ルーデウスが提示したと言う作戦はとてもじゃないが、七歳児が思いつく作戦とは思えなかった。
作戦内容を簡単に言うと、エリスのピンチを救って家庭教師として認めさせよう!
てな感じだった。俺がふわふわで、ギレーヌが剣術で、もう一人の家庭教師のエドナは乳母としての立場で、勝ち取ったエリスの信用と学習意欲を一つの作戦で掻っ攫おうとする作戦だ。
ルーデウス少年の天才っぷりに、こいつ転生者じゃねなんて事を思ってしまうくらいだった。ルーデウスのことは気に入っているので策士策に溺れるなんてことにはならないで欲しかった。ので協力を惜しまない様に努力した。
作戦においての俺の役割は簡単だ。街の服屋へエリスとルーデウスが行くので、『偶然』護衛の俺とギレーヌが目を離すだけである。簡単だね。
後は、フィリップの手が掛かった人攫いと、ルーデウスの手腕に期待するだけだ。
やることはやったので寝て待つ。果報は寝て待てとは言ったものだ。
ルーデウスが戻ってくるであろう時間になると、ロアに異変が起こった。
照明弾の様な魔術がロアの街中で打ち上げられたのだ。ギレーヌと俺は即座に現場に向かう。
ギレーヌよりこう言った高い建物がある街中での、立体機動及び高速移動に一家言のある俺が現場に先についた。
そこではなんと、エリスを抱えたルーデウスと北神流らしき男が戦っていた。実力は拮抗しているみたいだ。
直ぐに助けに行く。子供の前なのでいつもなら真っ二つにする所を、手足の腱を切るだけに留めた。
そしてルーデウスにやられたのか片腕がない男も、同じ様に対処して一旦は落ち着いた。
なぜ、作戦どうりに行っていないのか、こいつらは誰でなんで襲われたのか、疑問が絶えないがとりあえずは、ルーデウスやエリスを落ち着かせる様に喋り、汚く唾を飛ばしながら俺を罵るチンピラを蹴飛ばしてギレーヌを待った。
俺より三十秒遅れてついたギレーヌを変顔で煽りながら、帰路に着く。
家についた。今にも倒れそうなエリスだが、俺は知っている。ここで俺がエリスを抱っこして運んだり、手を繋いだりするとエリスは俺の手を跳ね除けるだろう。そこがエリスのすごいところでダメなところだ。
エリスからルーデウスの採用を告げる言葉に、青春と成長を感じながら、事件は幕を閉じた。
今回の事件は、アスラの上級貴族が絡んでいたみたいだ。執事のおっさんのうち一人が買収されていて、凶行に及んだと聞いた。
複雑な背後関係を匂わせるだけ匂わせてハッキリと喋らないフィリップに悪態をつきながら、今日は疲れたので昼間だが寝ることにした。
一度サウロスのエリスを呼ぶ声に飛び起きてしまったが、いつもの事なのだが一応用心棒も兼用で雇ってくれているので、サウロスの声の元へ行く。
応接間についたてドアを開けると…
「え、エリスに魔術を教えてくださいニャン⭐︎」
ルーデウス、お前もか…
そこにはエリスに、あのボレアス流の頼み事をさせていた。ルーデウスがいた。
俺も男で犬猫好きなので気持ちはわかるんだが、普通そんなことやらせるか? 速攻で扉を閉めて、グレイラットの男に期待する事を今日限りで辞めにして、異常はなかったので自室に戻った。ルーデウスの叫び声が聞こえたが聞こえないふりをした。
それから一ヶ月、ルーデウスを交えたボレアス家の日常が始まった。俺にとって変わったことと言えばそれほどなかったが、エリスの日常にルーデウスは深く入り込んだであろう。幼い子は直ぐに仲良くなるしな。
一ヶ月も経つと、最初では思ってもいないほど、ルーデウスとエリスは仲が良くなった。エリスはそれをルーデウスや周りに噯にも出してはいないが、見ているとバレバレである。騙せているのはルーデウスだけでは無いだろうか。
幼い頃にしか見れなかった。エリスの可愛らしい一面に満足げな表情を浮かべていると、ギレーヌに話しかけられた。
