ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

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Chapter.2 ガーデニアは笑わない
(非)日常編①


………ふと、目が覚めた。

正直、全く寝た気がしない。

 

たった一日で二人も死んだ。

ろくに眠れるわけがない。

斬り殺されて保健室に横たわった玉越さんと、残虐な方法で処刑された響さん。

あの二人が死んだ時の光景が、今も頭にこびりついて離れない。

 

あれから、昨日の朝振る舞われるはずだった朝食を食峰君が振舞ってくれたけど、一部のメンバーを除いてほとんど誰も口をつけなかった。

せっかくの食峰君の食事も、あんな事があった後だから食べている気がしなかった。

でも、生き延びる為には前に進むしかない。

私は、身支度をして厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

厨房に着くと、既に食峰君と秋山君、そしてマナが朝食の準備をしてくれていた。

 

「おはよう」

 

「おはよう、腐和さん」

 

「おはよう、緋色ちゃん」

 

「おう、おはよう」

 

三人とも挨拶を返してくれたけど、見るからに元気が無かった。

普段はうるさいくらい声が大きい食峰君も、声が小さかった。

当然だ。

昨日あんな事があったんだから。

私は、暗い空気に押し潰されたくなくて、誤魔化すように朝食作りを始めた。

今日のメニューは…

和食セットがご飯、白身魚の西京焼き、豆の煮物、ワカメの味噌汁、キュウリの漬物。

洋食セットがトースト、白身魚のムニエル、豆のサラダ、マッシュルームのポタージュ、カットキウイ。

今日のメインは、和食セットも洋食セットもどちらも白身魚だった。

さらには、よく見るとどのメニューにも赤色の食材が使われていない。

あんな事があった後で肉とか赤い物とか食べられる気がしないから、正直ありがたいわね。

私は、秋山君と一緒に調理を始めた。

今日の担当じゃないのに、玉越さんの代わりに来てくれたのね…

 

「ありがとう、秋山君。本当は今日当番じゃなかったのに手伝ってもらっちゃって」

 

「…いいよ。この状況で俺に出来る事といったらこれくらいしか無いから」

 

私が調理をしていると、一緒に調理をしていた秋山君が声をかけてくる。

 

「腐和さん」

 

「ん?」

 

「昨日はありがとう」

 

昨日…?

ああ、アレか。

今思えばかなり恥ずかしい事しちゃったけど…でも、秋山君が少しでも救われたならああ言った甲斐はあったわね。

 

「いいのよ。それよりごめんなさい。私のせいで…」

 

「腐和さんは何も悪くないよ。むしろ、二人がコロシアイをする原因を作ったのは俺だ」

 

「…え?」

 

「俺がちゃんと歌音に自分の気持ちを伝えていれば、あんな事にならなかったんだ。確かに、最終的に玉越さんを殺したのは歌音だ。でも君の言葉を借りるなら、俺にも罪はなくとも責任はある」

 

「責任があると思うなら、尚更生きてここを出ましょう。私達には、彼女達の死を無駄にしないように生きていく責任があるわ」

 

「…俺は、歪んでる。歌音は玉越さんを殺した殺人犯だ。きっと、歌音の事は一生許せないと思う。…でも、それでも、俺はどうしても歌音を嫌いにはなれないんだ。あんな事があっても、俺はまだ歌音が好きだ」

 

秋山君は、震える声で胸の内を話した。

確かに、秋山君の本心を確かめもせずに玉越さんを殺した響さんはハッキリ言って最低だ。

でも、だからといって秋山君が響さんに抱いていた愛情はなかった事にはならないんだ。

 

「そう思っているなら、まずは朝ご飯食べて元気出さないとね。あなたが生きてる、それだけでもきっと亡くなった二人は報われるはずだから」

 

私は、調理をしながら秋山君にそう伝えた。

今すぐに前を向く事はできないかもしれない。

でも生き延びるためには、前を向いていくしかないんだ。

どうか彼が何か希望を見つけられるようにと、心の中で願った。

 

