ABDA逃亡記!   作:創生路ハイローラー

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 皆さまお久しぶりです。むっちゃ長くなってしまいました。


第5話

 2044年5/9 11:30

 

 それからABDA艦隊は休むことなく南へと向かった。連戦の疲労も出始め、限界が来ていた。給油艦ペコスがいたおかげで燃料は何とかなったが、ここ数日整備ができなかった艤装は悲鳴を上げている。

「マーブルヘッドさん、今どこ?」

 ポール・ジョーンズが訊いた。始めはホイップルと2人で馬鹿話をしていたが、話が尽きてすっかり黙っていた。それでも落ち着かないのか、しきりに位置を聞いてきた。

「えっと、確か前に聞かれたのが1時間前だから、もう少しで見えて来るはずよ」

「そういうこった。バリ島はもう見えてるし、あと少しで休めるから頑張れPJ」

 ペコスが昼食用のMREを配りながら言った。

「またMREかよ。今食ったらスラバヤでの飯が減っちまう」

「だからって食べなかったらここで倒れるわよ」

 ホイップルがぼやくのをペコスがたしなめた。

「あんたらはいいさ、俺達なんかぼろぼろのライ麦パンにスパムだぜ。こんな16世紀レベルの飯じゃ壊血病になる」

 エンカウンターは昨日開けたスパムの缶から肉を取り出し、パンにはさんだ。

「俺はそっちの方がいいから交換しようぜ」

 ホイップルはエンカウンターのサンドイッチと交換した。

「やっほう!まともな飯だ・・・お、おう。お前も大変だな」

「「「メシウマ!」」」

 ホイップルはサンドイッチに一口で撃沈され、英国駆逐艦達はMREを分け合って感動の涙を流していた。

「ヒューストン、煙草かコーヒーの粉はないのか?ちょっとイライラしてきた」

「我慢しろ。スラバヤで箱買いすえればいい」

 ボイシも煙草を切らして不満を垂れた。オランダ組も眠っているロイテルをジャワとパースが交代で負ぶっている様子だ。そんな中エクセターは疲れた顔を見せず、間もなく入港するスラバヤにコンタクトを取ろうとした。深海棲艦のジャミングかノイズが多く、聞き取りづらい。

「こちらABDA艦隊旗艦、エクセター。スラバヤ軍港へ、間もなくそちらに到着する。入港許可を」

《こちらスラバヤ基地防空管理局、入港を許可したいが旗艦らの背後に敵艦隊を補足している。迎撃しろ》

「こちらは疲労が激しく、弾薬も残りわずかだ。補給を優先したい」

《だめだ。今すぐ迎撃しろ》

「・・・了解。背後に敵艦隊あり、全艦回頭せよ」

 エクセターの指示で全艦回頭した。

「この状況はまるであの時とそっくりですね」

 エレクトラが不安そうに言った。

「安心しろ。我々は失敗を繰り返さない」

 エクセターはラングレーに指示して偵察機を発進させた。

「偵察を絶やすな、常に相手の動きを報告させろ」

「はいな!」

 間もなく偵察機からの報告が入る。敵は2個水雷戦隊と背後に重巡2隻を連れ、さらに遠くには輸送船団がいた。

「ここまで史実通りとは、天は我々にあの時の復讐をしろと言っているようだな。ここで奴らを叩き、ABDAの名誉を取り戻せ!」

 エクセターは敵水雷戦隊を見つけると、早速砲撃開始の合図を出した。

「また見えない魚雷で攻撃されたりしませんよね?」

 ジャワが不安そうに言う。

「敵に酸素魚雷は確認されていない。火力の優位で押し切れる」

 エクセターの言う通り敵の不意打ちはなく、ABDA艦隊は軽巡5隻分の火力が幸いして敵を圧倒することができた。

「敵軽巡に命中弾!目標炎上中やで!」

「俺の弾だ!」

「いや、私でしょ!」

「私ですよ」

「○○○△!」

「ロイテルちゃんかわいい」

 砲撃を続けつつも戦果を競い合う軽巡達。駆逐艦の射程に入り、駆逐艦も砲撃に加わると戦況は決定的となった。

「最後の駆逐艦を破壊!」

「よし、敵重巡は丸裸だ。攻撃を続行せよ」

 エクセター達の砲口は重巡2隻に向いた。敵は遠距離から魚雷を発射する。デ・ロイテルとジャワに向かった魚雷であったが、パースが早めに魚雷を見つけ、回避が間に合い全艦無事だ。

