サイバーだけどパンクでなし―211×―ルームランナーズ   作:どくいも

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爆誕!メガネ団!

 

……どんなところにでも悪は蔓延る。

 

たとえそれが、近未来開発都市サイサカであっても。

たとえそれが、サイサカでも有数の安全地帯である十三地区内であってもだ。

 

「く〜っ、くっくっ!

 うまくいきましたね!博士!」

 

「ふ〜っはっはっはっ!

 その様だなぁ、助手よ!」

 

そこにいるのは複数のアンドロイド。

なぜかどいつもこいつも眼鏡をかけているという実に特徴的なアンドロイド集団。

十三地区に住む秘密結社(自治体費出費済み)で恐るべき秘密基地にすむ、十三地区に住む悪の巣窟。

なぜか白衣を着こんでいるのが多かったり、そもそも肉体構造的に視力が下がることがないのに眼鏡をかけているなどいろいろふざけている容姿のアンドロイド集団ではある。

が、それでも彼らがこの地に住む悪党であるということには間違いなかった。

 

「それにしても、事故に見せかけてトラックから布製品を盗むとは!

 初めは銃器などの武器関連を狙うと思いましたが、まさかそちらからとは、さすが博士です」

 

「くくくく、流石に銃器関係は今手を出したら危ないからなぁ!

 だからこそ、それ以外に対する警備は薄い。

 これが頭脳プレイというものだぞ?皆の衆よ」

 

彼らはそういいながら、くすくすと笑いはじめる。

そうだ、彼らこそがつい先日メイド工場(仮)が外部から仕入れようとした反物を奪った犯人であった。

彼らは件の反物屋のトラックの積み荷の近くで小規模な爆破をひき起こし、その間にトラックを荷台ごと強奪。

死者などは出してこそいないが、それでも十二分に悪事を働いていたのであった。

 

「噂に聞くと、この反物は最近できたばかりのとある新しい工場が素材として仕入れたものらしいからなぁ!

 さらにいえば、この品質クラスの反物は、この辺の地区ではもう売っておらん!

 なればこそ奴らは、まともに工場を稼働させたければこの反物が必要というわけだ!」

 

そういいながらこの悪の秘密結社【眼鏡団】のボスである博士は怪しい笑みを浮かべつつ、手に持つ資料を周りに見せつけた。

そこには、件の工場についてのいくつかの情報が書いてあった。。

例えば、件の工場が宝石の庭とのつながりがあることや、さらには後ろにチャレンジャーギルドのNo2がいることなど。

その他、メイド姿のアンドロイドがいることなどの情報も、彼の予想や考察とともに書かれていたのであった。

 

「くくくく、どうやら件の新興工場はずいぶんと儲かっているようだからなぁ。

 少なくとも宝石の庭やNo2がスポンサーとしてかかわっているのを見ると、金がないということはないだろう。

 だから我らは、この反物を取引材料に奴らからたっぷりと金をむしり取ってやるのだ!」

 

メガネ団の統領は高笑いを上げながら宣言する。

 

「で、でも大丈夫なんですか博士?

 宝石の庭は無数の戦闘アンドロイドがいることで有名ですし、チャレンジャーギルドの№2とか、それってやばい集団の上澄みってことじゃないですか!

 そ、そんなところに間接的とはいえ、喧嘩を売るだなんて……私達みたいな半野良アンドロイドなんて、一瞬で消し飛ばされちゃいますよぉ!」

 

眼鏡団の部下の一人がそのような弱音をこぼすが、その博士と呼ばれる統領は力強くそれを否定した。

 

「ふっふっふ、それは早計だという話だよ。

 なぜなら、我々はアンドロイド。

 それゆえに、宝石の庭は基本的にアンドロイド人権派ゆえに、アンドロイドが人殺しなどの一線を越えさえしなければ、基本的にはそこまで手出しはせん!

 もちろん、十三地区のほかチャレンジャーも同様!なぜならわれらは少なくとも自治体費などを払っているが故、背後関係は一見ホワイトなはずだ!

 だからこそ、今回の事件で我らはそこまで強い捜査を受けることはなく、今回の事件も我らが犯人とまでは断定できないはずだ」

 

博士のセリフに対して周辺からおおっと歓声が上がる。

それに気をよくして眼鏡団の統領である博士はさらに、セリフを続け得た。

 

「唯一この件の背後関係が、わかるとしたらそれは向こうの工場関係者や件のチャレンジャーギルドの№2辺りだが……。

 これはほぼ、問題ないと私は見ている!

 なぜなら、件のチャレンジャーギルドナンバー2は低改造のサイボーグ!

