ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
三日目。
「ふぁあ……」
私は、生徒手帳のアラームの音で目を覚ました。
生徒手帳で時間を確認すると、5時30分。
今日は私が朝食当番だったので、寝過ごさないよう生徒手帳のアラーム機能を使ったのだ。
まだ夜時間中だからシャワーが使えないのよね…
朝シャワー浴びてから勤務する事が多いから、朝のシャワーを浴びられないのは地味に不便だわ。
私は、あのクマ共に心の中で悪態をつきつつ、身支度をして食堂に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
食堂に行くと、既に食峰君と玉越さんが朝食を作っていた。
「おはよう」
「やあ、おはよう緋色」
「おはよう!!」
私が挨拶をすると、食峰君と玉越さんが返してくれた。
朝食当番の集合時間は6時だったはずだけど…
二人とも早いのね。
さてと、私も早いとこ手伝わないと。
まずは手を洗って……
……ん?
水が出ない。
私が何度も蛇口をひねっていると、食峰君が声をかける。
「ああ、言い忘れてたけど夜時間中は水が出ないらしいぜ。つーわけだから、悪いけどそこのペットボトルの水使ってくれ」
そう言って食峰君は、2Lのペットボトルが何本か並んで入っている『水道水』と書かれたダンボールを指差した。
ホント、何で夜時間中は水を使えない仕様にしてるんだか。
私は、この学園のルールに少し不満を抱きつつ、仕方なくペットボトルの水を使って手を洗った。
ええと、今日のメニューは…
和食のメニューがおにぎり、卵焼き、タマネギの味噌汁、金平ごぼう、カブの漬物。
洋食のメニューがミックスサンド、ポテトサラダ、ミネストローネ、ササミのソテー、フルーツゼリー。
今日も豪華なメニューね。
私が準備をしようとすると、いつの間にか闇内君が隣に現れた。
「うむ。拙者が最後でござったか。三人とも早いでござるな」
「おう!!おはよう!!」
「おはよう忍」
「………おはよう」
…うわ、いつの間に?
私、正直彼はちょっと苦手なのよね。
だってすぐセクハラしてくるし。
「腐和嬢に玉越嬢、今日も麗しく拙者は何よりでござるよ。ところで今日の下着の色は何色…「くだらない事言ってないでさっさと飯作りな!」
闇内君がしれっとセクハラ発言をしてくると、玉越さんが注意をしてくれた。
何だか最近私が注意しても全然反省しないから、正直彼女の存在はありがたいわね。
…っと、いけないいけない。
まずはメニューの料理に必要な野菜を切らないと。
私は、ポテトサラダとサンドイッチに必要な野菜を全て切っていった。
キュウリと玉ねぎは塩を振って水気を切り、切ったジャガイモとニンジンを茹で、ニンジンはいちょう切りに、ジャガイモは熱いうちに潰す。
そこまでできたら材料を全部ボウルに入れて、調味料を入れて混ぜる。
お皿にレタスを盛りつけて、ボウルの中のポテトサラダをディッシャーで球形にして盛り付け、そこにプチトマトもトッピングする。
これでポテトサラダは完成。
次はサンドイッチ作りだ。
茹で卵を潰してマヨネーズで和え、ツナも油を切ってマヨネーズで和える。
食峰君が焼いておいてくれた食パンを切って、卵、ツナマヨ、レタスとハムとチーズをそれぞれパンで挟んだら3種類のサンドイッチの完成。
あとは食峰君が昨日作って冷やしておいてくれたゼリーをガラスのお皿に盛り付ける。
食峰君はミネストローネとササミのソテーを作って盛り付けてくれていたから、これで洋食セットの完成だ。
私達が洋食セットを作り終えると同時に、玉越さん達は和食セットを作り終わったみたい。
私達が朝食を作っている間に秋山君、小鳥遊さん、越目君、聖蘭さんが来てくれて、食堂の掃除や食器のセットをしてくれた。
案の定遅刻してくるメンバーがいたけど、今日も無事に16人で朝食を食べる事ができた。
