ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
二日目。
『ヘェイグッッモォォォニン!!ゴミクズ共ォォォ!!!朝の7時をお知らせするぜイェア!!!今日も張り切ってけェ!!!』
「………ん」
……朝からうるさいわね。
何なのよ……
……あ。
そっか。
昨日のは夢じゃないんだ。
私達は、ダンガンロンパを再現したコロシアイゲームに巻き込まれたんだ。
気分が悪い。
頭が重い。
…でも、いつまでもこうしているわけにはいかない。
私は、制服に着替えると早速食堂に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
食堂に行くと、既に越目君、玉越さん、小鳥遊さんがテーブルを拭いたり食器を並べたりと、朝食の準備を進めていた。
「おはよう」
「おう、おはよう緋色」
「おはよう腐和ちゃん!今日もカワイイね」
「ん」
私が挨拶をすると、三人とも応えてくれた。
でもおかしいわね。
今日の朝食の手伝いの当番は館井君と闇内君と秋山君だったはずだけど…?
「あなた達は今日の朝食の当番じゃないわよね?」
「そうなんだけどさ。朝から準備すんの大変だろ?朝食の準備ぐらいはうちらも手伝う事にしたんだよ。まああたしらも部屋出たのは7時ちょうどだったから、ついさっき来たばっかなんだけどさ」
「そうだったのね…」
だったら私ももう少し早く来て手伝えば良かったわ。
私がそんな事を考えていると、越目君が玉越さんに声をかけた。
ホント隙あらばね…
「ねえ、玉越ちゃん。後でオレと一緒に回らね?オレちゃんが玉越ちゃんに似合うメイク教えてやっからさ」
「はいはい、そういうのいいから黙って手動かす」
越目君は玉越さんに声をかけたけど、見事に玉砕した。
あ、結構落ち込んでる。
ちょっと可哀想になってきたわね。
ああ、じゃなくて、私も手伝わなきゃ。
私も朝食の準備に加わって7人で準備をしていると、時間より少し早くに聖蘭さん、時間ピッタリに響さんが来た。
「申し訳ございません、寄宿舎の汚れが気になったのでお掃除していたらギリギリになってしまいましたの」
そう言って聖蘭さんは頭を下げた。
まあ彼女は時間に間に合ってるから全然いいんだけど、問題は…
「ごめーん!!遅刻だ!!」
慌ててマナが食堂に駆け込んできた。
よく見ると、帽子から寝癖がはみ出ている。
…この子、さっきまで寝てたわね。
まだ来てないのは…知崎君、古城さん、目野さん、加賀君、ネロね。
どいつもこいつも…ホントに集合時間を何だと思ってるんだか…!
私達は、結局また昨日みたいに来ていない人達を呼びに行く羽目になった。
私がネロを、玉越さんが知崎君を、マナが古城さんを、越目君が加賀君を、そして聖蘭さんが目野さんを呼びに行く事になった。
ーーー ネロ・ヴィアラッテアの個室 ーーー
私は、ネロの部屋の前に立つと、部屋のインターホンを鳴らした。
するとご本人様がイライラした様子で出てきた。
「チッ、またお前か」
「『お前か』じゃないのよ。これから朝食だから早く来なさい」
「目障りだ。消えろ」
そう言ってネロが扉を閉めようとしたけど、そうはいかないわ。
私は、ネロが扉を閉めようとした瞬間に扉の隙間に右手と右足を挟み込んで扉を押さえつけた。
ネロが鬱陶しそうに私を見てくるけど、私は負けじと言ってやった。
「いい?これから朝食を兼ねた生存確認をするの。ここであなたが来なければ、万が一何かがあった時にあなたを信用できる人は誰もいなくなるわけだけれど…それでもいいの?」
「……チッ、さっさとどけ。出れねえだろうが」
よし、勝った。
今日こそは連れ出す事に成功したわ。
昨日の分の鬱憤を晴らせて何だかスッキリした。
「今日はやけにあっさり出てきてくれたのね」
「てめぇらの中の誰かが死んで学級裁判ってなった時、考え無しのバカに投票されて死ぬのは御免なんでな」
この中の誰かが死ぬって前提なのが腹立つわね。
私は、ネロを連れて食堂に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
「待たせてごめんなさい。連れてきたわよ」
「フン」
私がネロを連れて食堂に行くと、ネロがスタスタと食堂に入っていった。
マナは、早速ネロに声をかけに行った。
何か顔に拳の痕がついてるんだけど…大丈夫?
