どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

26 / 89
切り離された世界と会合

「ラル大尉、

 木馬以外に

 島影からMSの反応です、

 コードはザクⅡの模様ですが。」

「ふむ、

 ドズル閣下から聞いていた

 《脱走兵》が居ると聞いていたが。」

「アナタ、アレは、ザクⅡなのですか?」

「よし、小僧、

 貴様は子供達を

 避難シェルターへ連れて行くんだ。」

「ドアンさん!!」

「心配するな、

 この紋章とそこら中にある

 《岩石》があれば戦える!」

「な、なんだ、アレは?」

「ザク、ですけど。」

「オスカー、

 俺、見間違いかな?」

「マーカー、残念ながら

 コンピューターは

 《投石器》とか

 どえらい古い情報を出して来たぞ?」

 

恐らく漂着したコロニーの破片だろうか?

それに繋がるのは

『何重にも束ねられた太いワイヤーだった』

そして、幾つか

『投石姿勢』が整っていた

 

《おい、ザンジバル!

 ミノフスキー粒子をまき散らすなよ?

 此処には医療施設無しには

 生きるのすらままならねぇ子供を

 抱えてるんだ!!》

 

「いかがなさいますか?」

「いかがってなぁ。」

「アナタ、あの旗は?」

「あ、アレはっ!?」

 

艦艇を留める《錨》と《日章旗》

それらを貫く《Z》金色のZの旗は

〔副総帥・直轄大隊〕の専用旗

 

《そっちの連邦の船もそうだ!!

 こっちは戦火から逃げて来た

 子供達と重病人、重傷者も抱えてるんだ、

 いいか、ミノフスキー粒子を撒くと

 かき集めた医療設備が止まっちまう、

 嘘だと思うなら、

 何人か医療スタッフを寄越せ、

 ここにある医薬品じゃ

 治し切れない子供達が居るんだ

 ザンジバル!!そっちも同じだ!!

 医療ポッドの一つぐらい貸してくれないか!!》

 

 

「と、外部音声で言っていますが。」

「はったりか?」

「でもブライト、

 もし本当なら

 『ジュネーブ条約』とか引っ掛からないかしら?」

「しかし。」

 

『父さん!ブライトさん!!

 ドアンさんの言う事は本当です!!』

「アムロ!お前と言う奴はっ!!」

「まて、ブライト、

 アムロ、医療スタッフが必要なのは

 間違い無いんだな?」

『本当だよ、証拠の写真も

 今、ホワイトベースに送ったよ!』

 

その写真には、

直ぐにでも手術が必要な子が

幾人も映し出されていた

 

「ブライト、これは

 医者の卵である私からも、

 救助をする必要があると

 進言させて貰うわ。」

「セイラさん、しかし。」

『セイラさん、

 ガンペリーなら、物資と

 医療機械を一気に運べるぜ?』

「あら、気が利くわね、カイ君。」

『アムロの野郎が

 態々写真で送って来るって事は

 《アムロがソレを直接見ている》って事だ、

 ブライトさん、悪いが

 発進準備はもう済んでるぜ?』

「~っ、勝手にしろ、

 オスカー、マーカー、

 今日から起こる事は

 《記録に残すな》

 ジャブローの連中が

 何を言うのか解ったもんじゃ無いからな。」

 

 

「ラル大尉、

 木馬に妙な旗が掲げられています。」

「妙な旗?」

 

それは白い布に《赤十字》が描かれていた

 

「病院のマークでしょうか?」

「今日だけは休戦ね、アナタ。」

「ハモン?」

「あんな無防備に発進準備するなんて

 正気ノ沙汰には見えないわ。」

「はぁ、こちらも《同じ旗》を準備しろ、

 グフででる、事情を聞かねばならん。」

 

 

「ザンジバル、停止しました、

 あ、MSが出てきましたが、

 旗です、同じ《赤十字》の旗を持って

 降りて来てます!」

「通じたのか。」

「世界共通の《旗》よ?