個人的には、大好物のミネストローネを飲んでいた小鳥遊さんが「んん!」と言っていたのが可愛かった。
ちなみに私は昨日洋食セットを食べたので、今日は和食にしてみた。
秋山君も私と同じらしく、今日は和食セットを食べていた。
「ん、今日の卵焼き美味いね。誰が作ったの?」
「あたしだよ」
「へえ、道理で。おとつい一緒に作ってた時手際良かったもんね」
「あ、あたしは満の指示通り作っただけだし」
「それにしたってこんなに上手く焼けるのはすごいよ。やっぱり毎日家事やってるだけあるよ」
「いや、それは他にやる人がいないからやってるだけで…」
秋山君に褒められた玉越さんは、照れ臭そうに謙遜していた。
何かイケメン二人が楽しそうに話してるの見ると微笑ましいわね。
そういえばこの二人、初日から一緒に行動してたりしてたし、結構仲良いのかしら。
「何か、こういうのいいわね」
「ね」
私がつい本音をポロっと漏らすと、隣の席の小鳥遊さんがもぐもぐしながら同意してくれた。
小鳥遊さんとしては、やっぱり親友がここの仲間と仲良くしているのは嬉しいのかしら。
「ご馳走さまでした」
今日も美味しかったわ。
和食セットを作ってくれた食峰君、玉越さん、闇内君には感謝しなきゃね。
…さてと。
13時の昼食まで時間あるし、校舎内を探索しに行きましょうか。
ーーー 謎の赤い扉 ーーー
まずは昨日から気になってたこの赤い扉ね。
押しても引いても開かない。
叩いたりしてみても、ビクともしない。
でもその代わり、近くにメダルを落ちているのを見つけた。
昨日の探索で拾ったメダルが溜まってきたし、また購買部に行ってみようかしら。
ーーー 購買部 ーーー
購買部に行った私は、昨日と今日の探索で集まったメダルを使ってモノモノマシーンを引いた。
出てきたのは、女子バレー選手のサイン入りのバレーボールだ。
うーん、正直要らないのよね。
私はそこまでバレーに詳しいわけじゃないし。
誰か欲しそうな人がいたら、プレゼントしてみようかしら。
自販機の近くとゴミ箱の中にメダルが落ちていた事以外は特に収穫もなかったし、ここにはもう用は無さそうね。
ーーー 体育館前ホール ーーー
体育館前ホールには、冷水機や自販機、トロフィーが並んだ棚、スケジュールが書かれたホワイトボードなどが置いてあった。
大体昨日調べた教室くらいの広さがあり、目の前には体育館の扉がある。
よく調べたら、棚の裏と冷水機の下にメダルが入っていた。
何か、こんなところゴソゴソしてたら何かやましい事してるみたいで嫌な気分だわ…
そんな事を考えつつホール内を隈なく探したけど、メダル以外の収穫は特に無かった。
うーん、ここで調べられる事はもう無さそうね。
ーーー ロッカールーム ーーー
ロッカールームは男子と女子に分かれていて、電子生徒手帳と同じ性別のロッカールームにしか入れないようだ。
ロッカールームには、ロッカーと着替え用のベンチが並んでいる以外特に何も無かった。
ロッカーの中にメダルが落ちていたので一応回収しておき、体育館の探索をした。
ーーー 体育館 ーーー
体育館は、初日に調べた時と特に変わった様子はなかった。
強いて言うなら、加賀君の落書きが綺麗に消されているくらいかしら。
体育館の方は特にこれといった収穫はなかったので、体育館倉庫の方を見てみた。
体育館倉庫には、あらゆる屋内スポーツに対応したスポーツ用具が所狭しと置かれている。
私が体育館倉庫に入ると、既に先客がいた。
玉越さんだ。
「おっ、緋色!」
「玉越さん、何をしてるの?」
「体育館を調べてるんだよ。脱出の手掛かりが無いか探してるのさ。こういうのって、意外なところに隠されてたりするものだからね」
「なるほどね……」
さすが玉越さん、抜け目ないわね。
あ、そうだ。
玉越さんなら、さっきガチャガチャで引いたボール、喜んでくれるかしら?
