俺の日常に平穏が無いのはどう考えてもワンサマが悪い!【完結】   作:秋月月日

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 まさかの三話連続投稿です。
 最近、一時間半で一話を仕上げられるようになってきました……何でだろう?

 あ、そういえば、お気に入り件数が千件を突破いたしました。
 このような勢いとコメディだけの作品をお気に入り登録していただけるなんて、嬉しいこと限りなしです。
 これからも皆様に気に入ってもらえるように――とりあえずラウラを書こう、そうしよう―――んんっ! み、皆さまに気に入ってもらえるように、誠心誠意頑張って行きます!
 これからも、『俺の日常に平穏が無いのはどう考えてもワンサマが悪い!』をよろしくお願いします。



颯太は私の嫁、異論は認めないッ!

 ラウラが、キレた。

 額に浮かべた青筋をビキビキと痙攣させるラウラは俺の前へ一歩踏み出し、大口径レールカノンの銃口を迷う事無く凰とオルコットに向けた。その武器の威力は俺が身を持って実証済みで、凰の『甲竜(シェンロン)』やオルコットの『ブルー・ティアーズ』なんかでは防ぎきれない事は素人の俺でも分かる現実だ。しかも、ラウラにはドイツ軍で鍛えられた射撃性能がある。ただの代表候補生と軍隊上がりの代表候補生のどちらが強いかなんて、考えるまでもない。

 このままでは、IS学園始まって以来の大問題が起きてしまうかもしれない。

 そう判断した俺は瞬時に『シュバルツェア・フォート』を解除し、転がるようにラウラの前へと躍り出た。

 ラウラは訝しげな視線を俺に向ける。

 

「どういうつもりだ、颯太? 私の邪魔をするというのか?」

 

「まぁ待て、ラウラ。今ここで問題を起こすと、千冬先生にも迷惑がかかっちまうぞ? それに、お前がドイツに強制送還されちまうおそれもある。せっかく同じ学校に通えることになったのにすぐに離れ離れになっちまうとか、俺は嫌だよ、悲しいよ。―――だからさ、ラウラ。ちょっと我慢をしてくれねえか?」

 

「………………ふん」

 

 俺の言葉に頭を冷やしてくれたのか、ラウラは不貞腐れたような表情で『シュバルツェア・レーゲン』を解除。胸の前で両手を組み、如何にも不機嫌そうな顔で俺の前まで歩み寄ってきた。

 は? と疑問の声を上げる俺にラウラは視線を向け、

 

「貴様の言う通りにした。偉いだろう? 頭を撫でる許可を与える」

 

「…………あ、あー。うん、ラウラは偉いな、流石は俺の婿だ」

 

「~~~♪」

 

 何度目かも分からねえが、もう一度言わせてもらおう。―――ラウラは天使、異論は認めない!

 俺に頭を撫でられて気持ち良さそうに喉を鳴らすラウラ。猫のように目を細めているところなんか、もう俺の理性がフルバーストしそうでなかなか心臓に悪い。法律が無かったら光の速さで家にお持ち帰りしているところだ。そして両親と妹に紹介するんだ~~♪

 俺の大活躍で大人しくなったラウラの喉(頭から順に辿り着きましたが、何か問題でも?)を優しく撫でつつ、俺は千冬先生に言う。

 

「っつー訳で、千冬先生。戦闘演習はやめた方が良いと思うんスけど……」

 

「はぁぁ。まぁ、お前の言う通り、今日は面子が悪すぎるな」

 

 その如何にも面倒臭そうな表情はやめたってください。凰とオルコットが悲しんでますから。

 俺の大活躍(大事な事だから二度目を言いました)によって騒動が収まった過去を思い出していたのか、千冬先生はガシガシと頭を掻き、一組と二組の生徒に向かって大声でこう言った。

 

「それではこれから、七人グループに分かれて実習を行う! 専用機持ちである織斑、柏木、オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒがリーダーとなる事。いいな? それでは分かれろ!」

 

 そう、千冬先生が言い終わるや否や、俺と一夏とデュノアの元に女子が群がって来た。

 

「柏木君、一緒に頑張ろうね!」

 

「分からないところがあるから、いろいろと教えて欲しいな~」

 

「柏木君のIS、格好いいね~」

 

 ああ、これが俗に言うモテ期というヤツか。いやぁ、入学してからずっと一夏に人気を総取りされてたと思ってたが、これは中々俺も捨てたもんじゃねえな。一夏とデュノアの方に集まってる女子の方が多いというのは悲しい事だが、それでもこの現実は中々に嬉しい事だ。ああ、神様ありが――

 

「―――颯太?」

 

 前言撤回。今すぐに俺をこの方々から解放してください!

