ファー・ファー・アウェイ   作:Sashimi4lyfe

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プロローグ

「オーンおじさーん!今日も来たよー!!」

 

少年は手を振りながら村の鍛冶場へと駆け寄ってくる。火事場の中は熱気で満ちており、中年の男が赤く熱せられた鉄を打っていた。

 

「来たかいたずら坊主!よくまぁ毎日毎日飽きずに来るもんだ。」

「いいじゃない、あんた。ゲンちゃん、こう見えてもおじさん、あんたが来るのを楽しみにしてるんだよ。」

 

わざと冷たい態度を取る男を妻と思わしき女性がからかった。

 

「こ、こら、セジャニ!要らん事を言うんじゃねぇ!」

「もう、そんなことよりさ、今日も聞かせてよ!外の世界のお話し!」

「外の世界の話って...こうも毎日話してちゃあネタが切れちまうぜ。」

「あんた、昔話でもしてやったらどうだい?奴らがこの世界に現れる前の。」

「そうか...坊主、外の怪物どもが出てくる前の話し、知ってるか?」

 

少年は首を大きく横に振り、目に光をともしながら男が話し始めるのを待った。

男は鉄をジュッと水につけ、大きなキセルを吹かすと、ゆっくりと話し始めた。

 

「昔の話だがな。人間たちはこの村の外にも暮らしていた。

この村よりももっと大きな町を建て、仲良く平和に暮らしていたそうだ。

しかしある日、この世のとは思えぬ怪物が姿を現した。

人々は必死に戦ったが、怪物たちには敵わなかった。

残された人間たちは小さな集落を作り、一丸となって生きることを強いられたんだ。

怪物たちは今も外の世界をうろついている。

だが、この山はフレリャ神の恵みに守られて怪物が近寄って来ねぇ。

だから俺たちは安心して暮らしてられるんだ。」

 

「でもさ、それって昔皆が住んでた場所はまだ残ってる、ってことでしょ?」

「あぁ、そうとも。昔の人間たちが住んでた町から貴重な財宝を持ち帰ること、それが探検者(エクサーナ)の仕事だ。」

「いいなぁ...俺もいつかなりたいなぁ...」

 

オーンはその言葉を聞くなり、いきなり立ち上がると大きく咳払いをした。

 

「坊主、今日の話しはこれでしまいだ。」

「えぇ~...もっと聞きたいよぉ!」

 

少年の願いを無視するように、無表情で男は冷やした鉄を釜土に突っ込み、再び熱し始めた。

 

「ほ、ほらゲンちゃん、おじさん、今は忙しいみたいだから、おばさん家にいらっしゃい!お菓子、出したげる。」

「やったぁ!ありがとう、おばさん!」

 

嬉しそうに女性の後をついていく少年の背中を、どこか切ない眼差しで男は見守るのだった。

 

(ロデリゴ...生きてるなら、この子のためにも戻って来てやってくれ...)

 

 

 

 

 

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