どうやら俺をルーデウスの魔術教室と算術教室と文字書き教室に誘いたいみたいだ。ギレーヌがルーデウスに文字と魔術を習っているのは知っていたが、俺を誘うとは思ってもいなかった。断る理由もないのでついていくと、ルーデウスの歓迎を受けた。
どうやらルーデウスは自分が来てから、俺の仕事を奪ってしまったのかと心配して、ギレーヌを言葉巧みに使って俺をこの教室へ誘ったらしい。
俺は心が痛いよ。
ルーデウスが来る前でもそんなに家庭教師の仕事をしていなかったので、ルーデウスの心配は骨折り損なのだ。
本当のことを言うとルーデウスに失望されそうだし、呆れられそうなので黙っておく。
俺は実を言うと、前世から魔術に全くの興味がない。算術も日本の義務教育で網羅しているし、唯一ルーデウスが教える事で興味があるのは、人神語の読み書きだけだ。
授業がめっちゃ分かりやすい。
ルーデウスは、人神語の文字以外学ぶ気が無い俺に、最初は苦戦していたものの直ぐに持ち直して、人神語を俺に教え出した。読み書きの授業の時はエリスはいないにしても、ギレーヌと俺を同時に文字を教える手腕は本当にすごかった。
パウロの息子とは思えない程の、知能と才能だ。ルーデウスが凄いことをするたびに、いつか失望される未来を思い描いて鳥肌が立ってしまった。
ルーデウスが来て半年がたった。
最近エリスの様子がおかしい。彼女はルーデウスが来て少しは丸くなっていたのだが、しかしこの頃は以前以上に凶暴になってしまっていた。と思ったら、ルーデウスが休みの日を使って解決した。そして休日の翌日には、かつて見たことない程の上機嫌なエリス。
やばい、仕事を取られた。
実を言うと俺はボレアス家での立ち位置に危機感を覚えていた。俺のボレアス家にでやっている事を挙げるとそれは如実に現れて白日の元に晒されるだろう。
俺がやっている仕を箇条書きにすると、一つ、フィリップの話し相手、一つ、サウロスの話し相手、一つヒルダの話し相手、一つ、エリスの遊び相手、一つ、ギレーヌが居るので溢れぎみな護衛、一つ、エリスのご機嫌取り、一つ、我流なのでたまにしか教えない剣術での教師、一つ実質消滅している冒険者としての心得を教える教師、一つ、これまた消滅気味な体操の教師。ルーデウスが来た事で殆どが代わりのいる仕事だ。
完全にルーデウスの下位互換だなこれ。唯一ルーデウスに対抗できそうな護衛能力だが、並の相手ならルーデウスは対処できる。俺はアスラだと過剰戦力だろう。
やべぇ、ルーデウスに勝っているところが思いつかない。
身長も最近エリスやルーデウス抜かされたし、…あっ、涙出てきた。
一年が経った。
追い出されていないのが奇跡なんじゃ無いだろうか。
俺の最近の癒しは、ギレーヌはもちろん。この館で唯一なぜかルーデウスが嫌いな、ヒルダさんだけだ。フィリップとヒルダさんとする、お茶会は焦りを忘れさせてくれた。
俺はもちろんのことギレーヌとエリスは人間語の読み書きができる様になったし、俺は違うがギレーヌとエリスは魔術も初級とやらを使える様になったらしい。
俺はエリスやギレーヌに何かを教えることができただろうか?いや無い、仲良くなっただけで物を教えることなど全くできなかった。ルーデウスに完敗して、燃え尽きているとフィリップが来て慰めてくれたけど、尻尾を触るのは辞めてほしいかな。
フィリップに腹パンをして、館を歩いていると、メイドさんたちが廊下を全力疾走していた。この館の忙しい時期の風物詩だ。そういえばエリスの10歳のお祝いが近いことを思い出して、納得が行った。
走りまくるメイドさんを眺めていると、ルーデウスが歩いてきて俺に会話を仕掛けに来た。少し話すと目的地が違うらしく、直ぐに離れて行った。ルーデウスはなぜか俺に気安く話しかけてくれるので、話をする機会が多いのだがどうも話の話題がないので、会話が続かないので無言になることも多かった。気まずい。
気分転換にエリスに渡す誕生日プレゼントを、自分の魔道具コレクションの中から探した。