「ぎゃわああああ!!しまったぁあああ!!」

 

「ちょっ、何やってんのよマナ!粉まみれじゃない!」

 

マナが小麦粉をぶち撒けて真っ白になってしまったので、粉を払い落としてあげた。

……気のせいかしら。

今、秋山君が微笑んだ気がした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「皆、ご飯できたよー!」

 

ちょっとしたハプニングがありつつ、朝食が完成した。

マナが皆を呼びに行き、しばらくして全員が揃った。

平常運転の知崎君、加賀君、目野さん、ネロ。

昨日の事で元気を失いつつも、少しずつ前を向こうとしている古城さん、越目君、闇内君。

未だに立ち直れずにいる小鳥遊さん、聖蘭さん、館井君。

皆今朝の様子は様々だったけれど、何とか今朝の朝食会には参加してくれた。

 

「…いただきます」

 

右隣に座っている知崎君の右隣と、秋山君の左隣には花の入った花瓶が置かれていた。

きっと秋山君が置いてくれたのであろうそれを見ると、いやでも玉越さんと響さんが亡くなったという事実を思い出してしまう。

 

「これおいしいねぇ、緋色ちゃん!」

 

「……そうね」

 

知崎君が普段通りの様子で話しかけてくるけど、二人がいないと、何だか朝食が静かに感じられる。

積極的に私に話しかけてくる知崎君以外は皆ほとんど会話をせず、朝食を終えた。

朝食会の後は、聖蘭さんが淹れてくれたお茶を飲みながらミーティングをした。

するとそこへ…

 

 

 

『ヘイグッモーニンゴミクズ共!!昨日はよく眠れたかァ!?って、テメェら何通夜みてえなムード出してんだYO!ヘイユー!!』

 

「……ねえ、誰か殺虫剤持ってない?」

 

「ドタマぶち抜くぞてめぇ」

 

モノクマとモノDJが現れると、秋山君とネロが殺気を漏らす。

特に秋山君は、二匹に対して並々ならぬ憎悪を向けていた。

…お願いだからルール違反にならないでよ。

 

『うっわー、そんな口利くんだ?せっかくオマエラにとっておきの情報教えてあげようと思ったのに、気分悪いから言うのやーめた!』

 

「え?とっておきの情報?何それすっごく気になる!知ってた?ねえ教えてクマちゃん!」

 

「聞く価値のない話だったら今すぐ消えてもらうが、とりあえず聞かせろ」

 

『おっ、知崎クンと加賀クンは話がわかるね!他の皆も見習うように!今日はオマエラにご褒美を持ってきたんだよ!』

 

「ご褒美?」

 

『学級裁判を乗り越えたオマエラのために、新しいエリアを開放しました!!』

 

『マップも更新されてっから、ちゃんと確認してくれよなYEAH!!』

 

『ああ、それと保健室にあった邪魔なものは片付けておいたので、普段通り使ってね!』

 

…邪魔なもの?

まさか、玉越さんの事じゃないでしょうね。

こいつらは、どこまで人の命を弄べば気が済むのかしら。

私がそんな事を考えていると、越目君が怒りのあまり席から立ち上がる。

 

「テメェ!!一発ブン殴ってやる!!」

 

「やめなさい越目君。あなたが犬死にするだけよ」

 

「くっ………!」

 

私が止めると、越目君は大人しく席に座った。

 

『オレらからのアナウンスは以上だ!!』

 

『それではオマエラ、楽しいコロシアイライフを!』

 

それだけ言い残して、モノクマ達は消えた。

 

「クソッ、アイツら…!!」

 

「皆、あいつらの事はとりあえず後よ。まずはマップを確認しましょう」

 

私はそう言って、更新されたマップを開いた。

見ると、校舎と研究棟の2階、それから寄宿舎の倉庫が開放されているようだ。

校舎の方は教室が三つ、プール、更衣室、トレーニングルーム、図書室、技術室。

研究棟は加賀君、越目君、小鳥遊さんの研究室が開放されている。

図書室があるのは嬉しいわね。

 