「玉越さん」
「ん、何?」
「渡したいものがあるんだけど、今いいかしら?」
「えっ、あたしに?」
私は、さっきのバレーボールを玉越さんにプレゼントした。
玉越さんは、そのバレーボールのサインを見るなりいきなり食いついてきた。
「えっ、緋色!!あんたこれどこで手に入れたの!?」
「購買部のモノモノマシーンよ。…えっ、このバレーボール、そんなにすごいものなの?」
「すごいも何も、このボール、何百年も前のオリンピック選手のサイン入りボールだよ!?こんなお宝、貰っちゃっていいの!?」
そんなにすごいものだったのね…
とりあえず玉越さんに喜んでもらえたみたいで良かった。
私は、自由時間を玉越さんと過ごす事にした。
体育館の端のベンチで、二人で横並びに腰掛けて一緒に話をした。
「玉越さんはどうしてバレーボール選手になったの?」
「まあそりゃあ、バレーが好きだからだよ。……って言いたいところなんだけどさ。ここだけの話、実はそんなに真っ当な理由じゃないんだよね」
「そうなの?」
「………お金」
「え?」
私が尋ねると、玉越さんは恥ずかしそうに小声で答える。
「実はあたしさ、お金が欲しいからバレーボール選手になったんだ。な?不純だろ?」
「いえ…生きていくのにお金は必要だし、それにバレーボールを楽しんでやってるのは事実なんでしょ?別に不純だなんて思わないわよ」
「ありがとね。あんまりこういう事言わない方がいいんだけど…あたしの家さ、貧乏なんだ。お母さんが病気で亡くなって、お父さんも友達に借金押し付けられちゃってさ。何とか借金返そうと頑張って働いてくれてたけど、もう疲れちゃったみたいでさ。あたし達を置いて自殺しちゃったんだ」
「……それはつらかったわね」
「ああ。つらかったよ。でも弟達の為にも、あたしが折れるわけにはいかなかった。だから得意分野の球技大会で勝ちまくって、一円でも多く稼ぐ事にしたんだ。そこからは、勝ち続けるために必死だったよ。あたしにとって、優勝以外はゴミ同然だったから。いつか負けるんじゃないかって思うと怖くて、負ける怖さを無理矢理笑い飛ばしてごまかしてたんだ」
玉越さんは、固く拳を握りしめながら言った。
その表情からは、彼女が優勝し続ける為にどれほどつらい努力をしてきたのかが見て取れた。
彼女のインタビューの時の笑顔は、敗北への恐怖に押し潰されそうになる自分を無理矢理奮い立たせるためのものだったのね。
私が彼女の壮絶な境遇に言葉を失っていると、玉越さんは笑顔を浮かべながら言った。
「でもさ。応援してくれる弟達や、あたしを支えてくれるチームメイトがいてくれたおかげか、やってるうちに本当に楽しくなっちゃって。最初はお金の為に始めた事だったけど、結局は自分が楽しんでやるのが一番だって気付いたんだよね。だからさ、今じゃもうバレーはあたしの人生そのものなんだ」
「良かったわね。心の底からバレーを楽しめるようになって」
「まあな。あたしを応援してくれた弟達や一緒に戦ってくれたチームメイトがいなかったら、あたしはいつまでも前に進めなかったと思う。あいつらには、本当に感謝してるよ」
そう言って玉越さんは、無邪気な笑みを浮かべた。
