら、帰るまでが迷宮探索ということで、久しぶりに皆に自分のカッコイイ所を見せれたんじゃないかと、ニヤニヤしながら時折振り返る。

 

 愛想笑いしかしてくれねェ……

 

 それどういう笑いなの?

 

 

 ロキシーにだる絡みしてみても、真顔かつ無言でこちらをみて来るだけの、ロボットになってしまった。

 

 何か悪い事をしてしまったのだろうか?

 

 

 ゼニスが助かったというのに、薄情な奴らだ。

 

 

 

 宿屋に凱旋をする。

 

 パウロに抱えられた。ゼニスを見た瞬間、パウロの第二婦人のリーリャの感情が決壊、涙を流して喜ぶ。それに釣られて、パウロ、ルーデウスが泣き始め、何故か他の皆んなも嬉し泣き。

 

 釣られて涙ぐんでいると、自然な形で解散になった。

 

 

 

 しかしその祝賀ムードも数日を過ぎると、不穏な空気を纏い始めた。

 

 ゼニスが目を覚さないのである。

 

 

 パウロは日に日に衰弱していった。

 

 目の前にいるのに、目を覚さない。

 

 手が届くのに、後一歩何かが届かない。

 

 その辛さは俺もよく知っている。

 

 ましてはどこか繊細なところのある、パウロだ。

 

 

 みた事ないほど衰弱し、周りに当たり散らすことも無かった。

 

 それを一番気にしたのは息子である、ルーデウスだ。

 

 常にパウロの近くに居続け、不安そうな顔をするのだ。見ているコッチも辛くなった。

 

 

 

 最悪な事態だ。

 

 ゼニスが起きたのだが…

 

 痴呆になってしまっていた。

 

 

 パウロも、リーリャも、ルーデウスだって、覚えていない初対面な反応を示すのだ。

 

 もちろん、俺たちの事もだ。

 

 

 ゼニスの為に集まった救助隊。

 

 ゼニスの事を嫌いな奴などいるはずも無く、誰もが嘆き悲しんだ。

 

 

 しかし、こうしてもいられない。ルーデウスの新たな拠点である。ラノア王国にとりあえずはいくことになった。

 

 

 なんとも後味の悪い結果だろうか。

 

 

 とりあえずは、パウロとルーデウスの指揮の元、ラノア王国のルーデウスの拠点に行く事が決まった。

 

 

 粛々と旅の準備を進めて、ルーデウスの特殊な方法とやらで、ベガリット大陸から、中央大陸に一っ飛びするらしい。誰も言わないが多分転移魔術だろう。

 

 

 この旅は、慣れた者が揃い踏みしているからか、楽ではあった。

 

 甲斐甲斐しくゼニスの世話するパウロに、言っちゃアレなんだがクズな事を言うのだが、気持ち悪さを感じつつ。

 

 旅をしているとある事に気づいた。

 

 

 ロキシーとルーデウスの様子がおかしいのだ。

 

 ある時期からルーデウスは少しだけ元気になった。

 

 そしてその時期は、ルーデウスとロキシーが嫌に親密な空気を醸し出す様になったからだ。

 

 

 パウロは精神的にかなり来ているのか、その様子には全く気づいた様子は無かった。

 

 けれど、エリナリーゼが何か知っている様だった。

 

 しかし君主危に近寄らず、藪蛇を起こすつもりはない。

 

 勤めて見て見ぬ振りをした。

 

 

 多数の不穏な空気を感じながらも旅はルーデウスの目的地につき、いつの間にか中央大陸北部に居た。

 

 

 やがて、ラノア王国につき、ラノア魔法大学のある、魔法都市シャリーアについた。

 

 

 ゾロゾロとルーデウスの家に押しかけるのもアレなので、宿屋を取って。

 

 グレイラット一家だけが、ルーデウス宅に泊まる事になった。

 

 

 久しぶりに会う、ノルンとアイシャは元気にしていたし、ルーデウスの奥さんである身重の方は元気だったのだが、ゼニスの容体を聞くとショックを受けている様子だった。

 

 パウロがノルンとアイシャを抱きしめる姿に、俺はなんとも言えない泣きそうな感情になった。

 

 

 

 俺はその姿を見て、ギレーヌに会いたいと思った。

 

 ゼニスの様にギレーヌがなってしまったらそんな想像をしてしまったのだ。

 

 これはいけない事なのだろうか…

 

 

 

 パウロは、ルーデウスの家に押しかけるものと思っていたが、迷宮探索で得た資金を使って、ここシャリーアに家を買い。リーリャとゼニスの世話をしながら、仕事をして暮らす事にしたらしい。

 

 

 俺含め、他の元黒狼の牙の面々は途方に暮れた。

 

 ゼニスを助けたら、ギレーヌにでも会いに行き、再結成しようかななんて今思えば呑気な事を考えていただけあってか、今後の展望を決めていなかったのである。

 

 一応、エリナリーゼは夫がこの街にいるそうなのでそちらにいくとして、他はまだ決めていないみたいだ。

 

 

 今回も俺の力では解決できなかった。

 

 ゼニスの人格を戻すなんて、力ではどうしようもないのだ。

 

 

 ヒュドラを倒してイキっていたが、結局役に立たなかった。

 

 

 

 そんな失意のまま、ギレーヌを探す事にした。

 

 メガネをノルンになんとなくわたし、みんなに別れを告げて惜しまれつつも足早にシャーリアを出た。

 

