黄泉返りの国家転覆   作:倉庫

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 呪術廻戦らしいネーミングってなかなか難しいですよね。
 感想いっぱい下さい。


4話.貯まる

 ――平安時代から蘇った人がいる。

 

 庵歌姫にとって、一応後輩にあたる新入生への最初の認識は純粋な興味だった。

 平安時代、呪術全盛期。それは呪術を修めた者にとっては想像もしたくもない地獄だ。

 

 呪いの王、両面宿儺。

 

 現代のあらゆる呪術師でも、未だに彼の死蝋と化した指を消滅させることはできていない。

 「宿儺の指」、たった一つでも取り込めば呪物の毒に耐えきれず肉体が滅び、呪霊が取り込めばそれだけで特級になりうる劇薬。

 信じられないことに、死してなおあらゆる呪いを廻すこの存在は自分たちと変わらない人間らしい、そんな化け物と、ともに過ごした存在。

 

 どんな人なんだろう。

 

 呪術師というのはその職の性質上、人の死というものに対しての感覚が麻痺している。

 それが平安、しかも呪術全盛期だった場合はどんな人間になってしまうのか、両面宿儺という災いを見て、彼女は何を思ったのだろう。

 恐れが半分と興味がもう半分、歌姫は高鳴る心臓をなんとか抑えながら、開いた教室の扉を見た。

 

 そこにいたのは、自分とそう歳の変わらない少女だった。

 

 だけどその目はあまりにも暴力的で、あまりにも輝きすぎていた。

 そして、その赤く美しい瞳に心奪われたのも束の間。

 

 …なぜかほぼ全裸だった彼女に心底驚いた。

 

「なんて格好してるのよアンタ!!!」

「あ、すまない」

 

 色んな意味で、歌姫の認識が変わった瞬間だった。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 まるで某グラップラーのような、鬼気の籠ったかかと落としによって、一瞬で床の染みと化した3級呪霊。

 もとより呪霊相手に同情の余地などないが、まるで某格闘漫画のごとき技のフォームに軽くはしゃいで、その感想を語った後に歌姫は言った。

 

「さ、早く終わらせましょうか」

「あ、あぁ…」

 

 庵歌姫は呪術師である、それなりにネジは外れているしオンオフはしっかりと分けるタイプの人間なのだ。

 先ほどまでの印象と今の印象が変わり替わる様子に伽藍は少し混乱したが「これが現代呪術師か」と雑に納得をして終わらせた。

 

「伽藍、そっちは終わった?」

「問題ない、既に片付いた」

「さっすが!このまま最後まで片付けちゃいましょ」

「あぁ」

 

 会話をしながらビル内を進みそのまま階段前に、その間も警戒心は解かずに注意を払って一歩、また一歩と階段を上り始めた。

 

「どれくらい祓ったかは覚えてる?」

「私が4で歌姫が3、おそらく次で最後だろう」

「それはどうして?」

「気配だ、まぁ言い換えればただの勘だよ」

「流石平安呪術師ね」

「どうも」

 

 二人で軽口を叩きながら扉の前に、扉を開いて、そして二人は顔をしかめた。

 

「…やっぱりか」

 

 ――扉が開くと同時に流れ込んでくる異臭。

 血だ。肉と血が腐り空間を汚す醜悪な気配。

 

『ア、ンア"?』

「悪趣味な…」

 

 まるで虫のように醜い姿をした呪霊、それが既にこと切れ、命が消えた子供の腕をかじっていた。

 

『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!』

「伽藍、来るわよ」

「言われずとも」

 

 ――ザンッ。

 

 瞬間、歌姫の隣を黒い影が通り過ぎた。

 それはあまりにも一瞬で、それが伽藍による攻撃だと気づくのに数秒かかる。

 

『アれ?い、いだ…』

「全く…記念すべき私の初仕事がこのような雑魚とは…」

『イ、いダい!いダいいいぃいぃいい!!』

「おっと暴れるな」

 

 混乱が覚めて冷静に、歌姫は目の前で起きている現象を再認識する。そして答えはあった。

 

