ーーー2037年4月6日 12:51
ーー江ノ島鎮守府 執務室
現在の時刻は13時になろうかというところ。
午前中はトイレの掃除をして今は昼休憩。
今は執務室で吹雪と昼食をとっていた。
………え、なんで一人じゃないのかって?
それはついさっきのこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おっ、まだあったかいな」
買い物から帰ってきたあと、父親との電話を済ませて俺は昼食をとろうとしていた。
ちなみにスーパーには電子レンジがついており、それをありがたく使わせてもらった。
俺が買ったものはカツ丼。
冷めない内にいただくことにする。
と、カツ丼に手をつけようとした瞬間
「司令官!」
吹雪が執務室に入ってきた。弁当を持って。
「え………えと、どうした?」
え、どゆこと?
困惑する俺。
そんな俺とは裏腹に吹雪は告げる。
「私もご一緒させていただきたいのですが…」
段々と声のトーンが下がっていっている。
まぁ、別に吹雪がいて問題になることはないと思うので承諾することにする。
「あ、あぁ、いいよ」
「それでは、し、失礼します」
そう言って吹雪は隣の机に座った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんなことがあり今に至る。
いやーびっくりした。
弁当拒否られたのかと思ったわ。
隣では吹雪が弁当を頬張っている。
……丁度良い。
「なぁ吹雪」
「はい?」
「この後は食堂の掃除をしたいんだが…」
「はい、お手伝いしますよ?」
「………ありがとうな」
本当に吹雪には頭が上がらない。
「いえ、頑張りましょうね!」
やはり俺を手伝う点において積極的なのは変わりないが、昨日とは何かが違っていた。
何かが吹っ切れたような、そんな感じがした。
少なくとも悪い方向へとは向かっていなさそうだ。
と、その他雑談などをしながら食事を進めた。
俺の高校時代の話や、海軍士官学校の話、吹雪の話などお互いのことを話した。
やがて食べ終わり片付けをして食堂へと向かう。
「どちらへ?」
すると後ろから声がかけられた。
「ちょっと食堂にね」
その声の主は矢矧だった。
「食堂で何をなさるおつもりですか?」
「掃除だよ、いつまでもコンビニやスーパーなどの弁当に頼ってるわけにもいかないからな」
「………そうですか」
それから一拍置いて矢矧は再び口を開く。
「………では、私も手伝います」
……ここで断っても無駄だと直感で感じたので受け入れることにする。
こうして俺、吹雪、矢矧の三人で食堂へと向かった。
「……そういえば妖精さんはどうなさったんですか?応接室にいなかったのでてっきり提督と一緒にいるものだと思っていましたが……」
「ナオには少し別のことをやってもらってるんだよ」
「司令官、その、ナオって言うのは…」
矢矧の質問に答えると次は吹雪から質問が来る。
………確かに他の皆の前でナオと呼んだことは一回あったかなかったかくらいな気がする。
そらいきなりナオって言ったら誰だよってなるわな。
「あの妖精のことをそう呼んでるだけだよ」
「でもどうしてナオと?」
「井○尚弥からとってナオだよ」
「そ、それは…」
「し、司令官…」
二人からなんか変な目で見られた。
いやまあ、ちょっとふざけたのは認めますけど…。
「……怒られないんですか?」
「……本人は気に入ったみたいだしなぁ」
「「えぇ…」」
今度は二人でドン引きしてた。
別に本人気に入ってるんだから良いでしょうがッ!!
と、俺は心で叫んだ。
やがて俺らは食堂へ到着した。
鍵を開け、食堂を開ける。
うーん、やはり汚いな。
電気をつけてみると埃はもちろん、その他にも汚れが多数あった。
「……骨が折れそうだ」
そう呟き、俺たちは掃除に取り掛かった。
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あれから俺はキッチンの掃除を行なって現在の時刻は14時半過ぎ。
ナオからもらった妖精印の万能掃除スプレーのおかげで大方きれいになった。
「……そろそろ行かなきゃな」
約束の時間までもう少し。
時間に遅れるわけにはいかないので掃除はこのくらいにしておこうか。
そう考え、他二人に声をかける。
「おーい、二人共ー」
そう声を上げると二人がこちらを向く。
「司令官、どうされましたか?」
「俺はこの後行くところがあるから、もうこの辺で掃除は終わりにして良いぞー」
「え、でもまだこちらは終わってないですよ?」
「そこはまた後で俺がやっておくから」
と、俺が言うと吹雪はしばし考え、やがて答える。
「………では、司令官が出ている間は私がやっておきますね!」
ん?話聞いてた?
