ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

20 / 69
絶望へのカウントダウンの始まりです。


(非)日常編④

八日目。

 

「ん……」

 

この日の朝食当番だった私は、早朝に目を覚ました。

部屋に持ち込んでいたミネラルウォーターを使って身支度をし、急いで厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、食峰君と秋山君が朝早くから朝食を作ってくれていた。

私は、朝食を作っている二人に挨拶をした。

 

「おはよう」

 

「やあ、おはよう腐和さん」

 

「おはよう緋色!!」

 

私が挨拶をすると、二人とも元気に返してくれた。

二人が亡くなってから、もう3日が経った。

一日にして大切な人を二人も失った秋山君も、少しずつ心の傷が癒えてきたみたいだ。

さて…と。

私も朝食作りを始めないとね。

今日のメニューは、

 

和食セットがタケノコの炊き込みご飯、豆腐の味噌汁、ひじきと鶏肉の煮物、明日葉としらすのおひたし、白菜の漬物。

洋食セットがクロックマダム、シーザーサラダ、ニンジンのグラッセ、そら豆のポタージュ、グレープフルーツ。

 

今日も豪華なメニューだ事。

食峰君も食峰君なりに、玉越さんと響さんを失って大きな傷を負った私達の心を少しでも癒す為に、毎日皆が飽きないメニューを考えてくれているのね。

私が洋食セットを作り始めていると、闇内君が私の足元からヌッと現れた。

 

「遅れてすまぬ。皆揃って早起きでござるな」

 

「そうね」

 

どこから現れてんのよ。

ホント神出鬼没ね。

 

「腐和嬢のおみ足お臀部には本当に黒ストとTバックが似合うで候。この画角が最高…」

 

「ねえ、闇内君。何をしてるのかな?」

 

私が料理中なのをいい事に変態が盗撮しようとしていると、秋山君が笑顔で闇内君を睨みつけた。

何だろう…秋山君、玉越さんと響さんを失ってからこういう時に出てくる棘が鋭くなった気がする。

 

「後で話があるんだけど、いいよね?」

 

「いやっ!嫌でござる!野郎からのお仕置きは…「黙りなさい。あとできちんとお仕置きしてあげるから、まずあんたは朝食を作りなさいよ」

 

「………はい」

 

私が注意すると、闇内君は大人しく朝食作りを始めた。

4人で朝食を作っていると、聖蘭さん、小鳥遊さん、越目君、館井君の4人が来てくれて、食堂の掃除とテーブルセッティングをしてくれた。

遅刻組6人も、昨日の説教が効いたのか時間通りに食堂に来た。

朝食の後は軽めのミーティングをし、その後は秋山君と一緒に変態に制裁を下してから自由時間にした。

ちなみに闇内君には、彼の持っていたカメラを目の前で粉々にして焼却炉にブチ込むという制裁を下した。

私の経験則上、この手の奴には肉体的な制裁より精神的な制裁の方が効果的だからね。

さて…と。今日は校舎の場所を探索しないとね。

 

 

 

ーーー 2ーB教室 ーーー

 

ここは一昨日と変わったところは何もないわね。

メダルが何枚か落ちていたので、回収しておこう。

 

 

 

ーーー 2ーC教室 ーーー

 

ここもB組の教室と同じで何も変わったところはなかった。

ここにもメダルが落ちていたので、回収しておいた。

よし、けっこうメダルが貯まったから購買部にでも行こうかしら。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

私は、メダルを使って買い物をしに購買部に行った。

メダルを使ってモノモノマシーンを引くと、景品が出てきた。

出てきたのは、透明なガラスの中に元素が入った実物周期表だった。

うーん…綺麗だけどあまり要らないわね。

私は、特に他に欲しいものも無かったので景品を持って購買部を出た。

 

 

 

ーーー 技術室 ーーー

 

購買部で買い物をした私は、まだ行っていなかった技術室に行った。

技術室には、金槌や電気ドリル、チェーンソーなどの加工用の道具や、加工する為の材料が所狭しと置かれていた。

技術室には、技術室の機械をまじまじと見つめている加賀君がいた。

何をしているのかしら…?

