「なんだか、拍子抜けだねぇ。」
砲艦ムサイに翻弄される残存艦艇は
ろくに指揮がとれていないのか
各艦艇がバラバラ砲撃を繰り返している
「お?」
戦闘狂では無い、そう自負する
シーマだが
ルナツーの岩壁から飛び出して来る
『連邦のMS』に
ニィイ
笑みをこぼさずにいられなかった
「お前ら!美味しそうな奴らが出て来たよ!!」
その一言の後、
ミノフスキー粒子が増大し
聞こえていたか定かじゃないが
『何人か着いて来た』
▽
「ジオンの奴らめ、
こっちにだってMSはあるんだ!!」
「まぁ、借りパクした奴だけど。」
「ザニーは違う!」
「はいはい、うちらは格闘戦闘出来ないんだから、
大人しく射撃支援してようね~。」
3機の『ザニー』は前に出ず
バズーカ、マシンガン、対艦ライフルを構える
「俺らに当てんなよ?」
「借りパク機体に期待すんなよっ、てか?」
「お前ら、いい加減にしろ!」
塗装なんてままならない
無機質の材質の色のまま
『先行試作量産型ジム』は
『ビームスプレーガン』を装備し
左手には最初からビームサーベルが握られていた
▽
「6機か、
副総帥からの忠告がこうも当てはまるのは
恐ろしいねぇ。」
シーマは『日本刀』に電力を回しつつ
『レールキャノン』を構える
「先ずはお試しさね、
コレを避けられなきゃ、
気を付けるのは『武器だけ』さね。」
『レールキャノン』は
ザクバズーカの改良弾頭を
撃てるように拡大改造された物で
連射速度はザクマシンガン並みだが
それをやると直ぐに弾切れするので
専ら単発使用で使われる
▽
「各機、散会!!」
追加装備の短波通信機は
精々5kmしか届かないが
ミノフスキー粒子の中でもクリアな通信を
確保してくれる
『お、少しは骨のありそうな奴らだね』
「うおりゃぁ~っ!!」
ジムとヅダⅡが互いのビーム兵器で
鍔迫り合いを始める
『これは、中々』
「くそっ!コレでもフルパワーなんだぞっ!?」
素の発電パワーで勝るヅダⅡは
余裕でジムを押し出す
「うわぁあっ!?」
『ほい、これで』
と、見せかけ距離をとる
〈は、外したっ!?〉
〈嘘だろ、あんな状態で気づけるのかよ!?〉
〈いいから、撃って撃って!
援護の手を緩めないの!!〉
『ん?なんだぃアレは?』
コンソールに映し出される
《変わったMS》を見る
『ザクを拾って改造したのかい、
ま、よくやるよ』
ただ、拡大されたある部分を見て
『まぁ、頑張ったで賞、かね?』
キャノンを撃ち込んで体勢を崩して行く
〈わわっ!?撃って来たっ!?
撃って来たよっ!?〉
〈どど、どうすんだよ!?〉
〈うるさい!!
逃げるか撃って援護を続ける以外
アタシ達が生き延びる方法はないよ!!〉
近寄って来ない
『中々、どうして、
頭の切れるパイロットが居るもんだ』
刺激さえ与えなければ
特に脅威ではないと判断し
周囲を確認する
「このこのこのっ!!」
先程のMSがビーム発振器を
振り回して迫って来ていた
『はぁ、隙だらけだよ』
居合モーションを実行する
▽
〈うそ、ダイアンが、墜ちた〉
〈なんだよアレ、
ビームサーベルごと切りやがったぞっ!?〉
〈っ、撤退だよ!
生きているサラミスと逃げるよ!!〉
〈うわっ!?〉
〈ちょっ!?〉
『ぉ、おぉ、
ラリアットで味方MSを
牽引して逃げるとか、
思い切りのいい隊長さんだね』
この選択は正しい
このシーマが乗るヅダⅡ
航続距離がそこまで無い
史実では『R-2ザク』と言う
高機動用ザクが居るが
アレに精々の
毛が生えた程度の作戦行動範囲なので
『文字通りのヅダる?』なのだ
つまり、母艦護衛機『ヅダⅡ』
このヅダキチは、
体の良い前線送りの機体なのだ
▽
「こちら潜入班、
護衛感謝する、
これより指令室を抑えに進軍を開始する。」
『あいよ、美味しいお土産を頼むよ?』
「これより、無線封鎖。」
『ひ~、おっかない連中だねぇ』
シーマが言うのも無理はない
いくらエースパイロットである
シーマでも、身体を使った戦闘は
そこまで得意ではない
そして、最前線の歩兵部隊からも
『恐れられる部隊』
それが、今回の潜入班
《アサシン》
▽
これは、コイズミ副総帥が、
ジャパン出身であり、
《協力者》の徹底的な指導(シゴキとも言う)
猛訓練のお陰で習得した
《足音を立てない》
これと、ハンドサインを駆使した
《陸上自衛隊特戦群》を模した部隊
施設潜入、掌握、要人護衛に特化した部隊で
全員が《戦没者扱い》で
記録には《戦死している》
この世には存在していない
そんなヤバイ連中が
今回のルナツー攻略に使われたのは
必然的だったと言えよう
▽
一時間もかからず
施設掌握の通信が広域発信され
ルナツー攻防戦はジオン公国の勝利となった
その際、捕らえられた士官達は
《ジャブローへの嫌がらせとして》
降下ポッドにすし詰めにされ、落とされた
爆散したマゼランと
サラミスが散らばるジャブローのジャングルへ