どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

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お嬢とマゼランのクルー

「ほい。」

「はい。」

「ほい。」

「はい。」

 

ぬぅ、また負けた

 

「ぱぱ、へた。」

「そう言うなって、

 艦内じゃ強い方なんだぞ?」

「そうなの?」

 

艦長席でなにをしてるかって?

ジャパンで拾っちゃった女の子と

『オセロ』をしてるのだが

20連敗中

 

「副総帥、間も無く転進地点です。」

「おう、

 ぁ~、名前、いい加減教えて?」

「や~。」

そう、教えてくれないのだ

「お嬢、捕まってて。」

「は~い。」

 

ゆったり艦首を向けるマゼランは

目下、木馬追撃中で

 

なんか知らんが海岸線を北上して来るとか

カルフォルニアベース舐めてんのか?

と、流石に腹が立ったのでシメに動いてます

 

シャアは一応回復したので

試作ドムに放り込んだ

 

ヅダはフレーム調整が間に合わないのと

予備パーツを降ろすのに

2週間かかるとか

待ってられないので

パーツがあるドムを持って来た

オデッサで各環境に合わせたドムを

24時間体制で増産している

 

早速、黒い三連星もドムに乗り換えて

塗装を黒くしていたが

『ジェットストリームアタック』は

俺がいとも簡単に撃ち破ったので

他の戦法を模索しているとか

シミュレーターの模擬戦は

3対1で俺が12戦8勝中

まぁ、実機は乗らないので

実機演習ではどうなるやら

 

「ん~?」

「お嬢?どした?」

「ぱぱ、『もうちょっと左』」

 

え?

 

「左?」

「うん、『なんか不貞腐れてる

     男の人の感じがする』」

 

マジかー

 

「進路、左に微調整、

 お嬢、どれぐらいだ?」

小さな手で

「こんくらい?」

「微調整、4度。」

「了解。」

 

どうしてお嬢の事を聞くのか?

まぁ、太平洋を横断している時に

 

ククルス・ドアンと言う脱走兵を見つけたのも

『お嬢』だったりする

 

そして、俺は『その場の防衛任務を与え』

『脱走を不問にした』

ドアンは驚いていたが

『邪魔されなけりゃそれで良いので』

ほっときたいのが本音だ

 

そこから離れ

暫く航行すると

『なんかすっごいのくるよ?』

『なんだ、すっごいのって?』

『こんなの!』

小さな手でわしゃわしゃしながら

『落とす動作をしたのだ』

『大気圧、測定急げ!!

 緊急浮上!!高度1万2千!!急げっ!!』

ま~3分と経たずに

積乱雲が大量に膨れ上がった

そして『台風』いや、こっちだとなんだっけ?

『ハリケーン』だったか

巨大兵器と勘違いされたが

『コレが台風と言う物だ』と、俺が落ち着かせた

 

はっきりとした『台風の目』に

直径が30kmと、馬鹿でかい

恐らくコロニー落着による気象変化の副産物だろう

 

辛くも台風に巻き込まれるのを

回避できたのをきっかけに

『お嬢の一声』は、クルーの心の支えにもなった

 

幾人かは、サイド3に奥さんと子供、

幾人は妹がいて、歳も近いとか

女性クルーは可愛くて仕方ないので

良く面倒を任せている

流石にトイレは一緒に入れないし

お風呂は女性クルーに任せた

 

そんなマスコット的な『お嬢』が

 

「なんかへん?」

「どんな感じよ?」

「お家壊して道作ってる。」

 

と、どうやら連邦の補給・修理が進んでいるようだ

距離はまだ2000㎞も離れているのに

この娘は・・・大丈夫だろうか

この後、戦闘が始まると言うのに

 

「お嬢。」

「は~い!」

「お嬢は卵を知ってるか?」

「たまご?しらな~い。」

女性クルーに目配せし

絵本を持って来て貰う

 

「コレが卵だ。」

「あ~!こけこっこさん!!」

「あぁ、その・・・まぁ、

 赤ちゃんを守るためにあるのが『卵』だ。」

「へ~っ!!」

「お嬢、

 怖いのが来たら、

 卵を思い浮かべなさい。」

「なんで~?」

「お嬢に襲い掛かって来るからな、

 俺はそのおっかないのと

 戦わなきゃならんからな。」

「ぇ。」

「それを追い返す間は

 お嬢を見ていられないんだ、

 そこで、お嬢は『たまご』で、

 自分を守って欲しい。」

「パパは?」

「ん?まぁ、なんとかするさ、

 お嬢、俺は・・・あぁ、ごめんな。」

 

ダメだ また、涙が止まらない

 

「ぱぱ、いたいの?」

「すまん、まぁ、

 パパは、こうして泣いて

 痛いのを流せるからな、

 お嬢は、まだ上手く出来ないからな、

 だから『たまご』で

 むっ!って、『ガード』するんだ。」

「ぅ~。」

「お嬢。」

「わかった、やって見る。」

女性クルーにお嬢を受け渡す

「頼んだ。」

「了解、お嬢、いこ?」

「ぅん、ぱぱ。」

 

頬っぺにキスをされる

 

「おまじない。」

「そか、ありがとう、お嬢。」

 

 

息を入れ

 

「総員、戦闘配置、巡行速度から戦闘速度へ

 各部署、状況開始。」

「了解。」

 

悪い子にはオシオキしなきゃな

 

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