ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
四日目。
この日は早く起きたので夜時間が終わるまでミステリーを読んでいると、あの忌々しいモノDJの放送が響き渡る。
『ヘェイグッッモォォォニン!!ゴミクズ共ォォォ!!!朝の7時をお知らせするぜイェア!!!今日も張り切ってけェ!!!』
うるさいわね……毎朝毎朝。
身体に悪いったらありゃしない。
私はモノDJのうるさい放送にウンザリしつつ、朝食を食べに食堂に向かった。
私が食堂に行くと、既に今日の当番の越目君、小鳥遊さん、館井君が準備をしていた。
待っているだけなのも何なので、テーブルセッティングを手伝う事にした。
私が準備を手伝っていると、秋山君が玉越さんに声をかける。
「あれ?玉越さん、今日は化粧してるんだね」
「ああ、これ?粧太に教えてもらったんだ。どう?似合ってるかな?」
「うん、すごく良く似合ってると思うよ」
「へっ!?そ、そう?ありがとう…」
秋山君がさわやかな笑顔で話しかけると、玉越さんは照れ臭そうに頬を掻く。
多分、玉越さんは秋山君の事が好きなのね。
私が二人が仲睦まじそうにしているのを微笑ましく思いつつ朝食の準備をしていると、他の皆もゾロゾロと集まってくる。
時間になっても来なかった朝に弱いメンバーを起こしに行き、全員が揃ってから朝食を食べた。
私が選んだ洋食セットは、食峰君が作ったフレンチトーストと鶏肉のコンフィ、小鳥遊さんが作ったクレソンとフルーツのサラダにキャベツのスープ、それからデザートの水切りヨーグルトだった。
食事の後は聖蘭さんが淹れてくれたお茶を飲んでまったりしつつ、朝のミーティングを開いた。
「それじゃあミーティングを始めようか」
「あちっ」
私達が情報を共有している間、加賀君は熱いお茶に苦戦していた。
話し合いの結果わかった事は、今回も皆新たな収穫は無かったという事だった。
「結局あれから収穫は無し、か……」
「いつまでこんな事続けてりゃあいいんだよ!?」
「全くじゃ!!こんな窮屈な暮らしはもう嫌じゃ!!」
「そうですか?私は機械ちゃんがあればどこでも快適に過ごせますけどね!」
「拙者も女子を間近で眺められるのであれば本望でござる」
「そりゃあまああんたらはね」
「困りましたわね…今こうしている間にも救いの手を求めている方が大勢いらっしゃるというのに、何もして差し上げられないなんて…」
4日目に突入して、既にここの暮らしに不満を抱き始めた人もいれば、すんなり適応できたり、むしろ最高峰の教育機関の設備に大喜びしている人もいた。
「なあ、腐和ちゃん…何とかなんねえの?」
「外部と連絡取れない事にはどうにもね…警察だって万能じゃないのよ」
「フン、使えねえな」
私が落胆して言うと、ネロがここぞとばかりに悪態をつく。
今回ばかりは事実だから何も言い返せないわ…
私が落ち込んでいると、マナが席から立ち上がって怒鳴った。
「やめてそういう事言うん!緋色ちゃんだってうちらのために頑張って手掛かり探してくれとーっちゃん!」
「いいのよマナ。事実だもの」
マナが私の為に怒ってくれるとは思わなかったので、正直少し嬉しかった。
ちなみに知崎君はというと、私達がミーティングをしている間に爆睡していた。
「………くぅ」
「知崎君、起きなさい」
「……ふにゃっ、ああ、えっと、ね●ねるねるねのトッピングはラムネとキャンディーどっちがおいしいかって話だっけ?」
「してないわよそんな話。ちゃんと話聞いてなさいよ」
この子、こんな状況でも爆睡できるなんて、かなり図太いわね。
既に何人かが諦めムードに入っていると、玉越さんが皆に声をかける。
「皆、諦めちゃダメだよ!きっと今も外の人達があたしらを探してるよ!外の人達が助けに来てくれるまで、脱出の手掛かりを探さないと!」
「そ、そうですわね」
「おう!!翼の言う通りだな!!」
玉越さんの発言に、聖蘭さんと食峰君が納得した。
皆の気持ちが再び一つになる、そう思ったその時だった。
「残念だがそれは諦めた方がいい」
「…え?」
「いきなり音信不通になったら親や友人が心配して近隣の住民や警察に知らせるはずだ。犯人はそれをわかっていて俺達をここに閉じ込めている。十中八九、外部からのアクションに対して何かしらの対策はされている。脱出方法を探す事には賛同するが、外の人間に過度な期待はするべきじゃない」
加賀君が言うと、他の皆が黙り込む。
せっかく希望が見えたと思ったのに、いきなり閉ざされたのだから無理はなかった。
するとそのタイミングを狙っていたかのように、奴等が現れる。
『うぷぷぷぷ!全くもってその通りです!オマエラまーだ脱出方法なんか探してたの?』
『ギャハハハハ!!テメェらマジでケッサクだぜ!!!そんなに外に出たけりゃ誰かブッ殺しちまえばいいのによォ!!』
「あーあ、うるさいのが来たよ」
「この数日間何もしてこなかったくせに、今更何の用?」
『『何の用?』じゃねーーーんだよゴミクズ共!!もう4日だぜ!?何でまだコロシアイが起こんねーんだよ!!ヘイバッドボーイズ&ガールズ!!』
「あんたが何をしたって、あたし達はコロシアイなんかしないよ。必ず脱出方法を見つけて全員で家に帰るんだ」
『うぷぷ、全員…ねえ。果たして本当にここにいる全員が味方なんですかねえ?』
「…どういう意味?」
『さあね!これだから最近の若者は、何でもかんでも誰かに聞いたらわかると思ったら大間違いだよ!』
『つーかブラザー、今日はそんな事言いに来たんじゃねえだろ?』
『そうでした!いやー、いつまで経ってもコロシアイが起こらないのでもう退屈で退屈で!そろそろ誰か死ねよって無言の圧力を感じるので、今回はオマエラにとっておきのプレゼントを用意しました!オマエラ今から全員視聴覚室に集まってください!15分以内に来ないとオシオキだよ!』
プレゼント…?