「いやだから…」
「ここまでやったんですから最後までやり通したいです!」
と、頑なに掃除をやりたがる吹雪。
「でもな 「提督」」
俺が吹雪を説得しているとやがて矢矧も声をあげた。
「私も吹雪の意見に賛成です」
「え?」
「吹雪の言う通り、ここまでやったのなら最後までやり通した方が効率的です」
「でもそれじゃあ二人に…」
「「私は大丈夫です(!)」」
と、二人に揃って言われてしまった。
……なんで二人ともこんなに掃除したがるの?
空前の掃除ブームでも来てるのかしら……。
なんて言い合いをしていても時間は過ぎて行ってしまう。
……しょうがない、ここは折れよう。
「……わかった、ここは任せることにする。できるだけ早く戻るから」
「「分かりました」」
そう二人に言って俺は執務室に戻り準備を整えた。
ーーー同日 15:51
ーー横須賀鎮守府
「……でっけぇ」
あの後支度を済ませ、横須賀鎮守府へと向かった。
横須賀鎮守府は国内最大級の規模を誇り、日本の防衛の中心となっている鎮守府の一つであった。
今日俺が横須賀鎮守府へ足を運んだ目的は主に二つ。
一つは先程横須賀鎮守府へ連絡をし資材の提供を打診した結果、資材供給が始まるまでの資材を提供してくれるというのでそのお礼である。
そして二つ目、こちらが主な目的と言っても過言ではない。
横須賀鎮守府と江ノ島鎮守府は非常に近い位置にある。そして、その横須賀鎮守府の最高指揮官を務めている人物とはある関わりがあったため、その挨拶に。
おそらくその関わりがあったからこそ資材の提供を承諾してくれたのだろう。
門には二人の憲兵。その他にも警備をしている憲兵がちらほら。
流石横須賀、警備も抜かりなく厳重である。
…………うちは門にすら憲兵がいないというのに。
大本営に要請すれば憲兵や整備士などは付けてくれるのだろうか?
父に言えばつけてくれそうだが、まだ小規模な鎮守府に人員を割いている暇は無さそうなのでしばらくはいいか。
…………てかしばらく放置してあった半ば廃墟になりかけていた鎮守府にわざわざ侵入するのは相当の物好きだろうな。
中に入ると案内役の艦娘が案内をしてくれる。
制服を着ているためすれ違う艦娘達は挨拶をしてくれた。
……中に入るなりいきなり攻撃してきたうちとは大違いだね☆
別に根に持っているわけではない。
仕方ないことなのだ。
むしろおかげで防犯対策はバッチリと言える。
なんて考えている内に応接室に通された。
部屋を見渡すとうちの鎮守府と大して内装は変わらなかった。
応接室などは特に個性が出るような部屋でもないので特に不思議には思わない。
応接室に通されてそれほど時間が経たないうちに足音が近づいてきた。
「……来たのかな?」
そう呟くとドアが勢いよく開かれた。
…………ノックは?
ドアを開けた人物は明るい声で開口一番そう言った。
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「ご無沙汰してます、佐川大佐」
「うん!久しぶりだね♪」
めっちゃテンションが高いこの女性は佐川有紗。
年齢は若くおそらくまだ30にもなってないだろう。
で、おそらく体型は普通、髪はショート?である。
ただこれでも若くして横須賀の最高指揮官となった超優秀エリートである。
ではなぜそんな超絶エリートと関わりがあるのか。
それは
「士官学校では妹が世話になったね〜」
「いえ、こちらこそ彼女から学ぶことがたくさんありましたので」
そう、実は俺は佐川大佐の妹、佐川美優と海軍士官学校時代の同期なのである。
そこで士官学校時代に妹の様子を見に来た佐川大佐とは何度か話す機会があった。
ちなみに士官学校時代で仲の良かった同期は美優を含めて五人。
中でも美優とは俺と同じく高卒での海軍入隊だったので話すことが多かった。
今は皆それぞれの所属場所に就いているはずだ。
………そういえば鎮守府着任の連絡誰にもしてないな。
まあ、今度落ち着いたらするか。
「とりあえずは江ノ島鎮守府への最高指揮官着任おめでとう!」
「ありがとうございます」
「色々大変でしょ〜?」
「……まぁ、そうですね」
だって仕方ないじゃない!艦娘六人中二人しかまともに話せないんだもの!
「本当は色々復興の手伝いとかしてあげたいんだけど…」
「いえいえ、資材をいただけるだけでもありがたいです」
「そう?資材くらいだったらいくらでもあげちゃうから!なんなら江ノ島が溢れるくらいまで!!」
いやいや、どんな例えなんだよ。
てかこれはボケか?ボケなのか?