「「lk val aan, volg mij!(我攻撃す、我に続け!)」」

 ロイテルとジャワが先頭となり次々と重巡に命中弾を出した。エクセターとヒューストンの主砲斉射によって敵重巡は無力化され、駆逐隊が雷撃処分した。

「敵艦隊全滅を確認・・・我々は過去を克服した!」

 エクセターが宣言した。各艦が歓声を上げた。

「やったー!」

「勝った!勝ったんだ俺達!」

「・・・○△、××□□(これで、これでドールマンのお墓に行ける)」

 皆それぞれに思い思いに喜んだ。特にロイテルとジャワは特別な思いだった。

「さあ、諸君。早く戻るぞ。旅はまだ・・・」

「待って!偵察機から報告。西から敵艦隊接近!え、東から?北も?どないなっとんねん?!」

 直後に敵の砲弾が炸裂する。

「くっ、すぐにスラバヤに入港して補給、再出撃する」

 エクセターは歯噛みしながらも、艦隊を先導した。すでに半包囲状態で、戦艦級の砲弾が雨のように降り注ぐ。

「うわぁ!?」

「コルテノール被弾!」

「ポープがやられた!すぐに下げさせろ!」

「スラバヤ基地、わが艦隊は敵の攻撃を受けて撤退中。すぐに補給の準備をしてくれ!おい、スラバヤ基地!応答しろ!すぐに入港するから出迎えの準備をするんだ!聞いてるのか!」

「エクセターさん、あれ・・・」

 パースが震えながら正面を指差した。スラバヤの方向から敵爆撃機が飛んできた。

「くそ、対空戦闘準備」

 輪形陣を取って対空攻撃をするが、多勢に無勢だ。

「燃料層に被弾!?うわああああ!」

「艦載機が燃えとる!早く消火して!」

 爆撃をもろに食らったペコスとラングレーは火災を起こして火だるまになった。

「雷撃来ます、5時方向!」

「駄目だ!よけきれない!」

 敵雷撃がロイテルに命中した。

「ロイテル、機関浸水。速度出ません!」

 続けて砲撃がロイテルに集中した。ロイテルは大破して息も絶え絶えだ。

「ロイテルちゃん!駄目、死なないで!」

 他のオランダ艦がカバーに入る。ジャワは泣きながらロイテルを看護しようとした。だがロイテルはその手を拒んで首を横に振った。ロイテルはもうしゃべることもできない。震える手で腰のベルト手をかけ、短剣を外してジャワに渡そうとした。