エリスの誕生日当日、着飾ったエリスを見て出会った頃を思い出しながら、中級貴族や下級貴族と政治的な意味を持たない様に会話しながら、パーティーを楽しんだ。
エリスのダンスの時間になった。ルーデウスが巧みにエリスの緊張を溶かしたのを見て、悔しさでやけ食いをしていると、パーティーはあっという間に最後のルーデウスとエリスの踊りが盛り上がりが最高潮になって、終わりを告げた。
パーティーが終わった後、ルーデウスに部屋に呼ばれた。
ドキドキしながら、何気に初めて入る。ルーデウスの部屋にギレーヌとエリス共に入ると、俺は驚愕した。表に出さなかったのが、奇跡の様に思える。
明らかに、日本のものなデザインな船やら車、この世界のドラゴンとは違う前世のイメージに沿ったドラゴンなどの像が並んでいた。
まじにゃのかよ……
明らかに転生者なルーデウスに混乱する。冗談で転生者かもなんて思っていたが、マジだった。どうしたらいいかまだかわからず呆然としていると、ルーデウスがパーティの二次会を開催してお酒を開けて俺にくれた。エリスもルーデウスも呑むみたいだ。
しばらくそうしていると、ルーデウスがある物を取り出した。2本の魔術師の使う様な杖と、俺の像だ。
杖をエリスとギレーヌに、像を俺にくれるみたいだ。ギレーヌが礼儀にのっとて礼をするので俺も習う。様々な感情と思考がぐちゃぐちゃになりながらの礼なので、みんな変な物を見る目で見て来たが、特に何か言われなかった。
エリスが何か物欲しそうに俺とギレーヌを見るので、俺は用意していたプレゼントを渡す。
そしてギレーヌがエリスに魔除けの指輪を渡したところで、俺の意識はルーデウスが転生者と言うことで頭がいっぱいになって酒も入っていた事もあって気絶する様に寝てしまった。
翌朝、ギレーヌに部屋に運ばれていたみたいだ。寝起きで冷静になった頭で整理する。
よく考えてみるとルーデウスは転生者だった。そして幸いなことにルーデウスは俺が転生者だとは気づいてはいないみたいだ。
隠し通せるか不安だが、気づかれない様に努力しよう。転生者が理由のゴタゴタとかはノーサンキューだ。
ルーデウスには申し訳ないが、バレない様に距離を置かせてもらおう。
ルーデウスとの関わりを断とうとした、翌日に事件が起きた。
「ギュユスナ!!!」
「うわぁ!?なんにゃ?!ルーデウス!」
部屋でギレーヌと過ごしていると、いきなりノックもせずにルーデウスが扉を乱暴にこじ開けて入って来た。
「はぁ…はぁ… ロ、ロキシーって名前に聞き覚えがありませんか…」
は……
エ。
「ロキシーッ!? え?ルーデウスなんでお前の口から、ロキシーの名前が…?」
「これを見て下さい!」
ルーデウスが急いで、見せたのは手紙だった。
魔神語で書かれた。俺宛のロキシーの手紙と、人間語で書かれたルーデウス宛のロキシーの手紙だった。
「ゑ?ルーデウス。ロ、ロキシーとは、ど、どんな繋がりで?」
「僕が聞きたいですよ!ギュユスナ!こっちのロキシーの手紙にはこの手紙を、あなたに渡せとしか書いていないんです!」
「と、とりあえずは内容だにゃ!」
急いで、手紙を音読する。
ギュユスナ様
お久しぶりです。元気にしていましたか?私は元気にしていました。
ルーデウスの手紙にあなたの事が書いてあるのを見て、急いで手紙を認めました。
あなたと別れた後、ザントポートで数年冒険者として活動した後、私はラノア魔法学校に入学して、水聖級魔術師になり、ルーデウスの家庭教師をしていました。
ギュユスナはどうお過ごしですか?
あなたがフィットア領の領主のご息女の護衛に、剣王ギレーヌと一緒についていると知って驚きました。
さすがはギュユスナですね。実はフィットア領の領主のご子息の家庭教師の仕事を受けようとしていたのですが、面接で落とされました。あの面接の時にあの館の中にギュユスナが居たのでしょう?