 

「加賀君、何をしているの?」

 

「むっ、腐和か。いや、実はな。この部屋の設備が少々興味深かったのでな。詳しく調べていたところだったんだ」

 

「そうなのね」

 

本当に自分の知的好奇心に忠実な人ね。

そうだ、加賀君ならさっきの景品、喜ぶんじゃないかしら?

 

「加賀君。あなたにプレゼントがあるのだけれど、少しいい?」

 

「ん?俺にか?」

 

私は、モノモノマシーンで手に入れた実物周期表を加賀君にプレゼントした。

すると加賀君は、キョトンとした様子で私の方を見る。

 

「……ほう。これを俺に?」

 

「ええ。モノモノマシーンで手に入れたんだけどね、あなたなら喜ぶかもと思って」

 

「そうか。そういう事ならありがたく受け取っておこう」

 

ええと…これは喜んでくれたって事でいいのかしらね?

私は、自由時間を加賀君と過ごす事にした。

技術室の工房で、向かい合わせに座って一緒に話をした。

 

「加賀君はどうして科学者になったの?」

 

「そうだな…一言で言えば、家族と恋人の仇を討つ為だ」

 

「え?」

 

家族と恋人の仇…?

どういう事?

ひょっとして、加賀君が魔法を嫌っている事と何か関係があるのかしら?

 

「俺は孤島の小さな村で生まれ育ったんだ。それも、何世紀も前に危険性が指摘されたような民間療法を今でも続けているような閉鎖的な村だった。俺はそこで両親と病弱な妹と一緒に暮らしていてな。俺は、妹の病気の治療法を探す為に科学者になる事にしたんだ。元々科学には興味があったから、科学者になる為の勉強は苦ではなかった。閉鎖的な村の中ではまともな教育機関なんて無かったから、村で一番金持ちの村長の家によく勉強しに行っていたよ」

 

なるほどね…

加賀君が研究熱心なのは、元々は妹さんを助ける為だったのね。

 

「村長には一人娘がいたんだが、人の心を読んだり未来を予知したり、人智を超えた不思議な力を使う事ができたんだ。里香とは俺が勉強をしに村長の家に行って話をしているうちに仲良くなって、次第に惹かれていった。里香も俺の事を快く受け入れてくれて、将来結婚する約束もした。もっとも、それも永遠に叶わなくなってしまったがな」

 

「それって…」

 

「当時俺の故郷の村では、致死性の高い伝染病が流行していたんだ。村の長老達は、伝染病を神の祟りだと思い込み、生贄を捧げて神の怒りを鎮めようとしたんだ。生贄に選ばれたのは、里香だった。村の連中は、里香が魔術を使えるからとかいう意味不明な理由で里香を生贄に選んで殺したんだ。それを止めようとした両親も村の連中に虐殺されて、まだ小さかった妹も生きたまま火をつけられて殺された。そして、その時たまたま山奥を探索していて家にいなかった俺だけが生き残ってしまったというわけだよ」

 

「ひどい話ね…ちなみに、その伝染病って結局何だったの?」

 

「天然痘だ」

 

「えっ…?天然痘って確か、大昔に撲滅したんじゃ…」

 

「頭の固い年寄りがふざけた民間療法を続けていたせいで再発したんだ。全く、馬鹿馬鹿しい限りだよ。正しい医療知識さえあれば蔓延を防げた病気だったのに、魔法だとか神の祟りだとか、そんなものを本気で信じ込んだ頭のおかしい連中に俺の家族と恋人は殺された。里香だって、あんな力が無ければ殺されずに済んだ」

 

なるほどね。

加賀君は、神様や魔法を本気で信じた人達に家族や恋人を殺されたから、あんなに魔法を嫌っていたのね。

 

「俺は家族と里香を殺した連中に復讐する為に、村で流行っていた天然痘を科学の力で今度こそ撲滅して、奴等の信じる神の言葉とやらを完全否定してやったんだ。そして村の連中が殺人犯だという事実を世界中に拡散して、1人残らず絞首台に送ってやったよ。それ以来俺は、非科学的な妄想を振り翳している連中を見ると、無性に黙らせてやりたくなるんだ。あんな目に遭うのを里香や俺の家族で最後にする、それが俺が科学者になった理由だ」