「じゃあ担当はくじで、皆それぞれ二人ずつペア組んでく感じでいいかしら?」

 

「異議なーし!」

 

私は、早速くじを作って皆の担当を決めた。

結果は、

 

 

 

倉庫:古城さん、館井君

更衣室(男):秋山君、ネロ

更衣室(女):聖蘭さん、小鳥遊さん

プール:マナ、知崎君

トレーニングルーム:食峰君、闇内君

図書室:私、越目君

技術室:加賀君、目野さん

教室:探索が終わった班から各自自由に探索

 

 

 

「わあい、マナちゃんよろしくねー」

 

「う、うん」

 

よりによって知崎君がマナと一緒か…

大丈夫かしら?

 

「女子と組みたかったでござる……」

 

「我慢しなさいくじ引きなんだから」

 

「まあでも女性陣からしたら、君と組む事がなくてラッキーだったんじゃないかな」

 

「なな!?」

 

女子と組めずに落ち込んでいる闇内君に私が注意をしていると、秋山君が割と辛辣な発言をし、闇内君が落ち込む。

うん、日頃の行いが悪いから仕方ないわね。

闇内君とペアになったりなんかしたらその女子が可哀想っていうのも事実だし。

 

「それじゃあ今から13時までを探索の時間にして、昼食がてらミーティングをするって事でいいわね?」

 

「異義なーし!」

 

私が言うと、知崎君が手を挙げて発言した。

皆それを皮切りにそれぞれの担当の場所へと向かった。

さて…と。

私は図書室の探索をしに行かないとね。

 

「腐和ちゃん、一緒に行こうぜ!」

 

「ええ」

 

私は、越目君と一緒に図書室に行く事になった。

…うーん、彼は正直あまり一緒にいたいタイプではないのよね。

ええっと、こういう時って何を話せばいいんだろう…

 

「いやー、しっかしラッキーだったぜ。まさか腐和ちゃんとペアになれるとは!」

 

「………そう」

 

「えっ!?あれ!?あんまり嬉しそうじゃないんだけど!オレちゃんと一緒はそんなに嫌!?」

 

「別に嫌じゃないけどちょっとね…」

 

何というか、どうしても知崎君や闇内君とセットのイメージが拭い切れないのよね。

まあ本人の前でハッキリ言うのも失礼だし言わないでおくけど。

 

「…ひょっとしてさ、オレが何かするって思ってんだろ?」

 

「!」

 

「オレをアイツらと一緒にすんなよな。言っとくけど、オレはモラルあるチャラ男をモットーにしてんだよ。女のコにセクハラしたりとか絶対しねえから!」

 

彼の言葉に、嘘偽りはなかった。

軽い感じの人に見えて、意外と筋が通ってるのね。

知崎君や闇内君とセットだと思っていたけれど、どうやら私の勝手な思い込みだったみたいね。

 

「…ごめんなさい。私、あなたの事を誤解してたみたい」

 

「いいって事よ!腐和ちゃんに何かあったらオレちゃんが守ってやっからよ」

 

「あ、ありがとう…」

 

気遣ってくれてるんだろうけど、何だか複雑な気分だわ。

越目君ってモノクマ達が何かしてきた時、いっつも私にくっついてるだけだからイマイチ説得力が無いのよね。

まあでも気持ちだけは受け取っておこうかしら。

二人で話しながらマップに書かれている通りに歩いていると、それらしき場所に着いた。

 

「着いたわね。ええっと、図書室と書庫があるみたい。順番に調べていきましょう」

 

「おう、そうだな!」

 

私達は、早速図書室に入ってみた。

想像以上に広いわね…

学校の中なのに迷子になっちゃいそう。

でもあの読書スペースとかは息抜きをするのにちょうど良さそうね。

 

「思ってた以上に広かったな…どうすんのこれ?」

 

「しょうがない、一ヶ所ずつ地道に調べてくしかないわね」

 