「ネロくん今日は来てくれたんやな!」
「勘違いするなよ。俺はお前らに投票されて死ぬのが嫌なだけだ。そういうわけだから、生存確認の時ぐらいは顔を出してやる」
全く、素直じゃないんだから…
「そういうマナも、古城さんを連れて来れたのね」
「古城ちゃん、寝坊しとっただけやった!寝ぼけてくらしゃれたけど!」
目野さんの爆発に巻き込まれた次は古城さんに殴られたのね…
マナってホント踏んだり蹴ったりよね。
振り向いてみると、今日は加賀君も来ていた。
どういう風の吹き回しかしら…?
「他の三人も同じ?」
私は、目野さん、それから眠そうにしている知崎君と加賀君に尋ねた。
「はい!!すみません、寝てました!!」
「くぁああ…ねむい…」
「とりあえず集合時刻に遅れたのは悪かった。俺は低血圧なんだ」
「加賀君、今日は来てくれたのね」
「昨日の研究がひと段落ついたからな。昨日は夕食に参加できずすまなかった」
ああ、なんだ。
この人、興味ある事に没頭するとそれ以外の事が見えなくなっちゃうタイプの人か。
ちゃんと自分の非礼は謝れるみたいだし、思ったより悪い人ではないみたいね。
「それじゃあ皆揃ったし、ご飯にしようか」
秋山君が言うと、全員が席についた。
朝食は、昨日食峰君が和食がいいか洋食がいいかを聞いてきたので、本人の希望に沿ったものが出されている。
私の洋食セットのメニューは、エッグベネディクト、ホウレンソウのソテー、キャロットラペ、ジャガイモのポタージュ、フルーツヨーグルトの5品だ。
マナが食べてる和食セットも美味しそうね。
明日は和食にしてみようかしら。
「よし。それじゃあ朝食も終わった事だし、解散にしようか。13時にお昼がてらミーティングをやるから、遅れずに来てね」
玉越さんがそう言うと、各自バラバラに行動し始めた。
そういえばまだ校舎と研究棟の方の探索はしてなかったわね。
「緋色ちゃん!うちと一緒に行こ!」
「ええ、そうするわ」
マナが私を探索に誘ってくれたので、マナと一緒に研究棟を見て回る事にした。
ーーー 研究棟 ーーー
「デカい……」
私達が今いるのは、5階建てのオフィスビルのような建物だった。
ここには、各々の才能を研究する為の施設が完備されているらしい。
今行けるのは、1階にある秋山君、古城さん、玉越さん、響さんの研究室だけみたい。
私達は早速、一番手前にある秋山君の研究室に行ってみる事にした。
ーーー 【超高校級の音楽プロデューサー】の研究室 ーーー
ここが秋山君の研究室ね。
見た目はオフィスによくあるドアのようだけれど、よく見るとドアは防音仕様になっている。
一応、ドアをノックして入るのが礼儀よね。
私は、研究室のドアを3回ノックした。
「どうぞ」
秋山君から返事があったのでドアを開けると、中はレコーディングスタジオのコントロールルームになっていた。
部屋の奥には巨大なDTMデスクが配置されていて、秋山君はそこで作業をしているようだ。
「やあ、いらっしゃい。腐和さん、聲伽さん」
「ごめんなさいね、作業中にお邪魔して」
「いや、いいよ。探索中だったんだろ?」
私が作業中に部屋に入ってしまった事を詫びると、秋山君はニッコリと笑った。
ホントイケメンね。
アーティストや作曲家に信頼されている理由がよくわかるわ。
「ねえ、秋山くんは今何しよったと?」
「歌音の歌をレコーディングしてたんだ。作業してないと逆にストレス溜まるからね」
さすが、本職の人は違うわね。
普通、楽曲制作をする時はディレクターやエンジニア一緒に一つの楽曲を作っていく事が多いのだけれど、彼はディレクターやエンジニアの仕事も全部1人でやってるのよね。
