ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

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(非)日常編④

十三日目。

いつも通りの時間に起きて、制服に着替え、髪を梳かしてお気に入りの髪留めで髪を留めた。

本当は朝一番にシャワーでも浴びたかったのだけれど、生憎水が出ないので、ペットボトルの水を使って顔を洗い、朝の支度を終える。

そろそろ出ようかと思ったその時、あのモノDJの喧しいアナウンスが鳴り響いた。

 

『ヘェイグッッモォォォニン!!ゴミクズ共ォォォ!!!朝の7時をお知らせするぜイェア!!!今日も張り切ってけェ!!!』

 

ホント毎朝毎朝うるさいわね。

安眠妨害甚だしいわ。

私は、うるさいモノクマの放送にうんざりしつつ、食堂に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーー

 

「おはよう」

 

「おはよう、腐和さん」

 

食堂に行くと、秋山君が来ていた。

秋山君は、既に食堂の掃除やテーブルセッティングを始めていた。

今日は食峰君、闇内君、館井君、リカの四人が昼食を作ってくれていた。

私も朝食の準備を手伝っていると、ほぼ時間通りに残りのメンバーが来た。

 

「よし。今日も全員無事に揃ったね。それじゃあご飯にしようか」

 

全員が無事揃ったので、私達は朝食を食べ始めた。

私が選んだ和食セットは、玄米、ワカメの味噌汁、豆腐の蒲焼き風、フキのお浸し、胡麻豆腐、キュウリの漬物だった。

さらに、肉や魚の栄養を補えるサプリメントが小皿に盛られていた。

…うん。

肉や魚は入ってないけど美味しいわね。

さすがはリカと食峰君だわ。

 

「野菜は嫌いじゃ!!ポイ!!」

 

「古城さんあなたいい加減にしなさいよ」

 

古城さんが野菜を捨てようとしていたので、私が真正面から目を見て注意をした。

朝食の後は軽めのミーティングをし、その後は自由時間にした。

さて…と。

まだ校舎の3階の探索が終わってなかったし、今のうちに行っておかないと。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

まずは、溜まったメダルで買い物をしに行った。

お気に入りの紅茶と日用品と…うん、こんなものでいいかしらね。

日用品なら倉庫にもあったけど、量が多すぎて探し切れない上に、やっぱりメダルを払って買わなきゃいけないだけあってこっちに並んでるやつの方が質がいいのよね。

さて…と。

メダルが余ったし、モノモノマシーンを引いてみようかしら。

メダルを使ってモノモノマシーンを引くと、景品が出てきた。

出てきたのは、インビトロローズだった。

うーん…誰かにプレゼントしてみようかしらね。

 

 

 

ーーー 3ーA教室 ーーー

 

ここは一昨日と変わったところは何もないわね。

メダルが何枚か落ちていたので、回収しておこう。

 

 

 

ーーー 3ーB教室 ーーー

 

「……?」

 

B組の教室には、既に誰かいるみたいだ。

私は、B組の教室のドアを開けて中にいた人に声をかけた。

 

「あなたも探索中?」

 

私が声をかけて振り向いたのは、聖蘭さんだった。

 

「あら腐和様ごきげんよう。私は、教室のお掃除をしておりましたの」

 

聖蘭さんは、箒を持って床の掃き掃除をしていた。

そういえば聖蘭さんは見かける度に掃除してるけど、もしかして彼女がいつも教室を綺麗にしてくれているのかしら…?

だとしたら聖蘭さんには感謝しなくちゃね。

そうだ、さっきのインビトロローズ、聖蘭さんにあげたら喜ぶかしら?

