どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

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その時、歴史が壊れた

 

「すまない、シーマ・ガラハウ少尉。」

 

私は今日死んだのだろうか?

そう勘違いしたくなった

 

「あ、頭を上げてくださいっ!?

 副総帥!!

 こんな一介の少尉に

 アンタの頭を下げちゃいけないよっ!!」

 

先のブリティッシュ作戦を決行するに辺り

態々副総帥が激励に来てくれていた

そんな全体の挨拶が終わり

『なぜか、私は呼び出された』

 

「貴女にはこれから

 一番辛い作戦を行って貰う事になるんだ、

 頭一つ下げても足りないよ。」

(全く、男ってのは

 ピンからキリまでホント、変だよ)

「せめて、私が呼び出された理由を

 お聞きしたいのですが。」

「この部屋は防音です。」

「そ、そりゃぁ、各部屋は

 エアロックも兼ねてますから。」

(ま、まさか、アタシが目当て?

 バカな、もう30も後半になる

 オバさんだって言うのに)

「これは、口頭でしか伝えられない

 『アナタの信頼する部下達の生死に関わります』」

「っ?!」

(アタシの小隊に?)

「恐らく、アサクラ大佐は

 貴女方に『嘘の作戦を伝える筈です』」

(この人は何を言っている?)

「そして、

 アサクラ大佐は『ギレン派』の一人です。」

「っ、それで、私はどう動けば?」

「はい、

 『指示された通りに動いて欲しいのです』

 毒ガス入りのタンクを

 運搬し接地、

 その際、『コレ』をザクのコンソールに挿して

 そのまま『フルオープン回線で流してください』」

 

俺の声で最後通告が流れます

 

「あ、アンタ、そんな事したら。」

「はい、『ギレン派』の中でも強硬派に

 目をつけられるでしょう、

 もし、それが流れなければ

 『貴女方の独断で作戦が行われた』と

 アサクラ大佐は騒ぎ立てるでしょう、

 そうなれば『貴女方は帰る所を失います』

 それは困るんです。」

「そ、それが本当だとして、

 アタシ達になんのメリットがあるんだい?」

「帰る家を失いませんし、

 『俺の直轄小隊に所属が変わります』」

「アンタの派閥に入れと?」

「そぅ、ですね、

 そう言えたらいいんですけど、

 俺、副総帥の立場ですけど、

 精々、大佐と変わらない給料なんで

 飯を奢るのが手一杯ですね。」

はぁっ!?はっはっはっっ!?

「ぁ~、だめ、ですか?」

「はははっ、す、すみません。」

「いえ、

 正直、アナタの笑顔でチャラですよ。」

「ば、バカな事言ってんじゃないよ!!」

「あはは、振られましたね、

 兎に角、貴女方を

 『派閥争いに巻き込んでしまうので』

 その謝罪をしたかったんです。」

「了解しました、

 今作戦後、必ず迎えに来てくださいね?」

「勿論、

 流石に飲酒は控えて欲しいんだがね。」

「おや、珍しい。」

「あはは、

 情けない事に医者から止められまして、

 今はお菓子がお酒替わりですよ。」

「っ!?ククク、し、失礼、

 いや、アンタはホントに副総帥なのかい?」

「役職は副総帥ですけど、

 所詮、そこら辺に居る暇人の様な人間ですよ。」

(あぁ、こんなに笑ったのは何時以来だろうか?)

ひとしきり笑われた後

「迎えの際は甘いお菓子を

 弾んでください、副総帥。」

「おう、選りすぐりと

 俺の手作りを持って行くよ。」

 

 

ルウム戦没 前日

 

「ソンネン少佐。」

「え?は?あんたは?」

「失礼、俺は、エイジ・コイズミ、

 先の『副総帥』をやらせて貰っている。」

慌てて敬礼をするソンネン少佐から落ちるケース

「あっ。」

「ほら、抑制剤だろ?」

拾って受け渡す

「あ、ありがとうございます。」

「今は、時間大丈夫かな?」

「ぁ、はぃ、大丈夫、であります。」

「普段通りで良いですよ、

 あくまで『お忍び』なので。」

「えぇ?」

「ヒルドルブをね、見に来たんですよ。」

「コイツを?」

「・・・ソンネン少佐、

 連邦の61式は余裕で倒せますよね?」

「え?あ、はい、

 各装甲は61式を想定した装甲と、

 無限軌道を備えていますので、

 速度でも余裕で対処出来ます。」

「後は、コスト、か。」

(あぁ、やはりこの人も必要が無いと)

