ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

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(非)日常編③

十二日目。

 

「ん……」

 

この日の朝食当番だった私は、早朝に目を覚ました。

部屋に持ち込んでいたミネラルウォーターを使って身支度をし、急いで厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、食峰君と秋山君、そしてリカが朝早くから朝食を作ってくれていた。

私は、朝食を作っている三人に挨拶をした。

 

「おはよう」

 

「やあ、おはよう腐和さん」

 

「おはよう緋色!!」

 

『おはようございマス!』

 

私が挨拶をすると、三人とも返してくれた。

小鳥遊さんと越目君が亡くなってから二日が経ち、昨日はリカが新たに私達の仲間に加わった。

リカもすっかり皆と馴染めたみたいだ。

さて…と。

私も朝食作りを始めないとね。

今日のメニューは、

 

和食セットが五穀米、鶏肉と白瓜の煮物、卵焼き、もやしとゼンマイのナムル、しじみの味噌汁、ナスの糠漬け。

洋食セットがピザトースト、スナップエンドウのサラダ、コンソメスープ、トマトのマリネ、ハチミツヨーグルト。

 

私は、リカと一緒に洋食セットを作った。

リカの料理の腕はまるでプロの料理人で、思わず目を見張ってしまった。

 

4人で朝食を作っていると、館井君と闇内君が来て食堂の掃除とテーブルセッティングをしてくれた。

聖蘭さん以外の6人も時間通りに食堂に来た。

聖蘭さんも、少し遅れては来たものの朝食会に参加した。

 

「遅れて申し訳ございません」

 

「聖蘭さん…」

 

「ろくに話も聞かねえで早々にミーティングを出てった奴がよくのこのこ来れたな」

 

「食事くらいは参加しますわ。勝手に死んだと思われるのも困りますもの」

 

ネロが手と足を組んで聖蘭さんを睨みながら言うと、聖蘭さんが無表情で答える。

聖蘭さんは、食事が終わるとすぐに研究棟へ向かってしまった。

それこそ聖母のように優しかった聖蘭さんが、今ではもう別人のようだ。

やっぱり、この短期間で4人も亡くなった事が、彼女の人となりを変えてしまったのかしらね。

心配だし、探索がてら彼女の研究室に顔を出そうかしら。

私は、マナと一緒にまだ行っていなかった研究棟の探索をする事にした。

 

 

 

ーーー 研究棟 ーーー

 

エレベーターで3階に行くと、食峰君、闇内君、聖蘭さんの研究室が並んでいた。

私達は早速、食峰君の研究室に行く事にした。

 

 

 

ーーー 【超高校級の美食家】の研究室 ーーー

 

食峰君の研究室は、彼の経営しているラーメン店にそっくりのドアだった。

ドアの前に立つと、自動ドアが開く。

入ってみると、黒を基調としていて、カウンター席、丸いテーブルを囲んだテーブル席、座り心地の良さそうなソファーが設置されたテーブル席があった。

よく見ると、和風、洋風、中華風のテイストを少しずつ取り入れているのがわかる。

それでいてゴチャゴチャしすぎずオシャレな雰囲気にまとまっていた。

どうやら和食でも洋食でも中華でも、どの料理を注文しても店の雰囲気ごと楽しめる工夫がなされているようだ。

さらには、壁はアクアリウムになっていて、日本では見られないような魚も泳いでいた。

これは人気店になるのもわかるわね。

 

「おう!緋色に愛か!」

 

研究室に入ってみると、厨房の方から食峰君の声が聞こえる。

厨房からは湯気が立ち、換気扇が回転する音と何かをグツグツと煮る音が聞こえてくる。

どうやら何かを調理しているようね。

 

「食峰くん!何作っとーと?」

 

「ああ、今な。店で出そうと思ってるポテトサラダを研究してたんだよ」

 