 

「聖蘭さん」

 

「はい、何でしょう?」

 

「渡したいものがあるのだけれど、いいかしら?」

 

私は、モノモノマシーンで手に入れたインビトロローズを聖蘭さんにプレゼントした。

すると聖蘭さんは、聖母のような微笑みを浮かべながら喜んだ。

 

「まあ、綺麗なお花ですわね。嬉しいですわ。ありがとうございます」

 

良かった、喜んでくれたみたいだ。

私は、自由時間を聖蘭さんと過ごす事にした。

B組の教室で、向かい合わせに座って一緒に話をした。

 

「聖蘭さんはどうしてシスターになったのかしら?」

 

「ええと、どこからお話ししましょうか…私の家は代々莫大な富を築き、そのほとんどを貧しさに喘ぐ方々に寄付をしてきたのですわ。そのような家庭で育ったからか、私も物心ついた時から人に施しをする事を覚えて育ちましたの。我が家ではノブレスオブリージュを家訓としており、父からは『人の為に財産を捧げる事が高貴な身分に生まれた者の義務』だと、母からは『私達が高貴な身分に生まれたのは幸運以外の何物でもないのだから、その分人の痛みをわかる人間にならなければならない』と言い聞かせられ、私もそれを信じて育ちましたわ」

 

なるほどね…

聖蘭さんが心優しい性格なのは、ご両親がそう生きるように言い聞かせてきたからなのね。

 

「私は、貧しい方々に寄付をする為に家族と共に海外に赴いた事もあるのですが、そこで出会った人々はその日の食事や寝る場所にも困る程貧困で苦しんでいました。私と同じくらいの歳の子供達が文字も知らないうちに働きに行かされ、一日中働いても家族に満足に食べさせる事もできない、そんな現状を変えたくて、私にできる事は何でもしました。我が家の財産で学校や診療所を建て、その日の食事に困らないくらいの食糧を平等に分け与えました。私は、彼等の為に尽くせた事が何よりも嬉しかったのですわ」

 

聖蘭さんは、とても嬉しそうに語っていた。

今まで尽くしてきた人達が救われたのが何よりも誇らしかったのでしょうね。

 

「ですが、その喜びも束の間でした。私達が寄付をしてから、その国はどうなったと思いますか?」

 

「さあ…?」

 

「国の独裁者が私達の差し出した寄付金を貧困層から搾取し、そのお金で先進国から武器を買い集め、隣国に戦争を仕掛けたのです。私の親友も戦争に駆り出され、私達が寄付したお金で買われた武器を手に取って戦い、戦場で散っていきました。結果、私達が寄付をする前よりも多くの人々が命を落としたのですわ」

 

「酷い……」

 

「私はその時、気付いたのです。ただ施しをするだけでは、誰かを救う事はできないのだと。私は、私達の寄付によって命を落とした方々にどう償いをしていけば良いのかを、普段からお世話になっている修道院の先生に尋ねました。先生は、『あなたが償いをしたいのであれば、世の為人の為に生き、彼らを愛してあげなさい。そうすればいつかきっとあなたの罪が許され、彼らが救われる日が来るだろうから』、そうおっしゃってくれました」

 

そういう理由があったのね……

彼女が罪を償う事にあれほど拘っていたのは、過去の罪を贖う為だったのか。

 

「私は先生の言葉通り、世界中の迷える人々を救う為に生きる事にしました。世界中の人々に呼びかけ、紛争を止める為の活動も行いました。初めはわずか数人でしたが、今では何千、何万もの方々が私の活動に賛同してくださり、世界中で子供達を守る為の活動が行われるようになりました。そのおかげで未来ヶ峰学園にスカウトされた時は、思わず涙してしまいました。私が神に与えられた使命はこれだったのだと、ようやく実感する事ができたのですわ」

 

聖蘭さんは、涙ぐんだ目をして口元を手で覆いながら言った。

長年世の為人の為に尽くしてきた事がようやく報われて、さぞ嬉しかったでしょうね。

 

「なるほどね…話してくれてありがとう。ちなみに普段、どういった活動をしているのかしら?」

 

「普段は病院や孤児院への慰問、製薬会社や教育機関への投資、世界中で貧しさに喘いでいる人々の生活や世界中で蔓延している伝染病の情報の拡散、その活動で集まった資金の寄付などをしておりますわ。先月は300億ほど寄付をしましたの」

 

待って、今サラッと言ったけど、『ほど』って軽く言える金額じゃなくない…?