「うへぇ…マジかよ」

 

私が早速近くの棚から調べてみると、越目君がウンザリとした表情を浮かべた。

本は好きだし単純作業も嫌いじゃないけど、ここまで広いと流石に骨が折れるわ。

 

調べてみたところ、図書室には本棚と貸し出しカウンター、読書スペース、それからパソコンがあった。

パソコンは…ダメね。

図書室専用のホームページにしかアクセスできないようになってる。

まあ、そりゃあモノクマ達がそう簡単に情報源を渡してくれるわけがないわよね。

でも一応後で目野さんに相談してみましょう。

 

…あら?

そういえば、普通図書室って新聞とか雑誌とかも置いてあるわよね。

でも、この図書室にはそういった類のものは一つもない。

もしかして、外の情報を知られると何かまずい事でもあるのかしら?

 

「うーん…特にこれといった収穫は無かったわね。次は書庫の方を調べてみましょうか」

 

「…………」

 

「うん?どうかした?」

 

「ああ、いや…よく短時間でそんなに色々調べられるなって思ってよ」

 

「まあ仕事柄…ね。昔からこういう探し物とかは得意だったから」

 

「はー、すげえなぁ。オレ、バカだから腐和ちゃんみたいに頭いいコってホント尊敬するわ」

 

「別に私だって褒められたものじゃないわよ」

 

何だろう。

こう面と向かって褒められるのってちょっと恥ずかしいわね。

悪い気はしないけど。

 

ここでわかった事といえば、本は参考書や図鑑、辞書など大方のジャンルは網羅している事、読みたいと思った本があればパソコンで簡単に調べられるって事、何故か外の情報に関するようなものは一切置かれていなかった事、あとはメダルが何枚かあったくらいかしらね。

これ以上は特に収穫も無さそうだし、次は書庫の方を調べてみようかしらね。

 

 

 

ーーー 書庫 ーーー

 

こっちも本が多いわね…

まあ大まかにジャンル分けされてるからまだ探しやすいけど。

…ん?

『極秘ファイル 【超高校級の殺人鬼】二代目ジャック・ザ・リッパーについての資料集』…か。

これは本…というかファイルね。

ちょっと読んでみようかしら。

 

 

 

そこには、《またしても惨殺事件 残虐非道な殺人鬼》という見出しで資料が書かれていた。

夜な夜な繁華街をうろつき、人を殺しては首を切って晒すという猟奇的な犯行を繰り返している殺人鬼で、警察の調査の結果、犯人は高校生である事が判明し、【超高校級の殺人鬼】として未来ヶ峰学園にスカウトされる事が決まったらしい。

被害者はいずれも10歳以下の子供か40歳以下の女性で、死因はいずれも刃物で頸動脈を切りつけられた事による失血死。

被害者は職業・出身地共にバラバラで関連性は一切無く、私怨による犯行の可能性は低いと考えられる。

いずれの被害者も犯行現場付近で首が晒されているのを発見されているが、胴体は見つかっていない。

女性と子供のみを狙った卑劣かつ残虐な犯行手口から、巷では『二代目ジャック・ザ・リッパー』と呼ばれている…か。

私達と同じ年に入学予定と書かれているわね。

 

こっちは被害者のファイルか。

…酷い、赤ちゃんや妊婦さんまで殺されてるのね。

被害者の職業は…うーん、確かに関連性があるとは思えないわね。

出身地や経歴もバラバラだし。

 

……あれっ?