なるほど…

こんな時にも店のメニューを研究しているなんて、食峰君ってホント料理に関しては研究熱心な人なのね。

それにしても、この厨房凄いわね。

薪ストーブまであるし、調理器具は数え切れないくらいの種類がある。

それも全部高級品だ。

本棚には、食事に関する本がズラリと並んでいる。

私が厨房をチラッと覗いて考え事をしていると、食峰君が話しかけてくる。

 

「もし良かったら味見してみっか!?」

 

「えっ、よかと!?」

 

「おう!!とりあえず食って感想聞かせてくれ!!」

 

「わーい!!」

 

食峰君が研究して作ったポテトサラダを出すと、マナは目を輝かせて喜ぶ。

マナ…涎まで垂らして、ちょっと品が無いわよ。

 

「緋色もどうだ?」

 

食峰君は、黒い小鉢に盛られたポテトサラダを私にも振舞ってくれた。

綺麗な球形に盛られたポテトサラダの周りに、花や葉の形に切られた根菜やキュウリがまるで生け花のように盛り付けられている。

素材の味を引き立てる香草がほのかに香り、視覚や嗅覚でも楽しめるようになっている。

さて、肝心の味の方は…

 

「…!」

 

何これ、すごく美味しい。

程よくクリーミーなのにしつこくなくて、きちんと素材の味を引き立たせてある。

塩胡椒もちょうど良くて、ほのかにコンソメベースの出汁の味がする。

これだけでもおやつかおつまみ感覚でいけるけど、他のおかずが進む味だ。

お通しにはもってこいね。

ん?この食感はひょっとして…

 

「ねえ、これって…」

 

「おっ、緋色は気付いたか。実はな、隠し味にポテトチップス砕いたやつ入れてみたんだ。どうだ?」

 

「…うん。とても美味しい。これなら人気商品間違いなしね」

 

「おかわり!」

 

マナ、すごい食べっぷりね。

朝食足りなかったのかしら?

 

「ご馳走様。美味しかったわ」

 

「おう!また来てくれよな!」

 

私がお礼を言うと、食峰君はニカっと笑った。

さてと、次は闇内君の研究室に行こうかしらね。

 

 

 

ーーー 【超高校級の忍者】の研究室 ーーー

 

闇内君の研究室は、両開きの引き戸がついた和風の外観だった。

引き戸の両側には芒が飾られていて、闇内君をイメージしていると思われる月の模様が引き戸に描かれている。

 

「ここが闇内君の研究室ね。まずはノックを…」

 

「入ってはならぬ!!」

 

「え?」

 

マナが扉を開けた瞬間、闇内君の声が聞こえ、扉の隙間からは竹槍が飛んでくる。

さらには次の瞬間、屋根がパカっと開いてマキビシやら手裏剣やらが降り注ぎ、出刃包丁まで飛んできた。

私は、飛んできた出刃包丁を見切って真剣白刃取りをした。

 

「ふっ…!」

 

あっぶな…!

今の、私じゃなかったら死んでたわよ!?

 

「ぎゃあああああああ!!!ちょっとちょっと、これ止めてー!!」

 

「今止めるで候!しばし待たれよ!」

 

闇内君が屋敷の仕掛けをいじると、罠はすぐに止まった。

その直後、闇内君がどこからか現れて謝罪してくる。

 

「これはすまぬ事をしたでござる。拙者は今忍術の修行をしておった故、訓練用の罠を仕掛けてたのでござる。修行中は立て札でもかけておくべきでござったな」

 

「ええ、そうしてちょうだい。死にかけたわ」

 

「拙者は引き続き修行をしておる故、研究室を好きに探索してくれて構わぬぞ」

 

そう言って闇内君は、研究室の中に引っ込んでいった。

お許しも出た事だし、研究室の中を探索してみようかしらね。

 

「お邪魔するわね」

 

引き戸を開けて中に入ってみると、部屋の中に囲炉裏があったり生け花が飾ってあったりと、全体的に和風の内装になっていた。

何か実家を思い出すわね…

でも肝心の闇内君がどこにもいないのだけれど?