 

「そうだったのね。でも、何でもかんでも否定する為に研究をしているのだとしたら、亡くなった彼女さんは浮かばれないんじゃないかしら?何より、あなた自身がつらくなるだけなんじゃないの?」

 

「それは違うな」

 

「え?」

 

「俺だって、頭ごなしに魔法の存在を否定したいわけじゃない。むしろ魔法とは、人間が抱く一種の理想の形だ。誰しも、魔法があればもっと便利に生きられるのに、と思った事があるものだろう?俺の生涯の目標は、神秘を科学の力で支配して、世界中の人類がより幸福に生きられるようにその力を使う事だ」

 

加賀君の話を聞いて、私は胸が熱くなった。

人々の幸福の為に自分の生涯を捧げる、それが加賀久遠という人間なんだ。

 

「話してくれてありがとう。ちなみに最近はどういう研究をしているの?」

 

「そうだな…最近力を入れているのは、サンタクロースの移動ルートを分析して通知するアプリケーションの開発と、無限キャベツを文字通り無限に増やす研究だな。税金を使い込んで好き勝手研究してたら、うっかり国民の怒りを買って暗殺されそうになったがな」

 

笑いながら言ってるけど、全然笑い事じゃない。

そりゃあ、サンタクロースや無限キャベツに貴重な税金を使われたら殺意が湧くのもわからなくはないけど。

っていうか加賀君ってサンタクロースとか信じる人だったのね。

どうやら加賀君と仲良くなれたみたい。

 

《加賀久遠との好感度が1アップしました》

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

加賀君と話をした後は、技術室でメダルを回収してから昼食の手伝いに行った。

厨房では、マナと越目君が食峰君と一緒に厨房で昼食を作っていた。

食堂では秋山君、聖蘭さん、小鳥遊さん、館井君が昼食の準備をしていた。

私が昼食の準備を手伝っていると、闇内君、古城さん、知崎君が食堂に顔を出し、他の三人も無事食堂に来た。

今日の昼食は、食峰君が作ったペペロンチーノとティラミス、越目君が作ったカプレーゼとカルパッチョ、マナが作ったミネストローネだった。

イタリアンもたまにはいいわね。

食事の後は、探索をしに校舎に戻った。

 

 

 

ーーー 女子更衣室 ーーー

 

私はまず、まだ探索をしていなかった女子更衣室に行った。

赤い扉と青い扉が並んでいたので、私は赤い扉の手帳リーダーに指輪を翳した。

するとすぐにロックが解除され、自動ドアが開いた。

 

更衣室の中は、ロッカーやスポーツ用具などが並んでいて、中央にベンチが置かれていた。

更衣室にはシャワールームとトイレが完備されていて、シャワールームは直接プールと繋がっているようだ。

見た感じ、聖蘭さんや小鳥遊さんの報告とは齟齬が無いように思える。

壁に貼ってあるモノDJの男性アイドルの写真がものすごく不愉快で吐き気を催してしまいそうだったけど、それ以外は特に気になるところは無かった。

一応慎重に探索を続けていると、更衣室の中からメダルが何枚か見つかった。

これだけ貯まれば買い物するのにはちょうど良さそうね。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

私は、溜まったメダルを使って買い物をし、モノモノマシーンを一回引いてみた。

出てきたのは、高級そうなメイク道具のセットだった。

うーん…最低限のメイク道具ならもう既にドレッサーに入ってるから、新しいのは要らないわね。

誰かにあげられるといいんだけど。

 

 

 

ーーー トレーニングルーム ーーー

 

トレーニングルームには、その名の通り色々なトレーニング器具が置いてあった。

ダンベルにランニングマシン、フィットネスバイク、チェストプレスマシン等のトレーニング器具、そして壁はボルダリング仕様になっていた。

部屋の隅には、炭酸飲料やスポーツドリンク、お茶などが入った自販機が置かれていた。

私がトレーニングルームに訪れると、既に先客がいた。

越目君だ。

越目君は、ひたすらフィットネスバイクを漕いでいた。

 

「おっ、腐和ちゃんか!」

 

「越目君。何をしているの?」

 

「おう、せっかくトレーニングルームがあったからトレーニングしてたんだ。このフィットネスバイクな、発電機も兼ねてるんだとよ」

 

なるほどね…

そうだ、越目君ならさっきの景品喜ぶんじゃないかしら?