 伽藍の持つ骨の刀身が伸びて、呪霊の身体に刺さっていたのだ。

 

 つまり伽藍は、右手に持つ骨の刀の切っ先を呪霊に向けて、その後刀身を伸ばして呪霊の身体を貫いたのだ。

 歌姫にも見えないスピードで、一瞬で。

 一体何が起きるのか、彼女は何をしようとしているのか、必死に脳を働かせる歌姫の隣で、伽藍は語りだす。

 

「私の術式は骨と肉の創造、操作だ」

 

 伽藍は動きを封じられた呪霊に対して自身の力を、術式の効果を説明する。

 「術式の開示」それは自身の力を相手に晒すという「縛り」のもと、術式の効果を底上げする呪術における重要な要素の一つ。

 

「だがあくまでも作れるのは肉と骨のみ、皮や爪、髪などは作れないがそこはいい。私がこれからすることだが…」

 

 一息。

 

「まず私の持つ刀…"武振熊(たけふるくま)"は私自身の骨と肉で作った呪具擬きだ。しかしあくまでも作り終えた無機物ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 呪霊の動きが止まる。

 

()()()()()()()()()()()…対象を取る術式が相手の肉体を対象にはできても、その中の内臓を対象にすることはできない*1…だが今言った通り武振熊は私の生きた身体、つまり()()()()()()()()()()()だ。それを今()()()()()()()()()()()つまりは…」

 

 ――お前の身体を内部から直接壊すことができる。

 

 

 

 

 

「終わった…の」

「もう終わりだ、時間を取らせてすまないな」

 

 説明を終えた瞬間、呪霊の身体が刀の刺さった箇所から一瞬で崩壊し、その後風に吹かれた灰のように消えた。

 呪霊を祓ったあと、伽藍は刀を二、三回ほど振った後、それを分解して消した。

 

「ねぇ、今のってもしかして」

「術式反転だ、私の術式は肉と骨の創造、それを反転させれば肉と骨の消滅になる。対人特化型だな」

「………」

「だが呪霊の身体は作りがややこしいからな、ああやって、術式の開示で威力をあげて押し通した。結構便利だぞ」

 

 伽藍はなんて事のないように語るが、先ほど行ったそれは歌姫には遥か遠くのレベルの話だった。

 "反転術式"本来呪術師は負の感情を基にした呪力を使い、肉体を強化したり術式の発動を行う。だがこれに更に呪力を重ね合わせて正のエネルギーを生み出すのが反転術式。数学で表すと-に-をかけて+にする…という感じにだ。

 反転術式を使える呪術師は非常に少ない。グラム単位で、ミリレベルで己の呪力を操作し、1対1で一切の無駄なく呪力を掛け合わせて操作する。それがどれだけ難しいかは言うまでもないだろう。

 更にはそれにより生み出した正のエネルギーを術式に流し込む"術式反転"伽藍のそれは全てが高次元の技術力…――これが平安時代の呪術師。

 

 任務は完了した、あとの後始末は窓の人間に任せればいいだろう。

 後は帰るだけ、だが勿論最後まで油断はしない。そんなことを考えてる最中に伽藍が言う

 

「あと言っておくが、私は己に課した"縛り"で他人の治癒は一切できないからな」

「…つまり?」

「これから歌姫がどんな怪我をしようとも一切治さん」

「はああ!!??」

「じゃあ先行くぞ」

「あちょ、待ってってば!?」

 

 一応全ての呪霊は祓ったものの、そのような言葉を聞いてしまっては最悪の万が一を想像してしまう。

 結局窓の待機する車に乗り込むまで、歌姫の心臓はバクバクと高鳴っていた。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「えーと、あんたの部屋はここね」

「意外と広いな」

「まぁただでさえ人手不足だからね、部屋は余りあるのよ」

「そういうものか」

「そういうものよ」

 

 無事何事も起きないまま高専に帰ることのできた二人は今、伽藍がこれから住むことになる新たな住居にいた。

 三輪伽藍は平安時代出身だ。現代の知識は全くないと言っても過言ではない、だからこその歌姫(説明役)だ。

 部屋に入り様々な現代家具、電子機器などを眺める伽藍。

 