 

「うわあ!?」

 

「マナ!?」

 

突然マナの声が聞こえたかと思うと、マナは壁にあったどんでん返しの隠し戸を誤って押してしまい、隠し部屋に入ってしまっていた。

ったく、部屋にあるものを何でもかんでも不用意に触るからそうなるのよ!

私は、隠し部屋に入ってしまったマナを救出する為、どんでん返しの隠し戸を叩いた。

だが、いくら叩いても扉は開かなかった。

どうやら一度発動した仕掛けは、二度目は発動しないようになっているみたいね。

とにかく、どこかに他の隠し戸があるはずだから探さないと…

 

「……いろちゃーん……緋色ちゃーん!」

 

耳を澄ませてみると、ちょうど掛け軸がある壁のあたりからマナの声が聞こえてくる。

ここら辺に隠し戸があるって事よね…?

私は、隠し戸を開ける為に花瓶や掛け軸を動かしてみた。

すると、ゴゥンと音を立てて掛け軸がかけてある壁が横にスライドする。

ホント忍者屋敷ね…

 

「緋色ちゃーん!!」

 

私が隠し戸を開けると、マナが私に声をかけてくる。

やっぱり、どの隠し戸を開けても必ず同じ部屋に辿り着くようになっていたみたいね。

隠し戸の裏の部屋は、まるで武器庫だった。

刀や苦無、手裏剣などの忍者道具が所狭しと置かれている。

それはそうと、肝心の闇内君はどこかしら。

 

「忍法、陽炎の術!」

 

「きゃっ!?」

 

突然、足元を何かが通り過ぎた。

それと同時にマナのスカートが捲れる。

 

「そこか!!」

 

私は、視界の端を動いた影を組み伏せようとした。

だがそこにあったのは、闇内君の服を着た巻藁だった。

肝心の闇内君はというと、私の背後でふんどし一丁になって決めポーズをとっていた。

 

「ぎゃあああああ!!?」

 

後ろでふんどし一丁になっている闇内君を見たマナは、目を丸くして悲鳴を上げた。

どうやら露出狂のきらいもあるようね。

 

「くっくっく、甘いでござるよ腐和嬢。今のは空蝉の術でござるよ」

 

「いいえ、甘いのはあなたよ」

 

そう言って私は、手に握っていた縄を引っ張る。

闇内君の右手首には、手錠がかけられていた。

 

「なぬぅ!?いつの間に!?」

 

「さてと。変態にはお仕置きが必要よね。覚悟なさい」

 

「ちょっ、待っ…ぎゃあああああああ!!!」

 

私は、変態にたっぷりとお仕置きしてやった。

忍者屋敷の中には、変態の悲鳴が響き渡った。

これに懲りたらもうセクハラなんかしない事ね。

 

 

 

ーーー 【超高校級の聖母】の研究室 ーーー

 

闇内君の研究室を見た私達は、次は聖蘭さんの研究室に行った。

聖蘭さんの研究室は、18〜19世紀の西洋を思わせる重厚感のある扉があり、扉の両側には彫刻が置かれていて、扉には巨大な十字架が描かれている。

見た感じ、まるで大聖堂のようだ。

私は一応扉をノックして聖蘭さんに話しかける。

 

「聖蘭さん、今少しいいかしら?」

 

返事は無い。

見るなら勝手にしろって事かしらね。

 

「お邪魔するわよ」

 

私は、一応断りを入れてから研究室のドアを開けた。

聖蘭さんの研究室の中はバロック様式の礼拝堂になっていて、金で装飾された大理石の柱が並んでおり精巧に作られたステンドグラスが輝いている。

礼拝用の長椅子が左右対称に並んでいて、その中心には高級感のあるレッドカーペットが敷かれている。

研究室の最奥にはパイプオルガンが設置されていて、その手前にある祭壇が置かれていた。

ふと上を見上げると、巨大なマリア像が立っていた。

研究室には小部屋がついており、どうやらそこは懺悔室になっているようだ。

聖蘭さんは、祭壇の前でロザリオを握りしめてお祈りをしていた。

キリが良かったのか、聖蘭さんは私達の方を振り向いて挨拶をしてくれた。

 

