ドルディアに生まれた転生者   作:キ65

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旅、助け、遭難、戦い、魔大陸、魔王、有名、強い魔王、転進、出会い

 

 

 

 旅立ちを急いだ俺には計画性と言うものが欠落していた。

 

村に入ってくる旅人の存在が感じさせた、

「この世界は強ければどこへでもいける」

という考えからもきているだろう。

 

 引き返す事は出来ない。

 

俺はギレーヌに報いるのだ。

 

幸いな事に地理は母に叩き込まれている。

 

言葉の覚えれなかった時の反動だろう。

 

地獄のスパルタ教育を思い出し悪寒がした。

 

これから地理の事を思い出すごとに母の猫耳も一緒に思い出すとしよう。

 

心が安らぐ。

 

 まあとりあえずは

この大陸を抜けたいし、

どちらへ行くかだ。

 

今俺のいる大陸はミリス大陸だ。

 

リングス海を取り囲む四つの大陸の一つであり、

隣に位置する大陸は魔大陸と中央大陸がある。

 

 中央大陸へ行くには小人族の縄張りを抜けて、

ミリス神聖国を抜けウェストポートからイーストポートへ渡し賃を払い船で送ってもらうか、

 

海の魔物を蹴散らしながら、

群島を縄張りにしているらしい海族もついでに蹴散らしながら、

はるかに霞見えるだけの群島遠泳ツアーへとおもむくかだ。

 

 魔大陸へ向かうには、

ザントポートへ行きウェンポートへと向かう船に渡し賃を払い乗せてもらうか、

 

魔大陸の周りに住むと言うさらに強力な魔物を退治しながら、

海族達の襲撃をも切り抜け、

今度は霞も見えない群島遠泳ツアーを繰り広げる事になる。

 

 旅の目的を忘れてはいけない。

 

俺は最強を目指すのだ。

何者にも縛られない最強をだ。

 

チートで下駄を履いている俺でも生半可な道では無い。

 

この中で最も最強へと近づく道を選ばねばならない。

 

ならば、

魔大陸ルートであろう。

 

 そうと決まれば急がなくては。

 

急ぐ訳でも無い旅であったが、

今の俺には些細な事であった。

 

 海岸線を沿う様に走る。

 

漁村を数回、

小さな港を一度通り過ぎた頃、

砂浜を走っていると不思議な船が水平線から浮き上がってきた。

 

一眼見て分かった。

 

あれは

海族の船だ。

 

魔物に引かせる船なんて物は海族の船しか知らない。

 

一応手を振ってみる。

 

反応なし、

しかしこちらに気づいてもいない様子だ。

 

何かがおかしい。

 

水平線からもう一つの船が浮かび上がるのが見えた。

 

これまた海族の船だ。

 

二つの船は両方とも武装していた。

 

話が読めてきた。

 

 彼ら海族は二つに分かれていると言う。

 

海人族と海魚族だ、

やつらは内海であるリングス海と外海とで縄張りが分かれており、

群島近くで年がら年中戦争をしているらしい。

その一環だろうと辺りをつけた俺は

喜び勇んだ。

 

やつらは群島近くで戦争をしているのだ。

 

ともなればここは群島近く、

魔大陸に近い海岸。

このまま北へ真っ直ぐ泳いで行けばもうそこは魔大陸。

 

前世日本から一度も出た事がない俺は、

どうしようもなく興奮してきた。

 

だからだろうか、

助けてやろうと思い始めたのは。

適当にどちらの船の味方をするか決めた。

 

追い詰められている方を助ける事にした。

 

最初に見えた方だ。

 

 脚に力を入れてジャンプ。

 

遊ぶ間を惜しんで鍛えた体は期待通りの動きをした。

 

空高く打ち上げられた俺は、

その慣性のまま着弾。

 

名乗りを上げる事なく、

 

その素首を剣のぬきざまに跳ね飛ばす。

 

三十人ほど討上げた後敵は見えなくなった。

 

 剣をしまうと、

その頃にはもう一隻の船は見えなくなっていた。

 

 「えぇ…」

困惑しかない。

 

 切り替えて、

少しくらいはお礼とか欲しかったなと思いながら

死体を検分する。

 

上半身が魚だ。

 

海の男は大体こんな感じなのかと思いながら

他の死体も漁るが、

どうも違うらしい。

 

おそらく上半身が魚なのが海魚族で、

下半身が魚なのが海人族なのだろう。

 