嫌な予感しかしないわね。
でも行かないとオシオキだって言ってたから早く行かなくちゃ。
私は、すぐに視聴覚室に向かった。
いつも時間を守らない遅刻組は、私、玉越さん、秋山君の三人で引っ張っていった。
ーーー 視聴覚室 ーーー
モノクマ達が集まるように言ってから5分後、私達は全員視聴覚室に集合した。
「ねえねえ、プレゼントだって!何があるのかなあ?知ってる?ボク、とっても不思議〜!」
「まあどうせろくでもない事だよ」
『ヘイヘイ聞き捨てならねえな楽斗ボーイ!!』
モノDJの声が聴こえると同時に、視聴覚室の照明が消えた。
そして前のスクリーンがスポットライトで照らされ、そこに憎き体たらく二匹が現れる。
『ハイ、オマエラが全員集合するまでに5分かかりました!』
『ハッハァ!!テメェらやればできんじゃねえか!!』
二匹は、ゲラゲラと私達を嘲笑ってきた。
するとネロが呆れた様子で、本題に入るよう二匹を急かす。
「御託はいいからさっさとプレゼントとやらを見せろ。くだらねえ用事で俺を呼び出したんだとしたら、今すぐ帰らせてもらう」
『そこまで言うなら別に今すぐ見せてあげなくもないよ!べ、別にネロクンの為に見せるんじゃないんだけどね!』
何でツンデレ口調なのよ。
気色悪いわね。
モノクマはどこからかラジカセを取り出し、曲を流し始めた。
『ブラザーいつものやったげて!』
『おう聞きたいかオレの動機発表!』
『そのすごい動機を言ったげて!』
『こいつが今回の動機だぁ!!』
『レッツゴー!』
二匹が某お笑い芸人をパクった芸をやっていると、他の皆が呆れ返る。
私達はいつまでこの茶番を見させられ続けなきゃいけないのかしら。
私がそんな事を考えていると、モノDJがポーズをしながら動機を発表した。
『テメェらの知りてえ事、何でも一つ答えてやるぜYEAHHHHH!!!!』
…………え?
それが殺人の動機…?
「どういう事…?」
『気になるあの子のスリーサイズに連絡先にホクロの数から片方失くした靴下のありか、果てには新世界の神になれる方法まで、オマエラのどんな質問にも一個だけ答えてあげるよ!』
『ハウエヴァア!!オレ達が答えるのは誰かを殺した奴からの質問だけだぜイェア!!!どうしても知りてェ事があんなら、サクッとブチ殺す事をオススメするぜ!!オレらのライブはザッツオール!!んじゃあ、スィーユーアゲイン!!!』
そう言って二匹はその場から消え、視聴覚室の照明が再び点いた。
すると、越目君が視聴覚室の壁を殴って悔しそうに顔を歪ませる。
「クソッ、何なんだよ…!」
「プレゼントってこれの事だったんだね!ねえねえ知ってた?」
いつも通りあっけらかんとしている知崎君以外は、ほとんど全員が不快感を示していた。
するとその空気を打ち破るように、ネロが全員をギロリと睨みながら尋ねる。
「まさかとは思うが、今の茶番を真に受けた奴ァいねえよな?」
当然、誰も名乗り出なかった。
そりゃあ、ここで何か言えば人を殺す気がありますって言ってるようなものだものね。
「あんなの、本当に答えてくれる保証なんかどこにもないよ。今は焦らずに脱出の手がかりを探すべきだと思う」
「ね」
秋山君が一切冷静さを失わずに言うと、小鳥遊さんが頷く。
すると知崎君がここぞとばかりに割り込んできた。
「でもさぁ!ボクはちょっと気になるんだよね!そこまでしてボク達に殺人をさせたい“誰か”がいるわけでしょ?一体何者なんだろうね!」
「……【超高校級の絶望】」
私は、つい無意識にポツリと呟いていたようだった。
すると皆が一斉に私の方を見る。
「あ…いえ、ごめんなさい。何でもないわ」
しまった。
皆の前では言うつもりなんてなかったのに、つい口走ってしまった。
私がどうしようかと考えていると、響さんが詰め寄ってくる。
「おい、テメェ今何つった?テメェ、犯人について何か知ってんじゃねえのか!?」
「ごめんなさい、本当に犯人については何も知らないの」
「しらばっくれんな!!今、【超高校級の絶望】ってハッキリ言ったじゃねえか!!とっとと白状したらどうだ!?テメェ、さてはこのクソゲーの黒幕なんじゃねえだろうな!?ええ!?」
どうしよう、完全に頭に血が上ってるわ…
今は何を言っても信じてもらえなさそうね。
さっき口走ってしまったのは、我ながら迂闊だったわ。
「やめてよ!!緋色ちゃんは、皆んためば思うて色々手がかり探してくれとーばい!緋色ちゃんがうちらん敵なわけなか!」
「そうだね。仮に何か知ってたとしても、それだけで敵だって思い込むのは良くないよ。何かあたしらに言えない事情があるのかもしれないだろ?」