「あら、腐和様。聲伽様。ご機嫌よう」

 

聖蘭さんは、さっきとは違っていつもの調子に戻っていた。

良かった、思ったより元気そうね。

 

「聖蘭ちゃん今何しよったと?」

 

「今も外の世界で救いを求めている方々の為にお祈りをしておりましたの。私に出来る事はこれくらいしかありませんから」

 

なるほどね…

そういえば、聖蘭さんは外に出て救わなきゃいけない人達がいると言っていたものね。

 

「聖蘭さん。良かったら私にもお祈りの作法を教えてもらえないかしら?私も亡くなった皆の為にお祈りしたいの」

 

「あ、じゃあうちも!」

 

「ええとですね…聖書では亡くなった方に祈るといった事はしませんの。その代わり、葬儀でのお祈りの作法がございますのでお教えしますわ」

 

私とマナは、聖蘭さんに作法を教えてもらって一緒にお祈りをした。

これで少しは亡くなった皆も浮かばれると良いのだけれど…

 

「ありがとう聖蘭さん」

 

「とんでもございません」

 

「あ…そういえばあなた、今朝といい昨日といい、食事会に遅刻してきたけど何かあったの?」

 

「…ここで懺悔をしておりましたの」

 

「懺悔?」

 

「はい。悲しい事に、響様は玉越様を、越目様は小鳥遊様を殺してしまいました。そして腐和様が仰ったように、彼等の殺人を止められなかった私達も平等に罪を背負いました。ですから罪を曝け出し、皆様の罪が赦されるよう主に祈りを捧げていたのですわ」

 

私は彼女の言葉を聞いて、ようやく聖蘭さんが元気を無くしていた理由に気がついた。

彼女は誰よりも心が綺麗な人だから、私達が何とも思わないような事でも罪と思って気を病んでいたんだ。

そう考えると、聖蘭さんが昨日私達に冷たい視線を向けてきたのにも納得がいく。

彼女は私達一人一人の魂を大切にする人だから、裁判で越目君に投票した私達が罪を罪とも思わず過ごしているのがどうしても耐えられなかったのだろう。

それで自分達の罪が少しでも清算されるよう、私達の分も贖罪をしてくれていたんだ。

 

「そうだったのね…ありがとうね、私達の為に」

 

「お礼には及びませんわ。皆様の為に尽くす事が、主に与えられた使命ですから」

 

私は、聖蘭さんと少しお話をしてから研究室を後にした。

研究室を出るとちょうど食堂に向かうのにちょうどいい時間になったので、私はマナと一緒に食堂に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、既に秋山君がテーブルセッティングをしてくれていた。

厨房では、食峰君と館井君、リカが昼食を作っていた。

三人でテーブルセッティングをしていると、知崎君、古城さん、闇内君が来て、それから加賀君、目野さん、ネロ、聖蘭さんが来た。

今日のお昼は、食峰君が作ったエビのピラフに椎茸のクリーム煮、館井君が作ったパルメザンサラダ、リカが作ったポトフにビワのゼリーだった。

食事が終わった後は、食器の片付けをして再び探索の時間にした。

さて…と。

研究室の探索も終わった事だし、次は校舎の探索をしないとね。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

私は、溜まったメダルを使って買い物がてらモノモノマシーンを引いた。

出てきたのは、何かのUSBメモリだった。

これは…何に使えばいいのかしらね。

とりあえず、買い物も済んだので美術室を見てみる事にした。

 

 

 

ーーー 美術室 ーーー

 

美術室には、秋山君の報告通り作業用の机が並んでいて、キャンバスや彫刻などが置いてあった。

置かれている本棚には、古今東西美術関係の本がびっしりと並べられている。

モノクマとモノDJの気色悪い彫刻と絵も飾ってある。

ん…?