 

「越目君」

 

「ん?」

 

「このコスメなんだけど…良かったら受け取ってくれない?」

 

私は、さっきのメイク道具を越目君にプレゼントした。

すると越目君は、いきなり食いついてきた。

 

「えっ、これを俺に!?すげぇいいやつじゃん!本当に受け取っていいの!?」

 

「私はあまり化粧をしないからね。使い方をよくわかってる人が使う方がいいんじゃない?」

 

「そ、そういう事なら…ありがとな!」

 

このコスメ、高級品だとは思っていたけれどそんなにいいものだったのね。

良かった、喜んでくれたみたいね。

私は、自由時間を越目君と過ごす事にした。

トレーニングルームの端のベンチで、二人で横並びに腰掛けて一緒に話をした。

 

「越目君はどうしてメイクアップアーティストになったの?」

 

「んー…どこから話そっかな。ええっと、オレちゃんは母子家庭でさ。兄弟も姉貴しかいねーから、物心ついた時から自然とメイクとかオシャレに興味があったんだよな。姉貴の話だと、親父はとにかく救いようのねえクズ野郎だったらしくてさ。酒癖が悪くてお袋に毎日のように暴力を振るってたから、オレが小さい頃に捕まったんだとよ。ああ、オレはそん時まだ2歳だったから、当時の事はあんまり覚えてねえんだけどよ」

 

母子家庭、か。

確か響さんも母子家庭だったわよね。

何だかここにいる人達って複雑な家庭事情を抱えてる人が多いような気がするわね。

 

「で、お袋は親父からDVを受けてたせいで顔の形が変わっちまってさ。一生消えねえ傷が残っちまったんだ。オレはお袋の顔を元通りにしてやるために、顔の傷が気にならねえメイクを研究してたんだよ。オレがメイクでお袋の顔を綺麗にしてやったら、お袋がすげぇ喜んでくれてさ。せっかくだから皆にもオレのメイクを実践してもらおうとSNSで発信してくれたんだ。姉貴達もファッション系のデザイナーだったから、仕事中にオレのメイクをお客さんに紹介してくれたんだよな。そしたらメチャクチャバズったってわけ!」

 

越目君は、ニカッと笑いながら話した。

なるほどね…越目君はお母さんの為に才能を発揮して、彼のお母さんはその恩返しに彼の才能を伸ばしたのね。

越目君って何かちょっと軽い感じだと思ってたけど、とても家族想いなのね。

 

「そっからは早かったよ。海外のセレブやハリウッド女優もオレのメイクを実践するようになって、オレは一躍有名になったんだ。オレが【超高校級のメイクアップアーティスト】として未来ヶ峰からスカウトされた時、お袋も姉貴も泣いて喜んでくれてさ。メイクアップアーティストになったのは、お袋と姉貴のおかげなんだぜ!オレの夢は、世界一のメイクアップアーティストになって、お袋と姉貴に恩返しをする事ってわけ」

 

「そうだったのね…やっぱり、自分の研究したメイクを皆に喜んでもらえると嬉しい?」

 

「そりゃそうだよ!お袋が初めてオレのメイクをSNSに上げてくれた次の日さ。そのつぶやきを見てくれた人から『このメイクを実践したおかげで告白に成功しました』ってメッセージが届いてさ。初めてファンができた時は本当に嬉しくってさ、オレはこの為にメイクをやってきたんだなって思ったよ。倒産しそうなメーカーのコスメを動画で紹介したらすぐに爆売れして大企業になった時は、オレの才能が人助けをしたんだって思うと本当に嬉しかったなぁ」

 

