どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

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「なぁ?」
「ん?」
「メシ、奢ってくんね?」
それが、彼との出会いだった

0070年、ジオン共和国で

ギレンと、エイジが出会った


眉間にしわが寄る

「ギレン総帥、本日の書類です。」

「そこの山に載せて置いてくれ。」

「はっ。」

はぁ

コンコンコン

「誰だ?」

「おぅ、入るぜ?ギレン総帥さま。」

「お前か、用件は?」

「お前を休ませに来た。」

「帰れ。」

「いや、家はここだし、何処に帰るんだよ。」

はぁ

「まぁ、冗談だ、

 コレが俺の構想にある

 『改・ムサイ級戦闘艦』の概要だ。」

既に宣戦布告寸前まで我がジオン公国は

熟していると言えよう

「コロンブス級貨物船を

 そのまま利用したMS搭載能力追加、か。」

あの連邦から買った

(パクったとも言うが)

貨物船製造ラインもそのままが使え

装甲も貨物船である以上元から分厚い

「しかし、これでは弱いな。」

コスト面で言えば有益に見えるが

工程が増える、つまり

メンテナンスに時間を割かねばならない

「そこはこうやって解決するんだよ。」

設計図を確認すると

「なるほど、そのまま下に付けるだけか。」

ムサイには二つの主機関が搭載されており

非常時は切り離せる、そこをそのままに

船体胴体下部にレールを追加し

最小限の乗員連絡ハッチ

固定器具を追加するだけで改装は終わる

「コロンブスの艦橋はそこまで大きくないし、

 メンテナンスで切り離しも容易だ、

 そして。」

「動力の併用で推進剤の消費も少なく出来る、か。」

「だろ?既にジオニックやら、ツィマット

 スウィネンにもこれに準じた改装案を

 作成依頼を出してある、

 オマケでMIPにも出せと言ったが

 あんまり良い案は無さそうだ。」

「ほぅ、総帥に事後報告とは良い度胸だ。」

「何言ってんだよ、

 軍需兵器開発本部局長を

 任命したのはお前だろ?

 MSのコンソールは

 流石に『マ・クベ』の声を

 止められなかったがな。」

「アレはお前に相談しなかった俺の責任だ、

 ツィマットには悪い事をしたよ。」

「まぁ、それもあって『ヅダ』の

 剛性不測の洗い出しも出来た、

 デュバル少尉には辛いだろうが

 アレは必然だった。」

「では?」

「『ヅダ』はエース向けの

 受注生産に落ち着かせたよ、

 ザクのリミッターを外しまくる馬鹿の対策にも

 一役買ってる、ギリギリプラス評価、かな?」

「そこまで懐は温かく無いのだがね?」

「それは知ってるさ、

 今、近隣のアステロイドベルトへ向かえる

 採掘団を募っている、

 早ければ明日には定員に到達する。」

「ほぅ?」

「コロニー丸々一つを採掘船に改装したからな、

 一回の往復で得られる鉱物資源は

 かなりの量になるだろう。」

とある事件で廃棄されていた

コロニー群の中にはちょっと弄れば

推進機を復活出来た

そこで『格安で連邦から買い付け』

ニコイチにして巨大な船に仕立てた

核パルスエンジンはアクシズの運搬ノウハウから

最新型を搭載

護衛艦艇もムサイよりは

改修したコロンブス級を充てた

まぁ、ムサイは『とある作戦の為』

使えなかったとも言える

「戦いたくない者を集めたのか。」

「そうとも言えるし、

 ダイクン派もかなりいた。」

「そのまま持ち逃げされてしまうのでは?」

「安心しろ、『ご家族は家で護衛している』」

そう言うと、笑いだす

「すまんすまん、

 お前を早くに放りだしたのは正解だったよ。」

「お前なぁ、

 ま、兎に角、離反は暫く大丈夫だろう、

 そもそもの男手が必要だからな、

 女性は下手について行かせると、な。」

「ソレに関しては私も悩ましい所だよ。」

そりゃぁ、荒くれ者で

軽度とは言え犯罪歴のある男達の中に

非力な女性を放り込めば

慰み者にされるのがオチだ

このズムシティですら年に数回発生しているのだから

「ただ、改装艦艇は間に合わなだろう?」

「すまん、既に6隻、家で改装、

 試運転まで済ませている。」

そう言って報告書を数枚出して来る

内容は、まぁ、現場サイドから

やり易い!広い!腹面の防御兵器も素晴らしい等々

「事後報告を止めろと言った側からコレか。」

「まぁ、新造艦を真っ先に押さえたのは

 悪かったって、

 ただ、コレで『現行ムサイの欠点もわかった』」

「ほぅ。」

「搭載機数6機は無理だ。」

「今からの設計変更こそ無理だが?」

「すまん、既に止めている、

 そして、改修が進んでいるのが60隻だ、

 それらは『作戦に間に合う』」

あぁ、ギレンの眉間にしわが寄って行く

「主な改修は?」

「あぁ、先ず船体後部の

 ハッチは資材庫に変更させた、

 居住区画もそこに増設している、

 そしてコロンブス級に関しては

 連邦の生産ラインのコピーがあるからな、

 アクシズ、ソロモンで既に生産は

 フル稼働している。」

「その60隻の改修ムサイで

 MSの数は足りているのか?」

「1隻に10機のMSを

 『直立状態で搭載できる』」

「足りんでは無いか。」

「今はな、まぁ、ザクの量産とは言っても、

 今の『流体パルスシステム』じゃ、

 一機組みあがるのに丸一日作業だ

 ザクⅠのほとんどを

 『作業用に改修しても足りん』

 ツィマットにもヅダを作業機として

 駆り出せと通達したが、

 こちらも流体パルス式だ、

 推進器はこの際標準以下でいいから量産しろと

 ドついて来たが、なんとも要領を得ない反応だ。」

「時間が必要だな。」

「そこでだ。」

そう言って、また設計図を出して来る

「『ヨルムンガンド』では無いか、

 既に開発中止を・・・ほぅ。」

見れば、ムサイ下部に接続し

『砲艦ムサイ』なる愉快な名前が記載されていた

「連邦の方が艦艇のノウハウが上だ、

 なら、質で上回るしかない。」

「で?幾つ『出来上がった?』」

「改修済みが30隻、改修待ちが40隻だ、

 ハッチ部分は若干延長して

 上下にメガ粒子砲を追加してある、

 『後ろに撃てる主砲もあるぞ?』」

「なるほど、コストは・・・まぁ、

 1.3倍か、妥当だな、進めろ。」

「それとな?」

このクロッキー帳に書いてあるのは

コイツの取って置き専用が描かれている

私とコイツ以外知らない物だ

「やはり、『地球出身者のお前は』

 どうかしているよ。」

「そいつはどうも、

 ガガウル級駆逐艦を

 『対空専門家』に仕立てた、

 コイツを『ムサイの護衛に充てる』」

「対空・・・我々スペースノイドには

 聞きなれない言葉だな。」

見れば『実弾の連装対空火器』を山盛りにした

ガガウル級が描かれており

主砲である連装メガ粒子砲は

『レールガン』に変更されていた

「何隻出来上がっている?」

「40隻、

 後は、シミュレーター訓練で

 どこまで対応出来るかどうかだ。」

「そのデータは?」

「あぁ、俺がエグザンプルデータだ。」

あぁ、コイツに乗せるなと言ったのに

「連邦が可哀そうに思えて来るな。」

「どう言う意味だそれ。」

「そのままだよ。」

「後は。」

「あぁ。」

この日、0078年10月の暮れから

ジオン公国は臨戦態勢に突入する

 

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