私が秋山君の仕事ぶりに感心していると、秋山君がずいっと身を乗り出して私達の方を見てくる。
「ところで君達、楽曲制作に興味は無い?」
「へ?」
「ああ、まずレコーディングについて基本的な知識から話さないといけないよね。俺が今やってるのはスタジオレコーディングっていう方法なんだけど、『一発録り』と『バラ録り』っていう2種類の方法があるんだ。一発録りはアーティストが同時に演奏して録音する方法で、一体感のある演奏を録れるのが最大の魅力だよ。だからオーケストラのレコーディングは基本一発録りなんだ。でもその反面、音の編集が少し難しいんだ。編集の時に何か問題があったら一から全部録り直さなきゃいけなくなるし、音同士のカブリがあるから音の編集の自由度もバラ録りに比べて低いんだよね。だから最近バンドではバラ録りをやる事も少なくないんだけど…」
ああ、これ長くなるやつだ。
マナももう飽きてきちゃってるし…
全部聞いてたら、時間がいくらあっても足りなくなっちゃうわ。
「ありがとう、でもまだ見てないところがあるから続きはまた今度ね。機会があったらまたゆっくり聞かせてもらうわ」
「そうかい?じゃあ興味があったらいつでも声かけてね」
私は、タイミングを見計らって秋山君のマシンガントークを中断させ、マナを連れて研究室を後にした。
マナは、くたびれた様子で私に話しかけてきた。
「やー、秋山くん話長かったね!全部聞いとったら日が暮れてしまうばい!」
「そうね……」
秋山君って、ああ見えて自分の仕事の事になるとビックリするぐらい饒舌になる人だったのね。
知らなかったわ。
ええっと…秋山君の研究室で響さんの歌をレコーディングしていたって事は、隣は響さんの研究室よね?
もし作業中じゃなければ見てみようかしら。
ーーー 【超高校級のボーカリスト】の研究室 ーーー
響さんの研究室のドアは、秋山君の研究室と似たような感じなのね。
ドアの小窓から中の様子を……あ、今大丈夫そう。
私は、タイミングを見計らって研究室のドアを3回ノックした。
すると律儀に本人が出てきてくれた。
「何?」
「今、開放されてる研究室を見て回ってるの。良ければ見学させてもらってもいいかしら?」
私が尋ねると、響さんは不機嫌そうに頭を掻いた。
「……好きにしろよ。どうせ面白えモンは何も無えけど」
「ありがとう」
思ったよりあっさり部屋に入れてくれた。
最初は態度が荒いと思ってたけど、毎回の食事にはちゃんと時間を守って来てくれるし、案外律儀な人なのかもしれないわね。
「騒いだりその辺のモン触ったりすんなよ」
「はーい!」
私達が部屋に入った途端、響さんは荒々しく忠告をしてきた。
研究室の中は、録音ブースになっていた。
秋山君の研究室のコントロールルームとセットのレコーディングスタジオになっていて、壁に設置された窓からお互いの研究室を目視できるようになっている。
「響ちゃん、ここで歌歌うとったと?」
「…楽斗から聞いたんか?」
「ええ。最初に秋山君の研究室を見せてもらったからね。今は休憩中?」
「まあな。ぶっ続けで歌ってっと疲れっから」
そう言って響さんは、研究室に持ち込んでいたペットボトル飲料を飲んだ。
さすがは超高校級の才能を持つ人達ね。
こんな状況に置かれても、自分の才能を磨こうとするなんて…
「…すごいわね。秋山君といい、あなたといい、こんな時にも自分の才能を磨く為の努力をしていて」
「こんな時だからだよ」
「え?」