私がどうしたら敵じゃないかわかってもらえるかと頭を悩ませていたら、マナと玉越さんが味方してくれた。
視聴覚室の中で不穏な空気が渦巻いてきたその時、食峰君が口を開く。
「あ!じゃあよ!これから皆でパーティーでもやらねえか!?」
「え?」
「ハァ!?こんな時に何言ってんだテメェ!!」
「こんな時だからだろ!!絶望なんかに負けねえためにも、皆で一致団結しなきゃなんねえんだよ!!まずはパーティーでもして、この暗え空気をかっ飛ばさねえとな!!」
食峰君の提案に響さんが噛みついてくると、食峰君はニカッと笑って自分なりの意見を言った。
すると、先程まで疑心暗鬼に陥っていた人達も、少しずつ心を動かされ始める。
「確かに…一理あるね」
「いいな!何気にそういうの初だし!」
「うむ、良い提案でござるな食峰殿」
「皆様の事をよく知れるいい機会ですわね」
「………悪くない」
「ん」
「わーい、パーティー?さんせー!ボク、楽しい事は好きだよー」
「祭りとな!?ガハハハハ、そういう事ならワシも大歓迎じゃ!!」
秋山君、越目君、闇内君、聖蘭さん、館井君、小鳥遊さん、知崎君、古城さんは賛成みたいだ。
他の6人も、異論はないようね。
「よし、じゃあ決まり!!パーティーは4時にやるから、絶対来てくれよな!!」
食峰君の提案で、私達はパーティーをする事になった。
ギスギスしていた空気が持ち直してきたところで、私はさっき庇ってくれた二人に声をかける。
「ありがとう、味方してくれて」
「当然やろ!うちは緋色ちゃんのバディやけん!」
「困った時はお互い様だろ?あたしは、皆の事を信じてるから」
私がお礼を言うと、二人とも笑顔で返してくれた。
すごいわね、二人とも。
こんな状況でもクラスメイトを信じる心を失わないなんて…
私も見習わなくちゃ。
ーーー 食堂 ーーー
私はその後、食峰君、秋山君、玉越さん、小鳥遊さんと一緒にパーティーの食事作りの手伝いをした。
そしてマナ、越目君、聖蘭さん、館井君、闇内君、知崎君の6人でパーティー会場にする予定の食堂の飾り付けをしていた。
「そっち引っ張って。そうそう、そんな感じ」
「ほーい、ありゃ!?」
越目君と館井君の指示通りにマナが飾り付けをしていると、マナが脚立から足を滑らせて転んでしまった。
マナの身体には飾り付けに使う飾りが絡まり、スカートも捲れ、さらには木工用ボンドを被ってしまい、かなり目の毒な状態になってしまっていた。
「わ〜ん、なしてこうなると〜!?誰かほどいて〜!!」
「うわぁ!?こ、聲伽ちゃん!?」
「何をどうしたらそんな転び方をするんだ……」
「うぉおおおお!!眼福でござる!!拙者、女子のおみ足おパンティをここまで間近でハッキリと見たのは初めてでござる!!」
「わーい、マナちゃんのサービスショットだ〜!ねえねえどうやったらそんな転び方するの?すっごく不思議〜!」
マナがお色気ハプニングをやらかしてしまうと、館井君と越目君は狼狽え、知崎君と闇内君は大喜びした。
堂々と喜びはしなかった二人も、館井君は気まずそうにしているけど、越目君はマナを凝視していて内心喜んでいるのが全く隠せていない。
このまま男子の目に晒され続けるのも気の毒なので私が助けに入ろうとすると、先に聖蘭さんがマナを助けに入った。
「聲伽様、大丈夫ですか?まずはその格好をどうにかした方がよろしいかと…」
「あ、ありがとう聖蘭ちゃん」
「聲伽様が転んで喜ぶなんて…あなた方、不潔ですわ」
そのままマナをランドリーに連れていった聖蘭さんだけど、マナが転んで喜んだ三人に汚物を見るような目を向けていた。
女子からの『不潔』という言葉が響いたのか、三人は肩身狭そうに大人しく作業を進めた。
いい気味ね。
さてと、私も料理を作らないと。
ちなみに玉越さんと秋山君はというと、それぞれホワイトソースとミートソース作りをしていた。
「うん、いい感じ」
「そうかい?」
秋山君が玉越さんのホワイトソースを味見すると、玉越さんが照れ臭そうにする。
すると今度は秋山君が自分のミートソースを玉越さんに味見させた。
「俺のミートソースも味見する?」
「あ、じゃあ…うん、美味しいこれ!」
「玉越さん。口の横についてるよ」
「あっ、いいよ!自分で取るから!」
「そう?」
「うん!そんな事より、早く作業進めちゃお!」
秋山君が玉越さんの口の横についたミートソースを拭こうとすると、玉越さんは自分でソースを拭いて慌ててホワイトソースを型に流し込んだ。
あの二人、何だかここ二日で一気に距離が縮まった気がするわね。
…早く付き合えばいいのに。
「ね」
小鳥遊さん、いつの間に隣にいたのね。
というか今しれっと私の考えてた事読まなかった?
