黄泉返りの国家転覆 作:倉庫
これもいつかの貯めの解放のため…ちゃんと小物っぽく書けてますかね。
「今の時代を見てきたら?」と、赤子を抱きながら言う羂索に鳥肌を立てながら、伽藍は部屋を出た。
幸いにも扉は開いたままだったため、見慣れない現代の扉を開ける作業をせずに済んだ。
部屋を出て通路を歩き始めると、誰かに話しかけられる。
「お前も"アレ"の同類か?」
「あ?」
そして瞬時に、不愉快だと怒りを滲ませ、伽藍は声のする方を見た。
流石に"アレ"と同類扱いはいただけない、というか失礼すぎるだろう。と内心で愚痴を吐きながら。
「香織は死んだ」
「あぁ、らしいな。だが生きてる」
「とぼけるな、アレが生きてるだと」
「なるほど、そこまでわかるのか」
伽藍を睨みつけ、話しかける男。
おそらく、あの仁と呼ばれた男の父親だろう。だがあの男と違い、目の前の男はしっかりと生きた目をしている。
「お前たちは何だ」
「ひとでなしとろくでなし。まぁ同じ穴の狢であることは認める」
「なにを企んでいる」
「知らん、私が知ったことか」
怒気を孕んだ目で睨まれたが、それを鼻で笑って無視する。伽藍からすれば、羂索の計画など心底どうでもいい。
見たところ、術式もない一般人だ、だがその目は鋭く、悪くない。彼女は「術師じゃないのが惜しい」と、男を褒めた。
「悠仁に手を出すな」
「…お前、自分で何を言っているのかわかってるのか?」
「アイツの正体もお前のことも、もうこれ以上知るつもりはない」
「賢明な判断だな」
「だが悠仁は違う」
「あんな
"作り物"、その言葉を聞いた瞬間に、男の怒りの気配が濃くなった。
なるほど…と伽藍は全てを察した。この男は、あの"完成品"を本当に大事に思っているらしい。
「まぁ、期待せずに見届けてやろう。あれがどう呪いを廻すかを」
そう言いながら、伽藍は男の横を通り抜け、そのまま去っていく。
背中に刺さるその視線、それをどうでもいいと切り捨てながら。
■■■
白い畳擬き、天井の白い漆。それら全てがあの時代では見れなかったものだ。
「えぇはい…すぐに…」
「今日どこで食べる?」
「じゃあ、あそこの~~で…」
「本日紹介する商品はこちら!」
「だから!…あぁそうそう」
そして、この人だかりも。
「驚いたな…」
なるほど、これが今の。人が織りなす知恵の時代。かと、感動に浸る。
どこもかしこも、摩訶不思議であふれている。驚くことに、それらに一切呪力は感じない。
呪術ではない、純粋な知恵だ。人の知恵が、工夫が、あらゆる努力が。
「羂索のやつめ、本当に羨ましいことだ」
集落。
周りの音などもう聞こえはしない、今伽藍が知覚するのは、目に入るその景色のみ。
天を貫く勢いでそびえ立つ巨大な屋敷。それに貼られた動く絵画。
(…素晴らしい)
森林。
かすかだが呪力を感じるそこに、伽藍は歩を進める。
あの時代よりも、規模こそは縮んだが、今も健在の自然の香りは、辺りに漂い鼻腔をくすぐる。
「…久しいな、この感覚」
そして背筋を直に撫でられるような不快感。これは呪力だ。
人間ではない、人間の生み出す変にろ過された、練られた呪力とはわけが違う。
――呪霊だ、それもかなり近い。
道中なぜか、妙に視線を感じた。
伽藍はそれに、一種の疑問を覚え、すぐに答えにたどり着く。
「…今では、服があるのが当たり前なのか?」
なるほど、それなら変に目立つのも当たり前か。
確かに今の格好は、薄布を適当に巻いただけの、簡素な姿だ。
「全く…生得領域に引き籠るだけでは時間の無駄だったな…視覚共有でもさせるべきだったか…」
そして伽藍が着いたのは、街の外れにある――公園の森林。
一歩踏み出して、入った瞬間感じる不快感。まるで素足のまま、泥を踏んだかのようなその違和感。
「生得領域…」
人も呪霊も、意志あるものは皆心に景色を持つ。
それを結界内に構築し、現実世界に反映させる…だがそれができる実力を持つのは…
「準備運動には丁度いい…か」
欲を言えば現代の進化した術師と戦ってみたかったが…まぁいいだろうと、伽藍は妥協する。
生得領域の具現化は、生半可な実力を持ったものが行えるものではない、つまり少なくとも、ここにいる呪霊は…
「希望は壱、最低でも弐だな。壱に準ずる実力ならばなお良しだ」
そのまま結界を潜り抜けて、領域内に侵入する。
そして広がる呪霊の生得領域、辺り一面が砂に覆われ緑が消えるその景色。
感覚を集中させて、呪力感知によって、範囲内の呪霊を探る。
「…あん?」
肌を刺すような、それでいて痛くも、痒くもないうっとおしく弱い気配。
人。人だ。
お粗末な呪力に不細工な操作。見るに堪えないが、間違いなくこれは術師の気配だ。
「…まぁいい、現代呪術師から情報を得るいい機会だ」
軽く肩を回して呪力を練る。
腕や脚、そんな雑で醜い方法ではなく血管を、骨を、肉の筋ひとつひとつに意識を巡らせ、より強く。
そして。
「――ふっ!」
――ドンッ!
