どうせなら勝ちたい   作:扶桑畝傍

72 / 89
12月1日 夕方

「副総帥、ジャパンより入電。」

 

 

ワレ、参加セズ、自国防衛ノミ務メル

 

「だろうと思ったよ、

 《アメリカ残存軍は?》」

「連絡は何度かしていますが返答無し、

 ニューヨーク及び

 その周辺州は連絡が取れておりません、

 現在、カルフォルニアベースへ向け

 《光武》偵察部隊が撤退中、

 ジャパンの意向とは反して、

 《作戦参加》の表明を出しています。」

「《アメリカ残存軍》の牽制、

 偵察を続けて貰うように。」

「アメリカが動くとは思いませんが?」

「奴らには《戦術機》と

 《再現機》があるからな、

 フロリダ半島の連中も帰らせろ、

 邪魔だしな。」

「フロリダ半島のアメリカ軍は

 現在、バカンス中とかほざいて

 パイロット達がビーチで遊んでいると

 報告が上がっています。」

「・・・真冬にビーチ?

 製氷機で氷でもぶつけてお帰り願え。」

「了解。」

 

地下ドックから指示を出す

 

「後、誰かお嬢を摘まみだせ。」

「や~だ~!!」

艦長席に座っていた

《また誰かの意識を弄ったらしい》

 

そんなに俺の頭の中を見たいのか?

 

「ちっ、ちがっ。」

「発狂しようが、うなされようが。」

 

二度は言わない離れろ

 

「副総帥、それは。」

「これから

 《敵と判断した者達を殺しに行くんだ》

 子供を連れて逝く場所じゃない。」

「まぁ、それはそうですね。」

 

 

地下ドック司令所 士官室

 

「お嬢。」

「やぁだぁ、

 エイジ、《帰って来ないつもりでしょ?》」

「・・・中身は精々10代か。」

「ぇ。」

「あの船は起動に時間が掛かる、

 少しなら話せる。」

「ぁの。」

「俺は、2025年に死んだ人間だ。」

「え?ちょ、なら、なんで?」

「知らん、

 ただ《知っている結末より》

 少しでもマシか、彼等に幸せがあっても良いだろ?

 そう思って、ジオン公国に入った。」

「《知っている結末》」

「あぁ、ザビ家は崩壊し、

 ジオン公国も負ける、

 連邦軍もティターンズと別れる、

 レジスタンス組織だらけの時代になってな、

 ジオン公国もバラバラになる、

 んな暗い未来より明るい未来の方が良いだろ。」

「エイジ。」

「ま、《この宇宙世紀》は、

 《俺が死んだ後から地続きの未来》

 って事はわかったよ。」

「~っ。」

「2200年に気候変動と異常気象、

 続く人口増加、

 2201年から《宇宙世紀0001年》としたそうだ。」

「しらない。」

「そして、今は《0079》の12月、

 一番古いコロニーがもう70年前になる。」

「そ、それがどうしたの?」

「俺がコロニーの増産を急がせたのは

 《老朽化したコロニー》で

 起こりうる事故を防ぎたかったんだ。」

「事故。」

「酸素漏れだよ、

 幾ら技術が進歩しても

 《経年劣化》からは逃げられない、

 そして、

 《あるコロニーでその事故が起きている》」

「ぇ?」

「勿論、コレは伏せられた事だ、

 そして、地球連邦記念碑が

 あったとされるコロニー崩壊事件、

 テロリストと経年劣化の酷い所を使われ、

 崩壊した。」

「知ってる、《ユニコーン》だ。」

「なんだ、俺の時代の人間だったのか。」

「ぁぅ、ミネバちゃんが可愛くて

 ブルーレイで見てた。」

「赤ん坊だけど、ドズルの所にいるぞ?」

「それはそれ、本人じゃないでしょ?」

「さぁな、

 うし、機関始動を確認、

 お嬢、お別れだ。」

「やだっ!!」

 

「副総帥、そこまで彼女は言っているのですから。」

「ラニア大佐、持ち場を離れるとは

 職務怠慢だぞ?」

「既に各方面に戦線維持と

 部隊の入れ替えを進めておりますのでご安心を。」

「・・・お前もニュータイプか。」

「ラニアお姉ちゃんも?」

「はい。」

(ぁ~、やっぱりか、

 道理で背後を取られて死角から来る訳だ)

「ならわかるだろう?」

「いえ、私は勘が当たるだけですので、

 《副総帥が見ている世界は知りません》」

「それは良かったな。」

「パパ?」

 

「ちょっと、二人共、耳を塞いでてくれ。」

 

さっきから

うるせぇんだよ

 

黙れっ!!死人共が!!わかってんだよ!!

 

「は~、は~、くそがっ。」

「副総帥、まさか

 《今時大戦で亡くなった方々が

  お見えになられるんですか?》」

「見えるし聞こえる、

 酷くなったのが《ブリティッシュ作戦》からだ、

 毒ガスで死んだ住民に始まり

 戦地で死んだ両軍の兵士もな。」

バリバリと、頭痛を抑える薬を

噛み砕き、飲み込む

 

「そんな飲み方をされたら。」

「身体?とっくにボロボロだよ、

 医者には長くて10年持てば

 良いって言われてるがな。」

「フラナガン博士ですね?」

「あぁ、この薬の調合も

 身体も博士に診て貰ってた。」

 

なにも言わず、しがみつくお嬢

 

「お嬢、離れてくれ。」

わたしのせい?

「違う。」

なんで教えてくれたの?

「もう会う気が無いからだ。」

やだよ

「俺が嫌だ、戦場で

 《正気でいられる保証も出来ない》」

私が支えるから

「いらん、ラニア、お嬢を。」

「・・・嫌です。」

「そうかい。」

 

銃を取り出し、1発撃つ

 

流石に耳元で発砲されれば離れた

 

「副総帥、貴方と言う人は。」

「二度は言わん、

 さっさと持ち場へ戻れ、ラニア大佐。」

 

耳を抑えるお嬢に

 

「《この見える死人共に

  お嬢が加わるのを俺は見たくないだけなんだ》」

 

許せとは言わない

 

首筋に麻酔が入った注射を打つ

 

「っ!?

 ぱ・・ぱ、やだよぉ。」

 

「ラニア、《彼女を頼んだ》」

「好きにさせて貰います。」

そう言って彼女を抱え部屋を出る

 

「さぁ、大人が始めた戦争だ、

 けじめをつけなきゃなぁ。」

 

 




「ぁ、うん、わかったよ。」
「メイ?」
「アウリ、ザメルが
 あのちっちゃい子呼んでって。」
「ちっちゃい子?
 あぁ、副総帥さんにくっついている子?」
「うん、
 追いかける覚悟あるか確認したいって。」
「うん?どゆこと?」

アウリ、ザメルの意識はね?
あの子の本当の意識なんだ
津波で《一度死んで》
その《空っぽになった身体に》
今の《娘》が入って生き返ったんだって

そんで、ふよふよして遊んでたら
このザメルに引っ張られて
入っちゃったんだって

「ぁ~、オカルト?」
「あれ?アウリ、ダメだっけ?」
「理解出来ないのは特に。」
「知らなかった!」
「言って無いからね。」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。