この子、エスパーか何かなのかしら…
◇◇◇
「ふう…こんなものかしらね」
作業を始めてから5時間後、ビュッフェ形式のパーティー料理が完成した。
唐揚げ、お寿司、ラザニア、焼き鳥、パスタ、生春巻き…皆の好物は一通り揃ってるわね。
デザートもチョコフォンデュにプチケーキにフルーツと、色々用意しておいた。
パーティーの準備を終えると、他の皆も食堂に集まってきた。
「わーい!できたー!!」
「思ったより豪華じゃないか」
「ガキの催しの割には悪くねえな」
「唐揚げ!!寿司!!焼き鳥!!肉!!肉!!肉!!」
「おいコラクソ古城!!テメェ肉ばっか取ってんじゃねえ!!」
「ハッハッハァ!!いいですねえ、たまにはこういうのも!!」
他の人達も、パーティーを思いっきり楽しんでくれているみたいだ。
何か…皆がこうして楽しんでいるのを見ると、張り切って準備した甲斐があるわね。
軽く見積もって30人分もの食事を用意した私達だけれど、用意した食事はあっという間にはけてしまった。
特にマナ、知崎君、古城さんの食べっぷりが凄かったわね。
あの華奢な身体のどこに入っていくのかしら。
食事の後は、響さんが生歌を披露してくれた。
セクシーなハスキーボイスが売りのRESONANCEの楽曲からクラシックや演歌まで、リクエストした曲を何でも歌ってくれた。
一番驚いたのは、あるアニメに出てくる声優が歌っているアニソンを、その声優そっくりの声で歌ってくれた事だった。
「お〜!」
「さすが響さん…上手ね」
「歌音は【超高校級のボーカリスト】だからね。どんな歌でも歌えるんだよ。昔は声真似とかもよくやってくれてたっけ」
私達が響さんの歌に感動していると、秋山君が何故か自慢げに語った。
間近で響さんの歌を聞いている時の秋山君は、普段のクールな印象とは打って変わってまるで無邪気な子供みたいだった。
普段は紳士的な好青年として振る舞っている彼だけど、きっと幼馴染みの響さんと一緒にいる時間が彼にとって素でいられる時間なのね。
パーティーをひと通り楽しんだ後は、皆で後片付けをした。
本当に今日は楽しかったわね。
モノクマ達が動機を発表した時は一触即発だったけど、今は皆の気持ちが一つになった気がする。
大丈夫。
マナや玉越さんの言う通り、ここにいる皆で信じ合っていれば絶対脱出の手がかりは見つかるわ。
絶対にここから抜け出して、そして、こんなふざけた事をしでかした犯人をーー…
「緋色ちゃん!今日は一緒にお風呂入りに行かん?」
…ビックリした。
考え事をしている時に話しかけられたから、つい驚いてしまった。
私も疲れてるのかしら。
お風呂に入ってゆっくりしたいわね。
「…ええ、そうね」
私は、マナと一緒にお風呂に入りに行く事にした。
ーーー 温泉 ーーー
……ふぅ。
気持ちいい。
モノクマ達は本当に不愉快だけれど、こういう嬉しい計らいをしてくれるのがちょっと悔しいのよね。
私が温泉に癒されていると、マナが声をかけてきた。
「……ねえ。緋色ちゃん」
「何かしら?」
「あんね、ここで聞こうて思うとった事があるっちゃけど…」
ここで聞こうと思ってた事?
って事は、モノクマ達に聞かれたくないって事よね…
私が緊張気味にマナの話を聞こうとしていると、マナがコソッと私に耳打ちをした。
「緋色ちゃん、やっぱり何か知っとー事あるんやなかと?」
「何かって…何が?」
「うちらばここしゃぃ閉じ込めた犯人についてだよ」
「!!」
マナが尋ねると、私は思わず動揺してしまった。
マナが気になっているのは、あの事よね…?