 

「ですがこれっぽっちではまだまだ全然足りませんわ。世界中には、迷える人々が大勢いらっしゃるのです。私の寄付では救える方はたかが知れていますわ。それがとても悲しいのです」

 

それだけ寄付をしていて『これっぽっち』って…

やっぱり彼女、家が大富豪だからか金銭感覚がバグってるわね。

でも聖蘭さんと仲良くなれたみたい。

 

《聖蘭マリアとの好感度が1アップしました》

 

聖蘭さんとお話をした後は、ちょうど昼食の準備をするのに丁度いい時間になったので、厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

厨房に行くと、既に食峰君と秋山君が昼食の準備を始めてくれていた。

私も、食峰君とリカが作った献立表とレシピを見ながら料理を始める。

今日の昼食は、食峰君が作ったバジルとナッツのジェノヴェーゼ、秋山君が作ったカブとトマトのカルパッチョと豆乳プリン、私が作ったクレソンのサラダとブロッコリーのポタージュだった。

食事の後は軽いミーティングをしてから探索の時間となった。

私は、まだ調べていなかった校舎の3階に行ってみた。

 

 

 

ーーー 3ーC教室 ーーー

 

ここは一昨日と変わったところは何もないわね。

メダルが何枚か落ちていたので、回収しておこう。

 

 

 

ーーー 外国語教室 ーーー

 

ここは、どうやら世界中のあらゆる言語を学ぶ為の教室のようだ。

廊下側のガラス窓には、アルファベットの装飾が施されている。

視聴覚室のような液晶パネル付きの机が並んでいて、後ろの棚には世界中の言語の辞書や文化について書かれた本が置いてある。

さらには、色々な書き込みがされた世界地図や地球儀、ラジカセなども置いてあった。

 

外国語教室の準備室には、世界中のあらゆる言語で書かれた文献がずらりと並んでおり、授業で使う用のプラカードなどもここに置かれている。

まるで職員室にあるような机も完備されていて、外国語教師の職員室としての機能も果たしているようだ。

よく調べてみると、ネロが言っていた写真も置いてあった。

そこには、私とリカ以外の15人と、私の母さんによく似た女性が写っていた。

母さんは確かに【超高校級の生徒会長】として未来ヶ峰学園にスカウトされて未来ヶ峰学園の教師として母校で勤務していたけれど、どう見てもこの写真は母さんが亡くなった時期と噛み合わない。

…じゃあ、この女性は一体誰なの?

 

私は、外国語教室をくまなく探し、他に脱出の手掛かりはないかを調べた。

でもあったのは、数枚のモノクマメダルとこの写真だけだった。

…仕方ないからメダルで買い物でもしに行こう。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

私は、貯まったメダルで買い物をしに購買部を訪れた。

うーん…来てみたはいいものの、特にめぼしいものは無いわね。

買い物ならさっき大方しちゃったし。

 

せっかくメダルが貯まった事だし、またモノモノマシーンでも引いてみようかしらね。

メダルを使ってモノモノマシーンを引くと、景品が出てきた。

出てきたのは、はっぱふんどしだった。

 

…これをどう使えというのかしら?

正直ものすごく要らない。

誰かにあげられるといいのだけれど…

 

私がはっぱふんどしの扱いに困ったまま購買部を去ろうとすると、マナが購買部に入ってきた。

マナは走ってきたのか、ゼエゼエ息を切らしていた。

 

「あー緋色ちゃん!こげんところにおったんやなあ!」

 

「どうしたの?」

 

「あんね、食峰君とリカちゃんがおやつ作ってくれたんやって!良かったら一緒に食べに行かん?」

 

おやつか…

それも、食峰君とリカが作ってくれたものだというなら少し気になるわ。

捜査がまだ途中だけれど、次の食事は私の当番じゃないし、まだまだゆっくり探索はできるから行ってみようかしらね。

私は、マナと一緒におやつを食べに厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、食峰君とリカがお菓子を用意してくれていた。

