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カント―とジョウト地方の狭間に位置する魔境。
名をシロガネ山。
四天王クラスのトレーナーでさえ
苦戦を強いるとされる程の強いポケモンが
蔓延る場所で、私は生を受けた。
というより、前世の記憶を受け継いで
いつの間にやら転生していた。
ポケモンの世界観はまぁ好きさ。
一時期はレート戦に向けてポケモンを
厳選していたくらいには。
尤も、化け物クラスの強者がいる中で
勝ち残れはしなかったが。
初代からプレイしていたエンジョイ勢としてはそこそこ思い入れはある。
だが、これはあまりにもあんまりな仕打ちではないか。
ポケモンの世界観に若干の憧れはあったよ。
もふもふなポケモンと戯れたいとも、
セクシーかつかわいらしいポケモンと
いちゃいちゃしたいとも思っていたよ。
誰がこんな場所に生を受けたいと言ったよクソが。
最終進化系のポケモンが人間を見るや否や
襲い掛かって来るとか
それなんてヒスイ地方?
最近のポケモン、ポケスペチックでクソワロタ(真顔)
だがそこは人百倍生への執着心を持つ私だ。
幼児ながら、何とかポケモンの隙を見つつ、
住処に貯めたあったきのみや魚などの
食料を盗んだり、はたまた襲って来たポケモンに
そこらのものでDIYした
武器を持って戦ったりもした。
まぁそれにも限界があったわけで。
ある日、集団で襲って来た
ヨーギラスの群れを武器で追い払ったら、
金銀世代はおろかハートゴールド世代でも
確認されなかった
シロガネ山にこいついるとか聞いてねぇし。
チートだチート!
まぁでも確かに、アニメでも親連れだったし。
ゲームとは違う
そう自嘲気味に今世の生を諦め、
次に目が覚めた時目の前にいたのは、
「ほう、目が覚めたか。
やられてそう時間が経っていないってのに。
呆れた生命力だね。
流石、あの魔境で生き残っていただけある。
大した小僧だ。」
ポケモンの公式イラストより
ずっと若い外見をした
ポケモンリーグ総本部カント―四天王キクコその人の姿であった。
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あれから何年経ったであろうか。
カントーリーグに拾われ、
英才教育とも言われる程の
ポケモントレーナーとしての教養をつけられ、
今日ではカントー総本部の中で
最も優秀なリーグトレーナーとも
称されるようになった今日この頃。
最近では、四天王を引退し
リーグ総本部の目付役に就任した
我が母キクコからもいつ本格的に四天王に
就任するのかと急かされている
毎日である。
勘弁してほしい。
総本部は他地方にリーグ設立の許可権を有する。
総本部と他リーグの四天王に
明確な実力の上下関係はないが、
総本部は全てのリーグの権威である。
必然的に四天王は他地方の四天王と同等か
それ以上の実力を保有しなければならないのだ。
そんな責任とプレッシャーのかかる仕事なぞ
まっぴら御免だ。
あぁ、ネッコアラと一緒に延々と
ベッドで寝過ごしたい。惰性に耽りたい。
不労所得で楽したい。
そう思う日々である。
ロトロトロト・・・。
・・・スマホロトムの着信音だ。
最近、総本部も電子化の波が押し寄せており、
伝書ポッポからポケギア、ポケギアからスマホへと
どんどん連絡手段がアップデートされてきている。
最近じゃポケモンセンターに行かなくとも
スマホロトムさえいればポケモン預かりシステムを
利用できるんだものな。
今じゃポケセンにパソコンを置かなくなってきている。
全く便利な世の中になったもんだ。
と、思いに耽っている場合ではないな。
着信が鳴ってるんだった。
ピ!
「はい、もしもし」
「ふん、やっと出たかい
「なんだ、母さんか。」
着信先は母キクコだった。
「なんだとはご挨拶だね。暇だったからアンタに掛けたとでも?」
「まさか。大方仕事関係だろう。
定時と言うにはまだ早いし。
そこは分別あるだろうよ。
それで?目付役直々に掛けたって事は、
何か大事な要件なんじゃないの?」
「ひひ、相変わらず話が早くて助かるね。
アンタにパルデアへの視察を依頼したくてね。」
パルデア?なにそれどこそれ。
新しい地方か何か?