「これは?」

「これはベッド、まぁ、敷布団の高級版?」

「これは?」

「冷蔵庫、生の食材を腐らないまま保管できる蔵みたいなものね」

「ほう…これは?」

「これはテレビ、えーっとね…」

 

 幸い伽藍の理解力はかなり高く、無駄な説明も求めず最低限の知識を得ようとするおかげで歌姫も説明がしやすく、ありがたかった。

 伽藍は更にあれはなんだ、これはなんだと数回繰り返してうんと唸り。

 

「ありがとう、大体把握した」

「じゃあ私部屋に戻るけど…何かあったら呼んで?」

「あぁわかった、頼りにさせてもらうよ」

「じゃあね」

 

 ベッドの上で座禅を組み始めた伽藍を最後に扉を閉めて、歌姫は自室へと戻る。

 そしてふと、明日の朝の予定を話し忘れていたことを思い出す。

 

「あ、明日の予定言ってなかったわね…」

 

 ついさっき別れの挨拶を終えたばかりでこれは少し恥ずかしい。

 だがこのまま何も伝えないのもいけない、歌姫はすぐに踵を返して伽藍の部屋前に着き、扉を開けた。

 

「ごめん言い忘れてた!明日…は……」

「ん?」

 

 

 

 

 

 この時、庵歌姫は己が幻術にでもかかったのではないかと疑った。

 白くてふわふわな大きめのベッド、木目の美しいタイルと壁、水色の可愛らしいカーペット。

 

 ――それらが全てが血と人骨の悍ましい庭園へと変貌していた。

 

 ぴしゃりと足が濡れ、まるで部屋が水没したかのような感覚を味わったが、それが部屋の床を満たすほどの血液の海だということを脳が拒む。

 救いを求めるように地面から生える、両腕を天に掲げる人骨の群れも、それら全てを真っ暗な空から見下ろす巨大な髑髏も。

 

 そしてそれを見た歌姫は。

 

「…………………きゅう…」

「あっ」

 

 すぐに気絶した。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「う、う~ん…」

「目が覚めたか」

「あ~よかった、部屋が血と骨で満たされたアレはやっぱり悪夢だったのね」

「いやそれは本当だが」

「……………ごめん、今も上に髑髏あるし、現実逃避」

「はぁ…」

 

 目が覚めた歌姫を待っていたのは少し心配そうに顔をのぞき込む伽藍と、更に上からこちらをのぞき込む巨大な髑髏。

 しかもよく見ると、今歌姫が寝ていたのは人骨で作られた山で更に数十個の髑髏と目が合ってしまう。

 少しでも気を抜くとまた気絶してしまいそうな、そんな地獄絵図だ。

 

「で、これはなによ」

「生得領域の具現化。この部屋の空間をそのまま領域に転用したものだ。術式は流し込んでいないし、術式の焼き切れも起きない」

「…あんた領域展開使えるのね」

「まぁ一応」

「はぁ~~~~…」

 

 通常、領域展開を使う際は現実世界の空間を結界で区切り、そこに己が生み出した疑似空間を重ねて術式を流し込む。

 この疑似空間を重ねる、そもそも結界を張る時点で行き詰まる呪術師がほとんどだ。

 だが呪術の核心を掴んだ者、選ばれた才能のすべてを生かしきれた者がたどり着く境地。それが領域展開…のはずだが。

 

「流石平安出身…なんでもありね」

「しかし私の領域展開はそれほど優れたものじゃないぞ」

「ほとんどの術師が領域展開できない中よく言うわ」

「…だが事実だ」

 

 歌姫は呆れたように伽藍を見るが、伽藍の初めて見る悩みの表情を見て、彼女が心の底から本気でそう言ってることを理解する。

 1000年前から当たり前のように神業を披露していた呪いの王、そして1000年の研鑽を経てようやくその土台に立てた者。

 伽藍はその二人のことを思い出す、そして考える。彼らと並ぶには、彼らを超えられるにはどうすればいいか。

 老いて脆くなった腕はもうない、呼吸も苦しくなく活気に満ちている。

 これからだ、これから成長していけばいい。そう結論付けた。

 