 

 

 久しぶりの、ギレーヌを探す旅だ。

 

 ギレーヌには俺が生きていた事を伝えなければいけないのだ。

 

 

 その後はどうしようかな…

 

 

 

 とりあえず、一番近いギレーヌがいそうなところ、剣の聖地に行く方にした。

 

 あそこには、ギレーヌの居場所を教えてくれた。ケンシン?シンケン?さんがいるのだ。迷宮で見つけた良さげな魔剣をお土産に、剣の聖地に向かった。

 

 

 道中、剣の聖地に行くと言うばあさんとお嬢さんに出会った。女二人で、老人と子供の組み合わせの旅は珍しく気になっていたところ、話をして仲良くなったのである。そして目的も一緒という事でついていく事にした。

 

 老婆に考え無しに着いて行くと、その婆さんはお偉いさんらしくて、前来た俺の時とは違い道場破りを繰り返さずに、剣神に会えるというのだ。

 

 

 婆さんに着いて行くとすぐに剣神に会えたので、お土産の魔剣を渡すと歓迎してくれた。

 

 前の事は水に流すとは一体なんのことだろう。俺前何かしたかな?昔の事であまり覚えてないや。

 

 話を遮ってしまったので婆さんと剣神に謝り、ぼーっとする。

 

 

シャリーアを出てから、頭が全く回らないのだ。

 

 

 

 ぼーっとしていると、目の前にエリスがいた。

 

 アレ?

 

 

 「ギュユスナ…?」

 

 訝しむ様なエリスの目、とりあえず返事をする。

 

 「そうだにゃ、ギュユスナにゃ。」

 

 エリスが大きく息を吸う。俺は咄嗟に耳を閉じる。

 

 「ギィレェェェェヌゥッ!!!来てッ!!」

 

 

 ギレーヌが来た。

 

 

 フィットア領でのあの時以来だ。

 

 えっと、ギレーヌは俺を死んでいると思っていたんだよな…

 

 「ぎ、ギュユスナ、生きているのか…?」

 

 何故か距離をとってそう言う、ギレーヌ。

 

 「応とも、にゃ。」

 

 幽霊だとでも思っているのだろうか?

 

 「崖から落ちたくらいじゃ死なないにゃ!」

 

 安心させる様にそう言うと、ギレーヌは涙を流した。

 

 安心しているのだろうか。

 

 

 最近嫌な事があったからか、イマイチテンションが上がらない。

 

 剣神と婆さんとの話の邪魔になるので、ギレーヌを外に連れ出して。

 

 

 場所を変えて、外で話をする事にした。

 

 

 フィットア領を転移してからの話をする。

 

 ギレーヌも、どうしていたのかを俺に言う。

 

 

 あれ…

 

 おかしいなぁ

 

 涙が止まらなくなって来た。

 

 

 あの事件からどうしていたのか語り合う内に、目の前にギレーヌがいるそう強く思う様になる。

 

 それを意識すると涙が止まらないのだ。

 

 

 ギレーヌも一緒に泣く嬉しい泣きって感じの大人っぽい泣き方だ。

 

 俺は子供っぽくポロポロと大粒の涙をこぼしてしまう。

 

 

 

 色んな事があったんだよな。

 

 ゼニスが、あんな風になったし、せっかくギレーヌ以外パウロを中心に集まった黒狼の牙もゼニスのアレのせいで集まりも無くなって。

 

 龍神には殺されかけるし、努力して強く、強くなっても全然上手くいかなくて。

 

 ビームなんか本当に役に立つのかって感じて…

 

 ゼニスを治すことなんて、俺には全く出来ないし。

 

 今更急に、ルーデウスみたいに頭がよくなるわけもない。

 

 案外俺も疲れていたのかもしれないな……

 

 

 多分ギレーヌと話す事で、やっと一息つけたんだ。

 

 

 

 

 

 落ち着いたので今のエリスの状況を話し合う。

 

 ギレーヌに聞いた話ではエリスはあの龍神を倒す為に、剣の聖地で修行をしているのだとか。

 

 

 ギレーヌによると剣神さんが、エリスの修行の手伝いをしていて、俺たちが出る幕はないとの事。

 

 

 さらに聞いたのだが、サウロスもフィリップもヒルダも死んだそうだ…… 悲しいけれど、エリスは生きている。

 

 そこで、ギレーヌはフィリップ達から受け取った恩をエリスに返すのだとか。

 

 それには俺も賛成だ。

 

 

 エリスの龍神退治を手伝おう。

 

 ギレーヌと改めて意気投合をした。けれどエリスの修行には頭を突っ込めないので、ギレーヌと剣の稽古をする時間だけが過ぎていった。

 

 

 夢の様な生活が送れた、ギレーヌと同じ事をして、同じ話題で盛り上がって、同じ建物で生活して、同じ食べ物を食べて、同じ部屋で寝る。とてもすごく楽しい。

 

 そしてたまにエリスの修行を見学する。

 

 剣神さんの教育方針で、アドバイスを送る事が出来ないが、見守る。

 

 

 そんな事をしていると時間はすぐに経って行く。

 

 ずっとこの生活を送っていきたいけど、何か違う感じがする。

 

 そんなモヤモヤを感じていると、とある訪問者によっていい意味で崩されようとしていた。

 

 

 猿顔の魔族で元黒狼の牙のシーフ。

 

 ギースによって。

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