そういえば、この事件の被害者ってどうして……

 

 

 

「なぁに見てんの?」

 

「!」

 

私が資料を読んでいると、いきなり越目君が後ろから話しかけてきた。

いきなり話しかけられたからビックリした…

 

「…ああ、ごめんなさい。ちょっと資料を読んでたのよ」

 

「資料?オレちゃんにも見してよ」

 

「……惨殺死体の写真とか入ってるわよ?見る?」

 

「…いや、いい。やめとくわ」

 

「じゃあ何が書いてあったのかだけは教えてあげる」

 

私は、資料の内容を越目君に話した。

二代目ジャック・ザ・リッパーと呼ばれる【超高校級の殺人鬼】について、犯行手口、そしてそいつが私達と同じ年に入学予定だという事、全てを事細かに伝えた。

越目君は、私の話を聞いて顔色を悪くしていた。

 

「…なるほどな。殺しやすいからって女子供を狙うなんて、卑怯な野郎だぜ!」

 

「それは違うわね」

 

「うぇ!?何が!?」

 

「犯人が卑劣な異常者なのは同意するけど、犯人は殺しやすさを重視してターゲットを選んでるわけじゃないと思うの。だって考えてもみてよ。もし殺しやすければ誰でもいいなら、お年寄りや怪我人も殺してるはずよね。それに、交番が近くにある駅前でも被害が起きてるのよ?殺しやすい人を選んで殺してるなら、警察の目が届く場所に住んでる人は避けるはずでしょ?」

 

「あっ、確かに…」

 

「私怨の可能性も無いとなると、犯人はターゲットの年齢層に対して強い執着を抱いていると考えるのが妥当だわ。要するに異常性癖よ」

 

「うげ…そんな奴がオレらの代に入学してきてんのかよ」

 

私が説明をすると、越目君がさらに顔色を悪くした。

するとその時、越目君が思い出したように目を見開く。

 

「…あっ、そういや知崎の野郎、才能覚えてねぇとかほざいてたよな。じゃあまさかアイツ「それはまだ断定できないわね。ここにいない可能性だって十分考えられるわ」食い気味にいくなぁ…」

 

「仮にここにいたとしても、知崎君が殺人鬼とは限らないでしょう?」

 

「でも才能分かってねえのはアイツだけだし…」

 

「もし、二つ以上の才能でスカウトされた多才さんがいたとしたら?」

 

「…えっ?」

 

「稀にあるそうよ。二つ以上の才能でスカウト出来る事が発覚して、二つの称号を持って未来ヶ峰学園にスカウトされるっていう事例が。もしその人が殺人鬼じゃなくても、中には二つ目の才能を隠している人がいるのかもしれないわね」

 

私がそう言うと、越目君が片眉を上げて頭を掻く。

確かに知崎君についてはわからない事だらけだけど、でも、だからって彼を殺人鬼だと思い込んで疑心暗鬼になったらそれこそあいつらの思う壺だ。

とにかくこの事は、私と越目君の秘密にしておかなくちゃ。

…ん?

 

私はふと近くに置いてあった書類が気になり、手に取って読んでみた。

書類には、殺人鬼が起こした事件とはまた別の事件について書かれている。

《まさに神出鬼没!怪盗ルパンの末裔再び現る》と書かれた見出しが目を引き、その下の文面に目を通してみる。

現代の怪盗ルパンは夜の街に突如として現れ、お宝を盗んでは颯爽と去っていくといわれている。

ルパンの厄介なところは、お宝だけでなく情報や技術、果てには【超高校級】の才能まで、欲しいと思ったものなら文字通り何でも盗んでしまう貪欲さだ。

どんな才能をも盗んで鮮やかな手口で警察を撒き逃げ続けているが、一説によるとまだ高校生だともいわれている。

 

怪盗ルパン…

この前もお宝を盗み出して鮮やかな手口で逃げていったのよね。

警察官を続けていれば、いやでも奴の話は耳に入ってくる。

私にとって奴を捕まえる事は、父さんと母さんの仇を討つ次に成し遂げたい目標だった。

どうして奴の資料がここにあるのかはわからないけど、私は今、何が何でも生き延びて外に出なきゃいけない理由をハッキリと思い出した。

 

「……わちゃん。腐和ちゃん!」

 

「あっ、はい!ごめん、何?」

 

「いや、まだ書庫の上の方調べてなかったろ?ちょっと脚立持っててほしくてさ」

 

「私が調べた方がいいんじゃないの?」

 

「いやいや、女の子に危険な事させるわけにもいかねえだろ。それに……」

 

それに?