とんでもないニアミスでしたね。
けれど今、私はシーローン王国で王子様の家庭教師をしています。凄いでしょう?ギュユスナ。
また出会ったら、一緒に冒険や迷宮に行きましょう。
———本題に入りましょう。
実はルーデウスが魔神語を覚えたい様なのです。
ルーデウスは私の弟子です。
私が書いた魔神語の教科書が同封してあるので、それを元にルーデウスに魔神語を教えてあげて下さい。
他ならぬ私からのお願いです。頼みますね。
ロキシーより。
S.P. ルーデウスがあなたを見た目通りの年齢だと思い込んでいます。それとなく傷つかない様に教えてあげて下さい。
ルーデウスを見る、ルーデウスは混乱している。
俺も混乱している。
ギレーヌのどつき、ルーデウスと俺は正気に戻った。
「と、とりあえずにゃ、俺のこと何歳だと思うにゃ」
「じゅ、13歳?」
「ギレーヌより数ヶ月くらい年上にゃ。」
ズガーンと衝撃を受けて白目を剥いている様な幻覚が見えるほど驚いたルーデウスに、恐ろしい子を思い出した。
さすがはロキシーだ。どこかぎこちないところのあった、ルーデウスとは年齢が離れているが無二の友と言えるほど仲良くなった。
魔神語を教えることとロキシーによって話題が生まれ、ルーデウスと話すことが増えて転生者だとバレる可能性が増えたが、些細なことに思えた。
さすがロキシー。ドヤ顔、ジト目のフェイスが浮かぶ浮かぶ。
シーローン王国の方を拝みながら、ロキシーに感謝を告げた。
ルーデウスと遠慮なく喋る様になると、否応でも彼のスケベな部分が見えて来た。
さすがはパウロの息子なだけはある。ギレーヌに聞いたのだが、ルーデウスは獣神語も喋れる様になっていてその理由が猫耳の女の子と知り合いたいからだそうだ。他にも、色々とあるが、ロキシーの水浴びを覗いた話が出て来た時は流石にぶん殴った。
転生者にまで作用するグレイラット家の色欲の血の恐ろしさを、確と心に噛み締めているとエリスが話しかけて来た。
どうやら自由時間や休日に前の様に、体操こと剣術にも使えるアクロバットな動き方、の教師を再開してほしいと言うのだ。
突然のことに驚いた俺であったが、思い当たる節はあった。俺と同じくエリスはルーデウスの完璧っぷりに焦っているし、いいところを見せたがっているのだ。そしてエリスの最も得意なことと言えば剣術だ。彼女は剣術をもっと強くなりたいのだそうだ。
仕事の内なので断ることはなかった。ギレーヌにより剣神流の合理的な動きは伝えられているので、主に身体強化や闘気関連のことを教えた。
意外なことにギレーヌはエリスに、闘気の存在を教えていなくて、何かギレーヌにも考えがあるのだろう。闘気のことを伏せて闘気の訓練することに難儀はしたが、エリスの役に立てて良かった。そして久しぶりに尻尾を握りしめるエリスを見てほっこりした。痛い。
ルーデウスの誕生日に、サプライズを行うことになった。俺は誕生日パーティの前日に知らされて驚いた。
誕生日プレゼントは用意していたのだが、パーティーを行うとは聞いていなかったのだ。驚いてギレーヌとフィリップを問い詰めると、フィリップには言葉巧みに躱されて、ギレーヌには目を逸らされすまんと一言だけ言って逃げた。
ここでわかった。俺は信用されていなかったのだ。
自らバラさないにしても、バレると思われていたのだ。幼い頃からの付き合いのギレーヌと、もう親友と言っていいほど仲のいいフィリップにそんな感じに思われていることに、俺は激怒した。
ここじゃ物が壊れる………屋上へ行こうぜ……ひさしぶりに…きれちまったよ………
ギレーヌには一丁前に反撃して来たのでクロスカウンターを喰らわせ。その足捌きのままフィリップにはアッパーカットで脳を震わせてやった。
痙攣して倒れ臥す二人に冷たい視線と、ギレーヌにクロスカウンターの反動でくらった一撃で口内に溜まった血を、二人に吐きかけてやった。その間もメイドさんたちは、誕生日パーティーの準備を粛々と行う。
メイドや執事たちが慣れた様子でギレーヌとフィリップを運んでいくのを尻目に、呆れた様子のヒルダと満足げに頷くサウロスとフンと鼻を鳴らすエリスにルーデウスの誕生日パーティーの計画を聞いた。
ルーデウスにはグレイラット家からの誕生日プレゼントとして、魔法使い用の最高級の杖を贈るみたいだ。俺の魔物素材コレクションも使っているらしい。盗みを働いたフィリップへの仕返しを考えながら、俺がルーデウスに渡す予定だったプレゼントをみんなに見せる。
俺には理解できない表情を浮かべる一同。
手に持っていたのはフィットア領特産、香水媚薬詰め合わせキットだ。
ルーデウスのエリスへの昼の授業が終わった頃。何故か昨日大怪我を負って治癒術師の世話になったギレーヌがルーデウスを部屋に留める役割しつつ、使用人達は準備に奔走する。
そしてその時がやって来た。メイドがギレーヌとルーデウスを食事と偽りこのパーティー会場に連れてくる。
ルーデウスが部屋へ入ってくる。
館の全ての人が集まった食堂で、俺たちは万雷の拍手で彼を迎え入れた。
ルーデウスは明らかに狼狽えた。
そのままエリスが花束を渡して、元気な声で誕生日おめでとうと告げた。
ルーデウスは自分が今日誕生日であると、気づいていなかったみたいで大粒の涙を流して、こう独白した。
「ご、ごめんなさい。お、俺、こんな……初めてで、ここにきて……失敗しちゃいけないって思ってて、歓迎されてないって……失敗したら、と、父様に迷惑がかかるからって……い、祝ってもらえるなんて……お、思ってなく……て……ぐすっ……」
お……
お、お……
少しの間呆然としていると、サウロスが吠えて正気に戻った。
サウロスはルーデウスをノトスグレイラット家の当主に据える戦争を起こすと言うではないか!