轟音。加速し、加速して。更に速く。
地面を蹴る、沈めて壊す。
しかしそれは、老いて弱体化したからこそ工夫し、洗練された技術とは程遠い、力に任せた未熟な技術…だが。
「いい…いいぞっ!」
――こうだ、"こう"だ。こうでなくては!
伽藍は改めて、若返った今の自分に感動し、酔いしれて、感情のままに叫ぶ。
「待っていろ…!宿儺ァ!!!」
若い身体の、未だ慣れない呪力の奔流が止まらない。それに気づいたのか、前方から3,4ほどの呪霊の群れ。
伽藍は瞬時に術式を発動。自らの骨に呪力強化を促し、強化して"それ"を始める。
成長して肉を突き破り、そのまま露出した人骨を、もう片方の腕で掴み、思いっきり引き抜いた。
「"
薄く展開された、硬く鋭利な骨の刃と、それを支えるしなやかな肉の背。
伽藍が生前から愛用していた呪具擬き…武振熊が再びこの世に顕現した。
「悪くない、いい骨だ…!」
老いて脆くなった、あの頃の骨とは違う、若く健康な人骨だ。
無くなった左腕は反転術式で元に戻す…が、勿論ただ戻すだけではない。
術式順転による肉と骨の再生、そして足りない神経や皮、爪を反転術式で元通りにする。
反転術式は燃費が悪い。だからこうして、少しでも節約をするのが一番だ。
「――失せろ!」
そして、骨で作った刀を力いっぱいに振るって相手を叩き潰す。
頭をつぶし、足を蹴りつぶして、そのままついでに叩き切った。
「あははははははは!!!!」
目の前の、白いのっぺらぼうのような呪霊は倒れた。だがまだだ、人と違って呪霊は頭がなくても死なない。
呪霊はそう簡単に死なない。つまり。
まだ壊せる。
「アッハハハハハハハハハハハ!!!!!」
踏んで、ちぎって、殴って切って。
「もっと…!もっと!!!」
壊して壊して、また壊して。
少し待って、治ったら再びぶっ壊す。そして――
「あははははははははは――は?」
呪力が尽きて再生できなくなったのか、呪霊はそのまま気化し、消失反応を最後に、完全に消えた。
「はは…はー、あ~…あぁ?おいおい………………は?」
熱で浮かれた脳が冷える。よく見ると、ついさっきまで握ったままの刀もボロボロだ。もう使えない。
あ~…うん。そう伽藍は全てを察し、どうやらまた意識が飛んだようだと、自省に耽る。
そんな時だ。
「た、たすか…った?」
「あん?」
「ひぃえ!?」
いつの間にか、目の前で倒れている細身の男。それと目が合うと、すぐに身体を震わる。
「お前が術師か?答えろ」
「え、えっとぉ…」
「早く答えろ」
「あ、はっはい!!」
少し苛つきを見せ、目の前の男に顎で答えを促す。
すぐに男は飛び上がるように正座を見せて、口をパクパクと開閉させた。
「さっさと喋れ。生娘でもあるまいに何を戸惑っている」
「き、きむす…!?」
「早く、切るぞ」
「答えます!答えますから!」
伽藍がそう急かすと、男はすぐに言葉を練ろうと息を吸い込んで――
ふと目の前にある、布に巻かれた彼女の身体をじろじろと見て「ぇ~…」と言葉を発散させた。
「え~…そ、その…」
「…お前、こんな身体に欲情してるのか?」
「ちが!違いますって!!!ただ目が勝手にというか…ってそう!質問の答えですが!」
「露骨に話を逸らしたな」
「ごほん!」
伽藍の物好きを見るような態度と、その視線に耐えきれず、わざと声を大きくした男。
いくら若返り、その身体が男の目に毒とはいえ、彼女の自意識は未だ老婆だったあの頃のまま。仕方がないものだろう。
(若いから仕方ないか、あの時代ではそんなことを考える暇はないだろうが…)
「そう!君の言う通り、僕は呪術師さ!」
「ほう、階級は?参か?いや…この感じは肆か?」
「参…?僕は2級だけど?」
「、………………2…に……?」
…弐?