「ロイテルちゃん・・・そんな」

 ロイテルはいやがるジャワに無理やり短剣を握らせようとした。ジャワもロイテルの気迫に負けて短剣を取ろうとしたところで、手を掴まれた。

「待ちなさい!」

「パースちゃん、ヒューストンさん」

 パースはロイテルに掴みかかると、顔をひっぱたいて、涙ながらに話した。

「一人で格好つけないでよ・・・あの時、貴女がいなくなってどれだけつらかったと思ってるのよ・・・」

「私ももうあんな思いはしたくない。ロイテル、必ず助けるから」

 パースがロイテルを担ぎ、ヒューストン達米軍が殿となって敵を防ぐ。しかし、前衛のイギリス艦隊から大きなどよめきが起きた。

「湾内から何か出てきます!あれって・・・」

「南方・・・棲戦姫・・・だと!?」

 人間味の欠ける白い肌とそれよりも白い二つ括りの髪、漆黒の巨大な禍々しい武装。戦艦2隻を圧倒し、要塞を破壊しつくし、シンガポールを占拠した張本人。南方棲戦姫だ。

「そんな、最初からスラバヤは・・・」

「フフフ・・・モウ、キヅイテモ、テオクレ・・・。シンガポールニイナクテサガスノガホネダッタガ、オマエタチハココデ沈ム」

 シンガポール襲撃の目的は海峡占拠ではなく、ABDA艦隊の抹殺であった。南方棲戦姫が手を挙げた。敵の砲口が一斉にこちらを向く。もはや艦隊は完全に包囲されていた。

「ふざけやがって!!」

 ボイシとマーブルヘッドが南方棲戦姫に攻撃する。しかし、いくら歴戦の彼女達でも所詮は軽巡、南方棲戦姫には傷一つけられない。

「オロカナ」

 マーブルヘッド達は南方棲戦姫の副砲で薙ぎ払われて吹き飛んだ。2人を救出しようとした駆逐艦達も敵の戦艦の砲撃で損害を受けた。

「ツギハオマエダ」

 南方棲戦姫の砲口がエクセターに向けられる。火力では勝負にならないとわかっているエクセターは、抜刀して近接戦を仕掛けた。

「うおおおおおおおおおおおおおおお」

 エクセターの予期せぬ突撃に、南方棲戦姫の反応が遅れた。身をかわすが、鋭い横薙ぎが南方棲戦姫の顔に掠める。

「クッ、コシャクナ・・・」

 顔の傷から重油が吹き出し、南方棲戦姫の表情がゆがむ。エクセターはそのまま南方棲戦姫の心臓に向かって剣を奔らせた。

「バカメ!」

 剣は南方棲戦姫によって掴まれてしまった。エクセターは首を掴まれそのまま持ち上げられてしまう。

「キサマハカンタンニハ殺サナイ。死ヌマデフクホウデイタブッテヤル」

 南方棲戦姫は首を絞める手を強めつつ、副砲を次々と打ち込んだ。

「うあああああああ、貴様などに、ああっ!」

「フフフ、モット悲鳴ヲヒビカセロ。泣キワメケ!ラクニシテホシイトイエ!」

「誰が貴様などに・・・あぁぅ」

「ナニヲ叫ンデモムダダ。死ニカタヲ選バセテヤッテルンダ。ワタシノジヒヲウケロ」

 服も体もぼろぼろにされ、吊るされているエクセターは見るに堪えない姿になっていた。ABDAの面々もその凄惨な姿に立ちすくみ、恐怖のあまり助けに行くこともできない。

「エクセターを離せ!」

「このぉ!このぉ!」

 勇気を振り絞ったエレクトラとエンカウンターが立ち上がって南方棲戦姫に突撃した。もう弾薬はなく、銃剣をつけた突撃である。

「バカメ」

 南方棲戦姫は主砲で受け止める。主砲2基が壊れたがもう2基の主砲で二人を吹き飛ばした。

「オモシロイ、コイツヲイタブルヨリモ、ホカヲ沈メテコイツノココロヲ壊シテヤル」

 重巡リ級がエレクトラとエンカウンターを掴みあげ、砲口を向ける。他の艦娘達も次々と捕まっていく。

「やめろ!やめるんだ!」

「ナキサケベ!オマエノセイデナカマガ沈ムゾ、オマエノセイダ!絶望シロ!後悔シロ!ソシテワタシノカテトナレ!」

 エクセターの懇願空しく、全員が捕まってエクセターの前に並べられる。泣き叫ぶ声と、あきらめて神に祈る声、流れる血の臭い、そして深い絶望がその場を満たしていた。

「ギャハハハハハハハ!サア!沈ムガイイ!悲鳴ヲアゲテワタシヲタノシマセロ!!」

 南方棲戦姫が手を振り上げる。艦娘達の絶望がより強くなり、南方棲戦姫の興奮が最高潮に達した。

(もう、だめ・・・また私は、繰り返すのか・・・この運命は、逃れられないものなのか・・・)

 エクセターの強靭な心も目の前の理不尽の前に崩れようとした。

その時、風切り音と共に何かが頭上をかすめた。続けて南方棲戦姫の悲鳴が聞こえ、エクセターが解放される。

「がはっ!いったい何が!?」

 エクセターが振り返ると、南方棲戦機の腕がなくなっていた。

「イヤアアアァァァアアアアアアアアアアアアアウデガアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 南方棲戦姫はパニックを起こして状況を把握できなかった。他の深海棲艦たちにも動揺が広がる。10秒とたたない間に、今度は艦娘を処刑しようとしていた重巡リ級達の頭が吹き飛んでいった。