そしてこの船は海魚族のものらしい。

 

死体の割合的に、

海人族が海魚族に乗船攻撃を仕掛けて返り討ちにあった様な感じだ。

 

下半身が魚なのに船で戦うのはちょっとどうなのだろうか。

 

そんな事を思いつつも

死体の検分と金目の物は粗方集めた為

もうこの船には用が無いのだが、

陸地が見えなくなっていた。

 

「マジかよ」

 

 落ち着いて、

この船にあった干し魚の様な何かを齧る。

 

……尻尾が毛羽立つほど不味いが毒はない。

 

よし落ち着いた。

 

どうやら船に繋がれていた

 

魔獣が勝手に泳ぎだしていたらしい。

うん、

遭難だね。

 

そうなんだよ。

 

 ジョースター卿幻聴が聞こえた為、

逆に考えてみる。

 

遭難ではなく近道だと。

 

むしろ都合が良さそうに感じてきた。

 

太陽の位置的には、

この船は北へと向かっている。

 

つまり陸地とは離れていると言う事、

そしてさらに魔大陸へと向かうルートでもある。

 

 あれほんとに

良さそうだ。

 

海族が許していない航路を通る以上

苦難は待ち受けているが、

それは最初から織り込み済みの旅だ。

 

何も遮る物は無い。

 

そうと決まれば船引く魔獣に鞭を打ち加速。

 

「大海原が俺を待っている!」

そう叫んだのも束の間、

魔獣は船をのがれ大海原へと旅立った。

 

そう、

まるで

『大海原が俺を待っている!』

と叫んでいるかの様だった。

 

 

 

 遭難4日目

 

かゆうま

 

 ほんとに痒くて美味い。

 

船にあった釣り道具で、

釣り上げた魔物を食べる生活が続いていた。

 

ちなみに餌は海族。

 

とてもじゃないが食べれそうに無い物は、

塩漬けしたり干したりして先送りにしている。

 

断面が緑色のタコは最後の最後まで取って置くだろう。

 

今食べている物は一言で言い表すなら牙の生えたサバだ。

 

美味いが身体中が痒くなる。

 

危なそうだが美味しいので食べる。

 

 時たまくる魔物は

絶好の暇つぶしだ。

 

しかし殺したら自重で沈んでいくし、

船には乗せたら沈みそうな感じのやつしかいないし、

少ししか肉が手に入らないので本当に暇つぶしだけが取り柄の連中だ。

 

泳ぐのは自慢の尻尾と耳がカピカピになるのでやめた。

 

群島遠泳ツアーなんてやらなくてよかった。

 

やっていたら

海水でカピカピになって戻らない尻尾と耳に絶望して、

速攻で実家に帰って自宅警備員兼ドルディアの戦士に逆戻りしていただろう。

 

そしてこの船はどこへ向かっているのだろうか。

 

潮の流れで移動していることくらいはわかるのだけれど。

 

 

 

遭難10日目

 

 遭難生活にもなれてきた。

 

今日、

真水が切れたので魔物の生き血ドリンクにチャレンジする予定だ。

 

話が変わるが数日前、

島を見つけたもののそこは

海人族の軍事拠点だったらしく戦闘になった。

 

最初

海魚族から守ってやったのに。

 

もちろん勝ったが、

1人で全滅出来る事はなく複数逃したのが

悪かったのだろう。

 

そこから数日間は

海人族と戦闘三昧で、

釣り餌に欠かす事は無くなった。

 

それが今日パタリと止まったのだ。

 

不気味でしょうがない。

 

 

 昨日海人族が

追って来なくなった理由が分かった。

 

ここは魔大陸近くなのだ。

 

そして遥か先の水平線に見えるのは陸地の様な出っ張り。

 

この磯臭さと不味い海魔物とやっとおさらばできるのだ。

 

嬉しくてたまらない。

 

 カピカピ対策はしてきた。

 

防水性の魔物皮を拙くも加工して作った、

あたまカバーと尻尾カバーだ、

急いで着替えて金目の物を担ぎハイジャンプ。

 

陸地にかなり近づいたところで海に着弾。

 

カピカピ対策は

順調に機能している。

 

しかし急いで泳ぐ。

素人の作品だ。

 

いつ取れるとも限らない。

 

そしてついた魔大陸だ。

 

教えてもらった通りの風景だ。

 

乾燥していて、

高低差が激しくて、

枯れ木の集団みたいな森があって、

魔物が沢山。

 

……強烈なお出迎えだ。

 