恐怖をかき消すための笑顔じゃなくて、心からの笑顔。
苦労ばかりだった彼女の人生がようやく報われたのだと思うと、私は胸が熱くなった。
私は、玉越さんの事がもっと知りたくなって、さらに質問をした。
「ちなみに兄弟は何人いるの?」
「弟が三人だよ。三人とも小学生なんだけど、本当にしっかりしてくれてるんだ。あいつらの為にも、早くここから出る方法を見つけなきゃ」
「…そう。家族を支える為にそこまで頑張れるなんて、立派な事だと思うわ」
「えへへ、そうかな?」
私が率直な意見を言うと、玉越さんは照れ臭そうに頭を搔いた。
玉越さんと仲良くなれたみたい。
《玉越翼との好感度が1アップしました》
玉越さんと交流を深めた後、体育館の探索をしていると、ちょうど食堂に向かうのにちょうどいい時間になった。
手伝いもあるし、そろそろ行った方が良さそうね。
ーーー 食堂 ーーー
食堂に向かうと、食峰君、小鳥遊さん、秋山君が昼食を作ってくれていた。
早めに来た私、玉越さん、越目君の三人で昼食の手伝いをした。
ちなみに越目君はというと、玉越さんと一緒にテーブルセッティングをしていた。
「ねえ、玉越ちゃん。この花はさ、こういう風においた方がいいと思うんだけど」
「おお、いいじゃん。あんたセンスいいね」
「でしょ?そんでさ。オレちゃんのメイクに興味ない?キミ、結構素材がいいからメイクしたら絶対化けると思うんだよね。良かったら教えてあげるけど」
「あっ…じゃあお願いできる?」
玉越さんが珍しく越目君のお誘いを受けると、越目君は有頂天になって大喜びした。
でもお生憎様、玉越さんの態度からして多分越目君の事は面白い友達くらいにしか思ってないのよね。
まあそれをここで言うのも酷だし、黙っておきましょ。
しばらくすると、全員が食堂に集まってきた。
今日の昼食のメニューは、パエリア、マリネ風サラダ、オニオンスープ、ジャガイモとキノコのアヒージョ、パンナコッタだった。
昼食の後は、今日の調査の中間報告をした。
今日も皆特に収穫は得られなかったみたい。
まあ3日でそんな手がかりが見つかるなら苦労はしないわよね。
…さて、まだ校舎内の調査をしていない場所を見に行かなきゃ。
ーーー 保健室 ーーー
保健室の中からは、薬品の匂いがした。
保健室には看病用のベッドが3対置かれていて、全てがカーテンで仕切られている。
誰もいない養護教諭用の椅子には、モノクマの気色悪いオブジェと一緒に医療関係の本や見たことの無い観葉植物が置かれていた。
とりあえず、真っ先に目に留まった棚の中を調べてみる。
薬品や医療器具が置いてある。
こっちの薬品は…うわっ、結構毒薬とかもあるわね。
あと、強力な睡眠薬や具体的には言わないけど危ない薬、媚薬なんてものもある。
こっちの箱には何が入ってるのかしら?
私は、モノクマ印が描かれた箱を調べてみた。
中には、まあ具体的には言わないけど、大人が使う方のオモチャが入っていた。
私は、箱を元の場所に戻して棚の引き戸をそっと閉めた。
私は何も見なかった。
見なかったのよ。
さ、こっちのロッカーの方を調べましょう。
…ん?