越目君は、無邪気な笑みを浮かべながら楽しそうに語った。

自分の才能が人助けに役立ったら、そりゃあ嬉しいわよね。

 

「良かったわね、家族の為に続けてきた努力が報われて。ところで、お姉さんはどんな人なの?」

 

「おう。姉貴は双子でさ。オレとは13歳差なんだ。上の姉貴はドレスデザイナーで、下の姉貴はジュエリーデザイナーだよ。二人とはよく一緒に仕事もしてるんだぜ。二人とも気が強くてオレちゃんもよくオモチャにされてるけど、オレは姉貴を尊敬してるぜ!」

 

お、オモチャ…

そういえばクラスの女子も、生まれたばかりの弟が可愛いって毎日のように言ってたわね。

あまりにも姉弟同士で歳が離れてると、やっぱりそういう関係になるのかしら。

でも越目君は、尊敬するお姉さんと一緒に仕事ができて楽しそうね。

 

「話してくれてありがとう」

 

「おう!腐和ちゃんもメイクに興味あったらいつでも声かけな!」

 

私がお礼を言うと、越目君は笑顔を浮かべながら言った。

正直、越目君とお話するのはとても楽しかった。

越目君と仲良くなれたみたい。

 

《越目粧太との好感度が1アップしました》

 

私は、せっかくだから越目君と親睦を深めた後、せっかくだからトレーニングをして過ごす事にした。

最近身体が鈍ってきてたからね。

こまめに身体を動かしておかないと、いざって時動けないし。

でもこんなに広い部屋で一人でやるのも何かちょっと寂しいわね。

誰か一緒にやってくれる人がいるといいんだけど…

 

「越目君、悪いけどちょっと付き合ってもらえない?」

 

「えっ、ええ!?ふ、腐和ちゃん!?いきなりそんな事言われても、オレちょっと心の準備が…」

 

「トレーニングによ」

 

「え?あ、ああ!トレーニングな!よし、そういう事ならオレちゃんに任せときな!」

 

すごい動揺っぷりだったけど、一体何を勘違いしていたのやら。

状況と文脈からして、トレーニング以外ないでしょ。

 

「じゃあまず何からやる?」

 

「そうね…」

 

ランニングマシン、ボルダリング、ベンチプレス…

どれからやろうかしら?

 

「じゃあボルダリングから…」

 

「っし!じゃあ一緒にやろうぜ!」

 

私は、越目君と一緒にボルダリングをやる事にした。

これからトレーニングをするという事で、上着を脱いだ。

 

「わっ、うわあ!?ふっ、腐和ちゃん!?そんな大胆な…!!」

 

「何言ってんのよ。これからトレーニングするのに、上着着てたら動きにくいでしょうが」

 

私が上着を脱ぐと、越目君は分かりやすく狼狽えた。

全く、何をそんなに狼狽える事があるのかしらね。

 

「じゃあこっからスタートして、先に上まで行けた方が勝ちな」

 

「ええ、いいわよ」

 

私は、越目君とボルダリングで勝負をする事にした。

私は、足場を使って壁を駆け上がっていく。

…よし。着いた。

 

「ちょっ、ちょっと待って!?えっ、嘘でしょ!?今どうやってそっち行ったの!?」

 

越目君は、壁の下の方で何やらギャーギャー騒いでいた。

これくらい別に大した事ないと思うんだけど…

 

「クッソ、さ、3回勝負だ!!」

 

「はぁ……」

 

これ、勝てるまで続けさせられるやつかしら?

じゃあわざと負けた方がいいんじゃ…

いえ、それだとお互いの為にならないわよね。

 

「次だ次!次は何する!?」

 

「そうね…」

 

私は、ベンチプレスで越目君と勝負をする事にした。

私はとりあえず普段トレーニングをする時の重量から始めた。

 

「ふっ、ふっ……」

 

「いや無理無理無理無理!!待って無理!!」

 

私がベンチプレスをしていると、隣で越目君が喚いていた。

越目君の方の錘は、私が持ち上げている半分の重量しかない。

ギャーギャーうるさいわね。

それくらい私からしたら片手で持てるんだけど…

 

「も、もう一回だ!」

 