でも、私も犯人についてはほとんど何も知らないのよね。
心当たりがないわけじゃないけど、でも、極秘事項だし…
簡単に話せる事じゃないのよね。
「…ごめんなさい。さっきも言った通り、犯人については本当に何も知らないも同然なのよ。ただ……」
「ただ?」
「心当たりがないわけじゃないのよ」
「心当たりって……?」
…もう、正直に話すしかなさそうね。
マナはここまで私を信じてくれているのだから、私も彼女を信じてあげなきゃいけないし、彼女を信じさせてあげなきゃいけない。
ここには監視カメラも無いし、正直に打ち明けるなら今しかない。
もしこれでマナが私達の敵だったとしても、私は彼女に話した事を後悔はしない。
万が一の事があったら、たとえこの命に替えても私がこの手でこのデスゲームを終わらせてみせる。
私はその覚悟を背負って話し始めた。
「ここから先は警察内でもごく一部にしか知らされていない極秘事項なのだけれど…状況が状況だから、一番信頼している貴女にだけは教えてあげる。ただし、条件があるわ」
「条件?何?言うてみて?」
「今から何を言われても絶対に狼狽えず、いつも通りの態度で振る舞う事。それから、今から話す内容は絶対に口外しない事。約束してくれる?」
「わかった!約束する!うちは何があったっちゃ緋色ちゃんを信じるよ!」
ここまで信じてくれるなんて、マナは優しいわね。
でも、すぐに全てを話すわけにはいかない。
ちょっとカマをかけてみようかしら。
「…ありがとう。じゃあ早速だけど、貴女は『ダンガンロンパ』というゲームはご存知かしら?」
「だん…何それ……?」
私が話すと、マナはキョトンとする。
脈拍、瞳孔、呼吸、どれも正常の範囲内ね。
この反応は本当に何も知らない人間の反応だわ。
やっぱり、この子を信用して話してよかった。
「そりゃあそうよね。警察の上層部しか知らない情報だもの。ダンガンロンパは100年以上も前に大流行したゲームよ。最初はただの推理ゲームだったのだけれど、いつからか刺激を求めた一部の過激派達が現実にいる人間に偽りの記憶と才能を植え付けてコロシアイをさせる殺戮ゲームへと変わっていったの。ダンガンロンパは参加者の中でも一部の勇気ある者達によって55作目を最後に打ち切られ、闇に葬り去られたの」
「そうなんやな…それで?」
「かつて、モノクマの格好をしたテロリストが世界中をメチャクチャにしたのはご存知よね?」
「うん。確か歴史ん教科書にも書いてあったけんね。授業眠とうてほとんど聴いとらんかったけど…」
「奴等は、ゲーム内に出てくる【超高校級の絶望】に影響を受けたテロリストなの」
「それがこんゲームの犯人と何か関係あると?」
「このコロシアイは、私の知る限りダンガンロンパに酷似しているわ。ダンガンロンパの1作目の主犯は、【超高校級の絶望】だった。つまりこのデスゲームの黒幕は、【超高校級の絶望】の残党で、ダンガンロンパの模倣犯の可能性が高いって事よ」
私が話すと、マナは唖然とした顔で聞いていた。
「………思うとったより色々知っとったね、緋色ちゃん」
ツッコむとこそこなのね。
もっと慌てふためいて色々問い詰めてくると思ってたんだけど…
「でも、緋色ちゃんはなしてそげん【超高校級の絶望】ば憎んどーと?」
「…え?」
「最初会うた時、『【超高校級の絶望】…貴方は必ず、私の手で……!』って寝言言いよったけん、うち、ずっと気になっとったっちゃん」
嘘でしょ…!?
私、そんな寝言言ってたの!?
やってしまった…
不可抗力とはいえ、そんな事聞かれるなんて何やってんのよ私!!
「ただのテロリストばそこまで憎んだりするかな?緋色ちゃん、【超高校級の絶望】と過去に何かあったんやなかと?」
「【超高校級の絶望】はね、私が警察官になる事にした理由なのよ」
「理由って…?」
「私は数年前、母を亡くしたの。【超高校級の絶望】を名乗るテロリストに殺されたのよ。父も組の皆も私も、当然犯人への報復を誓ったわ。私は、父や組の皆と結託して、ついに母を直接手にかけた犯人を追い詰める事に成功したの。…だけど、それも全部裏で奴等を操っていた真犯人の思惑通りだった。母を殺した奴等を皆殺しにした父は逮捕され、私は家族を二度も奪われてしまった。そして真犯人は、私達の目から逃れて逃げ果せた。私達はまんまと真犯人の罠に嵌ったのよ」
「そんな…」
「でも、私はまだ負けたわけじゃない。父が逮捕された時、思ったのよ。私には大切なものを守れる力が無かったから、目の前で奪われてしまったんだって。だから私は強くなると決めた。父や皆は、暴力という手段に訴えてしまったから嵌められてしまった。だったら法の力で真犯人を追い詰めてやればいい、そう思ったの」
「それで警察官になったんやな……」
「もし犯人が母を死に追いやった奴と何か関わりがあるのだとしたら、私はどんな手段を使ってでもこの手で捕まえて裁く。たとえこの命に替えてでも、私は……!!」
私は、拳を固く握りしめながら自分の決意を口にした。
母さんの命を奪い父さんを刑務所に追いやった奴を裁けるのなら、私はどうなろうと構わない。
それは、私が警察官になると決めた日から心に誓った事だ。
私が身を震わせながら語ると、マナはポロポロと涙をこぼしながら私に抱きついてきた。
「命に替えるとか…そげん簡単に言わんでよ!!うちら、一緒にここから出ろうって約束したやろ!?」
私は、この時初めて気がついた。
この子が今までどんな思いで私に接してきたのか、ここに来るまでどれほど思い詰めていたのか…私は、彼女の事を見ていたつもりで全く見えていなかった。
守るべきクラスメイトを泣かせてしまうなんて、警察官失格ね…