■■■
「こんなのが…こんなのが弐…?現代呪術師だと…!?」
「な、なんで君いきなり怒ってるの…?」
「黙れ、話しかけるな雑魚が」
「ひ、ひどい!?」
目の前の男、現代を基準にすれば2級の座に就くその存在を見て、伽藍の内心は怒りで満たされた。
(なぜだ…1000年、1000年だぞ!?1000年も研鑽を積んで血を継いで…それで"これ"だと?馬鹿言うな、ふざけるな…!)
あの懐かしい日々、伽藍が最後に眠った、平安の最後を過ごした昼下がり。
それが瞬間、脳内にあふれ出した。
「なぜだ…あの日瞬殺した、日月星進隊の穀潰しでさえ、こいつよりはマシだった…!こんなの…こんなのっ…!」
「じつ、げつ…?」
「貴様、体術はどれくらいの心得がある?」
「た、体術は自信ないから…あ、その分術式は強いよ!」
「ああああああああああ!!!!!」
「ひぇ!?」
術式が強いから体術はいいだと!?馬鹿なのか?自殺願望者か!?
伽藍は目の前の、そんな甘い考えを聞いて、怒りで完全に沸騰した。
「…おい待てまさか」
術師がこの体たらくならば、呪霊はどうだ?呪術師の基準が下がったのなら…まさか呪霊も…!
不味い不味い…!それだけは不味い!伽藍はその最悪の事態に思い至り、行動に移す。
「(確認しなければ…)穀潰しはそこで見ていろ」
「え、あの…」
「久方ぶりの戦だ…拍子抜けさせるなよ…!」
「ちょ、そんなに呪力垂れ流したら…!」
「何を今更、この程度で取り乱してどうする」
「こ、このままじゃ見つか…!」
――悪寒。
(…なるほど、自分でやっておいて今更だが、
伽藍が今まで見ていた砂、この領域は、
ここは呪霊の生得領域ではない。今こうしてる間にも、彼女の呪力を察知し、凄まじい速度で向かってきている。これは――
――呪霊の、
「そ、そんな…ここにいるのは3級のはずじゃ…」
すぐに異変を察知したのか、男は足を震わせて涙を流している。
自分たちの方にやってくる、恐ろしく膨大な殺気に。
「たかが呪霊ごときに、領域を錯覚させられるとは…ククク…鈍りすぎたな、情けなくて涙が出そうだ」
「そ、そんなこと言ってる場合じゃ…!僕たち殺され…!」
「辞世の句は思いついたか?」
「はっ早く逃げ…」
いや、もう既に手遅れだ。
腕、腕だ。
目だ、口だ。身体だ。
目の前に降り立つ人型の呪霊。まず目立つのは顔は目が4つ、歯をむき出しにして、まるで愉快だと笑っているようなその姿。
まるでかの、呪いの王を彷彿とさせるその御形。
それが目の前に、伽藍と男のすぐそばに降りてきた。
「と、特級…!」
男は恐怖の許容値を超えたのか、もう震えは止まり、笑いさえ漏らしている。
嗚呼いけない、考えを放棄してはいけない。そういう者こそ、この世界ではすぐに死ぬ。
『ゲヒャヒャヒャ!!』
呪霊が、咄嗟に攻撃の予備動作に入る。
青く光る、膨大な呪力を滾らせた、シンプルにして強力な一撃。
「っ…!"シン・陰流"…!」
「――"
男は姿勢を低くして、瞬時に結界を生成。対する伽藍は、ただ両手で印を結び結界を生成。
互いに同じ"簡易領域"、しかしその練度は比べるまでもない。
「シン陰流…そうかまだ生きていたのか、あの流派は…!」
"領域展開"、それは呪術の極致と言われるほどの、術師にとっての奥義。
結界を生成し、そこに自身の生得領域を具現化させたあと術式効果を流し込む…
これだけだ。しかしたったこれだけを行える人間はそう多くはなかった。しかしこれが使えるものと、使えないものの勝負は目に見える。ならばどうするか?