そこには、かりんとうに葛餅、饅頭、羊羹、ういろう、煎餅、ところてんなどの和菓子が並んでいた。

お茶も、緑茶や抹茶、玄米茶など、和菓子に合うお茶が何種類も用意してあった。

 

「おう!緋色に愛!今、ちょうどおやつ作ってたとこなんだ!良かったら食ってくれ!」

 

「二人とも、どうしたのこのお菓子?」

 

「いやな、オメェらも探索とかで色々疲れてるだろうし、食事を制限されてストレスも溜まってるだろうし、たまには甘いもんでも食ってリフレッシュしてほしくてな」

 

『和菓子ならほとんど植物性のもので作れるので、皆サンのストレスを解消する為に和菓子を作る事にしたのデス!どんどん召し上がってクダサイ!』

 

二人とも、私達のストレスを解消する為に色々考えてくれてたのね…

思い返してみれば、この二人には食事面で色々と支えられてきたわよね。

既に集まっていた何人かは、二人が用意してくれたお菓子を食べ始めた。

ふとテーブルを見てみると、古城さんが闇内君と一緒に将軍ごっこをやっていた。

闇内君は、将軍役の古城さんの分のお菓子を毒味していた。

 

「古城嬢、この葛餅は安全でござるよ」

 

「うむ、良い心がけじゃな!流石はワシの下僕じゃ!!ガハハハハ!!」

 

闇内君が毒味をすると、古城さんが高笑いをした。

もう『下僕』って言っちゃってるし…闇内君、完全に古城さんの言いなりになっちゃってるわね。

お疲れ様。

さて、私達も食べ始めようかしらね。

 

「こんかりんとううまかね、緋色ちゃん!」

 

「そうね」

 

「餅はワシのじゃ!!羊羹もワシのじゃ!!」

 

「こら古城さん。まだまだおかわりあるから独り占めしないの」

 

…うん。

どれもとても美味しい。

さすが【超高校級の美食家】とそれに追随する技術を誇る【超高校級のAI】、和菓子作りもお手のものという事なのね。

お茶も程良い濃さで淹れられていて、お菓子によく合うわ。

私達がお菓子を食べていると、加賀君が食堂に顔を出す。

 

「遅れてすまん」

 

加賀君が遅れて顔を出して席に座ると、知崎君が加賀君に尋ねる。

 

「あー久遠おにいどしたの!?随分長いトイレだったねぇ!便秘!?それとも下痢!?」

 

「どっちでもない。3階のトイレには監視カメラの死角が無いか調べていたんだが、なかなか興味深いものを見つけてな」

 

「そっか!ちゃんと流してきた!?」

 

「何で用を足してきた前提なんだ」

 

知崎君がしつこく尋ねると、加賀君がツッコミを入れる。

加賀君は、得意げになって自分の探索結果を報告した。

 

「実はな。俺の発明品、Killing(キリング)Ultra(ウルトラ)Slayer(スレイヤー)Omega(オメガ)をな…」

 

「頭文字並べたらKUSO(クソ)じゃねーか!!久遠おにいのネーミングセンスマジでウンコだねぇ!!」

 

加賀君が言うと、知崎君がツッコミを入れる。

二人の間で漫才のようなやり取りが繰り広げられた。

食堂でそういう話するのやめてほしいわ…

すると目野さんが加賀君を指差して言い放つ。

 

「とりあえず手を洗ってきて下さい!!何を触った手かわかりませんからね!!」

 

「そうそう!ばっちぃ久遠おにいの事だから、どうせ素手でウンコとか触ってたんでしょ!?」

 

「君らは俺の事を何だと思ってるんだ?」

 

二人がボロクソに言うと、加賀君は呆れつつも手を洗う為に立ち上がった。

ホント食堂の中とは思えない程会話が下品ね。

私がそう思っていたその時、館井君が低い声を出した。

 

「……おい。お前ら。今その話は…」

 

館井君は、今すぐに三人の会話をやめさせようとした。

館井君のお皿にはかりんとうが、茶器には玄米茶が入っていた。

…うん、もうこれ以上は何も言わないでおいた方が賢明よね。

 

「かりんとう食べよー時にウンコの話せんでよ!」

 

