いつの間にかロケット団に入っていた件について 作:レイノート
今回は前々から考えていた例の神父との対面です
良かったらどうぞ見ていってください。
どーも皆さんこんにちは、ロケット団特別幹部ホオズキ・シズオです。
先日は相棒のニドリーノが進化を果たし、無事にニドキングへと進化しました。とても嬉しく思ってます。
今日、そんな俺は実家のあるシオンタウンを訪れている。
カントー地方の東に位置する町であり、とても静かな場所だ。
というのもこの町のシンボルというべきポケモンタワーが、ポケモン達の為の集合墓地であるため。
安らかに魂を昇天させる為に、祭事以外では騒ぐ事をしないという暗黙の了解がある。
「本当に久しぶりだな……」
久しぶりに帰ってきた故郷。
懐かしい気持ちでいっぱいで、なんだかむず痒いな。
「おや?おお!シズオくんじゃないか!」
俺に話を掛けてきたのは一人の老人。
「フジさん!お久しぶりです!」
フジ老人。
俺の実家のお隣さんであり、子供の時からお世話になっていた人だ。
ポケモンハウスという人に捨てられたポケモン達を保護するボランティアをしており、町の人達から尊敬される程凄い方。
若い頃は何かすごいことをしていたとおばあちゃんから聞いたことはあるが、今はよしておこう。
「顔つきが凛々しくなっている
何か仕事であったのかな?」
「あはは……毎日忙しく仕事してるだけですよ……」
昔から観察眼が鋭いんだよなフジさん。
間違ってもロケット団に入ってますなんて言えるわけないじゃないか。
「(でもそれにしても……)」
何か違和感を感じる。
フジさんがという訳ではなく、何と言うか町そのものが何だか静まり返っているように思う。
確かにシオンタウンは静かな町で有名でこそあるが、人の活気が全くなくなるなんてことは無かった。
「やっぱりシズオくんも感じ取ったみたいだね……
ワシの家にきてくれか? 理由はそこで話そう」
どうやら心当たりはある様子。
何か嫌な予感がする。胸のざわつきがいつもよりするもん。
俺はフジさんの後について行く。
◇◇◇◇◇◇◇
「あれは一ヶ月も前の事じゃ
大雨によってイワヤマトンネル付近で大きな土砂崩れを起きての
幸いと言うべきか……町の住民は被害に遭わずに済んだんじゃが……」
フジさんは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
よほど話しづらい事なのか。僅かだが拳にも力が籠っているように見える。
「一匹のガラガラが巻き込まれて亡くなってしまったんじゃ……」
何と……。
そんな事があったとは……
ガラガラの死を嘆く者も確かにいたであろうが、ここまで町の雰囲気が悪くなるものなのか?
「ポケモンタワーにガラガラを埋葬して直ぐの頃じゃ、夜になるとこの町で幽霊が出始めたんじゃ」
幽霊……
ゴーストタイプのポケモンではないというのか?
「ゴーストタイプのポケモンであれば、こちらもある程度の対処はできるんじゃが……
その幽霊はポケモンの技をすり抜けるときたもんじゃ」
「そんな事が……」
続けて話を聞けば、町の住民の殆どが幽霊を見かけた上に襲われかけたという。
成程、町に繰り出す人が少なかったと言うにも合点がいった。
ポケモンでも対処出来ない未知の存在。
町の人々が恐れるのも無理はない。俺も怖いしね。
『カラァ?』
部屋の奥からポケモンの鳴き声が聞こえる。
骨を纏った小さなポケモン、カラカラだ。
「ああ……その子は先程話したガラガラの子供でね
ワシが保護しているんじゃよ」
小さく唸り声を上げてフジさんの足に抱きついているカラカラ。
微笑ましい光景に目を奪われる。
こういうものを目にすると本当に癒されるよな。
「しかし現状その幽霊に大して対抗策とかってないんですが?」
「ふむその事で、ワシの知人の一人に詳しい者がいてね
今その人物に来てもらっている」
流石はフジさん。
しかしその知人の方は一体何者なんだろうか。
[コンコン]
扉をノックする音が響く。
噂をすれば何とやら、もしかすると噂の人物か。
フジさんは椅子から立ち上がり、玄関の扉を開ける。
「お久しぶりです、フジ老人」
「おぉ!セイラン神父……わざわざ遠くからお越しいただきありがとう」
oh......なんだあの人は。
身長2m近くはあろう長身で、黒い神父服を着た男性がそこにはいた。
只者では無いよね絶対。何処と無く……ゲームで言うならラスボスみたいな雰囲気を出している。
「そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ
私と貴方の仲だ、これぐらいは問題ありません」
どうやらフジさんとは深い仲のようだ。
セイラン神父か……なんだか他人のような気がしないな。
「フジ老人、こちらの方は?」
「おお!こちらは友人の孫のホオズキ・シズオくんじゃ」
おおっとまさかこちらに話題が来るとは思ってなかったので、若干たじろいでしまう。
「ホオズキです、どうぞよろしくお願いします……」
「これはご丁寧にどうも
私はセイラン……こちらもよろしくお願いします」
どうやら良い人のようだ。
勝手にビビって申し訳ない事をしたな。
「…………」
なんだろう……物凄い見られてる。
なにか気に触ることしたかな……。
「フジ老人……彼を同行させてもよろしいですかな?」
「うーむ、ホオズキくん次第じゃが」
え!?なぜ俺が同行を!?