そして生まれたのがシン陰流。領域を練れない、展開すらできない弱者の為に生み出された技術。
門外不出の"縛り"によって効果を底上げし、なんとか実戦で使えるほどまでに、強度を上げた仮初の領域。
「――来るぞ、踏ん張れ若造」
「っ…!」
呪霊が呪力を練り上げて、そして放出。
だがこれだけで地面は抉れ、空間を呪力の波が押し潰した。
仮初とはいえ、必中の領域に晒された簡易領域は、すでに消耗を始め削られていく。
そして伽藍の使う簡易領域…彌虚葛籠はシン陰流の原型であり、結界の強度もそれより遥かに上、つまり。
――ビキッ
男の簡易領域にヒビが入る
「っ嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
対する伽藍の簡易領域は未だ無傷。そもそもの話、この呪霊の呪力量と出力が異常だからこうなってるのであって、本来結界術の綱引きを、雑な呪力放出でどうにかできるはずもないのだ。
シン陰流は弱者のため、縛りで出力を強化しているが、結局は使う者次第。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!たすけっ」
「うるさい、術師なら潔く死ね」
ぐちゃり。言葉にして表すとこんな感じだろうか。
あっさり、あんなに必死で抵抗して、「死にたくない」と叫んだ、名も知らぬ男の末路がこれだ。
なんてあっけない。なんてつまらない。伽藍はすぐに興味をなくし、目の前の呪霊にそれを向けた。
『ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…ヒャ?』
「なんだ、まだ生きていて不服か?」
無傷な伽藍の姿を見た呪霊は、すぐに動きを止めた。
ぎろり、じろりと4つの目が交互に動いて鋭く射抜く。
『――ア!ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!』
気に喰わない。そんな感じの叫び声だ。
何で死んでない?さっさと死ね。そんな子供の癇癪のような、身勝手な願望。
「――不愉快だな」
悠長に呪力を練り上げてる途中の、呪霊の顔をつかみ抉って。
「去ね」
全力の呪力強化で身体を速くし、伽藍はそのまま地面に向かって叩きつける。
――ドゴォ!
沈む、砕ける落ちる。
領域が破壊され、本来そこにあった地面に、呪霊の身体は沈む。
もっと深く。
もっと底に。
『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!』
「アハハハハハハハハ!!!!!!」
■■■
「お前は先ほど、特級と呼ばれていたな?」
呪術師、呪霊は皆共通してその危険度、強さでランク付けを行う。
4から始まり、3級、2級、準1級と1級…そして特級。
そして呪霊に限った場合、人間の通常兵器が効くと仮定した場合のランク付けというのがこうだ。
――2級は散弾銃、1級では戦車でも心細い。特級の場合はクラスター弾による絨毯爆撃。
結論を言おう。たとえ同じ特級呪霊でも力の差は激しい。
結局はクラスター弾でも倒れるか、なのだ。どれだけ術式が厄介でも、どれだけ呪術を修めているかなど関係ない。
当事者による判断。"危険度"というバラバラな価値観が特級を作り祭り上げる。
「特級の意味は詳しく知らんが、おそらくは強いものを表す言葉だ。ならば宿儺は特級のはず…ただまぁ」
ただ、この場合は。
「――お前のような
伽藍と名無しの特級呪霊に、力の差がありすぎたのみ。
「~~っ!ァアアアア!!!!」
言葉を理解できるほどの知恵はまだないが、呪霊にとっては関係ない。
己が生まれる原因となった負の感情。それが直接自分に向けられたのだ。これ以上の説明はいらないだろう。
ぐちゃぐちゃに引き裂かれた足が再生し、まだ少しふらつきながらもしっかりと立って伽藍を睨みつける。
「ほう?まだ呪力に余裕があるのか」