「オレァ今イライラしてンだよ。見りゃわかんだろ。バンドの仲間とも連絡取れねえし、あんなブタグマ共のおふざけに付き合わされなきゃなんねえしでよ。歌でも歌ってなきゃどうにかなっちまいそうなんだ。……ただなァ、ここで歌ってるとどうしても、ここに仲間がいたらどんなに良かったかって思っちまって無性にイラつくんだよ」
あ……
そうか、私は彼女達の事を勘違いしていたわ。
こんな状況でも自分の才能を磨く余裕があるんじゃなくて、こんな状況だから自分の好きな事をして気分を紛らわせなきゃ正気を保っていられないのね。
ここにいる皆も人間なんだから、いきなりこんなコロシアイなんかに巻き込まれて精神的に追い詰められてるのは同じなんだわ。
「響ちゃん……」
「あっ、何見てンだよ!?見んじゃねえよクソ!!」
私とマナが響さんに同情の目を向けていると、響さんがいきなり悪態をついてきた。
部屋に入れてくれたのはそっちなのに…
何だか難しい人ね。
「ごめんなさい。これ以上長居するのも悪いし、これで失礼するわ」
私はそう言って響さんの研究室を後にした。
次は玉越さんの研究室ね。
行ってみましょう。
ーーー 【超高校級のバレーボール選手】の研究室 ーーー
玉越さんの研究室の扉は、校舎の体育館と似ている引き戸になっていた。
引き戸の隙間から中を覗いてみると、玉越さんが壁に向かってボールを打っている最中だった。
するとマナが中にいる玉越さんに声をかけた。
「玉越ちゃん?」
マナが声をかけると、玉越さんは私達の方を振り向いてドアの前に来た。
玉越さんは、ドアを開けると私達に声をかけてきた。
「おっ、緋色に愛!どうかした?」
「ごめんなさいね、練習中に。今、二人で研究室を見て回ってたの。邪魔じゃなければ見学させてもらってもいいかしら?」
「もちろんいいよ!さ、入んな!」
玉越さんは、ニカッと笑って快く私達を研究室に招き入れてくれた。
研究室の中はバレーボールの競技場になっていた。
部屋の中にタラフレックスコートが敷かれていて、コートの中心を仕切るようにネットが張られている。
ネットの向こう側には、玉越さんが練習をしていたのかボールがいくつも転がっていた。
「玉越ちゃん今何しよったと?」
「サーブとスパイクの練習だよ。少しでも練習してないと腕が訛っちまうからね。まあ本当はメンバーがいた方が良かったんだけど…」
玉越さんが苦笑しながら言うと、私は同情を禁じ得ず、思わず暗い表情を浮かべてしまった。
彼女だって私達の前では明朗に振る舞っているけれど、本当は仲間や家族、クラスメイトと離れ離れになって心細いはずだ。
彼女に寄りかかるんじゃなくて、私達がリーダーである彼女を支えていかなくちゃ。
私がそんな事を考えていると、玉越さんは私達に気を遣ったのか、いつもの明るい表情に戻って話を切り上げた。
「ああ、ごめんよ!暗い話になっちゃったね!そうだ、今から得意技の練習するんだけど、ちょっとだけ見て行かない?」
「え、見しぇてくれると!?やった!!」
「私も是非間近で見てみたいわ」
「OK、よく見てな!」
玉越さんは、手に持っていたボールを高く投げ上げると、キュッと靴の音を鳴らしながらジャンプをしてボールを勢いよく打った。
次の瞬間には、ボールはバァンと銃の発砲音のような轟音を立てながら反対側のコートの線の内側に着地していた。
「はい!どうだった?」
玉越さんは笑顔で感想を求めてくるけど、私とマナは放心していた。
「……緋色ちゃん、今ん見えた?」
「ぎ、ギリギリ…」
いや、ギリギリ見えたけど!!
何今の!?
えっ、どう打ったらあんなに曲がるの!?
あんなの打たれたら返せるわけないじゃない!
試合が一方的に終わるのも無理ないわ!