 冷たい表情で俺に向かってレールカノンを構えている俺の婿がすっげぇ怖いです、先生。あの瞳、完全に俺を殺しにかかってますよ? 浮気だーって言って平気で腸をぶちまけるような表情ですよ?

 絶対冷怒なラウラに全力で頭を下げつつ、俺は必死に千冬先生にアイコンタクトを送る。先生、この状況を何とかしてください―――と。

 俺のアイコンタクトを受けた千冬先生は「はぁぁ」とまたしても面倒臭そうに額を指で抑えつけ、

 

「この馬鹿共が……出席番号順に各一人ずつグループに入れ! これ以上もたつくようならISを背負ってグラウンドを周回してもらうからな!」

 

 ツルの一声ならぬブリュンヒルデの一喝によって蜘蛛の子を散らすように瞬時にグループ分けをこなした生徒達は「うぐぐ……っ!」やら「えへへー」やら、様々な表情をその顔に張り付けていた。どうやら、自分が望む班に入れた者とそうでない者で抱く感情が異なるらしい。……因みに、何故かラウラも悔しそうな表情をしていた。お前はそもそもグループリーダーだから俺と一緒には端からなれんからな?

 

「それでは、各自訓練機を取りに来るように。一班に一機だからな? 決まりを護れなかった奴は、今日の放課後までISを背負って学園周りを周回してもらう! それでは――始めッ!」

 

 織斑千冬という鬼教官の監視の下、一年一組と二組による合同実習が開始された。

 その授業の時間、全く持って生きた心地がしなかった、とだけ言わせてもらう。

 

 

 

 

 

  ☆☆☆

 

 

 

 

 

 午前の授業が終わり、昼休み。

 俺はラウラに引っ張られる形で食堂へと移動していた。因みに、俺とラウラの行く手を阻むような勇者は一人もいなかった。そりゃまぁ、ラウラが視線で女子たちを迎撃してたから、誰も絡みに来れなかっただけなんだろうが……コイツ、以前に比べて大分感情表現豊かになったよなぁ。

 迷う事無く列に割り込もうとしていたラウラに「日本じゃ割り込みは禁止なんだ」と教え込み、無事に券売機へと辿り付いたところで、ラウラが俺の顔を覗き込んできた。はて、一体どうしたんだろうか?

 

「颯太、貴様はいつも何を食べているんだ?」

 

「え? あ、ああ、そうだなぁ……俺はこの、牛丼の大盛りを食べてるな。サイズ良し味良しで、この食堂での俺のオススメだ」

 

「そうか、了解した」

 

 そう言って、ラウラは迷う事無く牛丼の大盛りの食券を購入した。―――何故か二人分。

 そして何の躊躇いも無く手渡される牛丼の食券。

 

「…………ラウラさん?」

 

「気にするな、颯太。これは久しぶりに貴様に会えた私からの贈り物だ。この嬉しさは言葉では言い尽くせないからな、この食券で少しだけでも貴様に分かってもらおうと思ったまでの事。――だから、遠慮はせずに受け取ってくれっ」

 

 そう言って、ラウラは子供のような笑顔を浮かべた。

 ……ああっ、やっぱりラウラは俺にとっての天使だなぁ。顔良し性格良し気遣い良し、それに優しさまで備えてるとなりゃあ、もうコイツ意外に俺の結婚相手は考えらんねえわ、マジで。いいよ、ラウラと結婚できるなら、嫁にでもなんでもなってやらぁ!