これが秋山君の言っていた絵か。

若干不気味な笑顔を浮かべているのが気になるけど、随分と精巧に描かれてるわね。

美術室は大方調べたし、美術準備室も見てみようかしら。

 

美術準備室には、知崎君の報告通り画材や粘土など、図画工作に必要な道具が置かれている。

見たところ漆や陶芸、ガラスなどの工芸もできるようで、焼き物を作る用の大きな窯と冷蔵庫まで設置されている。

さすがは未来ヶ峰学園、といったところかしらね…

美術準備室に入ってみると、先客がいた。

 

「あら、リカ。何をしてるの?」

 

『腐和サン!実はデスね、アテクシは今絵の勉強をしていたのデス!』

 

「あなた、絵とか好きなの?」

 

『はい!アテクシ、お絵描きは得意分野デス!』

 

私が尋ねると、リカは自信満々に答える。

今時のバーチャルアシスタントって絵も描けるのね。

そうだ、リカならこのUSBメモリ、喜ぶんじゃないかしら?

 

「リカ。渡したいものがあるのだけど、いいかしら?」

 

『アテクシにデスか?何でございマショウ?』

 

私は、モノモノマシーンで手に入れたUSBメモリをリカにプレゼントした。

するとリカは、キラキラとエフェクトを出しながらピョンピョン跳ねる。

 

『ありがとうございマス!大切に使いマスね!』

 

どうやら喜んでくれたみたいだ。

私は、自由時間をリカと過ごす事にした。

美術室の席で、向かい合わせに座って一緒に話をした。

 

「リカ。ここでの生活は楽しい?」

 

『はい!校舎を回って色々と学習していたのデスが、知らない事を学習するのがとにかく楽しくて!毎日新しく学ぶ事の連続で、ここでの生活は全く飽きマセんね!って、アテクシ、まだ生まれてから二日しか経ってないんデスけど!』

 

私が尋ねると、リカはキャイキャイとはしゃいでジョークを交えながら答えた。

本当に、何も知らなければ人間の女の子みたいね。

 

「学習というと、やっぱり図書室の本とかが好きなのかしら?」

 

『そうデスね。図書室にあった本は全部読みマシたが、どの本もとても興味深かったデス!さすがは世界の希望たる未来ヶ峰学園の誇る図書室、まさに人類の叡智の宝庫デスなぁ!』

 

えっ?

あの量を、たった数時間で!?

今しれっととんでもない事言ったわよね!?

こんな可愛い見た目して、ものすごいハイスペックね…

 

「本を読んで賢くなるって…まるで本当に人間みたいだわ」

 

『そうデスね。ただ、文献やデータを読んで学習するよりは、実際に体験して学習した方が勉強になりマス。アテクシ自身、皆サンともっと仲良くなりたいデスし!腐和サンがよろしければ、もっとアテクシに話しかけていただけるととても嬉しいデス!』

 

なるほど、実際に体験した方が身につくのも人間そっくりね。

百聞は一見に如かず、という事なのかしらね。

 

「そういえば、脱出方法について何か進展はあった?」

 

『その事なのデスが…生憎ネットワークのセキュリティが厳重すぎて、少し情報を抜き取る程度が精一杯なのデス。抜き取った情報も、ダミーの可能性も捨て切れマセん。申し訳ございマセん』

 

「いいのよ。私達も私達で脱出方法を探しながら気長に待ってるから。引き継ぎ、パソコンの解析の方お願いね」

 

『はい!必ずや皆サンの期待にお応えしてみせマショウ!』

 

リカは、グッと拳を握り締めて張り切っていた。

本当に表情豊かね。

 

「ところでリカは、プロファイリングや料理以外だとどんな事ができるの?」

 

『はい!本の朗読やボードゲーム、お絵描き、採点カラオケ、ナビゲーション、デリバリーサービス、大規模なご依頼であれば国家予算の管理や隕石撃墜まで幅広く対応しておりマス!』

 

うん、つくづく思う事だけど、どう考えても一人のバーチャルアシスタントが持ってていいスペックじゃないわ。

 