「す、すごいカーブだったわね…どうやったらネットギリギリであんなに曲がるの…?」
「おっ、わかった!?さすが現役警察官!」
あんな凄い球打っておいて、この笑顔…
流石は世界を舞台に競うアスリートね。
「それじゃあ、私達はこれで」
「おう!」
私達は、玉越さんの技に驚かされつつ、一声かけてから最後の研究室に向かった。
ーーー 【超高校級の考古学者】の研究室 ーーー
ここが古城さんの研究室…ドアは大正ロマンを感じさせるレトロなデザインになってるわね。
何か、いかにもって感じね。
私は、研究室のドアを3回ノックした。
「おう!!入れ!!」
あっさり入室を許可してくれた…
…のはいいけど、随分と高圧的ね。
「失礼するわ」
古城さんの研究室は和洋折衷でレトロな造りだった。
部屋にある本棚には、考古学に関する本やファイルがいくつも並んでいて、反対側には世界中の遺跡から発掘したと思われる資料を展示したショーケースが置かれていた。
そして部屋の隅には、何故か金ピカの刀を持った甲冑が置かれていた。
古城さんはというと、研究室のデスクで斬殺丸なるツルハシに打ち粉をしていた。
「むっ!?何じゃ、ウヌらか!!ガハハハ、さてはワシの世紀の研究が気になって見にきたんじゃろ!?」
今更だけどこの子、すごい自信ね…
っていうか彼女が今打ち粉してるのって、ツルハシよね…?
アレに一体何の意味があるのかしら。
「…あなた、メディア嫌いじゃなかったかしら?その割には大事な研究をやけにあっさり見せてくれるのね」
「あやつらはすぐに人のプライバシーを侵害するから好かん!!じゃがワシはな、純粋に歴史を学ぼうとする者は誰であろうと大歓迎なのじゃ!!」
なるほど、彼女なりに一応ポリシーがあったのね。
私がそんな事を考えていると、ふと私の視界に謎の甲冑が映る。
「さっきから気になっていたのだけれど、これは何かしら?」
「ああ、それはな。呪いの甲冑じゃ!」
「の、呪い…?」
「時は遡る事室町時代、とある落武者がおってのぉ。そやつは討死し晒し首となったんじゃが、その怨霊はまだ現世に留まっておってな。それはその落武者が当時使っていた甲冑じゃが、夜になると怨霊が乗り移って夜な夜な血を求めて徘徊するといわれておるのじゃ。ウヌも夜道には気をつけるのじゃぞ……」
そう言って古城さんは、自分の顔を下から懐中電灯で照らしながら不気味に語った。
私は呪いの類は一切信じないけど、そんな事言われたら急に薄気味悪くなってきたわね…
私がそんな事を考えていたその時、マナが古城さんの研究室の資料に勝手に触ろうとしていた。
「あ、ねえ古城ちゃんこれ何!?」
「あっコラ!!それに触るな貴様ァ!!」
「うわあ!?」
マナが古城さんの研究室の資料に触ろうとすると、古城さんは血相を変えてツルハシを振り下ろしてきた。
マナが反射的に避けると、研究室の床には古城さんが振り下ろしたツルハシが刺さっていた。
「ワシの神聖なる研究を穢そうとした罪は重いぞ!!この斬殺丸のサビにしてくれるわ!!」
嘘でしょ!?
資料に触ろうとしただけでそんな怒る!?
っていうか何が『純粋に歴史を学ぼうとする者は大歓迎』よ、言ってる事とやってる事が全然違うじゃない!