海から追ってきた見慣れた魔物たち。

そして出迎えてくれた見慣れない魔物たち。

オラわくわくすっぞでは無いが最強には避けて通られない道。

やはり魔大陸で正解だった。

 

船から盗った魔剣を抜く。

無骨なその見た目は突くというより叩き切るを連想させた。

 

幅広で両刃で切先はゆるく先細になっているが鋭くない。

厚さはかなりある。

 

そして幅が広い血溝がついており、

その中心に何事かが書いてある。

 

鍔は楕円で柄は短く柄頭は幅広。

 

総合すると前世でいうヴァイキングソードだ。

 

一眼で気に入った。

 

村で使っていた剣は

船の生活で錆びてしまったし、

みんなの同じ感じの十把一絡げで特徴も特色もない剣であったがこれは違う。

 

錆びないし自己修復するのだ。

 

肉体やケモ耳尻尾の手入れは欠かさない俺だが、

剣の手入れだけはどうも苦手だったのでこれはありがたい。

 

この剣を持っている限り武器破壊で戦闘力が落ちないし、

どれだけ使い続けても体力続く限り戦えるのだ。

 

素晴らしいではありませんか。

なんと今ならこの剣の切れ味を体験できる!

体験したいお方どうぞ1人ずつお並び下さいニャ!」

それを皮切りに四方八方から魔物が襲いかかって来た。

 

どうも口に出てしまっていたらしい。

 

かっこかっことじ。

 

 意味はないと思うが罵倒しながら魔物を倒す事、

数時間。

 

辺りは暗くなって来たところで戦いの幕が引いた。

 

どうやら凌ぎきったらしい魔物の死体を焼き食いながら

戦いの記憶を思い起こし、いつのまにか寝ていた事で

魔大陸の初日は終わった。

 

 

 世界で一番危ない土地である由縁が

初日で垣間見得た事に喜んでいいのか悪いのか、

ともかく最強に一歩は近づいただろう。

 

その事に喜びながら魔物の死体を漁るが、粗方昨日のうちに食べてしまったらしく

汚く散乱しているので、いる物といらないものに分け

焼いて埋めるのも一苦労だ。

 

しかしそれをしないと魔物は

アンデットになってしまうから

面倒な話だ。

 

片付ける事、数分。

 

「うえ……ばっちいにゃ……こんなの食ってしまっていたのかにゃ」

 

 あまりの匂いに

独り言が出る。

 

旅を始めて一ヶ月すら経っていない筈だが、

もう人が恋しくなっているのだろうか。

 

こういうのは経験上、

自分ではわからない物だから

気にしないでいこう。

 

 

 片付け終わって落ち着くと、

頭が働き出した。

 

ずっとつけっぱなしだった耳カバーと尻尾カバーを外してケア。

 

魔物皮を素材にからい袋を作り、

船から強奪した諸々と余った魔物素材を入れる。

結構アンバランスな見た目になっているが気にせずに歩き出す。

 

悟空とかアラレちゃんとか神楽ちゃんとか、怪力キャラが

自分の体より大きい物を担ぎ運んでいる姿を漫画で見ていた身としては感慨深く感じた。

 

話は戻るが、

働き出した俺の頭は今自分はどこにいるのか

考え始めた。もちろん魔大陸にいることは

魔物の種類からも決定事項なのだが、

その魔大陸のどこにいるかが問題だ。

 

というのも、

船の上で一応魔大陸に着いたらどうするかを決めていたのだ。

 

魔大陸に来た目的は最強になること、

魔大陸の強力な魔物や魔獣が襲いかかってくるのが目当てだ。

 

しかしそれだけではない。

 

魔王だ。

 

魔族の王とは、どれほどのものなのだろうか。

 

遥か昔、

第二次人魔大戦の時、リングス海は黄金騎士アルデバランと魔界大帝キシリカの一騎打ちによりできたと

母から聞いた。

 

その時代から戦い続けた者たちが魔王の中にいるらしいのだ。

 

それだけで心が躍る。

 

つまりこの旅の目的は最強を目指す旅そしてこの旅でやる事は、

魔大陸魔王カチコミツアーだ。

 

その為にも今自分がどこにいるの探る必要があったという訳だ。

 

 

 わかっている事がある。

 

ここはリングス海に面した場所であるから、

魔大陸の西の端っこになる。

 

ならば東へ向かおう。

 

そしたらば、

いずれ魔王の領域内に入りひいては道、

街を見つける事ができる筈。

 