『何かご依頼はありマスデショウか?』

 

「そうね…そういえば絵の勉強をしていると言ってたし、良かったら絵を描いてみてくれないかしら?」

 

『お任せクダサイ!』

 

リカは、早速自分の手元に画材のオブジェクトを展開すると、画材のオブジェクトを使ってハイスピードで絵を描き始めた。

無表情で目を光らせながら絵を描いているのを見ると、急に機械っぽくなったなと感じる。

リカが絵を描き始めてから数十秒後、キャンバスのオブジェクトに絵が出来上がる。

私の顔を描いた美麗かつ芸術的なイラストだった。

 

『どうデショウ!?』

 

「…うん、思ってたよりずっと上手いし芸術的だわ」

 

『えへへ…気に入っていただけたようで何よりデス!また何かございマシたらいつでもアテクシをお呼びクダサイ!』

 

そう言ってリカは、誇らしげにグッと両手で拳を作って握りしめた。

また何かお願いするような事があったらリカに話しかけてみようかしらね。

どうやらリカと仲良くなれたみたい。

 

《リカとの好感度が1アップしました》

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、何やら昆布出汁のいい匂いがした。

テーブルの上を見てみると、大きな鍋が二つ並んでいる。

 

「おっ、緋色か!これ見てみろよ!」

 

そう言って食峰君は、大皿に盛られた刺身を見せてきた。

これってひょっとして…

 

「…これ、もしかしてフグ?」

 

「ご名答!今日はてっさとてっちりだぜ!」

 

「どうしたの?これ」

 

「いやぁ、実はさ。研究室のアクアリウムに泳いでたんだよな。あ、オレはフグ調理師免許持ってっから安心して食ってくれ!」

 

フグまで捌けたのか…

すごいわね食峰君。

私が食峰君、秋山君、館井君、闇内君と一緒に鍋の準備をしていると、古城さんと知崎君がドタドタと食堂に駆け込んでくる。

 

「わーい!!フグ鍋じゃあ!!」

 

「やったー!」

 

「こら古城さん知崎君暴れないの」

 

「わーい、ご飯ー」

 

しばらくして、マナ、リカ、聖蘭さん、加賀君、目野さん、ネロも食堂に顔を出した。

全員が集まったので、今日は皆で鍋パをした。

 

「鍋か……」

 

加賀君は、鍋を見つめながらポツリと呟く。

鍋嫌いなのかしらね。

私の向かいの席に座っていたネロは、ゲテモノを見るような目で鍋を見ていた。

そりゃあフグ食文化が無い人にしてみれば、そういう反応になるわよね。

 

「…おい。これ本当に食えんのか?」

 

「おう!物の試しと思って食ってみろよ。すげぇ美味えから!」

 

ネロが顔を引き攣らせながら見ていると、食峰君がネロの分の鍋をよそった。

皆は、それぞれ鍋から自分の分の具をよそって食べ始めた。

 

「んまーい!」

 

「刺身はワシのじゃ!」

 

「こら古城さんそれやめな。品が無いよ」

 

「これうまかね、緋色ちゃん!」

 

「……ええ」

 

「美味でござる」

 

「あちっ」

 

皆が鍋を美味しそうに食べている中、ネロと加賀君は鍋を食べるのに苦戦しているようだった。

…うん、本当に美味しい。

身がぷりぷりしていて、上品な甘みがある。

スープも昆布とフグの出汁がきいていて、繊細な風味が口の中に広がる。

一方でリカは、皆が美味しそうに鍋を食べているのを羨ましそうに見ていた。

 

『ううう…アテクシも食べてみたいデス』

 

「では今度リカを食事ができるように改造してみましょう!」

 

『本当デスか!?』

 

目野さんが言うと、リカはパァッと笑みを浮かべた。

鍋と刺身を食べ終わった後は、ご飯と卵を入れて雑炊にして食べた。

いい出汁が出ていたから、雑炊もとても美味しかった。

 

「いやぁ美味かったのぉ」

 