「あぁ少し待て…」

 

 伽藍が軽く腕を振るうと、まるでホログラムのように、結界に正六角形のヒビが入り崩壊していく。

 人骨の山は本来そこにあったのであろうベッドに変わり、他全ての景色が本来の部屋へと戻った。

 

「改めてすまない、それで用件は」

「あー…明日は休みだからそのことで」

「なるほど理解した」

「じゃあね…」

「あぁ」

 

 心なしか部屋から去る歌姫の足取りが重く見えたが、きっと気のせいだろうと伽藍は思いこんだ。

 しかし実際のところ、生得領域の具現化をした理由は結界術の練習もあるが、真の理由は別にある。

 

「眠れん………」

 

 1000年以上、受肉をするまでの果てしない年月をこの生得領域で過ごした弊害か、本来は温かく寝心地の良いはずのベッドが、どうしても受け付けられなかったのだ。

 試しに二三度ベッドで寝転び、枕を抱きしめてみても何も感じない。少し面倒臭いがもう一度生得領域を具現化させ、部屋を塗り潰して書き換える。

 

「あ~…落ち着く……」

 

 もはや見飽きたのレベルを過ぎた人骨の群れを抱きしめ、そのまま寝転んで天井を見る。

 先ほどと同じようにこちらを除く巨大な髑髏は、1000年前から表情の一つも変えやしない。

 

「………………ぁ~…」

 

 先ほどとは比べ物にならないスピードで意識がまどろみ、そのまま伽藍は眠りに落ちた。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「ねぇお母さん」

「なぁに?××」

 

 廃墟、病院。その中にある小さな箱庭に少女が一人。

 

「この壁の向こうには何があるの?」

「さぁ、何があると思う?」

「え~っとね…」

 

 黒髪の少女は答えに悩み、そのままう~んと何回も唸った。

 

「見てみたい?」

「見たい!」

 

 少女は顔をほころばせて笑う、その様子を見て、母親である女性も楽しそうに笑った。

 

「楽しみね?」

「うん!」

 

 くつくつと笑い身体が揺れる、そしてその前髪から()()()が見える。

 

「本当に楽しみ」

 

 その笑顔はとても純粋で、悪意など一切感じない美しい瞳だった。

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「やぁ伽藍、久しいね」

「げっ…」

「うわぁ相変わらずの対応」

「羂…いや、香織か。何の用だ?」

 

 翌日の正午、伽藍は今高専近くの商店街にいた。

 歌姫は別の任務があるので寮にはおらず、楽巌寺も教師の仕事があるので忙しい。

 故に伽藍は己の足と目だけで街を散策し、知識を蓄えようと外出を決めたのだ。

 そんな中このエンカウントである、昨日見た夢のことといい気分はあまりよくない

 

「お前、一体何の用で私に会いに来た?私は監視されているはずだろう」

「あんなの上層部の少数が勝手にやってるだけ、もみ消すのは簡単さ」

「…やはりお前の手が既に回っていたか」

「だからこそ君は、あの"縛り"を了承したんだろ?」

「まぁな」

 

 別に好意を抱いているわけではないしむしろ引いている。だが羂索の努力と才能は本物だし、その辺の手腕は信用している。そして推測を立てた。

 …これほどまでの手練れが、現代呪術界に何もしていないわけもない。と。

 だがそれとこれは別だ。

 

「もう一度聞くが何の用だ?」

「デートしない?」

「でーと?」

逢瀬(おうせ)

「死ね」

 

 羂索の顔面に向かって、鋭い拳が放たれた。

 

「まぁまぁ落ち着いて」

「貴様と逢瀬だと?ふざけるのも大概にしろ」

「え、そんなに嫌なの?」

「当たり前だろう、というか第一今のお前は女だろうが」

「泣いちゃいそうだなぁ」

「勝手に泣け」

 

 伽藍の右手を抑え込みながら、心底不思議そうに首をひねる羂索。

 そしてしばらくうーんと唸り、そして言った。

 

「じゃあ今ここで"借り"使おうかな」

「………お前正気か?」

「正気正気」

 