「もう、マナが勝手に触ろうとするからよ!」
「ごめんちゃあああ!!」
「とにかく逃げるわよ!」
「あっ、待てゴルァ!!逃がさんぞい!!」
私は、マナを連れて逃げるように古城さんの研究室を後にした。
というか逃げた。
「はあっ、はあっ…」
「もう…!寿命が縮んだかと思ったわ」
「ごめーん…」
全く、もうこんな思いは二度としたくないものだわ。
…さて、と。
あ。
いけない、もうそろそろ昼食の準備をしにいかなくちゃ。
ーーー 食堂 ーーー
私が厨房に駆け込むと、食峰君がもう既に準備を進めてくれていた。
私、マナ、そして越目君は、食峰君のアドバイス通り昼食を作った。
今日の昼食のメニューはカレーライス…だったんだけど。
食峰君はどうもスパイスの調合が納得いかないみたいで、カレー作りに苦戦していた。
「んー…あークソ!!やっぱりどうしても何かが足んねえ!!こんな出来じゃ皆に食わしてやれねえよ!!」
食峰君は、カレーの鍋を前にうんうん唸っていた。
私からしてみれば、十分美味しいと思うけど…
これで皆に食べさせられないって、どんだけ食に対する拘りが強いのよ。
私がそんな事を考えていた、次の瞬間だった。
「「あ゛ぁあああ!!?」」
私と越目君は、思わず目を見開きながらマナの方を同時に振り向いて奇声を発した。
マナは、カレーの中に大量の明太子を投入していた。
私と越目君は、慌ててマナを止めた。
「ちょいちょいちょいちょい!!何入れてんだよ聲伽ちゃん!!」
「明太子。うまかよ?」
「そういう事聞いてんじゃねーんだよ!!」
「あんたねえ…好きなもの何でもかんでも入れりゃあいいってもんじゃないでしょ!」
「えー、だって…ウチじゃ小しゃか頃からこうやって…」
私と越目君が怒鳴りつけると、マナは唇を尖らせて言い訳をした。
もう、どうしてくれんのよ!!
せっかく食峰君が苦労して作ってくれたカレーが台無しに…
あっ、食峰君が味見した。
まずい、余計怒らせ……
「ん!!これだ!!」
「「え?」」
「これだよこれ!やっと納得いく味になったぜ!!ありがとな、愛!!」
「えっへん!」
「「…………」」
食峰君が満面の笑みを浮かべていると、マナは得意げに胸を張った。
結局、マナのやらかしによって完成した明太子カレーは、皆にも大好評だった。
…ホント料理って、何年も続けてても何をどう組み合わせたら美味しくなるかってわからないものね。
昼食が終わった後は、18時に集合する約束をして自由時間になった。
私は、まだ行っていなかった校舎の方に行ってみる事にした。
ーーー 玄関ホール ーーー
…それにしても、広いわね。
顔が映るくらい綺麗に磨かれた床の上に、人数分の下駄箱と傘立てが置いてある。
まあ中にはメダルが入ってたぐらいで、特に靴とか傘は入ってなかったんだけどね。
さらには、モノDJの気色悪い銅像と、丁度いい大きさと数のベンチ、トロフィーが並んだ棚が置いてあった。
ここでの調査はこんなものかしらね。
ーーー 購買部 ーーー
購買部の内装は、コンビニみたいな感じになっていた。
ざっと見た感じ、置いてあるのは軽食やお菓子、飲み物、文房具や生活雑貨といったところかしら。
あとは、ギャンブル用の台やコピー機、メダルの換金機、電気ポットなんかも置いてある。
……ん?
私は、絆創膏やヘアゴムなどの日用品が並んでいるコーナーに謎の箱が置いてあったのを見つけた。
拾い上げて箱を見てみると、『モノクマ印の0.01mm!』と書かれていた。
そっと箱を元の場所に戻す。
うん、私は何も見なかったわ。
私が次に目を向けた先には、一台のガチャガチャが置いてあった。
これが古城さんの言っていたモノモノマシーンとやらね。
一回引いてみようかしら。
持っていた分のメダルを必要な分だけ入れてハンドルを回すと、景品が出てきた。
これは…
随分とレトロなレコード盤ね。
でも私はレコードプレーヤーを持ってないし、正直あっても要らないのよね…
私は、景品のレコード盤の扱いに困りつつ、特に欲しいものもなかったので購買部を後にした。
ーーー 1ーA教室 ーーー
ここは私が最初にいた教室ね。
収納できるタイプの席が並んでいて、正面には黒板代わりのボードがある。
ここではメダルが何枚か落ちてた以外は特に収穫は無かったわね。
ーーー 1ーB教室 ーーー
隣の教室もほとんど同じだった。
何かあるんじゃないかってちょっとは期待してたんだけどね。
ここでもメダル以外の収穫は得られなかった。
ーーー 1ーC教室 ーーー
「……?」
C組の教室には、既に誰かいるみたいだ。
私は、C組の教室のドアを開けて中にいた人に声をかけた。
「あなたも探索中?」
私が声をかけて振り向いたのは秋山君だった。
「ああ、腐和さん。まあそんなところだよ。こんなところで会うなんて奇遇だね」
「ええ、本当にね」
あ、そうだ。
秋山君なら、このレコード盤喜ぶんじゃないかしら?