しつこいわね…

越目君がうるさいので、仕方なくランニングマシンで勝負をする事にした。

 

「へへっ、オレはこう見えても前の高校じゃサッカー部だったんだ。脚には自信があるぜ!」

 

そこは陸上部じゃないのね。

まあどっちでもいいけど。

私がランニングマシンで走り始めてから数分後。

 

「ふ、ふ…もう少しスピード上げようかしらね」

 

「ひっ、ひっ、も、もう無理…」

 

私の隣では、越目君が死にそうな顔をして息を切らしていた。

さっきまでの自信は一体何だったのやら。

 

「待って、休け…おわあ!?」

 

越目君は、ランニングマシンに吹っ飛ばされて仰向けに転んだ。

何やってんのよ。

ベルト止めてから足止めないとそうなるに決まってるじゃない。

仕方ないわね。

私は、一旦ランニングマシンを止めて越目君に歩み寄った。

 

「大丈夫?」

 

「あ、ありがとな…」

 

私が越目君に手を差し伸べると、越目君は私の手を取って立ち上がった。

その後は、持っていたメダルで自販機のスポーツドリンクを買い、二人でベンチに横並びに座って休憩した。

 

「クソッ、見事に3回も女子に完敗した…」

 

「まあでも仕方ないわよ」

 

越目君は、私に負けてけっこう悔しそうにしていた。

まあでも本当に仕方ないと思う。

体力系の才能の私とは違って、越目君は運動部に入っていたとはいえそっちが本業じゃないものね。

 

「さて、と。夕食の準備があるし、そろそろ出ない?食事の前にシャワー浴びたいし」

 

私がそう言ってベンチから立ち上がると、越目君は悔しそうにため息をつく。

よっぽど悔しかったのね…

流石にちょっと大人気なさすぎたかしら。

 

「クッソー…せっかく腐和ちゃんにカッコいいところ見せられるチャンスだったのによ」

 

「ん?」

 

「…あのさ。腐和ちゃん。オレ、好きだわ」

 

「えっと…トレーニングが?」

 

「違えよ!腐和ちゃんがだよ!」

 

「は?」

 

え?

いきなり何言ってるのこの人。

待って、理解が追いつかないんだけど。

 

「オレ、ずっと腐和ちゃんの事が気になってたんだよね。腐和ちゃんスゲー綺麗だし、頭良いし、カッコいいし、何かスゲー輝いて見えるんだよな」

 

「綺麗?私が?」

 

「えっ、嘘だろ!?自覚ナシ!?」

 

「え?」

 

「腐和ちゃんはここにいる女子の中で一番綺麗だよ。それに心も綺麗だしさ」

 

…ああ、わかったわ。

これ、他の皆にも言ってるパターンね。

そうとしか考えられないわ。

だって私が綺麗なわけないじゃない。

父さんに母さんを殺した奴等を殺させて、刑務所送りにしてしまったのだから。

 

「…はいはい。冗談もそのくらいにしておきなさいよ。あんまり女の子を弄ぶような事してると、いつか痛い目見るわよ」

 

「オレ、本気なんだけど」

 

「は?」

 

「オレ、好きな娘の前で嘘ついたりしねーから。オレさ、腐和ちゃんがこれ以上苦しい思いしねえように色々頑張るからさ。

 

「えっ、ちょっと待ってよ…!」

 

越目君は、私の手を握りながらいきなり詰め寄ってきた。

越目君の眼差しからも、彼が本気だという事が伝わってくる。

でもその時私の頭にあったのは、満面の笑みを浮かべながら私を慕ってくれるマナの顔だった。

どうしてマナの事を思い浮かべたのかはわからない。

私は今まで異性からそんな事言われた事なかったから、どう答えたらいいのかわからなかった。

 

「…ごめんなさい。ここに来てから色々あったから私、ちょっといっぱいいっぱいで…」

 

「……そっか。そうだよな。ごめん、そりゃあ急にそんな事言われたらビックリするよな」

 

私が越目君の告白を断ると、越目君は悲しそうな目をしながら少し俯いた。

何だか少し申し訳ない事しちゃったわね…

 