「ウンコの話してる時にかりんとう食ってんじゃねーーーよ!」

 

マナが三人に注意をすると、知崎君が予想の斜め上をいく返しをした。

理不尽ってまさにこういう状況の事を言うのね。

すると館井君がだいぶイラついた様子で口を開く。

 

「…お前ら確信犯だろ」

 

「確信犯の使い方間違ってるぜ建次郎おにい!知ってた!?あーウンk…じゃなかったかりんとうおいし」

 

館井君が言うと、知崎君はゲラゲラ笑ってかりんとうを齧りながら揚げ足を取った。

すると秋山君が、顳顬にビキビキと青筋を浮かび上がらせながら注意をした。

 

「ちょっと三人とも、いい加減にしなよ」

 

「「ごめんなさい」」

 

「何で俺まで…」

 

秋山君が笑顔で圧をかけると知崎君と目野さんが謝り、とばっちりを喰らった加賀君が少し落ち込む。

すると、館井君も呆れながら三人に注意をする。

 

「全く…食事中にする話じゃないだろう」

 

「うん、これからは気をつけるよ!」

 

館井君が言うと、知崎君がニコッと笑顔を浮かべながら言った。

あの笑顔は絶対反省してないわよね。

とりあえず私は、おやつの時間が終わった後、興味深いものとやらを見つけた加賀君に話を聞いてみる事にした。

 

「ねえ加賀君。そういえばあなたさっき、面白い発見をしたと言っていたけれど…何を見つけたのかしら?」

 

「ああ。これだ」

 

そう言って加賀君が取り出したのは、何かのUSBだった。

どうやら、私がリカにプレゼントしたものとは少し違うらしい。

 

「とりあえずこれを目野とリカに調べてもらおうと思ってるんだが…」

 

「加賀さん、そんな汚いものをうちの子に挿れないでください!壊れちゃいますよ!」

 

「誤解を招くような表現はやめなさい!」

 

目野さんが色々と誤解を招く表現をしたため、思わずツッコミを入れてしまった。

実際は男子トイレに落ちていたUSBをリカに調べてもらおうとしていただけなのだけれど、その言い方は色々と危ないわよ。

USBは目野さん達に調べてもらう事にして、私はまだ行っていなかった教室の探索に行く事にした。

買い物も済ませたし、まだ行っていなかった指導室の探索にでも行こうかしらね。

 

 

 

ーーー 指導室 ーーー

 

指導室には、進路指導用の資料が並んでおり、座り心地のいいソファーが設置されていた。

カウンセリングルームを兼ねた指導室を調べていると、けん玉やめんこなどのおもちゃが置いてあった。

私が指導室を調べていると、何やら端の方でゴソゴソと動く影があった。

 

「闇内君、そこで何をしてるの?」

 

「むっ、腐和嬢か。実は、どこかに隠し通路のようなものが無いかを調べていたのでござる。前の探索の時にはなかった仕掛けがあったりするかも知れぬ故」

 

隠し扉か…

そんな所まで調べるなんて、さすが闇内君。

抜け目ないわね。

…というか、今までセクハラばかりしてきたからそういうイメージしか湧かないけど、彼は無駄にハイスペックなのよね。

あ、そうだ。

さっき手に入れたはっぱふんどし、彼にあげたら喜ぶかもしれないわね。

 

「闇内君」

 

「むっ、何でござるか腐和嬢?」

 

私は、モノモノマシーンで手に入れたはっぱふんどしを闇内君にプレゼントした。

すると闇内君は、はっぱふんどしを興味深そうに眺める。

 

「これを拙者に…という事でござるか?もしや腐和嬢、拙者にこれをつけてほしくて…」

 

「そうは言ってないわよ。自分の部屋に戻ってからつけなさいよ」

 

何で今ここでつけようとするのかしら。

やっぱりこいつ露出狂のきらいもあるんじゃないのかしら。

…でも、喜んではくれたみたいね。

私は、自由時間を闇内君と過ごす事にした。

指導室のソファーで、向かい合わせに座って一緒に話をした。

 