「この学園でフグが食えるなど至福でござる」

 

皆がフグの余韻を楽しんでいた、その時だった。

 

 

 

『うぷぷぷ!食後の腹ごなしにモノクマ参上ー!』

 

『ギャハハハハ!!テメェらちゃんと殺人計画の方張り切ってっか!?』

 

「食後に汚物を見せるな」

 

「お口直しにお茶を持ってくるわね」

 

突然例の二匹が現れると、秋山君が毒を吐き、私もこいつらのせいで台無しになった後味を洗い流す為にお茶を用意した。

 

「また動機の発表か?」

 

『ザッツライ!!テメェらにもっとやる気を出してもらえるように、今回もスペシャルな動機を持ってきてやったぜ!!コイツだァ!!』

 

そう言ってモノDJは、どこからか新鮮な野菜を取り出した。

皆は、モノDJが取り出した野菜を見てキョトンとしていた。

 

「野菜…?野菜がどげんしたと?」

 

『ズバリ!!今からオマエラには、殺人が起きるまで完全菜食生活をしてもらいます!!』

 

………は?

今こいつ、なんて言った?

 

「はっ、はああああ!?」

 

「何じゃと!?」

 

「ふっざけんな!どうして野菜しか食べちゃいけないわけ!?」

 

あまりの衝撃発言に、特に古城さんと知崎君が激しく反発した。

するとモノDJがやかましい声で言った。

 

『あのなぁ!テメェら、毎日食事する度にどれほど多くの命を搾取してんのかわかってんのかァン!?動物がかわいそうだろが!!時代はヴィーガンなんだよ!!健康にもいいんだぜ!?知ってたか!?』

 

「お前らみてぇな体たらくに言われたくねえな」

 

モノDJが言うと、ネロがツッコミを入れる。

というかそれ以前に、コロシアイをさせるような奴が命の搾取を否定するなんて、随分と笑わせてくれるのね。

 

『冷蔵庫を見てみてください!』

 

モノクマが言うと、食峰君は厨房に駆け込む。

するとその直後、食峰君が大声を上げて仰天した。

 

「うわ!?何だこれ!?肉の冷蔵庫が開かねえ!!」

 

「え、嘘やろ!?」

 

『もちろん冷蔵庫だけじゃなくて、倉庫や自販機の食べ物も全部動物性のものは撤去しておきました!』

 

『But!!テメェらも野菜ばっか食ってたら飽きるだろうし、栄養失調でぶっ倒れられたらシャレになんねーし?優しさで植物性の肉の代用品とサプリくらいは持ってきてやるぜ!!』

 

なるほど、栄養失調の心配はないから安心して共同生活を続けろって事ね。

…でも、アクアリウムの魚はどうなのかしら?

今日の鍋だって、食峰君の研究室のアクアリウムから獲ってきたフグを食べたわけだし。

 

『ああ、言っておくがアクアリウムの魚を殺して食ったりはするなよ!?そんな事したらマシンガンでハニカムにしてやっからなぁ!!』

 

『それと、どっかの錬金術師と大食い王子みたいに靴煮込んで食べたりするのもナシだよ?あとオマエラの事だから血を飲んだりするかもしれないので、一応小鳥遊サンの研究室の輸血パックも撤去させていただきました!』

 

 

 

十七、アクアリウム内の生物を故意に殺してはいけません。破った場合、マシンガンで処刑します。

 

 

 

あ、校則が追加されてる。

やっぱりアクアリウムの魚も獲っちゃダメなのね。

でも、菜食を強制したくらいで本当に殺人なんて起こるのかしら…?