「……そうだったわね。ごめんなさい、もう二度と言わないわ。だからもう泣かないで」
私は、マナをそっと抱き返しながら頭を撫でた。
しばらくして、マナはやっと落ち着いてくれた。
決めたわ。
何かあった時は私がマナを…いえ、ここにいる皆を守る。
私を含め、全員で生きてここを出るために。
ーーー 購買部 ーーー
マナと一緒にお風呂に入った私は、時間を潰す為に購買部に向かった。
そこには、玉越さんと秋山君、響さん、小鳥遊さん、知崎君、越目君、闇内君がいた。
「あれ?緋色に愛。随分と長風呂だったね」
「ええ、ちょっと色々あってね…」
「えー、なになに!?エロエロあったの!?女の子同士で!?」
「なっ…そんな事ないわよ!」
知崎君が急に変な事を聞いてきたので、全力で否定した。
…というかマナ、貴女はなんでちょっと満更でもなさそうなのよ。
私が誤解を解こうとしていると、もう二人のエロトリオの越目君と闇内君まで食いついてきた。
「百合百合しいねぇ」
「ねえねえ教えて教えて!ボクすっごく気になるなあ!」
「うむ、楽しそうでござるな。是非とも拙者も混ぜて…」
三馬鹿が変な事を言っていたので、すかさず頭に拳骨を入れてやった。
変態には制裁をしなくちゃね。
「………何か言ったかしら?」
「「「いえ、何でもありません」」」
全く、こいつらも懲りないわね。
はあ、余計な事にエネルギーを使ってしまったわ。
私は、しばらくの間購買部のゲームで遊んでいた。
ちなみに購買部のゲームでは、越目君が無茶な賭け方をして大負けしていた。
…うん、その賭け方だと確かに当たれば大量のメダルをゲットできるけど、期待値的には賭ければ賭けるほど損をする計算になるから無謀としか言えないわよね。
なるほど、ギャンブル中毒者はこうやってお金と信頼を失っていくのね。
「うぐぅぅぅぅ…!くそっ、ちくしょぉお…!!」
「マジかよ…何をどうしたらそんなに負けんだよ」
「あはははははははは!!!粧太おにいボロ負け!!おっかしぃ〜!!」
「やけんあそこは半にしとこうって言うたばい。越目くんアホやなあ!」
「越目君…ギャンブルで一山当てようとするのはいいけど、もう少し確率の勉強はしておくべきだったんじゃないかな」
「無謀な賭けでござったな」
「ね」
「ぐぉぉぉぉおおおおおぉおあぁああああああ!!!」
響さん、知崎君、マナ、秋山君、闇内君、小鳥遊さんがボロクソに言うと、越目君は撃沈した。
すると玉越さんが越目君に助け舟を出した。
「はいはい、そこまでにしてやんな」
「た、玉越ちゃん…!」
玉越さんが越目君を庇うと、越目君が玉越さんに縋りつく。
うん、何というか…まさにヒモね。
「ほらほら、そろそろ夜時間になるし、もう部屋に戻った戻った!」
「ああ」
「そうだね」
玉越さんが皆に部屋に戻るよう促すと、皆がゲームをする手を止めて帰る準備をした。
私も、皆に声をかけて購買部を出て行く。
「それじゃ、おやすみなさい」
私は購買部を出て真っ直ぐに部屋に向かい、寝間着に着替えてベッドに横になった。
この時私は、想像もしていなかった。
まさか購買部での会話が、最後の会話となってしまうだなんて…
『モノクマ&モノDJ劇場』
『かっ、勘違いしないでよね!別にオマエラの為にコロシアイをやってるんじゃないんだからね!』
『ヘイテメェら、『反動形成』って知ってっか?人は自分を守る為に、自分の本心とは真逆のアクションを起こしちまう事があるんだ。好きなコにイジワルしちまうのとかがまさにそれだな!』
『いやぁー、モテるマスコットはつらいわぁー。つらいわぁー。毎日毎日、勝手に理想を押し付けられてつらいわぁー。いいよね、非モテのオマエラは気楽に過ごせて!』
五日目。
翌朝、私は朝食の準備をするため早起きをした。
今日は玉越さんとマナも手伝ってくれる事になっていたのよね。
私は、手早く準備を済ませて厨房に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
厨房では、既に食峰君が朝食の準備をしてくれていた。
私は、厨房に入ってすぐに食峰君に声をかけた。
「おはよう食峰君」
「おう、おはよう緋色!!」
さてと、私も手伝わないと…
……あれ?
やけにペットボトルの水の減りが早いような…
「食峰君、今日はやけに水の減りが早くないかしら?」
「ああ、それなんだけどよ。いつの間にか減ってたんだよな。誰かが持っていっちまったのかなぁ」
食峰君も知らないのね。
誰がやったのかは知らないけど、とりあえず今は早く朝食を作っちゃわないと。
水が少ないから今日は節水しないとね…
私は、食峰君の指示通り朝食を作った。
…それにしても、二人とも遅いわね。
マナならともかく、玉越さんが集合時間の15分前になっても来ないなんて…
昨日のパーティーで疲れたからまだ寝てるのかしら?
私達は二人がいない分忙しなく朝食作りをしていたのだけれど、集合時刻を30分過ぎても二人とも来なかった。
流石に遅すぎるわね…
二人とも何をしてるのかしら。
「二人とも遅えな」
「メッセージも送ったんだけど、既読にならないわね…私、ちょっと呼びに行ってくるわ。食峰君は朝食作りを続けててくれるかしら?」
「おう!」
私は、食峰君に一声かけてから二人を呼びに個室のある廊下まで戻った。
まずは玉越さんから呼ばないと。
私は、玉越さんの部屋のインターホンを鳴らした。
「玉越さん?腐和だけど。いるなら返事をしてちょうだい」
返事はない。
一応ドアを叩いても返事はなかった。
という事は、爆睡しているかここにはいないか、よね。
まさか、部屋で死んでたり…は、ないわよね?