俺、知っててガラルくらいなんだけど。
実際のプレイはアローラまでだけど。
「パルデア地方はリーグ設立から
歴史が深くない地方でね。
カントーとは地理的に遠い事もあって
あまり実情を把握できていない部分もある。」
「だからその目でリーグとして十分に機能しているか見てこいと?」
「本来、四天王クラスのリーグ関係者が
行くべきなんだが、最近四天王の入れ替わりが
あったりしただろう?
実力は申し分ないんだが、
本部四天王としての威厳が
足りていない部分もある。
総本部として威厳と実力の備わった人間を
送りたいのさ。」
「だったら私が行くのも違うだろう。
私は一介のリーグトレーナーだぜ?」
「ふん、何が一介のリーグトレーナーかね。
四天王が新しく就任するまでの間、
代理として四天王に就任して、
かつ四天王就任している間、
挑戦者を誰一人通らせなかったのは
何処の誰だったかねぇ?」
責任が覆いかぶさるのが面倒なのと勝負は別なので。
「古参のシバは・・・まぁ向かないか」
「分かってるじゃないか。
カンナは引退して島に帰っちまったし、
イツキ、カリン、キョウは就任して日が浅い。
まだまだ四天王として箔がついているとは言えない。」
しかし、嫌だなぁ。
リーグのお堅いやり取りに、会食とか。
あぁ、前世の社畜時代の記憶が。
「代理していた期間合わせればアンタの方が
年数は上。知名度も下手すれば新参の四天王よりも
上だろうよ。
気乗りしようがしなかろうがこれは決定事項だ。
つべこべ言わず言う事聞きな」
うーす。
「期限は特に設けはしないが、
一か月に一回報告レポートを
カント―総本部へ提出。
それ以外好きにパルデアを回って来な。
何を飲み食いしようがポケモン捕まえようが、
常識の範囲内で好きにしていい。」
しょうがねぇなぁ(大歓喜)
そういうことだったら行ってやらんでもないゾ(寛大)
本部の経費でパルデア旅行とか流石!よ!大統領!!
やっぱ本部は、最高やな(掌180度回転)
そうと決まれば回る場所を今の内にプランニングしなきゃ(使命感)
「大丈夫かい、この子・・・。」
主人公アズマ
名前の由来はアズマギクから。
シロガネ山にて生を受けて3年目でバンギラスの襲撃に合い瀕死になった所、ムウマ捕獲のためたまたま入山したキクコに拾われ今に至る。
四天王の養子になった事で、それに見合うよう英才教育を施される。下手に前世のポケモンの知識を出してしまった事もあり、更に高度な教育を受け、いつの間にか四天王クラスのトレーナーとなってしまった。
少年時代から今に至るまで、新しい四天王が決まるまでの間代理として短期就任していた経歴を持つ。年齢は30半ば。
普段は一般社会人らしい事無かれ主義。流れに身を任せるタイプ。しかしポケモン勝負は元レート民らしく負けず嫌い。やるからにはとことんやるタイプだし入念な準備する。調子に乗った奴は分らせるタイプの大人。
ノーマルタイプ使いで相棒はガルーラ。
キクコ
元四天王。現ポケモンリーグカントー総本部目付け役。
本部重鎮としてジムリーダー・四天王の選抜と教育。監査・視察などを行っている。最近の悩みの種は息子のアズマのこと。(本格的な四天王への就任、息子の嫁探し等)
ポケモンリーグトレーナー
ポケモンリーグによって選抜された優秀なトレーナー。
ジムバッジ8個入手が最低条件であり、街や地区大会の優勝など公式の実績のある者だけがなる事が出来る。リーグトレーナーの中でも取分け優秀なトレーナーはジムリーダーや次期四天王に推薦される事もある。