何かしらこれは。
『お医者さんなりきりセット』と書かれてるけど…
見たところコスプレグッズのようね。
男子用は白衣と額帯鏡、女子用には露出度が高めのナース服と網タイツが入っているみたい。
ちゃんと人数分あるし…しかもご丁寧にサイズが全員の体格に対応してるわね。
あいつらのこういう無駄な丁寧さは何なんだろう…
ここにも、メダルが落ちていた以外の収穫は特に無かった。
ここで調べられる事はもう無さそうね。
そろそろメダルも溜まってきたし、購買部で買い物でもしようかしらね。
ーーー 購買部 ーーー
私は、購買部で飲み物とお茶菓子を買った。
まだメダルが残ってるわね…
せっかくだし、もう一回モノモノマシーンを引いてみようかしら。
早速、マシーンにメダルを入れて遊んでみる。
出てきたのは、金色のカラオケマイクだった。
これも正直要らないわね。
何だろう、何か私ことごとくガチャ運無い気がするんだけど。
これも欲しい人にあげようかしらね。
ええっと、まだあと見てないのは視聴覚室だったかしら?
ーーー 視聴覚室 ーーー
視聴覚室の中は、ディスプレイ付きの机が並んでいて、正面にスクリーンが設置されていた。
天井にはプロジェクターが取り付けられていて、正面のスクリーンに映像を映し出せるようになっているらしい。
そして視聴覚室には、既に先客がいた。
響さんだ。
「響さん、何してるの?」
「ハァ!?見りゃわかんだろ脱出の手がかり探してンだよ!!寝ぼけてんのかテメェ!!」
「あっ、ごめんなさい」
そりゃそうよね。
今のは聞き方がちょっとまずかったかしらね。
「響さん」
「アァ!?まだ何かあんのかよ」
「あなたにプレゼントしたいものがあるんだけど」
そう言って私は、響さんに金ピカのカラオケマイクをプレゼントした。
すると響さんは、先程までのトゲトゲさせた態度を一変させて固まった。
「っ………!!あっ、えっ、その…」
響さんは、私からマイクを受け取ると、しどろもどろになっていた。
表情から察するに、プレゼントを気に入りはしたけど、今までキツく当たっていた相手にいきなり優しくされて困っている…ってところかしら。
「喜んでくれたみたいで良かったわ」
「よ、喜んでなんかねえよクソが!違っ、えっと、これはその…!」
うん、この反応は喜んでるわね。
思ったより可愛いとこあるじゃない、この子。
私は、自由時間を響さんと過ごす事にした。
視聴覚室の一番後ろの席で、二人で横並びに腰掛けて一緒に話をした。
「響さんはどうしてボーカリストになったの?」
「オレの親父はミュージシャンでよ。親父が一生懸命歌ってる姿を見て育ったから、オレも物心ついた時から歌手になるのが夢だったんだ」
「そうだったのね」
「…けど親父は全然売れてなくてさ。そんでお袋に愛想尽かされて離婚したんだ。お袋も兄貴も親父の事嫌ってて、オレにはあんな風になるなっつってるけど、オレは親父が弾き語りしてるのを見るのが好きだった。オレは、親父に戻ってきてほしくて歌手になったんだ。今は離れ離れになってどこにいるかもわかんねえけど、オレが歌手として成功して世界中に知れ渡れば、親父がどこで何をしてたってオレを見てもらえるからよ。親父がいつでも戻ってこれるように、オレの歌で世界中に『オレはここにいるんだ』って知らせてやるんだ」
なるほど……
響さんが歌手になったのは、自分に夢を与えてくれたお父さんを連れ戻す為だったのね。
私は物心ついてすぐに母さんがいなくなってしまったから、お父さんがいなくなってしまった彼女の寂しさが少しわかる気がする。