 それはとても、あの羂索とは思えない考えだ。

 伽藍の実力は低くはない、戦力としても優秀な、そんな彼女の手を借りる権利を捨てここで使い果たすなど。

 

「種は撒き終えた、あとは時間が解決してくれるさ」

「ふむ……」

「だから君に手伝ってほしいことって、ホント特にないんだよね」

「理解した」

 

 時が解決する。それはあの「作り物」が晩成することか、それとも…もっと別の何かか。

 だがあの羂索だ、たった一つの選択肢で事を進めるはずもないか。いやそれとも流れに身を任せるか。

 伽藍は訝しげに羂索を見て、ため息を一つ吐く。

 

「いいだろう、しっかり私を楽しませてみろ」

「はいはい、しっかりエスコートしてあげる」

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「でどうだった?今の呪術界」

 

 適当な喫茶店に入店し、窓際の席に二人は座る。

 しばらくしてやってきたチョコレートケーキを食べながら、羂索は旧知の女へ問う。

 

「呪術の発展はそれほどだった、呪術の発展はな」

「へぇ?つまり呪術以外に…面白い何かがあったのかな?」

「ベッドとやらはとてもいい、あれは現代の幼子にとっては天からの祝福そのものだろうな」

「あ~、確かに昔は高機能の布団そのものが少なかったからね、寝たの?」

「いや普通に生得領域内で寝た」

「ダメじゃん」

 

 フォークを手に取り、試行錯誤して持ち方を模索する。正しい力の込め方、食べ方を目の前のお手本を見ながら試す。

 会話を続けながらそれを行い、そしてなんとか一口、伽藍は同じチョコレートケーキを口に運ぶ。

 

「美味い…これが現代の甘味か!確か…けーきだったか」

「気に入ったようで何より」

 

 一度成功して勘を掴んだのか、二口目からは何の戸惑いもなくフォークを動かし、羂索と同じようにケーキを頬張る。

 それを見て羂索は目を細める。

 

「上達が早いね」

「見て覚えるのは得意だからな」

「おーこわ、じゃあ君に手札を見せるわけにはいかないなぁ」

「…領域か」

 

 かしゃんと、手にしていたフォークを皿に置いて。

 

「お前はできるのか」

「まぁ一応」

「宿儺と同じ、()()()()()()のことだ」

「……へぇ?」

 

 ほんの少しの驚愕。だがその表情が、伽藍の問いに是と答えた。

 

「どうしてそう思ったのか聞いても?」

「お前の結界術は天才だ、恐らくこの世で三番目には」

「ちなみに上は?」

「言わなくてもわかるだろう?一番は宿儺。二番目は……天元か」

 

 天元、その言葉を聞いた羂索の表情が少し歪んだ。

 

「まぁそうだね、それで?」

「お前は変なところで真面目だからな、この1000年、遊ぶだけに生きたわけじゃないだろう」

「そんなに褒められると照れるなぁ」

「事実だ、私はお前のそういうところは好意的に思っている」

「ほんと君さぁ」

 

 がたりと、テーブルの上に何かが置かれる。

 伽藍が羂索を見ると、先ほどよりもニコニコとした顔で。

 

「これあげるよ」

「なんだこれは?いや待てこの気配は…」

「そ、呪物」

「何のつもりだ」

「それ…」

 

 

 

 

 ――食べてみない?

 

 

 

 

「反転術式の縛りを解くか…」

「言っておくけど私の頭は正常だからね?」

*1
直哉くんの時胞月宮殿もこれを利用している。相手の体内に術式を打ち込み、本来は不可能な体内、細胞への干渉を可能にしているのだ。




 伽藍
生得領域イズ落ち着く。結界術のレベルは羂索がSだとしたらA+くらい。
生得領域に引きこもってた影響で結界術がレベルアップした。ちなみに宿儺の結界術のレベルは暫定SSS。
あの後スーツがまた破れた。


 歌姫
あいつの生得領域怖すぎ。


 羂索
悠仁は仁さんに預けてる。最近ママ友と離乳食トークで盛り上がってるらしい。
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