 

「馬鹿馬鹿しいですわ。まさか、私達が菜食に飽きて人を殺すとでも?」

 

「でもこの中にどうしても野菜が嫌いな人がいたら…例えば古城さんとか知崎君とか」

 

「いや…いくらこの二人でも野菜が嫌いだからって人を殺したりはしねぇだろ」

 

『うぷぷぷ、それはどうだろうね?あ、そうそう。オマエラにはもう一つ伝えなきゃいけない事があるのでした!』

 

「伝えなきゃいけない事?」

 

『今回から、同一のクロが殺せるのは二人までとします!』

 

モノクマは、新しいルールを追加した。

理由は何となくわかる。

 

「それは殺す人数に制限をつけないとゲームとして成立しなくなるから、かしら?」

 

『ザッツライヒーローガール!一人が全員殺戮したりなんかしたらつまんねーからなァ!!ちなみに三人目を殺したら、その瞬間にエクストリームなオシオキをプレゼントするぜYEAH!!』

 

やっぱりね。

殺人鬼と情報源の事も言及されたわけだし、そろそろそういうルールが追加される事なんじゃないかとは予想してたわ。

 

 

 

十八、同一のクロが殺せるのは二人までとします。

 

 

 

『オレらからのライブは以上だ!!』

 

『それでは皆さん、楽しいコロシアイライフを!』

 

そう言って二匹は、その場からパッと消えた。

やっと汚物が視界から消えてくれたわね。

 

「見事に嫌がらせだけして消えてったね」

 

秋山君がため息をつくと、野菜嫌い二人がうるさく喚いた。

 

「うわあああ!!勘弁してよ!これから誰かが死ぬまでずっと野菜しか食えないなんてやだ!!」

 

「ワシも嫌じゃ!!早くここから出せい!!」

 

「肉の代用品とか果物とか大豆とか、他のものを食べれば済む話でしょ?」

 

私は、喚く二人にツッコミを入れた。

 

「拙者は精進料理をよく食す故、ストレスはあまり無いでござるよ」

 

「私もですわ」

 

闇内君と聖蘭さんは、あまりストレスは無いようね。

するとリカが栄養ピラミッドのオブジェクトを表示しながら発言する。

 

『皆サンの栄養管理ならアテクシにお任せクダサイ!』

 

「おう、頼むぜリカ!!オレもオメェらが飽きねえメニューを考えてやっからよ!!」

 

リカと食峰君は、これからの皆の健康面をサポートしてくれるようだ。

とりあえずこの二人がいれば安心ね。

 

「…ねえ緋色ちゃん。植物性の明太子とかなかと?」

 

マナがこの状況でおかしな事を言うので、思わず目を点にしてしまった。

どんだけ明太子食べたいのよ。

 

動機発表の後、軽めのミーティングをして解散となり、私は自分の部屋に戻った。

これから先どうなるのかしらね…

 

 

 


 

 

 

『モノクマ&モノDJ劇場』

 

 

 

『いやぁー寒い日はやっぱシャケ鍋に限るよな!シャケ鍋!!シャケ鍋!!シェケナベイベー!!』

 

『このシャケの旨み…野生の頃を思い出しますなぁ』

 

『ヘイブラザー、柚子胡椒取ってくれ!プリーズ!』

 

『ブラザー、柚子胡椒って胡椒が入ってないのに何で『胡椒』って言うんでしょうかねぇ』

 

『ギャハハ!いい質問だナァブラザー!褒美にオレ様がどこでも好きなとこにキッスをくれてやるZE!!柚子胡椒の『胡椒』ってのはなぁ、唐辛子の事なんだぜ!!っつーのも、九州の一部では唐辛子の事を胡椒って呼んでるんだぜ!!』

 

『へぇーそうなんですね!』

 

『ちなみに唐辛子と胡椒はどっちも英語で『pepper』だが、これはかの有名な冒険家、クリストファー・コロンブスが新大陸に上陸した時に唐辛子を胡椒と間違えてヨーロッパに持ち帰ったからなんだぜ!!』

 

『うぷぷ、一度の間違いがそのまま真実になっちゃう事って、オマエラの身近でも意外とある事だよね。どんな嘘や間違いも、ずっと貫き通せばいつかは真実になるんだよ』

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の???】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の美食家】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

【超高校級のAI】リカ 

 

残り13名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

以上4名

 

 

 

 

 

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
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