「でも、気持ちは受け取っておくわね。ありがとう」

 

私が越目君にお礼を言うと、越目君は笑顔を浮かべた。

良かった、落ち込んだままだったらどうしようかと思ってたけど、何とか立ち直ってくれたみたいね。

何だか越目君と仲良くなれたような気がする。

私は、一旦個室に戻ってシャワーを浴びてから食堂に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

私が越目君と一緒に食堂に行くと、秋山君と聖蘭さん、それからマナがテーブルセッティングをしていた。

厨房では、食峰君、小鳥遊さん、館井君の三人が厨房で夕食を作ってくれていた。

私がテーブルの上にランチョンマットを敷いていると、マナが笑顔で話しかけてくる。

 

「あれ!?緋色ちゃん、何か越目君と仲良かね!何かあったと?」

 

「…ええ、ちょっとね」

 

「えーなになに!?ばり気になる!」

 

マナが興味津々な様子で聞いてきたので、私は少し視線を逸らしながら言った。

するとマナは、キャイキャイはしゃぎながら私に詰め寄ってきた。

この子、何だか本当に子犬みたいで可愛いわね。

 

私達がテーブルセッティングをすると、知崎君と古城さんがバタバタと食堂に駆け込んできた。

 

「ご飯ーーー!」

 

「飯時じゃあ!!」

 

「お二人共、食堂で走らないで下さい。埃が立ってしまいます」

 

二人が食堂で走り回って騒いでいると、聖蘭さんが注意をした。

その後、残りの4人も食堂に顔を出し、無事に14人が揃った。

今日の夕食は、食峰君が作ったビーフシチューとパン、館井君が作ったニンジンとインゲンのゴマ和え、小鳥遊さんが作ったルッコラのサラダとブラマンジェだった。

探索とトレーニングで疲れていたからか、いつも以上に美味しく感じた。

食事中に野菜は厚切り派か薄切り派かで大論争が起きたけど、その辺は割愛しておいて。

食事の後は、軽めのミーティングをしてから解散した。

このまま、14人全員で一緒にいられたらいいのに。

この時私は、その願いもすぐに砕け散る事になるとは考えもしていなかった。

 

 

 


 

 

 

『モノクマ&モノDJ劇場』

 

 

 

『さーて、来週のモノクマ&モノDJ劇場は!『モノクマ、禁断の恋』『モノDJ院長の陰謀』『モノクマ一家の愛憎劇』の三本でお送りしまうま!』

 

『地上波では放送できねえけしからん内容だぜYEAH!こっから先はR41指定だZE!』

 

『いやぁ〜、それにしても昼ドラって何であんなにドロドロしてるんでしょうかねぇ?あんなにドロドロしてるの、昔雨の日の学校からの帰り道に足滑らせて落っこちた道路の溝の底くらいなもんですよ』

 

『昼ドラといやぁ愛憎料理だよなぁ。たわしのコロッケに財布のステーキ、草履のカツレツ…挙げればキリがねぇぜ!でもブラザー、知ってっか?』

 

『ん?何ですブラザー』

 

『革って食えるらしいぜ。靴とかもグツグツ煮込んじまえば食えるんだとよ』

 

『うぷぷ、食中毒が心配なので、ドロドロになるまで煮込んじゃいましょう!いやぁ〜こうしてドッロドロの昼ドラは生み出されるんだね!製作陣の闇を知った気分だよ!』

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級の???】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の美食家】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

残り14名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

以上2名

 

 

 

 

 




おまけ サンタ信じる信じない論争

信じる派…加賀、聲伽、食峰、聖蘭、知崎、ネロ、響、目野
信じない派…秋山、古城、越目、小鳥遊、館井、玉越、腐和、闇内

具材厚切り薄切り論争
厚切り派…秋山、聲伽、古城、越目、玉越、知崎、ネロ、目野
薄切り派…加賀、聖蘭、小鳥遊、館井、響、腐和、闇内
中立派…食峰

全体的に見るとやっぱりよく食べる子は厚切り派、そんなに食べない子は薄切り派が多いですかね。

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。