私のたった1人の親友は脊髄剣になりました   作:古戦場

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小説初心者です。

よろしければ誤字脱字報告お願いします。m(_ _)m


第1話

 

 

自分の個性がなんなのか、ヒーローを知っている4歳までの子供はそれが1番気になるだろう。

 

私、身纏 命(みまとい めい)もそうだった。

 

だが私の個性は、生命への冒涜であり、多くが夢見るヒーローによって打ち倒す敵に相応しいといえる個性だった。

 

その時の私は絶望していた、4歳ながらその個性の異質さを理解し、知られればどんな目で見られるか、どんなことを言われてしまうのか、分かってしまったのだ。

 

個性を知ったその日、私は誓った

「死ぬまで個性を使わない」と。

 

 

♦♦♦

 

 

とある最悪の日。

私の倫理観がちょっとおかしくなってしまった日。

私が誓いを破ることになった日。

 

割と都会、背が高かったり低かったりするビルが建ち並び、本当にたまに流行りのスイーツに行列ができていることもある街を、中一の男女がしょーもなく、くだらない話に笑いながら下校していた。

 

1人は私。

小学校卒業と同時に引っ越してきて、知り合いが誰もいないなか2年、未だに友達は1人しか居ない。だが、その1人の友達は親友であり、両親と同じくらい大切な人間だ。

 

 

もう1人は、同じ理由で教室で孤立し、そして私に話しかけてくれた、私の唯一の友達であり親友である田中。

彼には個性のことを話していて、両親を除けば私の個性を知る唯一の人間だ。

彼は、私の個性についての思いを聞いて、受け止めてくれた。

 

 

田中はヒーローになるのが夢で、話す内容は9割がヒーローについでだった。

田中の『ジェット』という個性もヒーローっぽく、雄英高校に入学する為に毎日個性の練習をしていた。

私はそれを応援していた。

 

 

 

その日私は、登校する時に見つけた近道出来る裏路地を通ろうと提案した。

 

してしまった。

 

ビルや飲食店の間の道は、生ゴミ臭い所もあったが、少し行けば民家や使われなくなったビルだらけで、ゴミが落ちてるなんてことは無くなった。

遠くから、建物の間を反響するパトカーのサイレンの音が面白いとか喋りながら、狭い路地を十数分進んだところで、少しだけ広い道になった。

4人並んで通れるくらいの道幅だ。

民家の塀に挟まれているが、2階建てが1軒で他は平屋なため圧迫感はそんなになかった。

 

 

そして、50m先に見るからに怪しい2人組。

 

 

全身黒い衣服で揃え、目出し帽を被っている細身と中肉中背の男性2人組。

手にはハンドガンと、重そうな黒いバック。

 

 

いかにもな格好に戸惑っていると、怪しい2人組はこちらに気づく。

1人がこちらに向かって、ローラースケートで進むように、走る程度の速度で近付いてくる。

恐らく、そういった個性なのだろう。

 

もう1人は、早足でこちらに近付きながらハンドガンを構えていた。

 

逃げなければ、そう思い隣の彼に目を向けたその瞬間。

 

 

パスッ

 

 

サイレンサーに抑えられた小さな、そして乾いた音が聞こえた。

 

 

彼の白いシャツの腹部に、赤が広がっていく。

 

彼は自分が撃たれたことに気付き、下を向いて自分の腹部を確認すると即座に顔を上げ、手に持っていた制服をこちらに走ってくる奴に、通学カバンをハンドガンを撃った方に、個性を使って投げつける。

 

 

滑って近づいてきた方は、風を切る程の速度で飛んできた制服のブレザーを避けられず、それを顔面に受けて後ろに派手に倒れ気絶した。

 

 

問題はハンドガンを持っている方だった、その男は投げつけられた通学カバンを大きな口で食べたのだ。

間違いなく個性だ。口に含む様子もなく、呑み込んだような動作も見られなかったので、口に入った瞬間消えたとした言えない。

 

 

その光景と、田中が撃たれたことで混乱している私は、突然地面が遠くなったことに驚き正気に戻る。

 

