「まったく、
嫌な感じは当たるもんだね。」
「しかし、良いんですか?
副総帥に言わないで
『ルナツーから夜逃げ』してるんなんて。」
「良いんだよ、
前々から『勘は大切にしろ』って、
特にヤバイと思ったら
『決定権』はアタシさね。」
『シーマ!!
ルナツーから逃げろぉおっ!!』
「なっ。」
「うげ、本当になりやがったね、
こちらルナツー駐留部隊、
海兵隊、シーマ・ガラハウ
事後報告ですが、
全員無事です、既にルナツーから
脱出しております。」
『よかった、無事なんだな!!シーマ!!』
おっと、ちょっとドキッってしちまうじゃないか
「・・・なんだい?
アタシを覗き込んで?」
「い、いえ。」
『シーマ、
ルナツーは何処に進路を取っているかわかるか?』
「今、『リリーマルレーン』の
計算待ちです。」
『了解した、
こっちはまだ落ち着けそうにない、
部隊を分割して、
〈ペズン〉と協力、
地球軌道の警戒は続けて欲しい』
「承知の上です、
既に、各パトロール艦隊と連携、
ペズン艦隊とローテーションを組んであります。」
『助かる、
今、オーストラリア方面軍から
連絡が入った、
連邦の連中が大移動を始めたそうだ、
オーストラリア上空には誰かいるか?』
「確か、ガガウル級のパトロール艦隊が居る筈です、
レーザー回線を開きな!
ほらほら、直ぐに動いた動いた!」
「へい!」
「姉御っ!?大変だ!!
ルナツーの行き先は『サイド3』だ!!」
「ちぃ、やってくれる、
副総帥、聞こえてますね?」
『あぁ、今、ギレンに繋いでいる、
それと、シーマ』
「なんでしょう?」
『ジャブローに増援を、
あのパラボラアンテナだけじゃ無い筈だ』
「でしょうね、
あぁ、今、確認しました、
『上がって来る』奴らがいます。」
『無理はするなよ?』
「ふふっ、本当に心配しておられるのですね。」
『当たり前だ』
「今度、ディナーを奢って下さい、約束ですよ?」
『了解した、
いい店を予約しておくよ。』
「さ、お前ら
地球からわざわざ
ご来訪されるお客様が来てる、
『盛大に歓迎してやろうじゃないか』」
▽
「遅かったか。」
『いや、海兵隊は無事だ、
シーマ大佐が事前に脱出していてくれたよ』
「ふふっ。」
『なんだ?ガルマ?』
「いえ、
『シーマ!!逃げろっ!!』とか、
兄さん、彼女の事が好きなのかい?」
『は?大事な部下だし、
今動かせる宇宙の戦力は
海兵隊とペズンしか無いからな、
ソロモンから増援を出すにも
まだ移動中だからな』
(声の抑揚が感じられない、
本当に大事な部下としか
思っていないのか)
「兎に角、こっちは防備を固めるよ。」
『そうしてくれ、レビルの野郎、
まだ、なんか隠し玉使いそうなんだよなぁ』
「まだあるのかい?」
『オーストラリアを直ぐに切ったからな、
〈木馬〉はどうしてる?』
「それが、ジャパンに立ち寄った後、
『動いていないんだ』
上空も現地の住人からも
クルーと交流しているそうで、
皆が『悩んで居たそうだ』」
『悩む?』
「あぁ、例のエルラン中将の放送を受信してから
木馬のクルー達は
見るからに落ち込んで居たそうだ。」
『ガルマ、ジブラルタルを任せても大丈夫か?』
「指揮?構わないよ、兄さん。」
『すまん』
「貸し、一つだね。」
『たっけぇ』
「時価だからね、
びた一文負けないよ?」
『勘弁して』
「しない。」
『・・・行って来る』
「あぁ、行っといで、兄さん。」
▽
「と、言う事だ、
連絡艇を出してくれるか?」
「準備してありますよ、副総帥。」
「ぁ~、色々すまん。」
「腰が低すぎなのは良くないですよ?」
「これが俺の素だからな、諦めろ。」
「行ってらっしゃいませ。」
「おぅ。」