(正確に敵の頭を撃ちぬいてる、いったい誰が)

 

 

「命中確認!すべて頭部、はずれなしです!」

「お見事です、利根姉さま」

「はっはっはっ、当然じゃ。吾輩が『止まっている』目標を外すわけなかろう!」

「私も続けて砲撃します!」

「距離、速度、よし!全問斉射!」

 主戦場から距離500、比叡、霧島、利根、筑摩が主戦場に向けて砲撃を始めた。

「案内ご苦労じゃったエドサル坊。吾輩たちの腕は上がったか?」

 利根は4人の隣で彼女によく似た少女に肩を貸されながら、望遠鏡を覗き込むエドサルに話しかけた。少女の名はスチュアート、またの名を第102哨戒艇、「浮気なおてんば娘」。日本に鹵獲され護衛艦として運用された経験のある彼女は、ABDAの通訳としてしばしば日本鎮守府へ赴いており、フィリピン陥落の時も船団護衛でブイン泊地へ行っていた。フィリピン襲撃の報を受けて比叡たちと共に救援部隊に参加、偶然瀕死のエドサルを発見、救出した。エドサルによって連合国の状況が伝わり、エドサルを案内役に連合艦隊は救援艦隊を派遣したのだった。

「はい!すごいです!」

「姉さんったら、訓練の時いつもあなたのことを思い出していたわ」

「お主ことがあって、吾輩も精進の大切さを思い出すことができたからのう。お主には感謝しておる」

「妙高さんより連絡です。突入準備完了しました!」

 スチュアートが報告した。

「砲撃止め!私達も加わるわよ!」

「気合入れて!行きます!」

 

 

 エクセターは解放された艦娘達と共に残りの仲間たちを救出し、最後の戦いを仕掛けた。弾薬が尽き、乱戦となり武器を捨てての殴りあいとなった。

「うおおおおりゃああ」

 敵を殴り、銃剣で刺殺し、首をへし折っていく。当初は混乱する敵を倒せたが、消耗と数の差で次第に押されてきた。

「ジャワ、PJを見てやってくれ!ボイシ、まだ立てるだろ、駆逐艦を助けに行け!」

「エクセター、突破しようにも弾がないとどうしようもない!」

 ヒューストンが叫ぶ。援軍が近くに来ているとはいえ、これ以上持ちこたえるのは難しい。

「くそっ、何か手はないのか・・・」

 エクセターは唇をかみしめた。その時

《ABDA艦隊へ!今すぐ南へ30移動しろ!》

 無線から男の声が聞こえる。

「何か来るぞ!南へ移動!」

 エクセターは咄嗟に艦隊を移動させた。すると何の前触れもなく敵艦隊が次々爆散した。

「あれは・・・見えない魚雷!?」

 沈んでいく深海棲艦たちの向こうに人影が見える。

「神通さんはいなくても、華の二水戦参上です!」

「はいは~い、第4水雷戦隊参上だよ」

 ABDA艦隊はその名を聞き、戦慄し、安堵した。自分たちを屠った最強の水雷戦隊が援軍としてやってきたのだ。

「お待たせしました。艦隊をお守りします!」

 雪風がABDAにそういうと第2水雷戦隊は敵戦列に飛び込み、次々と敵を倒していった。

「やっぱり強いな、比べ物にならない」

 ジョン・D・フォードは思わずつぶやく。

「オノレ・・・クチクカンフゼイガァァァァ!」

 南方棲戦姫は他の戦艦たちと共に第二水雷戦隊に主砲を向けた。だがしかし、

「おっと、貴様の相手は私達だ」

「これ以上、やらせません!」

「10門の主砲は伊達じゃないわよ!」

「妙高型重巡、押してまいります!」

 妙高、那智、足柄、羽黒が間に入り、40門の50口径20cm砲が一斉に火を噴いた。南方棲戦姫たちは何とか持ちこたえるが、武装がほぼ使えなくなった。

「ツギハカナラズ沈メテヤル、イギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 南方棲戦姫は大声で叫びながらシンガポールへ逃走した。

