いつの間にかロケット団に入っていた件について 作:レイノート
更新頻度が遅くなり申し訳ありません。
なるべく1週間に二話程度かけるよう努めていきますので、これからもこの作品をよろしくお願いします。
皆さんこんにちは、ロケット団特別幹部のホオズキ・シズオです。
この度、うっかり間違えて参加してしまった大会で優勝してしまいました。何言ってんだコイツって思うかもしれないですが、自分自身でも大変驚いていますので、ご了承ください。
さてそんな俺は今、イブキさんに連れられてフスベシティの北部にあるりゅうのあなと呼ぼれる洞窟まで来ている。
ここはドラゴンタイプ使いが一人前の証として試練を与える場所として使われており、かの四天王・ワタルやイブキさんもここで血のにじむような修行をしたとか。
でもドラゴン使いでもない俺がここに来ているのは、イブキさんがこのりゅうのあなにいる長老と呼ばれる人物とあって欲しいだからだそうだ。
デートだと思っていた自分の姿は全くお笑いだったよ。
とそんな事を考えると目的地の祠へと着いていた。
「これはまたなんとも美しい…………」
そこにあるのは洞窟にあるとは思えない程の立派な祠。
天頂部の瓦には龍の紋章が刻まれていたり、ハクリューを模した石像が並んでいた。
古き良さを感じさせるこの場所は、ドラゴンタイプ使いにとって神聖な場所なのだろう。
エンジュで見たスズのとうに負けない神秘を感じるぞ。
「これはこれは、お忙しいところお越しいただきありがとうございます」
祠の前に長い髭を蓄えた初老の男性が佇んでいた。
ご丁寧に挨拶をしてもらい、こちらも返事を返した。
「長老、この方が相応しいと感じお連れした次第です」
「うむ……この方ならば問題はあるまい……」
んん?何の話だ?
相応しい……まさか俺を彼氏に!?
「ホオズキさんとやら…………少し話をさせていただきたい……」
「あぁ……いえ大丈夫ですよ」
やっべぇ……雰囲気がちょっと重そうな感じになってくるのを感じた。
さっきふざけたことがバレたか……もしそうだとしたら……
◇◇◇◇◇◇
「というわけです」
「なるほど……だいたい分かりました」
何でも信用ができるポケモントレーナーにあるポケモンを預かって欲しく、それで今回俺はイブキさんの目から信用するに値する人物として選ばれたらしい。
ええ……でも俺そんなに信用に値する人間かな……
「ほっほっほっ、心配なされるな
私も伊達に長い時を過ごしてきたわけでありません
貴方の目を見れば、如何に信頼出来るかどうかわかりますとも」
お、おう……滅茶苦茶高い評価をいただいてしまう。
嬉しいんだけど、俺なんか信用して大丈夫なのかと嬉しさ半分、申し訳なさ半分な気持ちだ。
俺一応悪党なわけだし、信頼できるのか?
『タツゥ!!』
すごい怒声を辺りに児玉する。恐くポケモンのものと思われる。
「やめなさいタツベイ!」
イブキさんが必死に訴えながら、当たり構わず暴れる左頬に十字傷が付いた小さなドラゴンのようなポケモンを抑えていた。
元気がいいと言うか、暴走しているというか気性が荒いとしか言いようがない。
ん?もしかしてあの子が預かって欲しいポケモンってこと?
「すみません、あの子は少々気性が荒いのです
あのポケモンはタツベイと呼ばれるドラゴンポケモンでして、
少し事情があり、私が預かっているのです」
長老さんはあまりいい顔をしていない。
訳ありでも相当深い闇を抱えてると見ている。
「あのタツベイは、私がホウエン地方のりゅうせいのたきを訪れた際に、同族であるタツベイ達によって傷つけられたのです
あの頬に着いた傷もその時に着いたものです」
想像以上に重い話だった。
同じポケモン同士だったとしても、生態や個体差によって生まれる迫害はあるというのはとある研究者の記事で見た事を思い出した。
ごく稀に生まれる色違いのポケモンが、同種のポケモンから群れを追い出される。何か一つでも周りも違ってしまうと敬うどころか迫害の対象にされてしまう。
このタツベイもそんな経験をしてきたのだとしたら、あのように気性が荒くなり、周りを信じられなくなるのも無理は無い。
「トラウマ故か、近くにドラゴンタイプのポケモンが入ればあのように暴れてしまうのです
それ故に信頼をできる方に、タツベイ預けようとした次第です」
成程……だいたいわかった。
だったら俺のやるべきことは一つ。
「少しタツベイと話させていただいてもよろしいですか?」
「構いません、危険となればこちらで止めさせていただきます」
長老さんに許可を貰い、タツベイへと近づく。
向こうも警戒をしてか、威嚇の唸り声をあげながらこちらを睨む。
あの目は自分以外の全てを敵だと思っている目だ。愛も知らず、誰かの温もりを知らず、ただ迫害という名の地獄を過ごしてきた冷たさしか知らない。
「怖がらなくていいよ、俺は君と仲良くなりたいんだ」
俺はそっと手をタツベイの頭へと近づける。
その時だった。タツベイは俺の人差し指に向かって噛み付いてきた。
「ホオズキさん!!」
「イブキさん…………そこで見ていて貰ってもいいですか?」
痛いなぁ。
ポケモンに噛み付かれたのって初めてだからよく分からないけど、そこまでは痛く感じない。
何より本当に痛いのは…………
「タツベイ……辛かったよね…………痛かったよね………」
俺は空いている左腕でタツベイを抱きしめる。
『ッ!?』
唐突に起きた出来事に対してタツベイは驚きを隠せずにいる。
「タツベイの受けてきた痛みに比べたら俺の痛みなんて大したことはないよ
タツベイの気が済むなら……俺の指を噛みちぎったって構わない」
不思議と怖くない。
痛みを受けることよりも一人ぼっちでいる事が何より怖い。
昔の自分と重なってしまう。
「ッ……タツ…………」
タツベイから流れる一つの雫。
どこか安堵したような顔で俺の手を掴む。
いつの間にか噛み付いた指を離して、涙を堪えている。
「泣いていいんだよ、俺がそばにいるからさ」
それからタツベイは泣いた。
滝のような勢いで涙を流し、一生分を泣いたのではないかと言うぐらいに。
よく耐えた。よく頑張ったと頭を撫でながらひたすらに褒めた。
たった一人で本当に……
[翌日]
どーもこんにちは、ホオズキ・シズオです。
フスベシティでの一件を終えたオレは、カントーのトキワジムに戻った。
指の傷は幸いにも大したことはなく、2、3日すれば傷も塞がるとのこと。
「タツ♪」
元気のいい顔で俺をのぞき込むタツベイ。
あの後タツベイを育てる事をイブキさんと長老に誓い、俺のポケモンとして手持ちに加えた。
ドラゴンタイプは育成が難しいという事で、時間の空いている時にイブキさんがアドバイスをしてもらえるという事になり、電話番号を交換した。
嬉しいけど……なんかすごくジムリーダーの人達との電話番号交換してるような気がするけど……気のせいだよね。
おっとそろそろラムダさんも来るし、作業を開始しないと。
パソコンの電源を入れ、今日も業務に謹んだ。
[to be continued]
ホオズキ君はタツベイ(幕末の姿)をゲットした。
お気に入り登録をしていただいた皆さま、誠にありがとうございます。
読者様のおかげで、初めてランキングに作品が載り、狂喜乱舞して喜んでいたら親に怒られ、ガルーラドーブルで泣かされました。
これからもロケット団に入ってしまった一般男性シリーズをよろしくお願いします。