「秋山君。渡したいものがあるのだけど、いいかしら?」
「え?俺に?」
私は、モノモノマシーンで手に入れたレトロレコードを秋山君にプレゼントした。
すると秋山君は、凄い勢いで食いついてきた。
「えっ、これすごいレアなやつだよね!?本当に貰っちゃっていいの!?」
「どのみち私はプレーヤーを持ってないからね。価値がわかる人が持ってた方がいいんじゃない?」
「うわぁ嬉しいなぁ、ありがとう腐和さん」
良かった、喜んでくれたみたいだ。
私は、自由時間を秋山君と過ごす事にした。
C組の教室で、向かい合わせに座って一緒に話をした。
「秋山君はどうして音楽プロデューサーになったの?」
「俺の家は代々ミュージシャンなんだ。秋山楽音って知ってるかい?」
「ああ、世界的に有名な作曲家よね」
「俺の父さ!」
「あからさま…!」
「母も偉大なピアニストでね。そんな家に生まれたから、俺も妹も物心ついた時から音楽に触れて育ってきたんだけどさ。俺は言っちゃえば器用貧乏だから、何でもできるけど、特にこれで世界で活躍できるってジャンルが無かったんだ。妹はすぐに母と同じピアノの道に行くって決めてたけど、俺は何もなくてさ。そのせいか家での立場もあんまり良くなかったんだ。歌音とは幼稚園の頃からの付き合いで、小さい頃はよく俺が作曲した曲を歌音が歌ったりしてたんだけどさ。家で嫌な事があったら歌音に泣きついたりしてたよ」
突出した才能が求められる分野だと、何でもそれなりにできるのは何もできないのと一緒って事か…何だか酷な話ね。
それで彼も苦労してきたのね。
響さんとはその頃からずっと仲が良かったのか。
「自分だけ何もできる事が無くて何もかも嫌になっちゃってた時、歌音の歌を聞いて、電撃が走るみたいに閃いたんだ。俺の目指すべき道は、彼女を精一杯サポートする事なんだって。それで俺は、音楽プロデューサーになる事に決めたんだ。プロデューサーって音楽製作の幅広い知識と技術が必要でさ、それが俺の音楽に関する事なら何でもできる才能にピタっとハマったんだよね。俺が全部手がけた歌音のファーストシングルが世界中で大ヒットした時は、俺はこの為に生きてきたんだっていう気持ちで胸がいっぱいになった。俺の才能を発掘してくれた歌音には、感謝してもしきれないよ」
なるほどね。
何でもそれなりにできる事が、プロデューサーとしての才能を開花させたわけか。
そしてその才能を見つけ出してくれたのが響さんだったと…
素敵な話ね。
「そうだったのね。でも、一人で楽曲制作をするなんて大変じゃないの?本来は他の人に依頼するような役割も全部一人でやってるんでしょ?」
「そりゃあ忙しいよ。スケジュールは毎日詰め詰めだし、二徹三徹なんてザラにある事だよ。でも俺は、楽しいからやってるんだ。俺にとってはこの仕事が誇りだよ」
普通の人が到底できないような激務を楽しんでやるところが、彼の超高校級たる所以なのでしょうね。
「なるほどね。話してくれてありがとう」
「ねえ、ところでさっきの話の続きなんだけど…」
秋山君は、子供のように無邪気な笑みを浮かべながら、仕事の話を何時間にもわたってしてくれた。
正直、聞いてるこっちが疲れてくるわね…
話してる間に自由時間終わっちゃったし。
「……というわけで、これからの楽曲制作の技術は、大いに進歩の余地があるという話なんだけど…どうだい?よくわかったかな?」
「ああ、うん。よくわかったわ」
何だろう、勢いが凄すぎて話の内容が全然頭に入ってこなかったわ。
「ああ、もうこんな時間。じゃあ行こっか。話に付き合ってくれてありがとう」
とにかくマシンガントークが凄かったわね。