何か越目君がしどろもどろになってる気がするんだけど。

何か後ろめたい事でもあるのかしら?

 

「…何よ」

 

「い、いや、何でもねえ!調べ物だよな!?よし、任せとけ!」

 

(オレが下だとパンツ見えるんだよなぁ…)

 

ったく、何よ。

言いたい事があるならハッキリ言いなさいよね。

 

「よし、これで全部だな。特に怪しいモンとかなかったぜ!」

 

「ありがとう。一人で降りられる?」

 

「ばっ、バカにすんじゃねえ!3歳児じゃねんだから一人で降りるくらいできるに決まってんだろ!」

 

何かしら、ものすごくフラグ臭がするのだけれど。

一応見守っておいてあげた方が良さそうね。

 

「ったくよぉ、どいつもこいつもバカだからってバカにしやがって…うぉあ!!?」

 

越目君が何やらブツブツ不満を言っていると、案の定足を滑らせた。

あーあ、こうなるだろうと思ったわ。

私は、落ちてきた越目君を両腕でキャッチした。

いわゆるお姫様抱っこの状態ね。

…まあ今抱えてるのはどう見ても『お姫様』じゃないけど。

 

「…大丈夫?」

 

「……あっ!!だっ、大丈夫!サンキュな!つーか…この構図だいぶ恥ずかしいから早く下ろしてくんね?」

 

「え?あ、そうね。ごめんなさい」

 

越目君が早く降ろすよう言ってきたので、ゆっくり降ろしてあげた。

さっきから顔を青くしたり赤くしたりしてるけど、本当に大丈夫かしら?

 

「いやぁ助かった。腐和ちゃん、オレ重くなかった?」

 

「別に。まあでも人生初のお姫様抱っこが、まさかする側だったとは思わなかったわね」

 

「は、ははは…」

 

私が冗談っぽく言うと、越目君は顔を引き攣らせて苦笑いを浮かべた。

 

「書庫の調べ物はこんなもんか?」

 

「そうね。まだ空き教室の方は調べてなかったし、そっちも調べないとね」

 

書庫の方もこれ以上の収穫は特になく、集合の13時まで30分以上あったので、残りの時間で教室を見に行く事にした。

 

 

 

ーーー 校舎2F廊下 ーーー

 

私達は、2ーA、2ーB、2ーCの順に教室を調べていった。

教室の内装は、1階の教室とほとんど変わらなかった。

2ーAの教室には、特にこれといった収穫は無かった。

2ーBの教室のボードには、

 

『何で教室になんか来たんすかねぇ?』

 

とモノクマの字で落書きがされていた。

うん、モノクマのイラストが不快だから消しておこう。

私がボードを綺麗に消していると、越目君が声をかけてくる。

 

「ここも特には…って、腐和ちゃん何やってんの?」

 

「黒板が汚かったから消してるの」

 

「そ、そうだな。黒板は綺麗に使わねーと…」

 

私がボードを消していると、越目君が顔を引き攣らせる。

さて…と。

ここでの探索はこれくらいでいいかしらね。

次は2ーCの教室を調べに行こうとすると、既に先客がいた。

既に探索を終えたであろうネロ、聖蘭さん、マナ、知崎君の4人だ。

何だか珍しい組み合わせね…

 

「あ、緋色ちゃん!越目くん!」

 

「おっすー、腐和ちゃんと粧太おにい!」

 

「チッ…こりゃまたうるせぇのが来やがったな」

 

私達が教室に入ると、知崎君とマナが真っ先に詰め寄ってきた。

ネロは…相変わらずね。

 

「あなた達はもう探索終わったのね」

 

「ええ。時間を持て余してしまいましたので、教室の探索がてらお掃除をしていたところでしたの」

 

「へー…あれ?秋山と小鳥遊ちゃんは?」

 

「お二人なら、昼食の準備があるからと先に厨房に向かわれました。ですので、ここにいるのは私達4人だけですわ」

 