田中は私を小脇に抱えて、個性で飛んで逃げるつもりだった。

しかし、腹部を撃たれた痛みで制御が不安定になったのか、近くの廃ビルの4階の窓に突っ込んだ。幸い、ガラスはなく窓枠に擦り傷をつけられるだけで済んだ。

 

 

さっきまでの激動が嘘のように静まり返った廃ビルのとある部屋。

息切れだけが響いていた。

 

通報は既にしてあった。

今の時代、スマホの非常用機能ですぐ通報でいるようになっている。

 

飛んでいる時にも撃たれたらしく、背中にも血が拡がっていた。

私は、止まらない血に涙目になりながら

自分の制服のブレザーとシャツで出血を抑えようとしていた。

 

「あいつら、…最近出てきた強盗ヴィランだよ。僕のカバン食べちゃったのは…『悪食』って個性だね…個性を使って食べるとなんでも消せるらしいよ」

 

 

「喋らないでッ! 田中は自分の血止めることだけ考えててよ!」

 

 

血に染っていく白いシャツに反して、彼の顔は血の気が引いて青白くなっていく。

 

 

「間に合わないよ。この出血じゃ、気を失っててもおかしくない。」

 

 

誰よりも頑張ってヒーローを目指していた彼の横に立てるように、真面目に必死に身に付けてきた知識が彼の言う残酷な現実を肯定していた。

 

 

「そんな事言わないで? 大丈夫だから…絶対大丈夫だから…」

 

 

震える声は、幻想に縋る私から出たものだった。

 

 

「あいつ、…多分もうすぐここに来る。今から逃げても生存率はかなり低い。…ごめんね、逃げられなくて…そして残酷なことを言ってしまうことに対しても」

 

 

怖かった、彼が死んでしまうのが。

 

 

「何も言わないでよ…隠れてればきっと…助かるって」

 

 

分かっていた。小さいビルだ、簡単に見つかる。

だとしても、希望を失いたくはなかった。

 

 

「身纏さ、最後まで抗ってみようよ。僕はもう…個性を使えるほど元気じゃない、もうすぐ死ぬ。だから生きてる内に、僕に個性を使ってよ。僕の体は『悪食』のヴィランが食ったとでも言えば…なんとかなる」

 

 

「な…に…言ってるの…?そんな事…出来ないよッ!出来るわけないじゃんッ!」

 

 

今の彼が言う言葉なんて理解したくないのに、理解してしまう。

 

 

「倒すことは…考えなくていいんだ、逃げて欲しい。だけど…このままじゃ無理だ。だから最後に、親友として身纏を助けて死にたい。大丈夫、君が…僕を殺すんじゃない、救うんだ」

 

 

「…ッ! そんなの!」

出来るわけが無い、そう言ってしまったら彼は、その瞬間に死んでしまうのではないかと思ってしまった。息絶え絶えに、顔を白くしながら、死を悟りながら、最後の望みを語る。

 

 

「身纏が僕を救って…僕が身纏を救うんだ。最後に夢を叶えさせてはくれないか?…身纏の、『ヒーロー』にならせてくれないだろうか。こんな不甲斐ない姿を晒して言うのも…おかしなことだね」

 

 

断れない、断れるはずがない。死ぬ前の最後の願い、それも実現可能で、真面目なもので、自分が応援してきたもの。

唯一の親友の死ぬ前の願い。

 

 

「…分かっ…た、 ……私はね、もっと喋りたかった。田中が雄英ヒーロー科で、私はサポート科に入って。個性のことよく知ってるから…毎日話してくれたから…」

 

 

最後の時間を無駄にしないように、話しかけながら、親友の脚を、腕を、内臓を戦争(たたかい)の為の武器に変えていく。

 

「…文字通り、ずっと私の中にいるから。だから別れの挨拶は無いよ、またね田中…また…会おうね」

 

「…ありがとう」

 

涙は枯れていた、不思議と、喪失感は思ったよりなかった。死ぬまでの方が辛かった。

彼の痕跡は消え、自分の意思によって出納出来る武器へと変わっていた。

4つの武器と12の弾丸に姿を変えていた。

 