……仕方ない、かくなる上は…
「モノクマ!」
私がモノクマを呼び出すと、モノクマはすぐに私の目の前に現れた。
『はい何でしょ?』
「玉越さんがいくら呼んでも返事をしないのだけれど。せめて彼女の様子だけでも教えてもらえないかしら?監視カメラで把握しているのよね?」
『ボクはニュートラルなクマだからね、オマエラの都合でプライバシーを侵害するわけには…』
「いいから教えなさい!中で玉越さんに何かあったらどうするの!?」
『んもー、しょうがないなあ!勘違いしないでよね!べ、別に腐和サンの為に教えてあげるんじゃないんだからね!玉越サンは部屋の中にはいないよ!ハイおしまい!』
部屋にいない…?
という事は、どこかで道草でも食ってるのかしら。
…それとも、何かあったんじゃ…
「…わかったわ。ありがとう。もう消えていいわよ」
『ちぇーっ、せっかく教えてあげたのに』
モノクマは、ぶつくさと文句を言いながらその場から消えた。
とにかく、早く玉越さんとマナを探さないと…
そうだ、マナは…!?
私は、今度はマナの部屋に駆けつけた。
ーーー 聲伽愛の個室 ーーー
私は、マナの部屋のインターホンを鳴らして声をかけた。
「マナ?私、緋色よ。いるなら返事をーーー…」
インターホンを鳴らしながら呼びかけている最中、私は部屋のドアが開いている事に気がつく。
…ごめんなさい、急いでるから入るわよ。
私は、マナの部屋を勢いよく開けて中に入った。
けれど、そこにマナの姿は無かった。
「いない…!?」
どうなってるの…!?
玉越さんに続けてマナまでいないなんて…!
…こうなったらもう、他の皆にも手伝ってもらうしかないわね。
私は、早速小鳥遊さんの部屋のインターホンを鳴らした。
私がインターホンを鳴らすと、小鳥遊さんは眠い目を擦りながら出てきた。
「……ん」
「小鳥遊さん、急に起こしてごめんなさい。実は、今日の朝食当番の玉越さんとマナがまだ食堂に来てないの」
「え」
「今二人を呼びに来てるんだけど、二人とも部屋にいなくて…悪いけど一緒に探してもらえない?」
「ん」
私が事情を説明すると、小鳥遊さんは二つ返事で協力してくれた。
私は、その足で聖蘭さんと響さんも呼び出して一緒に二人を探すよう協力を持ちかけた。
「オイ聲伽!!玉越!!テメェらとっとと出てこいや!!」
「聲伽様、玉越様!いらっしゃったらどうかお返事を!」
私達は、二人に呼びかけながら寄宿舎中を探し回ったけど、二人とも返事はなかった。
どうやら、寄宿舎にはいないみたいね…
「私、校舎の方を探してきますわ!」
「私も」
「じゃあオレは一応研究棟探してくる!」
「ん」
私と聖蘭さんは校舎を、響さんと小鳥遊さんは研究棟を探す事になった。
食峰君には二人が部屋に居なかったから捜索中だという旨を伝えて、男子達を起こしてもらうようメッセージで伝えておいた。
私は、早速校舎の体育館前ホールから探しに行った。
すると、その時だった。
「キャアアアアアアッ!!!」
「!?」
突然、保健室の方から聖蘭さんの悲鳴が聴こえてきた。
私は、急いで保健室に駆けつけた。
私が駆けつけると、聖蘭さんは腰を抜かして保健室から後退りしていた。
「どうしたの!?」
「あ、ああ…ああああ…!」
聖蘭さんは、顔面蒼白になって保健室の中を指差していた。
顔を上げると、あるはずのない光景が映り込んだ。
…嘘でしょ?
どうしてあなたがそこにいるの……?
なんでよ…
昨日まで、あんなに元気だったじゃない…
どうして…!!