「闇内君はどうして忍者になったの?」

 

「どうして…でござるか。それは、拙者が闇内家の長男として生まれたからでござる。拙者の家は江戸時代から続く忍の家系でござるが、明治維新の時に同業者は皆廃業し、拙者の先祖だけが忍として生き残ったのでござる。拙者の先祖は、暗殺業では食っていけなくなった故、所謂情報屋やスパイ業を請け負う何でも屋へと移ろぎながら時代の荒波を生き残って来たのでござる。拙者達は最後の忍者の家系として残った闇内家を守る為代々忍者業を継いで来たのでござるが、先代当主だった父が大病を患い引退した故、拙者が次期当主として家業を継いだのでござるよ」

 

闇内君は、自分の生い立ちを私に語ってくれた。

顔は頭巾で隠していて表情がわからなかったが、きっと当主としての重圧に疲れる事もあったのでしょうね。

 

「ここでは愛い女子達に囲まれて至福でござるが、いつまでもここにいるわけにはいかぬ。拙者は一刻も早くここから出て闇内家当主として家を守らなければならないのでござる。拙者は、家を守る為なら何でもしてきたでござる。…しかし、いつになっても人が目の前で死ぬのは慣れぬでござるな」

 

闇内君は、口元の布を引っ張りながら言った。

おそらく、人に言えないような汚れ仕事も請け負ってきたのでしょうね。

私は母さんが死んだ日から感情を殺して生きてきたから人の死を嘆く事もできなくなってしまったけれど、彼はいつまで経っても人が死ぬ事に慣れずに苦しんできたのかしらね。

 

「しかし、この仕事を辞めたいと思った事は無いでござる。拙者は闇内家の忍として生まれた事を誇りに思っておる故。…ただ強いて言うなら、一度でいいから普通の高校生のような青春は送ってみたいとは思っておったぞ。拙者はここから出ねばならぬが、お主達とここで出会えた事は光栄で候」

 

私は、彼の話を聞いて、彼への認識が間違っていた事に気がつく。

セクハラばかりしてくるお調子者に見えて、汚れ仕事を請け負ってまで自分の家族を守ろうとする、それが闇内忍という人間なのね。

…もしかして彼がセクハラをしているのは、この場を和ませる為だったりするのかしら?

 

「ごめんなさい、闇内君。私、あなたの事を誤解していたわ。あなたがセクハラをしてくるのは、この場を和ませる為なのかしら?」

 

「いや、それはただの趣味でござる」

 

何よ、それはただの趣味なのね。

真面目に聞いて損したわ。

 

「そういえばあなた、最近古城さんと仲が良いみたいだけど?」

 

「あー…その事でござるが…実は、古城嬢が『ワシと交流を深めたいのであればまずは下僕から始めよ!』などと言ってきたのでござるよ。下手に逆らうと斬殺丸で斬りかかってくる故、仕方なくでござる」

 

なるほどね…

まんまと尻に敷かれちゃってるじゃないの。

 

「しかし、悪い気はせぬぞ。拙者、同い年の女子に純粋に遊び相手として依頼を受けたのは初めてでござる。今までの依頼人にはろくな人間がいなかった故」

 

闇内君は、フッと笑いながら言った。

闇内君も闇内君で、何だかんだで古城さんの事を気に入ってたのね。

私が闇内君と古城さんの関係を微笑ましく思っていると、闇内君はため息をつきながら口を開く。

 

「あー、疲れた。ずっとこの口調で話すのも疲れんなぁ」

 

そう言って闇内君は、顔を覆っていた頭巾を取った。

若干癖っ毛気味の黒髪の短髪で、それなりに整った顔立ちをしていた。

 

「あれ?闇内君…あなた、普段の口調はどうしたの?」

 

「んなの、営業用にキャラ作ってるに決まってるだろ。やっぱ忍者業やってるとああいうキャラを求められるからさ。現実に素でこんな喋り方する奴がいるかよ」

 

「そ、そうだったのね…」

 