「ありがとうございます、必要ならまた連絡します」
とりあえず無難な回答をしておく。
うーん…、やはりこの人は難しいな…。
こう、なんか…、明るさで覆われてるって感じ?
「も〜固い固い〜、もっと気楽に気楽に!」
……前にも思ったけど、この人が横須賀の最高指揮官とはいまだに信じられない。
なんというか…、貫禄?がないっていうか…。
「あ〜、今なんか失礼なこと考えなかった?」
なんで分かんの?超能力者かな?
「い、いえ、そんなことは」
とりあえず誤魔化す。
いま機嫌を損ねらるとまずい。
「ん〜、まぁいっか」
いいのか…これで…。
大佐はエスパーかもしれない。気をつけよう。
何がともあれ助かった。
ここで一つ質問を。
「……あの」
「ん〜?」
「過去に江ノ島で何があったか分かりませんか?」
正直期待は薄いが聞いてみることにする。
「ん〜〜〜〜〜〜〜」
眉間に皺を寄せ唸る大佐。
「分かんない!」
うん!知ってた!!
「ごめんね?私も数年前に着任したばっかだから………
私が着任したころにはもう既に江ノ島はほとんど稼働してなかったからね」
やはり、得られる情報は少ないか。
ましてや最近着任したのであれば尚更である。
ただ少なくとも大佐が着任した時点で既に放置状態であった可能性が高いことが分かった。
これだけでも十分な収穫と言える。
「……いえ、その情報だけで十分です」
「そう?ならよかった」
それからは艦隊の指揮についてや士官学校での出来事などの話をした。
ただあまりのんびりしていると次の予定に遅れてしまう。
そろそろお暇するとしよう。
「……それじゃあ俺はそろそろ」
「そうだね、いま忙しいもんね〜」
「まぁ仕方ないですよ」
「なんかあったらまた連絡してね?」
「はい、そうさせてもらいます」
そう言って席を立ち上がりドアへと向かおうとすると
「あ、そうだ」
大佐が急に声を出す。
「?、どうかされましたか?」
なにか伝え忘れたことでもあったのだろうか?
「今日何で来たの?」
「え?えーと…電車とタクシーで来ました」
始めからタクシーという手もあったが今回は電車を選択した。
というのも東京にいた時は電車で通学していたため、電車の方が使い慣れているからである。
「じゃあ車出してあげるよ」
「え?」
おそらく江ノ島まで送ってくれるということだろう。
しかし俺はこの後直接江ノ島には帰らない。
断って納得してくれるかな?
「えっと…俺はこの後ちょっと寄りたい場所があるので…」
「じゃあそこも寄ってもらうね!」
あ、これダメなパターンじゃね?
「え、えとそこまでしてもらう申し訳ないですので…」
「いいよいいよ!気にしないで!」
ダメみたいですね…。
まあ、何で行こうが恐らくは問題はない。
ただ心配なのがその場所から江ノ島までの道のりなんだけど…。
まあでも次の行き先まではタクシーを使おうとしていたが、民間のタクシーよりは海軍関係の車の方が色々楽かもしれない。
………ここは甘えさせてもらおう。
「……それじゃあよろしくお願いします」
「うん!任せて♪」
任せてとは言っているがもちろん大佐が運転して送ってくれるわけではなく、憲兵が送ってくれるのだ。
その後外に出るともう既に車が止まってた。
………仕事早いっすね。
まあ、恐らく元々待機させていたのだろう。
「それじゃあ今日はありがとうございました」
そう言って俺は敬礼をする。
「いえいえ!またおいでね♪」
大佐は敬礼と共にそう明るい声で返した。
車に乗り込む。
俺が乗り込んだのを確認すると憲兵は車が発車させた。
そして次の目的地に向かって車は走っていく。
俺はただ外の景色をずっと眺めていた。
ーーー同日 17:25
ーー磯子鎮守府
目的の場所が見えてきた。
向かった先は磯子鎮守府。
規模はそこまで大きくはない。
ただこの鎮守府では艦娘の扱いはあまり良いものではないらしい。
暴行があるという話は聞いたことないが、結果を残せない艦娘には暴言を浴びせているだとか。
つまりあまり良い場所ではないのは確かだな。
車ごと中に入る。
中に入ったところで車はそこで待たせ、俺は鎮守府の入り口へと向かった。
ここでも案内役がいるのかと思ったがいない。
仕方ないので近くの艦娘や憲兵に聞いて執務室へと向かった。
……やはり先程の横須賀に比べると雰囲気はだいぶ違う。
横須賀では艦娘は皆生き生きしているように感じたが、ここでは全体的に暗い気がする。
まぁ、うちと比べれば全然明るいんですけどね!!!