急ごう。

 

最強が俺を待っている。

 

 

 東へ進み数日が過ぎた。

 

魔物は絶えず襲って来て食糧には事欠かなかった。

 

不味かったが食えはした。

 

そうしているうちに街が見えて来た。

 

魔大陸に来て初めての町だ。

 

行った事のあるザントポートよりかは小さめではあるが大きいと感じた。

 

第一印象は異国に来たなと思わせてくれる様な街。

 

そんな感じだった。

 

 魔物が多いせいか

街を覆う塀は高く、

門があっても必ず武装した奴が立っていた。

 

巨大な荷物を背負って目立つ俺には気づいている様子で、

街の周りを回って複数の門を見た俺に警戒する様に

人が集まって来ていた。

 

慌てて門へ両手の腹を見せながら近づく。

 

敵意がない事に気づいた人達は散り散りになって街へ消えて。

 

元々いた人だけ残った。

 

 「紛らわしい事をせんでくれ、冒険者か?お前みたいな力を持った奴が変な行動するだけでみんなピリピリしちまう。」

 魔神語で話しかけられた。

 

 「スマ、ナイニャ、チョット、キニナッタ。ニャ。」

 

 「謝ってくれて嬉しいよ。田舎だし特に何もとってないからいくといいよ。」

 

 「アリガト、ニャ」

 

 自国語に埋もれていると他の言語の習得がし辛くなる

と言うのは本当らしく、獣神語を覚えた俺は

他の言語もリスニングは完璧だが片言でしか喋れない中途半端な言語習得になった。

 

 ここは田舎らしい。そうは思えないのだが、

門番がそういうのだから間違いないだろう。

 

だがおかしいな、

ザントポートと同じくらいあるのに。

 

 結果的に言うと門番は嘘をついていた。

 

この街には魔王がいたのだ。

 

魔王がいるのに田舎なわけないだろ!

こんなに早く見えるとは思わなかったが、

好都合。

 

チートで下駄を履いた俺には魔大陸の魔物ですら多対一でようやく瞬殺じゃなくなったのだ。

 

魔王にすら俺は勝てる。

 

そう信じて自分を鼓舞し、

魔王に会いに行った。

 

 

 魔王に勝てた。

 

 

 魔王は思っていたより強くなかった。

 

魔王を瞬殺した

 

俺であったが、

魔王はいわゆる不死魔族だったらしく復活した。

 

あっけなさを感じていた俺は剣を復活した魔王に向けていたのだが、

そこには土下座した魔王がいた。

 

要約するとヒィ殺さないで!

僕悪い魔王じゃないよ!

だいたいそんなことを言っていた。

 

ショックだった。

 

無気力感に苛まれながら気づいたら、

街を出ていた。

 

 

 あとで知ることなのだが、

闘争こそ我が生きがい、

といった魔王は人魔大戦やラプラス戦役で死亡しているため、

現在はほぼ穏健派しかいないらしい。

 

それでも周辺で一番強い奴が魔王になったりするらしいが、

世襲制であったり、

面倒見のいい奴がなる事の方が多いらしく、

それらに当たったらしかった。

 

これが魔大陸最初で最大の不幸であったと思う。

 

 

 魔王ツアーはお蔵入りになった。

 

魔王があんなのでは修行にならない。

 

いっそ冒険者になろうか。

 

そう頭によぎるものの、

魔大陸の地理にそんなに詳しくない俺には、

冒険者カードを発行できるほどの大きな街に行くすべがなかった。

 

魔大陸では荒野を彷徨い魔物を倒すくらいしかやる事がなくなったのである。

 

それでも修行になりそうだから、

魔王ツアーお蔵入りは、

次の日には忘れていた。

 

 

 魔王ツアーの事を思い出したのはある噂を聞いてからだ。

 

その噂をきいたのは、

巨大な荷物を背負って魔物を倒しまくるチビのデドルディア族、そんな感じに有名になって

絡まれ始めた頃だ。

 

冒険者登録もせずに魔物を倒しまくるのが商売の邪魔と思われたのか、

冒険者がたくさん絡んできては俺が返り討ちにして、

その縁で冒険者の知り合いがたくさんできた時期だった。

 

その冒険者たちが言うには、

アトーフェラトーフェ・ライバックなる魔王に力を認められると、

認めた力以上のさらなる最強の力が手に入るとかなんとか。

 

