パイロット・アーカイブ   作:QAAM_M1911

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えー、お久しぶりです。まぁエタる事はないと思いますのでお手柔らかに。


委員会とシャーレの事情

『カタカタヘルメット団のアジトがあるとされるエリアに入りました。半径15km圏内に、敵のシグナルを多数検知。』

『恐らく敵もこちらを検知しています。ここからは戦闘です、気を引き締めていきましょう。』

 

そうDEに告げられ、Lスターを構え直す。一応俺も彼女らと同じ進軍速度にしようと提案はしたのだが、先生からは逆に俺の移動速度を生かした戦術を展開しようという事になった。要するに、俺の得意な破壊工作である。

 

「さてお前たち!スリルと冒険の準備は良いか!?」

『そのセリフ言わなきゃ気が済まないのか?』

「当たり前だ、頑張るぞみんな!」

 

そう言うと、一気にアジトと見られる一帯へと突入する。既に表では戦闘が始まっている。ならば俺がここから破壊工作を行う。ヘルメット団の意識は皆の方に向いている、手薄な警備を手早くモザンビークで片付け弾薬庫からC4爆弾をくすねる。

 

「やるからには徹底的にやらせて貰うぜ?」

 

C4を破壊目標に取り付けながら、散り散りになったヘルメット団の雑兵との戦闘をこなす。正直ここまで楽な仕事はない。いやフロンティアの水準が高すぎるだけなのだろうが、それでも正直基地である事を忘れそうなくらいにはゲーム感覚だ。

 

「よし、設置完了!これからそっちに合流する。」

『流石、早い。』

『こっちもそろそろ片付きそうだし、もしかして殲滅しちゃったかも?』

「ま、大丈夫だろ。そもそもが学校を襲う奴らだしな。」

 

そう言って、C4を無線起爆する。拠点には必要な設備が次々と爆発し、特に弾薬庫は大きな花火が上がった。爆風でちょっとパルクールに影響が出る程度には派手だ。

 

『わぁ、凄い爆発です!』

『敵前哨基地及びヘルメット団戦闘員の殲滅を確認。お疲れ様でした。』

『皆怪我はないか?』

「見たところ怪我人はいなそうだな。皆よくやった!」

「あ!スレイヴさんもお疲れ様~。ここまでうまく行くとはね~。」

「さて、帰るか。これでしばらくは襲撃もないだろう、皆よくやった!」

 


 

「しかし、やはりここの生徒はおかしい。銃弾を痛いで済ませるのはどうかしてるな……」

「今更ってやつだろ?まぁ俺らパイロットも似たようなもんだぜ?コーヒーに一滴入れるだけで3日寝れなくなる興奮剤をプスプス刺す阿呆も結構居るもんだしな。」

「何だよその魔境。」

「実際蠱毒を更に煮詰めたのがパイロットだからな。今考えると、狂ってたさ。」

 

実際、訓練中に命を落とす若者は実に多い……と言うか大半がそうだ。だがそれを乗り越えなければパイロットなどと言う過酷極まる任務をこなす兵士にはなり得ない。才能、努力、そして運でさえも味方につけて一人前なのがパイロットと言うもの。

 

「お帰りなさい、皆さん。お疲れ様でした。」

「ただいま〜」

「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ。」

「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです。」

「休憩してから、また別の問題に取り掛かるのか?」

「うん、借金返済っていう重要な問題。」

「ま、待って!それ以上は!」

「いいんじゃない、セリカちゃん。隠す様な事じゃあるまいし。別に罪を犯したとかじゃないでしょー?それに先生たちは私たちを助けてくれた大人でしょー?」

「まぁ借金だろうなとは思ってたけど。」

「き、気付かれてたんですか?」

『はい。事前調査によりここアビドスの全校生徒は把握していました。その為生徒から学校へ流れる金額は運営費と比べて赤字となっている事を推測。』

「ほら、さ?悩みを打ち明けてみたら何か良い解決方法が見つかるかもよー?」

「で、でも、さっき来たばっかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?この学校の問題はずっと私たちだけでどうにかしてきたじゃん!なのに、今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……私は認めない!!」

 

そう言うと、セリカはこの部屋から出て行ってしまった。無理もない話ではある、彼女が言った事が全て。周囲の人間がどうかで初見の見方などいくらでも歪んでしまうものである。

 

「私、様子を見てきます。」

「あぁ、頼む。」

「……で、借金の話なんだけどさ。問題がその金額で……9億くらいあるんだよねー。」

「……9億6235万円、です。」

「あー……確かに君たちだけじゃ返済出来ない金額だな。」

「返済出来なかったら?」

「学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります。ですが……殆どの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて、去ってしまいました。」