「うし、

 ヒルドルブと『俺の構想戦車』と

 模擬戦して貰えますか?」

「は?」

 

 

まぁ、厄介な相手だ

焼夷弾で牽制しても『突っ込んで来て』

10km圏内で連射して来るレールガン

そして『メガ粒子砲』

どうかしてるぜ

 

奴さんがそのパワーに振り回された所を

こっちの主砲を叩きこんで

大人しくなったかと思えば

仕留め切れて無くてな?まだ動きやがる

も~出来る手の内を全部出しきって

撃ち勝ったようなもんだ

 

「はぁ~、やっぱ現職には勝てないわ~。」

「ご謙遜を、アレだけ動けていれば

 連邦の戦車どころか

 MSだって撃破出来るでしょう。」

「よし、あ、生産部?」

(ん?)

「そうそう、ヒルドルブ・タイガーⅠ

 全力生産開始しちゃって、

 大隊長はソンネン少佐で決まりって

 人事部に伝えて。」

「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!!

 アナタは一体何を言って!?」

「え?

 あぁ、伝わって無かったのか、

 デメジエール・ソンネン少佐。」

「あ、はいっ!」

「本日付で

 『第二次降下作戦に参加し』

 ヒルドルブ・タイガーⅠの戦車大隊を指揮し

 連邦を叩いて欲しい

 当面の任務は

 補給物資の落着地点の護衛だが、

 降下作戦が終了次第、

 副総帥直轄大隊となり、

 総司令部付きとなる、

 パイロットは既に人数は確保したが、

 まだ乗り始めたばかりだ、

 ソンネン少佐、では無いな、

 ソンネン大佐、二階級特進とし、

 ヒヨコから『オオワシ』に

 化けさせてみろ、

 時間が惜しい、すぐさま教練に向かい、

 鍛えてやってくれ。」

「~っ、はい!

 オオワシ所か怪物に仕立てて見せます!!」

 

 

ルウム戦没 直後

 