(あぁ、いなくなっちゃった。唯一の親友。…この足音は、あのヴィランだよね…殺さなきゃ、もし記憶を読み取れるヒーローなんていたら、この個性(こと)がバレちゃう)

 

4つのうちの1つ、田中でできた肉々しいハンドガン。

トリガーは彼の人差し指でできていた。

装填したのは彼の心臓でできた弾丸。

撃たれれば心臓麻痺起こして死ぬ弾丸。

弾痕は残らない、対象が死んだ時この弾丸は消滅する。

 

(さっきまでの声で部屋はバレてる…なるべく距離を詰めて、入口から見えた瞬間に…)

 

バンッ!

 

その銃声は、静かな廃ビルによく響いた。

目を見開き、後ろに倒れ行くヴィランと目が合った。

この日、私は2人の人間を殺めたことになる。

既に倫理観は狂っていて、銃弾を放った時も、ヴィランと一瞬目が合った時も何も感じなかった。

 

 

息絶えたヴィランの頭を、天井を崩して出来たコンクリで殴っておく。

 

殴られたことによるショック死に見せるためだ。

 

ヴィランのハンドガンのサイレンサーを外し、銃弾を1発抜く。

 

最後の銃声が自分のものだとバレないようにだ。

 

彼の来ていた服を自分のバックに詰めて、見つからないように廃ビルの外の側溝に落とす。

 

後で回収すれば彼がヴィランの個性で殺されたことに矛盾が無くなる。

体内にあった銃弾2発も回収しておいた。

 

それら全ての工程を、指紋を付けずに終了させたところで、ヒーローと警察が到着した。

その日は、恐怖でおかしくなった振りをして乗り切った。

後日、矛盾が無いようにまとめたストーリーを話して終わり。カウンセリングも大丈夫だと断らせて頂いた。

 

ヴィランは、私がコンクリで殴って殺したことにしたが、正当防衛になるため無実で済むようだ。

 

 

私はヒーローにならなければならない。

彼の願いを引き継いで、彼が助けるはずだった命を救うために。

 

 

♦♦♦

 

 

あの日から3週間ほど、学校では進路の話が出ていた。

 

「お母さん、お父さん、私ヒーローになる。雄英高校のヒーロー科に行く」

 

あの日のこと、田中との関係性、学力、これらは私の進路を後押ししていた。

だが、私の個性はヒーローになる道を進む上で、必要不可欠で、それでいて壁としてその歩みを阻んでくるだろう。

 

「…強くなって、人気になればその個性も認められる筈よ。でも、絶対に死ぬような真似はしないで。それが出来ないのであれば、在学中であろうと、ヒーローとして活躍していたとしても辞めてもらうわ」

 

「個性の幅を広げなさい、入学試験までに野生の動物や虫からでも武器を作れるようになれれば、俺もその進路を応援する。ただ、お母さんと同じだ。命の行動に危うさを見つけ次第、その道は諦めてもらう」

 

 

母も父も、それが無理なことは分かっているはずだ。

ヒーローは危険と隣り合わせ、いつ死ぬかなんて分からない。

誰かを守る為には、危険に飛び込まなければならない。

分かっているけど、言わずには居られない。

分かっているけど、真っ向からその進路を認めないとは言えない。

 

「…分かった、ありがとう」

 

 

 

 

 

これが、私-身纏 命-のヒーローアカデミアの始まりだ。

 






田中はずっと私の中で生きてるよ

個性『ジェット』
関節部分から熱くない炎のようなものを噴射し、その勢いで飛んだり、素早く動くことが可能。使い過ぎると疲労、関節が痛くなる。


武器が強力ですが、思い通った人間の了承ありきの生成でしかこの性能の武器は作れません。
野生動物程度では、特殊な効果が着くことは無く、能力も人に使うのははばかられるため、主人公最強にはならないと思います。

田中臓物銃で田中の心臓使いました。

田中臓物銃のグリップは、手の形をしていて握手する形で握ります。

トリガーは田中の人差し指です、エモいですね!

弾丸残り11発です。田中無くなっちゃう…
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