「でもここまで来るのは、オレの力だけじゃ絶対無理だった。どれもこれも全部楽斗とバンドメンバーの皆のおかげだよ。楽斗は、幼稚園の頃からずっとオレの事を支えてくれた。オレが歌手になるっつっても、他の奴等とは違ってバカにしなかった。バンドメンバーの皆は、いつだってオレと一緒に一つの音楽を作り上げてきた。オレにとっちゃ、アイツらは本当の家族みてェなモンなんだよ」
「響さん…」
ここにきて、ようやく彼女が初めて会った時に苛立っていた理由がわかった。
彼女は、何も怒りたくて怒ってるんじゃない。
心配で仕方ないんだ。
家族も同然のメンバーといきなり離れ離れになって、心配で、不安で、今にも押し潰されそうだった。
彼女の怒りは、そういう大切な人を想う感情の裏返しだったのね。
私は、ほんの少しでも、今も不安を抱えている彼女の力になってあげたいと思った。
私は、しばらく響さんと話す事にした。
「響さんのメンバーは、全員未来ヶ峰学園にスカウトされる予定だったのよね?」
「ああ。ベースの奏は、とにかく面白え奴でさ。ドラムの天鼓はマイペースで、シンセの七音はクールで、ギターの花音と音花は双子のギタリストなんだ。アイツらがいりゃあ、今頃テメェらとも楽しくやれてたはずなんだけどな」
「大丈夫よ。皆で協力すれば、きっと外に出られるわ。外に出たら、改めてあなたのメンバーを紹介してくれる?」
「………考えとく」
私が尋ねると、響さんは若干照れ臭そうに頭を掻いた。
どうやら、響さんと仲良くなれたみたいね。
《響歌音との好感度が1アップしました》
響さんと自由時間を過ごした後は、視聴覚室を念入りに探索した。
でも、やっぱりメダル以外の収穫は無かった。
もう夕食の手伝いの時間になってしまったので、諦めて食堂に向かう事にした。
確か今日の夕食の当番はマナ、越目君、館井君だったわよね?
何を作ってるのかしら。
ーーー 食堂 ーーー
私が食堂に行くと、香ばしいいい匂いがした。
この匂いはもしかして…
「あ、緋色ちゃん!おかえり!今な、ギョーザ作っとーところと!」
マナはちょうど今、ギョーザの餡を皮で包んでいる最中だった。
やっぱり。
食堂に入った時、ギョーザのいい匂いがしたのよね。
ところで…
「…ねえマナ。このギョーザ、何か変な匂いがするんだけど。何か変なもの入ってないでしょうね?」
「ああ、それ?納豆ギョーザ。うまかよ?」
「こっちは?」
「塩辛ギョーザ」
「こっちは?」
「あんこ餅ギョーザ」
終わった……
こんなの皆の前に出せないに決まってるわ。
やっぱりマナは厨房に立たせない方がいいんじゃないかしら。
っていうか食峰君、あなた何でこの子を止めないのよ。
私がマナの独特のチョイスに絶望している間にも、他の皆が次々と食堂に集まってきた。
どうやらギョーザの香ばしい匂いに釣られたらしく、普段は時間を守らないメンバーもこの日だけは時間通りに来ていた。
言えない…マナのせいで中の具がカオスな事になっているだなんて…!
…と、思っていたのだけれど。
「あれ?美味しい…」
「やろ?」
実際に食べてみるとけっこう美味しかった。
マナの手料理って、食べてみたら意外と美味しいんだけど、見た目のインパクトが強すぎて一口目がすごい勇気が要るのよね…
食峰君の作った麻婆豆腐、越目君の作ったトマトとワカメの冷菜、館井君の作った玉子スープも美味しかった。
夕食の後は、皆で後片付けをして、今日の最後のミーティングをした。
「うーん、今日も皆あまり有力な情報は得られなかったみたいだね」