「学校とかでもやれ忍術見せろだの空飛べだの色々無茶振りされて正直困ってるんだよね。ホント、皆して僕を何だと思ってるんだか」

 

闇内君も闇内君なりに苦労してるのね…

どうやら闇内君と仲良くなれたみたい。

 

《闇内忍との好感度が1アップしました》

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと厨房では食峰君、マナ、リカの三人が夕食を作っていた。

モノクマが動機を発表してから3回目の食事だけど、今回も全員無事に食堂に集まれたわね。

今日の夕食は、食峰君が作った炊き込みご飯に大豆のそぼろと瓜の煮物、リカの作った車麩の角煮と油揚げの味噌汁、マナの作った刺身こんにゃくの盛り合わせだった。

…うん、今日の夕食も美味しいわね。

 

食事の後は、軽めのミーティングを開いた。

今まではミーティングに参加していなかった聖蘭さんも、今回は珍しくミーティングに参加していた。

 

「それじゃあ、ミーティングにしようか。誰か収穫があった人はいないかい?」

 

秋山君が尋ねると、加賀君が手を上げて発言する。

 

「例のUSBをリカに調べてもらったんだが、生憎ロックがかかっていて解読には時間がかかりそうだ。リカ曰く、あと2日あれば内容を解析できるらしい」

 

「うんうん、他の人は?」

 

「拙者は、指導室に何か仕掛けが無いか調べていたのでござるが、心当たりがあった故調査中でござる。ただ、それが脱出口に繋がるかどうかは…」

 

「なるほどね。うーん、やっぱり外に出られそうな有力な情報は無いか」

 

「その事なのですが…私から一つよろしいですか?」

 

秋山君が情報を整理していると、聖蘭さんが手を挙げて発言する。

聖蘭さんは、ニッコリと微笑みながら言った。

 

「私から一つ提案なのですが、ここから出るのはもうやめませんこと?」

 

「「「「!?」」」」

 

聖蘭さんは、皆に向かってとんでもない提案をした。

秋山君は、驚いた様子で聖蘭さんに尋ねる。

 

「聖蘭さん…君、自分が何を言ってるのかわかってるの?」

 

「わかっておりますわ。皆様、そもそも2回もコロシアイが起こったのはどうしてだと思いますか?」

 

「さ、さあ…?」

 

「皆様に、ここから出たいという思いが少なからずあったからですわ。響様も、越目様も、ここから出ようと欲をかいたから天罰が下ったのですわ。外に出たいという欲を捨て、命尽きるその時までここで罪を贖いながら慎ましく暮らせば、我らが父もきっと私達の罪を赦してくださるはずですわ。理事長と学園長がこのような慎ましい生活をご享受して下さったのも、きっと私の祈りが通じたのですわ」

 

聖蘭さんが言うと、ネロが呆れ返り、マナが立ち上がって聖蘭さんに尋ねる。

 

「てめぇ…最近ミーティングに参加しねえと思ったら、そういう腹づもりかよ」

 

「聖蘭ちゃん…なして!?キミ、こん前は外で待っとー皆ん為にここから出るって言いよったやろ!?」

 

「確かに、私もそう思っていた時期はありました。ですが小鳥遊様と越目様の死を受けて、それは間違いだったと気付いたのです。外に出ようと欲をかけば、誰かがまた罪を犯します。でしたら、ここから出なければ良いのですわ。外で待っていらっしゃる方々も、きっと罪を犯してまで私達が外に出るよりは、私達が無駄な犠牲を出さずに穏便に過ごす事を望んでいらっしゃいますわ」

 

聖蘭さんが言うと、古城さんが呆れ返る。

 

「だ、ダメじゃこやつ…正気じゃないわい!」

 

聖蘭さんの提案に、皆がざわつく。

するとその時だった。

 

 

 

「ふざけるでない!!」

 

声を荒げたのは、闇内君だった。

 

「…はい?」

 

「拙者が…っ、拙者達がどのような思いで脱出の手がかりを探しておったのか…!!それを知らずして勝手な事を申すな!!拙者はたとえ一人でもここから出る所存!!」

 