「まてっ!」

 エクセターは咄嗟に立ち上がって追いかけようとした。だが、誰かに手を掴まれる。

「駄目よ、怪我して服もないのに動いちゃ。今は私達に頼りなさい!」

 髪に赤いピンをつけた人懐っこそうな少女がそこにいた。重傷のエンカウンターを肩に背負っている。

「すでに手は打っています。あなた方の名誉を守る形で」

 妙高がそう告げた。

 

 

「・・・ハァ・・・ハァ・・・スイライセンタイフゼイニ、コノワタシガナゼコンナメニ・・・」

 南方棲戦姫は闇夜の中、運命を呪いつつシンガポールへ向けて逃走していた。あの後、士気崩壊を起こした深海棲艦はバラバラに潰走をはじめ、多くが日本軍の攻撃によって沈められた。南方棲戦姫の下にも何隻もの護衛がいたが、日本軍の執拗な航空攻撃によって残ったのは大破した戦艦ル級2隻と、リ級1隻、そして主砲1基を残してすべての兵装が破壊された自分だけだ。

「オノレ・・・ABDAカンタイ、ニホン軍・・・オノレオノレオノレオノレ!カナラズ沈メテヤル!!!!」

 無様な姿で息巻く南方棲戦姫。だが、暗闇の中から突然耳に引っかかる独特の音が鳴り始め、意識が冷たく戻る。

「ナンダ!ナンナンダコノオトハ!?」

 未知の音に思わず身構える深海棲艦たち。直後に発砲音があり、リ級とル級の一隻が喰われた。

「キモチワルイキモチワルイキモチワルイ!」

 南方棲戦姫は頭を押さえつつ主砲を乱射する。

「ソコカ!」

 南方棲戦姫は発砲炎のあった方へ砲撃した。しかし手応えはなく、逆に砲撃を受けて最後の砲塔がお釈迦になった。

「ル級!奴ヲ仕留メロ!」

 戦艦ル級を向かわせるが、閃光の後音もなくル級はいなくなった。

「クソッ!ドコニイル!デテコイ!スデデ殺シテヤル!」

 すると突然照明弾が南方棲戦姫を照らす。そこいたのは4連装砲塔が特徴的な艤装に身を包んだ、少女なら誰もが憧れる王子様と見紛う戦艦娘。さらに燃えるような赤い髪、キルトを纏いオイルの付いた抜身の剣を携えた戦艦娘がいた。そして取り巻きの駆逐艦の少女達がバグパイプを吹き鳴らしている。

「王子、敵はもはやすべての火器を失っております。早くご処分を」

 キルトの少女が男装の少女に言った。

「そのようだなレパルス。だが、相手は腐っても戦艦。礼儀を持って葬らねばならないよ。幸い片手はあるみたいだ」

 王子はそういうと、駆逐艦の腰から銃剣を抜いて南方棲戦姫に放り投げた。

「王子、危険です」

「レパルス、私がウォースパイトおばさま以外に剣の試合で負けたことはあるかな?」

「・・・ございませんね」

「化け物君、君のせいで私の家はめちゃくちゃ、楽な田舎勤めも終わってしまった。今すぐ君の首をはねてやりたいけれど、慈悲深い私は君に名誉の死をあげよう。かかってきなさい」

 王子・・・プリンス・オブ・ウェールズは自らサーベルを抜いた。南方棲戦姫に剣で一騎打ちを挑もうというのである。

 南方棲戦姫は理解するのに時間がかかったが、敵が一騎打ちをしようとしていると思い至ると、まだ勝機はあるという追い詰められた楽観と怒りと殺意に頭がいっぱいになり、銃剣を取ってすぐに襲い掛かった。

「ウヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 南方棲戦姫はふらつく足を引きずり、ぼやける視界で必死にPoWを捉えて突進した。しかし、所詮は剣術素人の手負い戦艦の動き、振り下ろした剣は空を切り、逆にPoWの剣が南方棲戦姫の喉笛を切り裂いた。