 ラウラとイチャイチャできる幸せを噛み締めながら、俺は牛丼を受け取って窓際の席へと移動した。うん、この席は人気があるから空いてて良かったな。料理を持ったまま席を捜して彷徨うなんて、流石に嫌だし。

 いただきます、と食前の儀式を終えた俺はのどを潤す為に水を口に流し込み―――

 

「颯太」

 

「ん?」

 

「学園卒業後に結婚式を挙げるから、それまでにある程度の準備は終わらせておいてほしい」

 

「ぶ―――っ!?」

 

 本日二度目の虹のアーチが爆誕した。

 ゲホゲホゲホッ! と激しく咽た後、俺は涙目ながらにラウラに問いかける。

 

「い、いきなりすっげぇ話題を放り込んでくんなよ、ラウラ!」

 

「何をそんなに驚いているんだ? IS学園を卒業する時には、颯太は晴れて十八歳。無事に結婚式を挙げられる年齢になっている。だから、卒業式が終わってすぐに日本で結婚式を挙げる。――これは決定事項だ、異論は認めない」

 

「予想を遥かに上回る未来設計ッ!? つ、つーか、結婚式は日本でいいのか? お前としちゃ、ドイツでの結婚式の方が良いんじゃねえのか?」

 

「ふんっ。愚問だな、颯太」

 

 フフンッ、と綺麗な形の胸を張り、ラウラは得意気に返答する。

 

「颯太が生まれ育った国こそが私の第二の故郷だ。貴様が生まれた国で結婚式を挙げられる事こそが、私にとっての最上級の幸せなのだよ」

 

 ああ、本当にヤバい。この子、イケメンすぎて俺の男としての尊厳が粉々に打ち砕かれちゃうっ。

 い、いやまぁ? ラウラがそうしてえなら別にいいんだけど? た、ただ、こんな転入初日から卒業後の未来設計をされてるとなると……男として情けなくなっちまうわけでしてね?

 ラウラは箸で牛丼を食し、俺に笑顔を向けて言う。

 

「勿論、颯太がウェディングドレスを着るのだろう?」

 

 

 俺の未来設計に大きな亀裂が入る音がした。

 

 

「な、何を言ってるのかな、ラウラ? お、男の俺が、うぇ、うぇうぇうぇウェディングドレス? は、はは、ははははは。ら、ラウラは冗談が上手いなぁ」

 

「なに? 日本では嫁になる方がウェディングドレスを着る、とクラリッサから聞いたのだが?」

 

「ねぇマジでそのクラリッサってヤツ一度ここに連れて来てくんねッ!? 俺のラウラにすっげぇ歪んだ日本知識を植え付けちゃってるそいつを一回でいいから打ん殴ってやりてえんだけどッ!?」

 

「お、俺のラウラ、だなんて……いい、響きだな……ッ!」

 

「ヘイッ! ちょっと現実に戻ってきてくれませんかねラウラさん! まだ俺のウェディングドレスの話は終わってねえよ!?」

 

 俺がウェディングドレスを着るとか、どんな罰ゲームだよ!

 ラウラは箸を口で咥えつつ、俺の顔をじーっと見つめる。

 

「し、しかし、私は、その……」

 

「その、なんだよ?」

 

「そ、颯太のウェディングドレス姿を晴れの舞台で見るのが、ゆ、夢なんだ……」

 

 ちらっ、と上目遣いをするラウラ(天使)。

 そして、儚く打ち砕かれる俺の理性。

 更に、何故か覚悟が決まってしまった俺のバカ。

 俺はテーブルから身を乗り出してラウラの両手を強く握り締め、両目から大量の涙を流しながら彼女に叫ぶようにこう言った。

 

「よーっし、分かった! お前の為に、結婚式では俺がウェディングドレスを着てやる! あははっ、もうどうにでもなれーっ!」

 

「ほ、本当かッ!? 流石は私の嫁だ! 大好きだ、愛しているぞ、颯太!」

 

「あははっ、あははははははっ! 女装だろうがなんだろうがかかってこいやぁーっ!」

 

 柏木颯太、十五歳。

 結婚式でウェディングドレスを着ることが決定いたしました。




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 次回もお楽しみに!
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