「…そうですか。それは残念ですわ。別に私は、私の考えを強制はしません。ですが神は、あなたの事は救ってはくださらないでしょうね」

 

「何が神でござるか!!脱出を助けてくれぬ神など、拙者は信じぬぞ!!」

 

聖蘭さんと闇内君は、言い争いを始めた。

すると、他の皆も言い争いに便乗し始める。

 

「ワシはこやつに賛成じゃあ!!いつまでも野菜を食う生活を続けてられるかァ!!」

 

「こんなところにいつまでもいられるか」

 

「そうですか!?私は機械ちゃんがあれば快適に過ごせますけどね!」

 

「俺もここから出たくないわけではないが…争いが起こるくらいなら……」

 

「うーん、それもそっか…別に食うのには困らねえしな!」

 

「ボクは皆の事知れれば何でもいいよー」

 

「俺もできる限り脱出方法を探してみるが、そこまで急ぎではないな」

 

『アテクシは…皆様の脱出をサポートする為に生み出されマシた。しかし、このままではここから出る事を急ぐ事による損失の方が大きい事も事実デス。この案件はアテクシ一人のスペックでは決めかねるので、アテクシを生み出したちちの判断に委ねマス』

 

皆は、思い思いに自分の意見を言った。

皆の意見は、三つに分かれてしまった。

すぐにでも脱出方法を探す派が古城さん、ネロ、闇内君。

ここで気長に暮らす派が聖蘭さん、館井君、目野さん。

脱出方法を探しはするが急ぎではない中立派が秋山君、加賀君、マナ、食峰君、知崎君、リカ。

 

「緋色ちゃん!緋色ちゃんはどう思う!?」

 

「私は…やっぱり、ここから出たい。でも、聖蘭さんの気持ちも尊重したいの」

 

私は、聖蘭さんの言葉を聞くまでは、ずっとここから出る事に必死だった。

ここに閉じ込めた犯人を捕まえる為にも、小鳥遊さんの仇を討つ為にも、ここから出なきゃいけなかった。

でも聖蘭さんの言葉を聞いた後なら、何故彼女がかつての自分の意見を曲げてまでこんな事を言ったのか理解できた。

彼女は誰よりも相手の魂を大事にする人だから、それが最適解かどうかはさておき、一人でも多くの人が救われる道を探していたのだろう。

私だって、一人でも多くの人が傷つかずに済むならその方がいい。

実際、本当に外に出る事が犠牲を最小限にできる判断なのかどうかはわからないままだし。

私は結局、どうしたら良いのかをその場で決めかねてしまった。

 

殺人鬼と裏切り者の存在の発覚、モノクマとモノDJの動機発表、皆の意見の二極化…

これからどうすればいいの…?

 

 

 


 

 

 

『モノクマ&モノDJ劇場』

 

 

 

『コラーーーーー!!ブラザー!!冷蔵庫のプリン、勝手に食べたでしょ!!』

 

『ギャハハハ、バカ言っちゃいけねえよブラザー!!名前書いておかなかったテメェがワリーんだぜ!?』

 

『ムッキー!!』

 

『ああ、そうそう。リスナー諸君。食い物の恨みが原因で歴史が動いた事があるっつーのは知ってたか?1905年、帝国ロシア軍の『ポチョムキン号』で、水兵達による反乱が起こってんだ。当時の水兵達にとっては食う事が数少ない楽しみだったんだが、食事のボルシチにウジが入ってたんだ。それを船長や軍医が無理矢理食わせようとしたもんだから、水兵達は大激怒!そのまま反乱を起こして戦艦を占拠しちまったんだ!この事件自体は水兵達が降伏した事で幕を閉じたんだが、この事件はロシア革命を起こしたキッカケになったんだぜ!いやぁー、食い物の恨みは怖えよなぁ。リスナー諸君は、くれぐれも食い物で恨まれるような事はすんなよな!』

 

『待てクマーーーーー!!』

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の???】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の美食家】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

【超高校級のAI】リカ 

 

残り13名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

以上4名

 

 

 

 

 

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
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