「なるほどね」

 

秋山君なんて、朝食の準備もしてくれてたのに…

ただでさえ玉越さんと響さんを失ってつらいのに、皆を支える為に率先して行動してくれているのね。

彼が無理しすぎないように、私も私なりにできる事をしないと。

 

「しっかし、意外だな。ネロがこのメンツと一緒に行動するなんてよ」

 

「悪いかよ」

 

「いや、別に。ただ、ちょっと前なら考えられなかったろ?」

 

「フン、知ったような口利きやがって。単独行動取ったらお前らが疑ってくるから仕方なくここにいてやってんだよ。今なら仮に万が一ガキが一人死んでも、お前らなら俺の無実を証明できんだろ?」

 

ガキが死んでもって…

まるでここにいる14人がこれから死ぬみたいな言い方じゃない。

感じ悪いわね。

私がそんな事を思っていると、マナが席から立ち上がって声を荒げた。

 

「そげん事もう起きんばい!ここで死ぬんは響ちゃんで最後だよ!」

 

「どうだかね。そのMiss響だって、あのテディベア共のくだらねえジョークを真に受けてMiss玉越を殺したんじゃねえか。一度あることは二度あるって言うだろ?本当に二度とコロシアイは起きねえって保証できんのか、Miss聲伽?」

 

「なっ…キミねぇ!!」

 

「ちょっ、やめろよ二人とも!」

 

「ははは、修羅場だねぇ」

 

ネロがマナを煽ると、マナはネロに食ってかかった。

越目君は二人の喧嘩を止めようとオロオロしており、知崎君は教室の端で頬杖をつきながら傍観していた。

するとその時だった。

 

「おやめ下さいまし!!」

 

叫んだのは、聖蘭さんだった。

聖蘭さんは、涙を流しながらここにいる全員に訴えた。

 

「もうおやめ下さい…!私はもうこれ以上、皆様を疑いたくはありませんの!私は……っ!!皆様を信じると言っておきながら、他の皆様の命を犠牲にしたくないからと、響様に投票してしまいました…!何が【超高校級の聖母】、私は…わたくしはっ……!!」

 

聖蘭さんが泣き崩れると、先程まで言い争っていた二人も喧嘩をやめた。

あの状況なら、響さんに投票してしまっても仕方なかったかもしれない。

でも聖蘭さんは、神に仕える身として、【超高校級の聖母】として、クラスメイトを疑ってしまった自分をどうしても許せなくて、ずっと自分を責め続けていたんだ。

私は、彼女が苦しんでいる事をわかってあげられなかった。

私は、泣いている聖蘭さんに歩み寄って、背中を撫でながら話しかけた。

 

「聖蘭さん。確かにあなたが全く悪くなかったかといったら違うかもしれないわね。でもあれは何も、あなただけが悪いわけじゃない。私も、ここにいる皆も、あの裁判で平等に罪を背負ったの。今私達にできる事は、あの裁判で背負った罪を清算していく為にも、皆で脱出方法を探す事なんじゃない?」

 

私がそう言うと、聖蘭さんは涙を拭いながら立ち上がった。

 

「………そうですわね。ごめんなさい、取り乱してしまいました」

 

「聖蘭さん…」

 

「私、何が何でも生き抜く事に決めました。私は地獄に堕ちようと構いません。あの裁判で、私の魂はもう穢れてしまいましたから。ですが亡くなったお二人が少しでも安らかに神のもとへ還れるよう、私の一生をかけて罪を償って参りますわ」

 

そう言って聖蘭さんは、ロザリオを強く握りしめた。

聖蘭さんが言うと、ネロは帽子の鍔で目元を隠す。

…きっと、普段は悪態をついていたけど、ネロも二人の死を悔やんでいたのね。

教室の探索を終えた私達は、食峰君達の手伝いをしに6人で食堂へ向かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級の???】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の美食家】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

残り14名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

以上2名

 

 

 

 

 

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
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