本当は、もうわかっていた。
その人はもう息をしていない事を。
だけど、どうしても、理解したくなかった。
受け入れたくない、それでも受け入れなきゃいけない現実。
保健室の床には、
血まみれになった【超高校級のバレーボール選手】玉越翼が、仰向けに倒れて死んでいた。
「腐和さん!聖蘭さん!二人は見つかったの!?」
突然後ろから声が聴こえて、私の意識は現実に引き戻された。
後ろには、息を切らした様子で秋山君が立っていた。
食峰君が呼びに行ってくれたから、一緒に探してくれてたのか…
「……秋山君。見るなら覚悟はしておいてね」
「…!そんな、嘘だろ……?」
私の言葉で全てを察したのか、秋山君は恐る恐る保健室の中を覗いた。
その直後、彼は大きく目を見開いてその場で立ち尽くした。
「………!!」
「…残念だけど」
「…玉越さん……クソッ…どうして…!」
ピーンポーンパーンポーン
『死体が発見されました!生徒の皆さんは、至急校舎1階の保健室にお集まり下さい!』
突然、謎のアナウンスが響き渡った。
それから数分して、加賀君、越目君、食峰君、館井君、ネロ、闇内君が集まってきた。
「た、玉越嬢!!?」
「うわぁああああああっ!!オイ、嘘だろ…!?何で玉越ちゃんが…!」
「そんな…クソッ!!翼!!」
「玉越…何故だ……!!」
「ふむ…やっぱり防げなかったか」
「はぁ…まあ予想はしてたがな」
闇内君は目を見開いて狼狽え、越目君は大声を上げて狼狽え、食峰君と館井君は仲間を守れなかった事を悔しがり、加賀君とネロはこんな状況でも冷静だった。
するとそこへ、モノクマとモノDJが現れる。
『ギャハハハハハハ!!!ついに起こっちまったなァア!!ヘイYOU、テメェら仲良しクラブじゃなかったのかァン!?』
『うぷぷぷぷぷ!全員でここから出るとか言ってた矢先にこれですか!オマエラってホント面白いね!』
「テメェら…!!」
玉越さんの死を嘲笑う二匹に対し、越目君は泣きながら怒りを露わにした。
『さてさてさーて!人が死んだ!死体を見つけた!という事で、オマエラにはこれから捜査をーーー…』
「待って」
『ぱぇ?』
モノクマが捜査を始めようとする前に、私が待ったをかけた。
このまま捜査を進めるわけにはいかないわ。
「小鳥遊さんと響さんとマナ…それから知崎君達がまだ来てないの」
『あ、そうですか。で?』
「捜査は皆が集まってからでいいでしょう?今来ていない人達にも、捜査に参加する権利があるはずよ」
『えー、でも来てないのはオマエラの都合だしなー』
『ヘイブラザー、探しに行かせてやってもいいんじゃねえか?面白えモン見れそうだしよォ!!』
『うぷぷ!それもそうだね!いいでしょう!詳しい説明は後回しでいいので、皆で探しに行って下さいな』
モノDJが何やら不吉な事を言っていたけど、今はどうでもいい。
まだ来ていない人達を探さないと…!
私達は、手分けをしてまだ来ていない人達を探しに行った。
私と聖蘭さんは目野さんと古城さんを、食峰君と越目君は知崎君を、そして秋山君は研究棟を探しに行った二人を呼びに行った。
お願い、皆無事でいて…!
ーーー 目野美香子の個室 ーーー
私は、目野さんの部屋に駆けつけると、何度もインターホンを鳴らした。
「目野さん!!腐和よ!!お願い、返事をして!!」
インターホンを鳴らしながら呼びかけている最中、私は部屋のドアが開いている事に気がつく。
私は、迷わず目野さんの部屋のドアを開けて中に入り込んだ。
「目野さん!!」
「ぐごぁ〜すぴ〜ぷひゅ〜」
目野さんは、ベッドの上でパンツ一枚の姿で大きないびきをかきながら爆睡していた。
アナウンスがあったのによくそんなに気持ち良さそうに寝てられるわね…
口から涎まで垂らしてるし。
状況が状況だったので、私は目野さんを叩き起こした。
「起きなさい!!」
「はにゃっ!?えっ、ふ、腐和さん!?どうして私の部屋にいるんですか!?」
「ごめんなさい。でも今はそれどころじゃないの。実は……」
私は、事の顛末を目野さんに話した。
すると目野さんは、顔色を変えて大袈裟に絶叫した。
「はぎゃあああああああ!!?た、玉越さんが!?ど、どうして!?」
「説明してる時間は無いわ!急いで保健室に来て!!30秒で支度して!!」
「よくわかりませんがわかりました!!」
私が目野さんの尻を叩くと、目野さんは私の言葉通り30秒で着替えて部屋を出た。
するとその時、ちょうど聖蘭さんが古城さんを連れて古城さんの個室から出てくる。
「聖蘭さん!古城さんは!?」
「それが…呼び出しには応じてくれたのですが、どうも様子がおかしくて…」
聖蘭さんは、困り果てた様子で古城さんを指した。
古城さんは、毛布にくるまってガタガタと何かに怯えながらブツブツ何かを言っていた。
「の、呪いじゃ…!祟り殺される…!!落武者の呪いじゃぁああああ!!」
◇◇◇
時は遡り、死体アナウンス放送の数秒前。
響と小鳥遊は、【超高校級の考古学者】の研究室で立ち尽くしていた。
「………え」
「そんな…嘘だろ…!?」
【超高校級の考古学者】の研究室では、血塗られた刀を握った武者が研究室のソファーに座っていた。
響は、武者の兜を外すと同時に目を見開く。
「…小鳥遊ちゃん、響ちゃん…!?」
「聲伽…何やってんだよテメェ…!!」
そこには、甲冑を着て血まみれの日本刀を握った【超高校級の幸運】聲伽愛が、何食わぬ顔でソファーに座っていた。
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級の獣医】
【超高校級の???】
【超高校級の美食家】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の大工】
【超高校級の音楽プロデューサー】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級の忍者】
残り15名
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のバレーボール選手】
以上1名
今更だけど推し教えて
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腐和緋色
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聲伽愛
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玉越翼
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小鳥遊由
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知崎蓮
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食峰満
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越目粧太
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聖蘭マリア
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古城いろは
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加賀久遠
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目野美香子
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館井建次郎
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秋山楽斗
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響歌音
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ネロ・ヴィアラッテア
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闇内忍
-
リカ