 それじゃ、ブライト、

 行って来るわね。」

「せめて護身用の銃を。」

「医者の武器は

 治療道具よ、必要無いわ。」

 

 

「よかった、ホワイトベースも

 ザンジバルの方も、地上に降りて来てる。」

『小僧』

「あ。」

『何をぼさっとしてる

 重傷者と重病人を

 早く連れて来い、

 直ぐに治療して貰わなきゃならん』

「~っ、はい!」

 

 

連邦、ジオン公国のテントが入り乱れ

どんどん治療が進んで行く

 

中には意識不明の患者が意識を取り戻したり

双方の士官達に

「ありがとう!ありがとう!」

あちこちで、喜びと生きている

実感を噛み締める涙で溢れ返っていた

 

 

深夜

 

「初めまして、

 地球連邦軍、ホワイトベース艦長

 ブライト・ノア大尉です。」

「ほぅ、随分若いんだな、

 ジオン公国軍、V作戦追撃隊指揮官の

 ランバ・ラル、おいぼれだが

 同じ大尉だ。」

「ご、御冗談を、

 歴戦のお方とお見受け致しますが。」

「おべっかが上手いな、

 所詮俺は古い人間だよ、

 上司と喧嘩して降格処分されたんだ。」

「なっ、そうでしたか、

 失礼いたしました。」

「構わんよ、

 しかし、不思議な光景だな。」

「えぇ、

 まさか、戦争の真っ只中の筈なのに、

 両軍の垣根を関係なく

 『目の前の命を救うために』

 全力を尽くしている。」

「ブリティッシュ作戦、

 ルウム戦没、

 それを直で見て来た俺にとって

 コレは最高の光景に思えるよ。」

「・・・そうですね。」

「ブライト、重病人、重傷者も

 あらかた治療を終えたわ。」

「セイラさん、お疲れ様です。」

ば、ばかなっ!?

「す、すまない、ブライト大尉、

 彼女は何時からそちらの船に?」

「え?」

「ぁ、貴方は。」

「セイラさん、お知り合いですか?」

「ぇ、えぇ、

 幼少期にお世話になってた知人の方よ。」

「ぁ・・・セイラさん、

 お綺麗になられましたね。」

「もぅ、そちらは随分と叔父さんになられて。」

「よろしければ、

 あちらのテントでお話をされては?」

「ぉ、おぅ、いいのかね?」

「構いません、

 家の航海日誌には

 ここ数日の記録は『嘘の記録ですので』」

「おっと、これは不味い、

 ハモン、家の航海長にも伝えてくれ。」

「えぇ、わかったわ。」

 

 

テント内

 

「跪くのはおよしなさい。」

「いえ、テキサスコロニーでの失態を

 今ここに、させてください。」

「勘繰られると不味いわ、

 『手話』は覚えていて?」

「勿論。」

 

「それにしても久しぶりね。」

〔なぜ貴方が追撃部隊に?〕

「そうですな、

 もう十年は会ってませんからな。」

〔アルテイシア様、なぜ木馬に?

 我々は、ドズル閣下より、

 MSか木馬の奪取・破壊の

 いずれかを命令されてここに居るのです〕

「十年、もぅそんなに経つのね。」

〔そう、でも、

 私の居場所はここよ、

 ジオン公国に戻る訳には行かないわ〕

「あんなに小さかった子が

 ここまでの美人になるとは

 このランバ・ラル盲目しましたな。」

〔御冗談を、ここを出立する時に

 ザンジバルへお乗りください〕

「全然衰えているように見えないわよ、

 だって、十年も会っていないのに

 私だとわかるのだから。」

〔ダメよ、

 それに兄の行方も分からず仕舞いだし

 今のジオンは『ザビ家の圧政』なのでしょう?〕

「はっはっはっ、

 この老いぼれを褒めても

 何も出せませんぞ?」

〔それが、コイズミ副総帥のお陰で

 かなり国民に余裕が出て来て居るのです〕

「残念ね、

 お年玉でも出してくれるかと思ったのに。」

〔それ、本当?〕

「すみませんな、

 なんせ後数年もすれば退役ですので

 ロクな給金も払われておらんのです。」

〔はい、ギレン総帥の法案を

 片っ端から修正し、

 殴り合いの末、修正案を押し通したとか〕

「あら、これだけ優秀な軍人に

 薄給なんて、

 ジオン公国の懐は随分寒くなったのね。」

〔その、コイズミ副総帥って方、

 調べて貰えるかしら?

 私の記憶に無い名前なのよ〕

「出来るなら連邦に、とはいかないので、

 貧乏軍人を続けざるを得ませんよ。」

〔了解しました、

 こちらのザンジバルは機関故障とでも言って

 一旦本国に向かってみます〕

「ふふ、お互い、戦争が無ければよかったのにね。」

〔危険だけど、お願いするわ〕

「そうですな、

 ですが『ジオン公国軍人』として、

 恥じぬ生き方をこれからもしたいものです。」

〔わかりました、

 コレは私の端末の裏コードです

 本国より戻った際、

 アルテイシア様に手紙を届けさせます〕

「そうね、お互い、今は軍人、

 互いの責務の為に明日を迎えましょう。」

〔ありがとう、ラル〕

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。