「……成程。この街がゴーストタウンになりつつあるのも、借金に起因するものか。」

「ミリシアみたいに全員が背水の陣ってわけにもいかないしな。逃げられるなら逃げるさ。」

『借金をする発端になった出来事は?』

「郊外で起きた砂嵐です。頻繁に砂嵐は起きていたのですが、数十年前のそれは、想像を絶する規模のものでした。」

「……それで、砂が溜まって事後処理やら対策やらに資金を投資しなきゃいけなかった。」

「はい。しかしこのような片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行は見つからず……」

「闇金に手を出さざるを得なかった、か。」

『ログを確認。年々砂嵐の規模は巨大化しています。』

「利息もあるから、それの返済で精一杯だったって訳か。借金が減らないのは。」

「地域の大人は手を貸さなかったのか?」

「……そう。話を聞いてくれたのは、先生とパイロット。二人が初めて。」

「そりゃ神経質にもなる訳だ。」

 

廊下にある気配を感じながら、溜息をついた。どこの地域でも、余裕のある大人は腐ってしまうものなのか。IMCだって、巨大企業となってからは横暴にも程がある振る舞いをしていたのだから。

 

「さて、どう返済しようか。スレイヴ、なんか案あるか?」

「そ、それって……」

「先生も変わり者だねー。こんな面倒な事に自分から首を突っ込むなんて。」

「……でも、本当に良いの?迷惑じゃない?」

「迷惑も何も、問題を解決するのが俺たちシャーレだ。片田舎と言っていたが、ここも立派なキヴォトスの学校だ。」

「なら俺たちが手を貸さない訳にはいかない。DEも居るんだ、色々と見えてくるかもしれねぇぜ?」

「……はい!よろしくお願いします!」

 

 


 

時は少し戻ってシャーレの名前を広めるべく活動していた時。俺と先生はとある問題を解決するべく、ミレニアムのエンジニア部を訪ねた。

 

「しかし、凄い壮大な話だ……遠い惑星からの漂流者か。」

「まぁな。事故に遭っても運よくこうして生きてられるだけでも儲けものだ。」

「それで、私たちに何を作って欲しいんですか?」

「あぁ……まずはコイツ。訓練用シミュレーションポッド。プログラム自体はDEに入ってるから、側だけ作って欲しい。」

「シミュレーションポッド……」

「いくらか依頼を熟したが、どうも消化不足というか、腕が鈍りそうなんだ。」

「一体どんな魔境を潜り抜けてきたんですか!?」

 

フロンティアです。とジョークを飛ばしてもアレなのでコトリ……金髪眼鏡の子のツッコミはスルー。だがとにかくシミュレーションポッドが欲しいのは確かだ。何せ傷も負わずに訓練を行えるのだ、身体を動かさない事以外は効果的な訓練である事は確かだ。また、シャーレに所属する生徒が出た時もこれを使えばパイロットまではいかずとも強くなれる。そういった面でもぜひとも欲しいものだ。

 

「それと……他の依頼もか。」

「まずは進化シールド。所謂アーマー型バリアーだな。」

「ただでさえ硬いキヴォトスの生徒がもっと硬くなるな。」

「言うなよ。そもそもがお前を守るための注文だ。司令官を不意打ちとか十分あり得るからな。」

「確かに、有能な司令官を討つのが手っ取り早く組織を崩壊させられるからね。」

 

そう頷くのがクールな印象を持たせる薄紫の長髪の子……ウタハ。エンジニア部にはあともう一人ヒビキという黒髪のちょっとダウナーっぽい子も居るが、現在別の作業に取り組んでいる。

 

「さて、そして最後の。そして俺が今一番欲しているもの。それが……」

 

2人共に固唾を飲む。そりゃログを見たのだから何を欲しているかなど分かっているからだ。

 

「タイタンだ。まぁ流石にバンガード級なんてもんは作れないからイオンシャーシだな。」

「あのレーザー出すやつですよね!?」

「お、おう。まぁとにかくキヴォトスにはパワードスーツがあるのは確認済み。となるとそれをどうタイタンに落とし込んでいくかが問題になる。」

「まぁそれ使って人殺すのはないからいくらかは威力を落としたりするだろうけどな。」

「ふふ……面白くなってきたじゃないか。」

「まぁとにかく最初は初歩中の初歩、タイタンバッテリーからだな。それがエネルギー問題の全てを解決する。DEに設計図を転送させるから、頼んだぜ。」

 

尚、タイタンバッテリーを解析してから三日で組み上げやがった。だが何故バッテリーにアークグレネード並の放電機能を付けたのだろう、誰も触れなくなるじゃないか。

 

とにかく、この馬鹿と天才は紙一重をその身で体現するこのエンジニア部とは、長い付き合いになりそうだ。

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