サウロスの兵を集めるとの声に、俺は涙を流しながら即座に答えた。
「YES Sirサウロス!戦争を、一心不乱の大戦争を!ノトス、エウロス、ゼピュロス、のニャンぼのもんじゃ!こちとら剣王と大蛮族がついとるわ!」
「父上、抑えて!抑えてください!ギュユスナ、余計なことを言うんじゃない!」
フィリップが糸目を開いて俺にそういった。
「ギュユゥゥスナよく答えてくれたッ!!それとフィリィィップ!ギュユスナを見習え!あんなクソ戯けを引き摺り下ろしてルーデウスを当主にする方が良いに決まっておるであろうが!」
「思いますけど落ち着いて!今日はめでたい日なんですから!」
この時には俺は自分の失言に気づき、口を押さえていた。
しかしサウロスの熱は冷めず、フィリップに引きずられて退場した。
まだ退場してもなお続く声に呆然としていると、エリスが咳払いをしてルーデウスにプレゼントを渡す段階になった。
しかし、ルーデウスはパウロとゼニスが来ていると考えてしまったのだ。
落胆したルーデウスを見て、俺は悲憤慷慨した。かの邪智暴虐のパウロを除かねばならぬと思った。
パウロはクズなことに仕事が忙しくて来れないとか、ルーデウスを過信しているのか別に俺なんかいなくても大丈夫とか、クソふざけたことを吐かしやがったのだ。
パウロを、説教してやろうと考えていると、ヒルダさんが走ってルーデウスを抱きしめた。分かる抱きしめてあげたい。
しかし、少しすると戻ってきたフィリップが、華麗にヒルダさんを退場させた。
この誕生日会に参加していられる条件は、平静を保つことにあるらしい。
エリスが杖を渡し、他にプレゼントを用意していた俺の番になった。
しかし、俺の手の中にあるプレゼントは、媚薬だった。
媚薬だった。
俺の顔を今眺めることができたら、さぞ見ものであろう。血の気は引き、瞳孔は膨張と収縮と移動を繰り返し、歯はガチガチと鳴る。
若干のルーデウスが引いた目で俺を見ているが、プレゼントの中身を知っている数名は、俺を同情の目で見ていた。
俺は今日気がついたのだ。いくら転生者だからと言って、前世が俺みたいに成人してオタクやっている訳ではないのだ。前世が子供や女の子の可能性だってあるのだ。ちょっとエッチなところもあって誤解していた。エッチに思えたのは今世で得たグレイラットの血から来るものでは無いのか?
プレゼントがルーデウスに喜んでもらえない気が沸々と湧いて来たところで、幾たびもの困難を乗り越えた。
猫耳付きヘッドが、妙案を思いついた。
背中のギガブレイク用の魔道具をあげようと。
そこからは俺の表情を見ることができた人は、明らかな奇跡を目前にした人間の顔を見ることができただろう。
即座に手に持っていたプレゼント箱をギレーヌにパスして、ルーデウスには背中に隠していた魔道具を渡して事なきを得た。
こんな駄文を読んでくださっている。
読者の皆さんにお知らせです。
思いついたネタをそのまま頭から書き写して投稿したところ、
複数の方から好評とやりがいを貰い、
ここまで書いて来たこの作品ですが、
平均評価が5をした回ったところで投稿をやめようと思っています。
理由は、私の豆腐メンタルが耐え切れないからです。
高評価をしてもらった方々には大変申し訳ありませんが、そのようにさせて貰います。
まだ平均評価が5を下回っていないのでしばらくは続けると思いますが、
5を下回った時は投稿をやめさせていただきます。
以上お知らせでした。