でも秋山君と仲良くなれたみたい。
《秋山楽斗との好感度が1アップしました》
ーーー 食堂 ーーー
食堂には既に聖蘭さんがいて、食堂の掃除をしていた。
厨房では、食峰君、小鳥遊さん、玉越さんの三人が夕食の準備をしてくれている。
「あら、ご機嫌よう。腐和様、秋山様。今食堂を掃除しておりますので、しばらくお待ちください」
「俺も手伝うよ」
「そうね。私も手伝っていいかしら?」
「よろしいのですか?」
「ああ。その方が早く終わるだろ?」
「そうですわね。でしたらお言葉に甘えさせていただきますわ」
私と秋山君は、聖蘭さんの食堂の掃除を手伝う事にした。
思ったより早く終わったわね…
私が食器を洗いながら待っていると、マナ、知崎君、古城さんが走りながら入ってきた。
しばらくして時間より早く越目君と響さん、時間通りに加賀君、館井君、闇内君が食堂に入ってきた。
5分ほど遅れて目野さん、10分遅れてネロが来て、ようやく16人全員が揃った。
「いやあ失敬!!また遅刻しました!!」
「お前らはいちいち神経質すぎんだよ」
この二人は本当に反省しないわね。
加賀君ですら今回はちゃんと時間を守ったというのに…
「よし、じゃあ皆揃ったしご飯にしようか」
今日のご飯は食峰君の作った豚の生姜焼きに高野豆腐の筑前煮、小鳥遊さんの作ったカブの味噌汁とおひたし、玉越さんの作った炊き込みご飯にワカメとキュウリの酢の物といった和食の献立だった。
今日の夕食も本当に美味しかったわ
明日は私が朝食当番だから、早起きしなきゃ。
食事の後は皆で片付けをして、大浴場の風呂に入って身体の疲れを癒した。
お風呂で温まった後は、部屋に戻ってベッドに潜り込んで本を読んだ。
今日も疲れたわね…
『モノクマ&モノDJ劇場』
『『ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの!?』…いやぁー、何とも聞き慣れた名台詞ですなぁ』
『ギャハハハ!!シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は恋愛悲劇の定番中のド定番だよなぁ!ところでテメェら、『ロミオとジュリエット効果』って知ってっか?』
『ああ、障害がある恋の方が盛り上がるっていうアレでしょ?』
『YEAH!ちなみにこれはアメリカの心理学者、リチャード・ドリスコールがカップルの調査結果から命名したらしいぜ!いやぁ〜、若え男女が障害を乗り越える為恋に燃え上がる!いいねえそういうの!そのまま炎上しちまえヒャッハー!!』
『うぷぷぷ。オマエラも、もし目の前に応援したいカップルがいたら、プレゼントにファイアーボールをプレゼントしてあげるといいよ!きっとアッツアツに燃え上がってくれるだろうね!』
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級のバレーボール選手】
【超高校級の獣医】
【超高校級の???】
【超高校級の美食家】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の大工】
【超高校級の音楽プロデューサー】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級の忍者】
残り16名
今更だけど推し教えて
-
腐和緋色
-
聲伽愛
-
玉越翼
-
小鳥遊由
-
知崎蓮
-
食峰満
-
越目粧太
-
聖蘭マリア
-
古城いろは
-
加賀久遠
-
目野美香子
-
館井建次郎
-
秋山楽斗
-
響歌音
-
ネロ・ヴィアラッテア
-
闇内忍
-
リカ