 しかも戦った姿はほとんど見られたことがないそうだ」

 

「それはつまり……?」

 

「そう!つまり奴は人間故に弱い!

 でも、人間だからと言って贔屓されているがゆえにチャレンジャーギルドの№2になっている。

 そういう男なのだ!」

 

周りから大きな歓声があがり、博士はさらに自論を続けていく。

 

「そうだ、少し前にあったあの超カワイイアンドロイド娘の配下がさらわれたときも、宝石の庭を使って、周囲に助けを求めるのがメインで本人はほとんど戦わなかったらしいからな!

 これはもう、基本的に人脈やコネがメインのチャレンジャーなのは確定だろう。

 まったく、これだから人間は……人間というだけで社会的地位を手に入れられるなんて、まったく愚かで嘆かわしい」

 

「しかりしかり」

 

「社会的地位の高い、立場だけの人間とか、それが社会の上に立つとか間違っているわよ!

 ちゃんと、アンドロイドと人、どちらが優れているか、その身に教えてあげなきゃ!」

 

「そうだそうだ、偉そうな人ガキなんて、ちゃんと立場分からせて、私達でお世話……こほん、管理、教育してあげるべきよね」

 

なぜか不明だが彼らの脳内では、件のチャレンジャーギルドナンバー2の人物が小柄で童顔だがわずかな機械パーツしか備わっていない少年へと変換されていた。

それにくわえて、彼らの脳内にはそんな脳内ギルドナンバー2の少年に、あんな教育やこんな教育などをしている妄想が繰り広げられたりしているが、そこは些細な問題であろう。

 

「くっくっく!今回はそうはいかないぞ!

 事前に我らは、ほかチャレンジャーギルドのトップの関連団体と連絡を入れて、それとなく今回の件には関わらないように、根回し済み!

 なればこそ、件の工場とチャレンジャーギルド・№2は自分たちの力のみで我らと交渉をしなければならないぞ」

 

「でも、向こうは金を持っているそうですよ?

 万が一それで、武装を整えられたら…」

 

「それに関しても大丈夫だ!

 なぜなら、今の十三地区は武器やら傭兵だが高いからな!

 そう簡単に強い傭兵は雇えない上に、さらに我らには秘密兵器がある!」

 

博士のそのセリフとともに、部屋の奥から轟音が鳴り響く。

そしてそこには一つの巨大な自動機械の姿が。

 

「そうだ!なんと今回我らは、この交渉のためだけに、この【交渉用戦闘自動機械・ハルシオン】を用意したのだ!

 この機械はすごいぞ!なんと並の自動機械兵器5つ分の力を持ちながら、同時に特殊機能までついている」

 

「そう!この機能についているのは、いわゆる【催眠装置】!

 残念ながら即物的なエッチな命令をすることは無理だが、それでも対策をしていないサイボーグなら、特に低改造なサイボーグなら一発で眠らせることぐらいならできるはず!」

 

「えぇ!つまり、交渉中に相手のギルドナンバー2君が間違ってお眠になっちゃうかもしれない……ってこと!?」

 

「そうだ!もし交渉中に間違ってお眠になられてしまったら、それこそその間()()()()()しなければならないかもしれないなぁ!

 くくくくく、件の魅力だけでギルドナンバー2まで登り上げた低改造のフレッシュな人間、とっても気になる!

 あ、あくまで研究対象として、研究対象としてだからな!」

 

「そうだそうだ!あくまで研究対象!だから、ちょっとすごいことしても契約的にセーフ!」

 

「ここに猫耳サイボーグパーツがあるじゃろう?

 これなら、低改造の人間くんでも無理なくアタッチメントできると思うの」

 

「低改造の子に派手なサイボーグパーツは解釈違い。

 ぶっ壊すぞ」

 

なぜか、当初は金を手に入れるための作戦であったはずなのに、あらぬ方向へと会議の主題が変わっていく。

 

「このためだけに、新機教から、戦闘自動機械を購入するとは、さすが博士だぁ」

 

「金と研究対象とチャレンジャーギルドナンバー2を手駒にする作戦とは!

 さすが、我らの博士!」

 

「待っていろメイド工場及びチャレンジャーギルド№2よ!

 貴様らの功績と金銭を足場に、我らはさらに上のステージへと駆け上がっていくのだ!」

 

かくして彼らは勝利と明るい未来を確信しながら、件のメイド工場及び№2からの交渉連絡を心待ちにするのであった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

なお、後日。

 

「メイドがせめてきたぞっ」

 

「グアーッ!!」

 

さもあらん。

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