「ガハッ」

 致命傷を負った南方棲戦姫はあおむけに倒れる。もはや長くはもたないだろう。

「終わったぞレパルス。奴はもうおしまいだよ。始末してあげなさい」

 南方棲戦姫は首を掴まれて正座させられる。レパルスがその巨大な剣、クレイモアを掲げた。バグパイプの音が激しく鳴り響く。

「やれ」

 PoWの指示でレパルスは剣を勢いよく振りかぶり、次の瞬間南方棲戦姫の首が宙を舞った。レパルスはそれを豚の腸でできた袋に入れて、腰にぶら下げる。PoWはそれを満足げにみると無線に話しかけた。

「ありがとう我が同胞。おかげで味方の仇はとれて、本国への土産物もできた。記者と冷凍船をすぐに用意してくれないか。明日の新聞はきっと売れるよ」

《喜んでくれて嬉しいデース!約束は憶えてますネ?》

「ああ、もちろん。本国とも連絡をつけておく。そうはいっても本国の方が速く動くかもしれないが・・・」

《どちらにしろそうなるべきものデース。妹たちとティーパーティーする約束も覚えておいてくださいネ!》

「あら捜しするからしっかり教育しておくんだね。じゃあ、シンガポールで」

《気をつけてくださいネー》

 無線が切れ、王子たちは南方棲戦姫の胴体を残してダーウィンへと立ち去った。

 

 




那珂「もう、遺書の準備は、できたかなぁ?(提督に英国紳士パンチを食らわせながら)」
提督「ワレナガラ!モウアイタクナイ!」
那珂「投稿おくれた上にいきなり8000字投稿はないと思うよ、ねぇ!」
提督「前後編にしようと思ったけどちょうどいい切れ間が無かったんだよ!」
那珂「だからって詰め込みだよ!エクセターのキャラもたってないのに!」
提督「勢いで書いてるから仕方ないだろ」
那珂「勢いで書かなきゃいいでしょ!最近投稿ペースおくれすぎじゃない?」
提督「テスト勉強で寝る暇もなかったんだよ!」
那珂「鎮守府もここ半年ずっと開けてるし、サークルで提督って呼ばれてるけど、全然提督やってないじゃん!」
提督「ウヅキガデナクテココロガオレタ」
那珂「このロリコン!」
提督「睦月型はみんな俺の嫁!」
那珂「本妻の夕張さんに言いつけちゃってもいいの?」
提督「ぐぬぬ」
那珂「まあ、忙しかったのは仕方ないし、皆提督を許して・・・(ピロリロリン)携帯だ」
夕張《提督、提督が先週買った脱出エロゲだけど(ピキッ)》
那珂「てーいーとーく?」
提督「事実だ!命だけは助けて!(バァン)・・・・・・」
那珂「・・・以下キャラ紹介」


プリンス・オブ・ウェールズ「大戦当時のイギリス軍最新鋭戦艦、キングジョージⅤ級の一隻が私、プリンス・オブ・ウェールズです。姉上と同じ直線を多用した船体と4連装砲塔。まさしく最強の戦艦にふさわしい威容を誇り、チャーチルのお気に入りでした。え?砲塔故障?出撃のたびに大破?重箱の端をつつくような話ばかりしていると、私のようなイケメンにはなれないよ(周囲にバラを咲かせながら)」

レパルス「スコットランドフェアフィールド・ゴーヴァン造船所生まれの巡洋戦艦、レパルスです。特徴は軽巡のようにスリムな船体と重武装(そして紙装甲)の韋駄天戦艦です。ビスマルク追撃戦の後、PoWさんの世話役として同行したけど、まさかあんな事になるとは、やっぱり時代なんでしょうかねぇ」

スチュワート「怪我してスラバヤで昼寝してたら、なんか日本軍に入れられてたスチュワートです。日本では第102哨戒艇として、多くの『戦友』の仇である潜水艦ハーダーを沈めてました。アメリカの人たちは私の幽霊が出たと思ったらしいです。戦後は故郷に帰って標的艦として一生を終えました。かつての祖国に弓引くのはつらかったかって?何言ってるんですか?私の仕事は弓を引くことですよ」

まだ少し続くよ
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