「ケン・ビーダーシュタット少尉、入ります。」

「すまないね、

 そのまま気を楽にして欲しい。」

書類とタブレットをせわしなく操作する副総帥

「は、発言を宜しいでしょうか?」

「構いません。」

「本日の御用件をお聞きしたく思います。」

「ケン少尉、

 その真面目さは素晴らしいですね、

 ま、俺はこうして砕けて喋るので、

 真面目に楽にしてくれよ。」

「は、え?で、ですが。」

「時間が惜しいので直ぐに

 作戦に移って欲しいんですよ、

 『ブリティッシュ作戦

  ルウム戦没で破損した』

 コロニー、宇宙艦艇、

 『戦死者』の、可能な限り『回収を』

 お願いしたいんです。」

「え?」

「知っての通り

 我がジオン公国は

 『小惑星』以外の資源を持たない

 『無資源国家』です、

 なので、『ある物』を

 片っ端からかき集める必要がある。」

「それは。」

「そこでだ、

 確か前職がコロニー公社だったね?」

「っ、はぃ。」

「その件は済まない事をした、

 ご家族は『俺の部下』が確保して

 今、こちらに向かって貰っている。」

「は?え?」

「そして『外人部隊』に関わる方々は

 俺が抱えている、

 MS、MW(モビルワーカー)を駆使して

 片っ端から集めて欲しい、

 そして『コロニー再建』を直接依頼したい。」

「戦争の後処理をさせると?」

「違うさ、

 国内にも連邦からの『移住者』にも

 『戦争に直接は参加したくない』

 けど、何かをしたい

 そんな人々がかなりいるのだよ、

 そこで『外人部隊』である

 ケン大佐、臨時昇級扱いで

 現時点から『コロニー再建大隊』の

 護衛隊長として、力を貸して欲しい。」

「・・・俺達が裏切るかもしれませんよ?」

「その時は

 『コロニー再建』はパーだ、

 俺は失脚、即刻処刑だろうな。」

「家族は、無事、なんですね?」

「勿論、

 ただ、例のアプリにお子さんと

 奥さんがハマったみたいでね、

 その分は給料に上乗せしておくよ、

 コロニー再建の進捗に合わせても

 ボーナスを出すし、

 戦死者をご家族に返せるだけ返す、

 コレは俺の『ある事に必要なんだ』

 お願い出来るかな?」

 

 

ジャパン 某所

「うし、ドズルに送る分はコレで良いかな?」

借りたレンタカーには

パンパンに荷物が詰め込まれている

 

「さて、いく、か?」

 

パーン

 

(銃声、どっちだ?)

偵察ドローンをすぐさま打ち上げる様に

『マゼラン』に連絡する

 

『ドローン射出完了』

「よし、俺の位置から恐らく北だな、

 そっちを重点的にレーダー探査、

 ドローンの映像を俺の端末に、

 ジャパンの方は俺が直接向かう。」

『了解、お気を付けて』

___

「あぁ、エイジさん、何事ですか?」

「銃声です、

 誰かが追われているようなので

 その為の探査レーダー波です、

 申し訳ない。」

「なっ?!

 警備隊に連絡、銃声を確認、

 『ジオン公国』と連携し

 事に当たれ。」

「・・・よろしいので?」

「複雑ではありますよ?

 コロニーの落下から半月もせずに

 『HLV』や、落下傘での

 救援物資、救助用機械

 MSで残骸の撤去、

 建造物再構築など、

 『何も送って来ない連邦政府』よりは

 遥かに貴方方は人道的に思えますよ。」

「え?連邦に属しているんですよね?」

「形だけですよ、

 農産物、機械製品を輸出していましたが、

 買いたたかれるだけでしたので。」

「なんと、まぁ。」

『こちらマゼラン

 ドローンが逃走中の子供を確認、

 後方に複数の熱源、

 音声も届きました、

 どうやら〈取引現場を〉見られたようです。』

「警備隊、周辺道路と建造物閉鎖、

 MSでの鎮圧もあり得るので

 逐一情報を共有するように。」

《了解》

『マゼラン、了解』

___

程なくして警備隊と

その追跡者が撃ち合いを始め

子供をこちらが保護をし

結局、ザクⅡで介入、

5分とかからず鎮圧

(踏みつぶしたとも言う)

事後処理はジャパンに任せる事になった

 

(よし、マジで嫌がらせしてやろ)

 




ジャブロー

地下司令部

『レビル将軍!!大変です!!
 上空から大量の
 我が方の大気圏突入カプセルが
 降り注いできましたっ!!』
「なんだと?
 各航空機はスクランブル!!
 仕方がない、MSも準備だ。」



落下して来る突入カプセルは
『十万を超え』
その中には
『戦没者』が丁寧に身なりを整えられ
所狭しと収蔵されていた

そして、それを確認したのか
『全世界に向けて放送が始まった』

《本日未明、
 我がジオン公国は
 これまでの『両軍の戦没者』の
 回収、返還を準備して来た、
 その第一陣が先程、
 『ジャブロー近郊に落着した』
 連邦に属する各国に願う、
 『戦没者をご家族の元へお返し願いたい』
 家族を、友人を、自国を守るために
 散って逝った戦士達を
 せめて祖国の大地に眠らせて欲しい》

結果、ジャブローに
桁違いの問い合わせが殺到
ジャブロー通信網が
全て、ダウンする大惨事となった



「あ~、少しはスッキリしたかな?」
「ぁ、あれで少しですか、兄さん?」
「ガルマ、イセリナ嬢をちゃんと
 リードして労われよ?」
「兄さんに言われるまでもないよ!!」
あ、イセリナ嬢がお腹さすってる
早ければ半年後には膨れて来るのかな?
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