どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

45 / 89
オデッサ作戦 15日 朝~昼

 

「おい、生きてるか?」

「連隊長、

 起き抜けにそれは無いんじゃないですか?」

(確かに昨日の夜は

 延々と砲撃音が響いてたけど)

 

連隊長と掩体壕から這い出ると

 

「うわぁ、コイツはひでぇや。」

 

自分達の周りは綺麗に

緑も海岸も、建物も残っていた

 

そう、『自分達の周りだけ』

 

「あぁ、連隊長、ここに居たんですか。」

通信連隊の兵士が

移動用通信機を背負って持って来ていた

 

「繋がるか?」

「試して見ます、

 『こちら、第899隊、第899隊

  イギリス駐留部隊、応答願います』」

 

『おぉ、繋がったか、

 899隊、現状の報告を頼む』

繋がった、つまりミノフスキー粒子は撒かれていない

「代わります、

 連隊長のフランクです。」

『フランク、生きてたか』

「パウルス中将、冗談は寝てる時にしてください、

 何があったんですか?

 因みに、部隊人員は

 全員掩体壕で寝てましたので無事を

 先程確認しております。」

『レビルの奴がやりおってな、

 家のイギリス駐留部隊は反乱軍だよ』

 

三者三葉だが『あぁ、やっぱり』と、納得していた

 

「では、如何しましょうか?」

『今、水上打撃艦隊が、

 ダンケルクとハイストに向かっている

 どっちが近い?』

「まぁ、距離はどっちも似たようなもんです、

 外に置いといた

 トラックが全滅してるので

 徒歩になりますが。」

『それはすまん、

 なんせ《戦艦の砲撃》で、

 色々吹き飛んでいたからな、

 オマケに《重爆・ガウ》で

 ぜーんぶ、吹き飛ばされたからな』

「重爆・ガウは解るんですけど、

 『戦艦』って、あの戦艦ですか?」

『見て見ろ、驚くぞ?

 ハイストに来い、迎えの連絡を入れて置く』

「了解しました、

 とりあえず、徒歩で連隊は向かいます。」

『待ってるよ』

 

「ま、いいか、

 総員起こし、ハイストに向かう、

 砲弾は飛んでこないから

 ゆっくり行こう。」

 

 

イタリア上陸組は

山脈を迂回すべく

ジェノバ→マルセイユ

→リヨン→ディジョンへ到達したが

 

直線状に隆起した妙な丘を発見した

 

「なんなんだ、アレ。」

地図上では、多少の丘は在れど、

平地が広がっていた筈の

ナンシー地区を眺めていた

 

仮設滑走路を急いで増築し

ファンファンを偵察に行かせた

 

そして、丘の正体がわかった

 

ナンシーから直線に伸びる『丘』は

北はブリュッセル

南はベルフォールまで

『幅おおよそ300m』

『深さ、約1キロ』

『大量の爆撃でえぐられた跡だと判明した』

 

 

「イギリス駐留部隊は決別文を送って来ました。」

「パウルス中将だったか。」

「はい。」

「ベルリン・ワルシャワルート部隊は?」

「現在、

 イタリア上陸組で調査中ですが、

 絶望的と連絡が入っています。」

「ルナツーは?」

「加速は順調です、

 ソロモン、ア・バオア・クーを経由しない

 直線ルートですので、

 そろそろ通信圏外になります。」

「他のジオン軍はどうかね?」

「現在、ジブラルタルを制圧したジオン軍は、

 その場を維持する用で、

 目立った動きはありません、

 サウジアラビア戦線は膠着状態が続いています、

 フランス、スペイン残存軍は

 現在、通信不能、

 ミノフスキー粒子が常に撒かれています、

 フィヨルド方面は

 『今更、中立を宣言』

 オスロ周辺に集結中、

 地元民からの援護も無く

 補給物資に『防寒具』を緊急で欲しているそうです。」

「朝鮮半島は。」

「身動きが取れないと、連絡を受けています。」

「オーストラリア方面軍と、

 マレーシア方面残存部隊は?」

「合流は順調です、

 ですが、輸送艦艇を軒並み沈められ

 約70師団が動けません。」

「まともに動けるのは

 ギリシャ戦線の80個師団と、

 アフリカ方面軍、ジャブローだけか。」

「旧・ルーマニア、旧・モルドバまで

 侵攻が進んでいますが、

 未だにMSの発見報告が上がって来て居ません。」

「なに?」

作戦室の地図にデジタルペンを走らせる

「ウィーンはどうなっている?」

「現在、3個師団が攻略中です、

 そちらも

 『トーチカ』『無人施設』

 『旧式のザクⅡ』以外いないと。」

「いかん!すぐさま引き返すように連絡をするんだ!!」

「承知しました!!」

 

 

「ビックトレー、上れますかね?」

「最悪、砲撃でなだらかにするか。」

プルジェロフ~オストラバの間は、

幅はビックトレーが通れるが

意外と傾斜があり、

幾らホバー移動の戦艦とは言え『重い』

故に、上れれば良し、と

侵攻部隊は3個師団に絞られた

 

「うわ、まただよ。」

通信士が愚痴る

そこまで高くは無いとは言え

山に囲まれるウィーンは

通信を妨害する天然の要塞だった

 

元々の予定は

ベルリン・ワルシャワルートの部隊と

合流出来ればする

出来ない場合は拠点確保なのだ

当然、ここに当てられた部隊の士気は上がらない

 

『ウィーン・・・部隊、

 おう・・・ウィーン』

「受信出来そうか?」

「ダメですね、

 後ろのビックトレーを中継してコレですので。」

この3個師団に回されたビックトレーは

10隻

しかも『比較的艦齢の古い艦艇』が回されているので

ミノフスキー粒子に対応していない

老朽艦ばかりだった

「また急げとかの催促だろう、

 通信士、自動受信だけにして、

 各隊に一旦停止を、

 丁度いい場所じゃないか。」

 

ギリシャに上陸とは聞こえがいいが

この部隊、

旧・クロアチアのリエカに

上陸後、延々と従来の道を拡張しながら

ここウィーンにやっとたどり着いたのだ

ここいらで休息を取っても

文句は言われまい、全体がそう思っていた

 

MSと工作機械、

ビックトレーの主砲で吹き飛ばしながら

そんな行程を繰り返し

サグレブに到達するのに3日を費やしている

ウィーンに着いたのだって

日中夜問わずビックトレーを

進めていたから着いたのだ

 

「な~んで戦争してんのかね。」

「知りませんよ、

 俺達予備役の連中にすら

 声が掛かるって事は

 すげぇ戦争なんでしょうけど。」

 

そして、この3個師団は

オデッサ作戦から消える事になった

 

誰も行方を掴めず

終戦を迎え、調査が入るまで

なにがあったのかすら

わからなかったのだから

 

わかったのは

『もぬけの殻となった

 ビックトレーが転がって居た事だけ』

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。