最初の魔王のこともあって、

疑心暗鬼だった俺は最初は相手にしなかったものの、

余りにもいろんな奴に聞かされるもんで、

信じ始めていた。

 

信じて魔王アトーフェラトーフェ・ライバックを探そうかなと思っていたところ、

魔物素材を換金した街に魔王アトーフェラトーフェ・ライバックの城があったのだ。

 

早速行ってみてアトーフェラトーフェ・ライバックに会いたいと言うと、

アトーフェ四天王なるものが、

現れては倒して現れては倒して、

あれよあれよと言ううちに

謁見の間的な場所に連れてこられた。

 

とんとん拍子で行くし、

黒ずくめの連中に囲まれるしで

なんだか心臓に悪い。

 

俺の自慢の猫耳も心なしか萎れているだろう。

 

そうしていたら、後ろから声をかけられた。

 

「どけ」

 

 気づいてはいたが、

他の黒ずくめと一緒に控えているものだと思っていたのでびっくりした。

 

ついでに無視する。

 

いきなり謁見の間で話しかけるなんて礼儀知らずだ。

 

魔王アトーフェラトーフェ・ライバックはまだだろうか。

 

「聞こえなかったのか?どけと言った。」

 

 アウェイを感じる。

 

黒ずくめは止めていないのでどいた方が良さそうだ。

 

無言で避ける。

 

「よし」

 

 そいつが満足げに言う。

 

そいつの見た目はザッ魔族といった感じで、

魔大陸でも珍しいくらいだった。

 

そいつは玉座へと近づいていく。

 

この頃には察していた。

 

じっと見つめて気づかれない様に、

いつでも切りかかれるようにする。

 

 

「オレが不死王アトーフェ…」

 

『死ね魔王!』

 

 先制の吼魔術これは奥の手だ。

 

父に教えてもらった。

 

魔王と黒ずくめは硬直したがすぐに動き始めた。

 

おそらく鎧だろう。

 

しかし遅い。

 

闘気を纏い研ぎ澄す、

魔大陸の修行で見つけた技だ。

 

強い奴は皆闘気を身につけていた。

 

ので身につけた。

 

狙うは心臓ただ一つ。

 

しかし俺の魔剣は突きにむかないので叩き斬る!

 

 あれ?

 

 叩き斬れた。

 

心臓から上と下がお別れした魔王が倒れる。

 

最初の魔王が頭によぎる。

 

 ……帰るか

 

 そう思った瞬間、

魔王が再生して襲いかかって来た。

 

そこからはすごかった。

 

魔王が倒れたのは最初の一度だけだった。

剣は鈍くて遅く、

技術などは感じれなかった。

 

技術がないのはお互い様だが、

奴は倒れなかった。

 

鎧が砕けても剣が砕けても、

素手で裸でかかってくるのだ。

 

 そして俺は負けた。

 

清々しい気持ちだった。

 

戦う分の体力が尽きたのだ。後は逃走用の体力しかない。

 

魔王は魔王であったのだ!

嬉しさで浮き足立ちながら、

走って逃げる。

 

魔王は褒美をやるとか、

配下になれ、そしたら強くしてやる、

 

などと叫んでいたが、

関係ない。

 

いずれまた来るであろう。

 

城を目に焼き付け、

追って来た奴らを皆殺しにして。

 

不死魔王アトーフェラトーフェ・ライバックの支配領域を去った。

 

 

 それから少し経って、

もう魔大陸北の隅近く、

リカリスの街まで来た。

 

強い魔王と戦ったことだし、

そろそろ魔大陸は良いのではないだろうと思えて来た。

 

最強への道はまだ上り始めたばかりだが、

もう引き返そうと思う。

 

魔大陸は俺に色々教えてくれた感謝してさろう。

 

今度は来た道とは違うウェンポートからザントポート、聖剣街道を通って行き、中央大陸へ行こう。

 

途中で実家に顔も出そうかな。

 

ギレーヌちゃんいなかったな。

 

なんて思いながらすぐに南へ向かった。

 

 

 

 

 旅の途中、

同行者ができた。

 

リカリスの街から魔大陸を出てザントポートで冒険者をする予定の子らしい。

名前はロキシー・ミグルディア。ミグルド族でBランク冒険者だ。

 

 

 

改行についてのアンケートです。読みやすい方に変えようかなって思ってます。

  • 一話二話の様な改行がいい。
  • 三話四話の様な改行がいい。
  • どちらの改行も見づらい。
  • どちらの改行でも良い。
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