「ホント不甲斐ないわ…ここまで探していて何も手掛かりが見つからないなんて事、初めてよ」
ここに来てからずっと誰とも連絡取れないし、これといった収穫も何も無い。
警察官として情けないわ。
私が落ち込んでいると、玉越さんが皆に声をかけた。
「まあでも諦めずに手がかり探してこうよ。今は無理でもさ、こうやって皆で協力していけばいつかきっと出られるよ」
「『いつか』って、いつまで続けりゃいいんだこんな事?それに出られるっつー根拠は?てめぇの勝手な理想論に俺を巻き込まないでもらえるか?Miss玉越」
「そうだね、理想論かもしれない。でも、だからってあたしらはモノクマ達に屈しちゃいけないんだよ。ここで諦めたら、それこそ脱出は絶望的になる。わかるだろ?」
玉越さんは、こんな時にも落ち込んでいる私達を勇気づけてくれた。
私には、そんな彼女が輝かしく見えた。
すると今度は、マナが立ち上がった。
「玉越ちゃんの言う通りだよ!うちらこげん仲良うなれたけん、絶対何とかなるよ!……根拠はないけど!」
…うん。
最後の一言がいらなかったけど、気持ちは嬉しいわ。
「フン、くだらねぇな。帰る」
そう言ってネロは、自分の部屋に戻っていってしまった。
すると加賀君も自分の席から立ち上がる。
「空気を読まないようで悪いが俺も戻らせてもらう。正直これ以上ここで話していても、生産性のある話題が出てこなさそうだからな」
加賀君も、自分の部屋に戻っていってしまった。
「んだよあいつら!感じ悪いな!」
「ねー!不思議不思議!」
越目君と知崎君は、二人に対して文句を言っていた。
「しょうがない、今日のミーティングはここまでにしようか。皆、何か新しい発見があったらどんなに小さな事でもいいから教えてね」
そう言って玉越さんは、席から立ち上がった。
ミーティングはお開きとなったわけだけれど…これからどうしよう?
ーーー 購買部 ーーー
私はお風呂でゆっくりした後、気分転換に購買部を訪れた。
ここにもゲームがあるみたいだから、ここで気分転換をするか。
私は、購買部のルーレットで遊んでみた。
……うーん、ダメか。
結局勝ちはしたけど、勝ち分はたったメダル3枚ぽっちにしかならなかった。
そういえばあのガチャガチャ、どんなラインナップなのかしら。
バレーボールなんてものも入ってたけど…
私は、手帳の購買部アプリでガチャガチャのラインナップを調べてみた。
ホントにいろいろあるわね。
あ、食べ物もあるんだ。
紅茶のバラエティパックとか欲しいわね。
あれ?
脱出ボタンなんてものもある。
もしかして、ここから出られるのかしら。
………いや、そんなわけないか。
そんな事を考えていると、マナが私に話しかけてくる。
「緋色ちゃん、何しよーと?」
「…ああ、モノモノマシーンのラインナップを調べていたのよ。どんなものが入ってるのか気になって」
「ふーん…」
私が答えると、マナは面白そうに私の画面を覗き込んだ。
興味あるなら自分で調べればいいのに…
「あ!脱出ボタンがある!もしかしてここから出らるーとかな!?」
「そんなわけ……」
「ちょっとやってみてよか!?うち、今ばりつきよー気がするっちゃん!」
「いいけど…あなた、メダルは持ってるの?」
「うん!ほら!」
「!?」
マナは、満面の笑みを浮かべながら大量のメダルを見せてきた。
「あ、あなた、こんな大量のメダル一体どこから…!?」
どうやったらこんなに大量のメダルが手に入るわけ!?
施設内に落ちてるメダルなんて、せいぜい一ヶ所に二、三枚くらいのはずでしょ!?
ま、まさか、変な事して手に入れたメダルじゃないわよね…?