人間と違い、呪霊は反転術式を使わずとも肉体を再生できる。
そもそも負の感情の塊である呪霊は、呪力の総量も多く、ただでさえしぶとい。
だが伽藍は、再生した呪霊を見ても顔を変えない。斜めに揃えられた銀髪から覗くのは、1000年前と変わらぬ獣の瞳。
「そういえばお前、私の簡易領域を雑に呪力で消し飛ばそうとしただろう?」
呪霊はもう限界だ。今にも襲い掛かりたいという本能を必死で抑え込み隙を伺う。
伽藍はそれをあえて理解し、話を続ける。
「お前も…さっき死んだあの若造も、何も理解していない」
"それ"は本人にとっては戯れのつもりだ。だが呪霊にとってはそうではない。
特級呪霊でさえ悪寒を感じ、一歩後ろへ下がるほどの呪力の奔流。
伽藍は笑い、両手を目の前に持ってきて、印を結んだ。*1
「いい機会だ教えてやる…――
血。上も下も血で染まる。
血の大地と骨の花。人骨がまるで花畑のように地面から咲いている。
いつの間にか、
恐ろしく悍ましい、平安から
「…領域展開――
呪霊が、その上空から覗き込む髑髏を見たのが最後、瞬時に身体がバラバラに刻まれて、潰される。
あっけなく、戦いは終わった。
■■■
「悪くないな」
「その身体は気に入った?」
「改めて実感する…あぁ、本当に素晴らしい」
「これも貸しにしていい?」
「ハッぬかせ、あれ以上はなしだ」
「君意外とケチだよね、最初から領域展開すればよかったじゃん」
「やはり見ていたか」
戦いが終わり、勝利の余韻に浸る伽藍に話しかけたのは、どういう理屈かは知らんが、彼女の戦いを最初から見ていた存在。
虎杖香織…もとい羂索は、満足そうに微笑む彼女を見て、その胡散臭い笑みを更に深くした。
「どこからだ」
「時間のことなら最初から、場所のことなら空からだね」
「その女の術式か」
「そ、
「あ、あん…ぐらび…?」
「ところでそれ、どういうつもり?」
慣れないカタカナにフリーズする伽藍に、羂索はおかまいなしにそれを聞く。
彼の目の前には、今もなお呪いを引き寄せ、命を奪う凶悪な呪物――宿儺の指があった。
「あ?それだと?」
「宿儺の指。それ探してたんだよねー」
「好きにしろ、どうせ私はいらん」
ポイっと、適当に放り投げたその忌み物を、羂索は焦ってなんとかキャッチをした。
「…うん、いいね。相変わらずの存在感だ」
「そんなもの集めてどうする、宿儺のことだ、1本でもさほど問題じゃないだろうに」
「ま、集めといて損はないじゃん?」
「それもそうか」
呪力の残穢を残さないよう、丁寧に指を専用の箱に入れ、羂索は満足そうに頷く。
そしてふと、何かに気づいた後「ちょっと早いな」と呟き、何やらまた別の言葉を呟いた。
「…?どうした?」
「あぁいや、今彼にバレるのはちょっと面倒だし…」
そう言って、次第に羂索の姿が透明になっていく。
その既視感のある光景に、伽藍はハッとして。
「おい待て、お前まだ
「しばらくしたら連絡するよ、じゃね」
「…君が呪霊を祓ったのか」
そして代わりにやってきたのは、人形を操る、黒いサングラスを付けた男。
「…あぁそうだ」
あの腐れ脳味噌いつか殴る。
伽藍の心は、あの胡散臭い男への愚痴で満たされた。
伽藍
実を言うと術式の名前はまだ決まってないけど領域展開だけは前から決めてた。
効果とかもちゃんと考えてます。いっぱい考察してね。
虎杖悠仁のプロトタイプ、それなりの身体能力と呪力。
羂索
あいつまたハイになってるよおもしれー。
ホントは宿儺の指回収したかったけどグラサン野郎が来たから避難。
結構便利、アンチグラビティシステム(ネイティブ)
虎杖倭助
原作主人公のじっちゃん。羂索も伽藍もロクでもねーやつと秒で認識した。
名無しの呪術師
シン陰流に甘えて死んだ。まだ呪力放出で迎え撃てばワンチャンあった。
ちなみに上層部からの嫌がらせでこの任務を受けた。
夜蛾正道
名無しの呪術師が上層部にはめられたと気づき急行。しかし間に合わなかった。
ぬいぐるみが可愛い。