確かに神父さんの事は気になってはいたけども。
「あぁ……俺でよければ大丈夫ですよ?」
いつも面倒事に巻き込まれてるし多少はね?
時刻は既に深夜を回っている。
民家の明かりは消え、街灯の僅かながらの明かりが暗闇を照らす。
俺とセイラン神父以外に出歩いてる人はおらず、ポケモンの気配も感じない。
不気味なぐらい静寂が辺りを包んでいる。
「…………」
セイラン神父は静かに辺りを見回す。
噂の幽霊は主に深夜に現れるという。
俺も警戒してスピアーを出しているが、正直怖くてビビってます。
「あのぉ……セイラン神父は何で俺に同行を頼んだんですか?」
気になっていた。
初対面の人物にいきなり同行を頼んだのか。
互いがフジさんの知人と言うだけの繋がりしかない。
「そうだな…………強いて言うならば、私の知人と同じ目をしていたからだ」
同じ目?
僕兄弟とかいないんだけどな。
「その子はポケモンの声が聞こえ、また好かれていた
ポケモンを何より大切にしている目を君もしていためだ
そんな人物のポケモンを見てみたいというのが本音だとも」
ポケモンから好かれるか……ただ一緒にいるだけなんだけど、そういう事でもいいのかな。
人それぞれ接し方は違うし、俺はこの感じでいいと思う。
「あ、ありがとうございます」
「何……気にする必要は無い
だがホオズキくん、そろそろ構えを取っていた方がいい……」
先程の和やかな雰囲気から一転して、セイラン神父の表情は真剣なモノとなる。
どうやら幽霊が近くにいるようだ。
『ド…ィル』
耳を劈くような声が響く。
後ろを振り向くと、それはいた。
『…コォ……二…』
怨嗟を纏っていると言うべきか……負のオーラを漂わせているガラガラ。
間違いない。一連の幽霊事件はあのガラガラに違いない。
『…………!』
スピアーは神速のスピードでガラガラに迫り、どくづきを喰らわせようとする。
決まった。スピアーも俺も確信を持っていたが……
「え!?」
「ほぅ……」
スピアーの一撃はガラガラに当たることなく、その体を透過した。
驚きの余り声を荒らげてしまう。
まさか本当に攻撃が当たらないとは思わなかった。
『ドコニイルノ!!』
ガラガラはホネこんぼうを用いて、スピアーに向かって攻撃をする。
持ち前のスピードで交わすスピアーだが、ガラガラの一撃は地面を砕く。
こちらの攻撃は透過し、向こうの攻撃は実写化するなんて無敵もいいところだ。
このまま行けばスピアーと言えどもジリ貧になる。
「(でもあのガラガラ……気になる事を言っていたな……)」
ドコニイルノ……どこにいるの?
誰かを探しているのか…………しかし一体誰を?
ガラガラ…………進化前……まさか!?
「あのガラガラは恐らくは遺恨が残った事で幽霊になったものだろう
それも……自身に対する遺恨をね」
じゃあ……もしかしてあのガラガラは……
「カラァ!」
俺の後ろからものすごい勢いで何かが通り過ぎ、ガラガラの前に立った。
『ッ!』
ガラガラの動きが止まる。先程の暴れようが嘘のように静まり返った。
それもそのはずだ。
目の前にいるのは己の子供であるカラカラ。間違っても傷つけようがない。
『ミツケタ……ミツケタ……』
ガラガラの顔は安堵の表情を浮かべていた。
そうか……子供を一人残して死んでしまった事を悔いて幽霊となったのか。
『カラァ!』
一人でも頑張ると言わんばかりに大きな声を上げるカラカラ。
そんな姿を見たガラガラの体は、徐々に輪郭を失っていく。
遺恨も消え、この世に未練は無いのだろう。
「安心したまえ、このカラカラは我々が見守っていく
だから……安らかに眠たまえ」
セイラン神父はガラガラに対し告げる。
『……………………アリガトウ』
ガラガラの魂は天へと昇華した。
その屈託のない笑顔は、決して忘れることはないだろう。
これにて幽霊事件は幕を閉じた。
[翌日]
町に活気が戻った。
幽霊事件が解決したとフジさんが町中に伝え回った事で、今日はお祭り騒ぎとなった。
ここ最近の鬱憤を晴らすが如くと言った感じに盛り上がる空気は、たまにはあってもいいんじゃないかと思う。
「時間が出来たら、我が教会を訪れるといい
君ならばいつでも歓迎しよう」
セイラン神父はフジさんと俺に挨拶をしてから、イッシュへの帰路に着く。
本当にいい人だったな。
何か胡散臭いジョージみたいな人だと思ってしまって申し訳ありませんでした。
「それじゃあ俺も帰るとしよう」
荷物を纏めてシオンタウンを後にする。
今回も珍しい体験をした。
ポケモンへの興味がより湧いた事にとても心が踊っている。
そんな素敵なことが明日も起きるよね、ヌオー?
『ぬ~?』
[to be continued]
セイラン神父とホオズキ君の絡みでした。
この世界線においてはホオズキ君がロケット団にいるためガラガラの殺害はなく、代わりに災害によって命を落としたルートになります。
アンケートも引き続き行いますので、良かったらご参加ください。