「ここのゲームで勝ちまくって貯めたっちゃん!うち、運使うゲームは得意やけん!」
「でもその割にはついてない事が多いわよね」
「うちな、ついとー事とついとらん事が交互に来る体質たいね。よか事が起こるとそん後必ず悪か事が起こるし、悪か事が起こるとそん後必ずよか事が起こると」
つまり、幸運を不運で、不運を幸運で帳消しにする事で、全体的に上手い事バランス取れてるって事ね。
何だかよくわからないけど、すごい才能ね…
「じゃあ早速いくよー!」
マナは、躊躇なくメダルをマシーンに入れて遊んだ。
中からは、ダイヤモンドで豪華に装飾された首飾りが出てきた。
ええっと…それは確か『マリーアントワネットの首飾り』ね。
さすが【超高校級の幸運】…もし本物なら数十億は下らないお宝を一発で…
それからというもの、マナは次々と景品を引いていった。
蝶ネクタイ型変声機、アンキパン、キューピッドの弓矢、金のなる木の実…普通の人なら喉から手が出る程欲しがる景品を、マナはどんどん引いていく。
この子、どれだけ運を溜め込んでたのかしら。
「よし、今日はこれくらいにしとこうかな」
そう言ってマナがホクホク顔で部屋に戻ろうとした、その時だった。
突然蝶ネクタイ型変声機が、煙を上げバチバチと火花を散らして壊れた。
さらにはアンキパンはよく見るとカビだらけで、首飾りはもう値段がつかないくらいボロボロになっていて、意中の相手に恋をさせるキューピッドの弓矢は包みを開けた瞬間すぐ壊れて、金のなる木の実は既に腐っていて変な匂いがした。
それを見たマナは、顔を引き攣らせていた。
「……嘘やろ?」
「まさか引いた景品全部不良品だったとはね…」
「わーん!!うちのメダル100枚がぁぁぁ!!」
うん、ご愁傷様。
まさに柳の下に泥鰌ってやつね。
「まあでもこれでチャラになったわけだし、またいい事あるわよ」
「そうやな…って、うわぁあ!?」
マナはいきなり何もないところで転び、その拍子に服がはだけて下着が丸見えになり、さらには景品の金のリボンが身体に絡まってしまった。
どうやったらそんな芸術的な転び方ができるわけ!?
「わーん、何でこうなると〜!?」
知らないわよ…
とりあえず男子が来る前に助けてあげた方が良さそうね。
私がマナを助けると、マナはあっけらかんとして笑った。
「今日は災難やったなー」
「……そうね」
「じゃあ、また明日」
そう言ってマナは、自分の部屋に戻っていった。
…はあ。
今日も色々と大変な一日だったわ。
『モノクマ&モノDJ劇場』
『んで、織田信長はイチゴパンツを穿いて本能寺で坊主とティーパーティーしてた最中に明智光秀に攻め入られましたと!だから本能寺の変は『イチゴパンツの本能寺』って呼ばれてるんだZE!っとテメェら!ここテストに出るからちゃんと復習しておけよ!』
『はーい!』
『ああ、そうそう。そういや、テメェら知ってっか?日本で初めて女物のパンティを穿いたのは豊臣秀吉だって言われてるらしいぜ!ここもテストに出るから覚えとけよ!』
『せんせーせんせー!』
『ヘェイどうしたモノクマボーイ!』
『子供はどうやったらできるんですかー!』
『ダミッ!?それはけしからん質問だぜバッドボーイ!何がけしからんって、社会科の授業中に保健体育の質問すんじゃねーYO!餅は餅屋って言葉を知らねーのかマザーフ●ッカー!罰として、テメェは公開ディープキスの刑だ』
『えー、この時のキッスによってエーテルが化学反応を起こしてシャイボーイなモノクマ少年のニューロンがバグってしまい、不埒な電波を発信してしまった結果起こったのが、第三次世界大戦でしたとさ!でめたしでめたし!』
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級のバレーボール選手】
【超高校級の獣医】
【超高校級の???】
【超高校級の美食家】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の大工】
【超高校級の音楽プロデューサー】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級の忍者】
残り16名
今更だけど推し教えて
-
腐和緋色
-
聲伽愛
-
玉越翼
-
小鳥遊由
-
知崎蓮
-
食峰満
-
越目粧太
-
聖蘭マリア
-
古城いろは
-
加賀久遠
-
目野美香子
-
館井建次郎
-
秋山楽斗
-
響歌音
-
ネロ・ヴィアラッテア
-
闇内忍
-
リカ