うちも早くまともに出撃できるくらいには復興しないと。
などと考えている内に執務室に着いた。
ノックをする。
「入れ」
中からは男の声。
「失礼します」
中に入るとそこには四人の少女と一人の女性、そして一人の男が居た。
「江ノ島の高砂です」
そう男に向かって敬礼をする。
「君か……よく来たな」
男の名は笹井、階級は中佐。
年齢は50代くらいだろう。
白髪もあり、髭も生えていた。
いかにも軍人って感じである。
「早速で申し訳ないのですが…例の娘達は…」
「ああ、こいつらだよ」
そう言って目の前の少女四人を指した。
……そう彼女達が父に頼んで調べてもらった『不要』となった艦娘である。
彼女らはまだ幼い。
そんな中で不要となり異動となれば心のダメージは計り知れない。
だからこそ不要になったから異動とは直接言ってはいないのだろう。
おそらくはただ単に部隊ごと異動になったと。
ただなるべく怖がらせないようにまず自己紹介をした。
「俺は江ノ島の高砂大輝、みんなの名前は?」
そう言うと左の黒髪の少女から名を言い始める。
「暁よ!一人前のレディよ!」
「響だよ」
「雷よ!かみなりじゃないわ!」
「はわわ、あ、あの…電です」
一通りの自己紹介?が終わった。
「皆、これからよろしくな」
「「「「はい!」」」」
皆返事をする。
この娘達は第六駆逐隊と呼ばれる四人組で彼女達は皆姉妹である。
広い意味で捉えてば吹雪とも姉妹となるらしい。
とりあえず先に車に行っててもらおう。
「じゃあ入り口に車が止まってるから、先に行って乗り込んじゃっててくれる?」
「任せておいて!」
暁がそう言うと四人は部屋を出て行った。
そして静かになった部屋でやがて笹井中佐は口を開いた。
「………本当にあいつらが必要なのか?」
「ええ、彼女達は立派な戦略になります」
………やはりこの男は性格が終わってるな。
「あいつらは何にも取り柄がない。使えないぞ?」
「何かしらの長所はあるでしょう?それに、使えるか使えないかは人それぞれでは?」
イライラを隠してなんとか反論する。
「まあ、それもそうかもな、今の江ノ島の状態ではな?
ただいつか君もきっとそう思う時が来るぞ?」
「愚問ですね、俺は一人一人を生かした戦いがモットーなので」
「はっ、綺麗事だな。そんな世の中上手くいかないぞ?」
「綺麗事かどうかはやってみなきゃ分かりませんよ?」
「ふっ、威勢は良いな。流石は元帥大将の息子さんだな」
………こいつ。
まるで挑発してくるように笑みを浮かべる。
正直ここで父のことは出してほしくない。
ただ、今回の人事において士官学校卒業から直接江ノ島へ着任したことに関しては、そう言われても仕方ないところはある。
それに俺のことをあまりよく思っていない人も多い。
……だからこそ結果を残さなければならない。
父は俺に甘いところはあるが、基本仕事には私情を挟まない。
おそらく侮辱されたーみたいな感じて父に言ったとしてもおそらくはそのくらい我慢しろと言われるのがオチだろう。
だからこそ今は冷静に。
「とにかく彼女らは必要な戦力です」
「…まあ、君がそこまで言うのならとやかくは言わんよ」
「……では俺は急いで戻らなけばいけないので」
そう言ってドアへと向かう。
「……せいぜい頑張りたまえ」
そう後ろから挑発するような声で言われる。
そこで俺はドアの前で振り返り
「……笹井中佐、いつか必ずあなたを倒します。覚悟していてください」
そう言って俺は部屋を出た。
今回も第六話をお読みいただきありがとうございました!
遅くなり申し訳ないです…(土下座)
ただまだ落ち着かないのでまた次の投稿も遅くなってしまいそうです…。
そして今回から会話文とそれ以外の文の間に一行分スペースを開けました。
こっちの方が読みやすいのかな?と個人的には思ったので変えてみました。もし、前の方が良いなど意見ありましたらよろしくお願いします。
さて、今回の話で第六駆逐隊が登場となりました!
これで11人ですね!!!
どんどん会話が複雑になっていきます!!(泣)
とはいえそろそろ本格的に鎮守府の復興が始まりそうですね!
余談ですが今年で艦これは10周年ですね!!
10周年になったらなにか本編とは別に番外編として何か書こうと思ったり思わなかったり…。
余裕があれば書こうと思います!
それでは今回はこの辺で!!
また次回の話まで気長にお待ち下さい!!
ではでは!失礼ノシ