ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

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絶望のお時間です



※トリックに不備があったので変更しました。


(非)日常編⑤

十四日目。

この日の朝食当番だった私は、早朝に目を覚ました。

部屋に持ち込んでいたミネラルウォーターを使って身支度をし、急いで厨房に向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

食堂に行くと、食峰君とリカが朝早くから朝食を作ってくれていた。

私は、朝食を作っている二人に挨拶をした。

 

「おはよう」

 

「おはよう緋色!!」

 

『おはようございマス!』

 

私が挨拶をすると、二人とも挨拶を返してくれた。

さて…と。

私も朝食作りを始めないとね。

今日のメニューは、

 

和食セットがおにぎり、豆腐の照り焼き、ワカメと白菜の柚子和え、お麩とほうれん草のお吸い物、長芋のネギ味噌煮。

洋食セットがアボカドトースト、豆腐のオムレツ、からし菜のナッツ和え、ミネストローネ、豆乳ヨーグルト。

 

私は、リカと一緒に洋食セットを作った。

4人で朝食を作っていると、秋山君、聖蘭さん、館井君、闇内君が来て食堂の掃除とテーブルセッティングをしてくれた。

時間通りに他の5人が食堂に顔を出し、無事全員が食堂に揃った。

全員が揃うと全員で朝食を食べ、その後は各自自由探索をした。

私は、昨日の探索で貯まったメダルで早速買い物をしに行った。

 

 

 

ーーー 購買部 ーーー

 

購買部で日用品などを買い揃えた後は、余ったメダルでモノモノマシーンを引いてみた。

出てきたのは、キノコ栽培キットだった。

うーん…正直要らないわね。

誰かにあげようかしら?

私は、キノコ栽培キットの扱いに困りつつ、探索を続ける事にした。

 

 

 

ーーー 家庭科室 ーーー

 

私はまず、家庭科室の被服教室から調べてみる事にした。

被服教室には、ミシンや裁縫セット、手編みセット、布などが置いてあった。

壁には被服に関する本が並んだ本棚や、先輩方が作ったと思われる着物が飾ってあった。

 

家庭準備室は倉庫のようになっており、被服や調理で使う資材が置いてあった。

大きな冷蔵庫や機織り機などが置いてある。

ダンボールには、全身をスッポリと覆うエプロンと帽子、長靴が置いてあった。

これは何かを捌く時に使うものかしら…?

ここで調べられる事は特には無さそうね。

 

調理教室には、包丁やフライパンなどの調理器具、食器などが置いてあった。

壁には食事に関する本が並んだ本棚が置かれている。

調理教室には先客がいた。

本棚から何冊か本を取ろうとしている食峰君だ。

 

「あら、食峰君。何してるの?」

 

「おう、緋色!いや、ここにある料理の本を研究室に持って行こうと思ってな」

 

さすが食峰君、食事に関しては勉強熱心ね。

そうだ、食峰君なら、このキノコ栽培キットあげたら喜ぶんじゃないかしら?

 

「食峰君」

 

「ん?どした?」

 

「あなたにプレゼントしたいものがあるのだけれど、いいかしら?」

 

私は、モノモノマシーンで手に入れたキノコ栽培キットを食峰君にプレゼントした。

すると食峰君は、ものすごい勢いで食いついてくる。

 

「えっ、これどこにあったんだ!?」

 

「モノモノマシーンで手に入れたのよ。あなたなら喜ぶんじゃないかと思って」

 

「マジかぁ!ありがとな、緋色!食事のレパートリーが増えるぜ!」

 

レパートリーが増えるって言われても…

キノコが生えてくるまでどれくらいかかるのかしら。

でもどうやら喜んでくれたみたいね。

私は、自由時間を食峰君と過ごす事にした。

家庭科室の調理教室の調理台を挟んで、向かい合わせに座って一緒に話をした。

 

「食峰君はどうして美食家になったのかしら?」

 

「ウチは実家がラーメン屋でよ。オレの親父もジイちゃんも、代々そのラーメン店を継いでたんだ。オレは親父とお袋が作ってくれる料理が好きでさ。そのせいかオレも小さい頃から料理に興味があったんだよな」

 

なるほどね…

食峰君の料理への情熱は、両親譲りだったのね。

 

「けど、これでも一回潰れかけたんだぜ?」

 

「え?」

 

潰れかけたって…食峰君が認める料理人のご両親が経営していたお店よね?

どういう事かしら?

 

「ウチは地元でこぢんまりとやってる店だったんだけどよ。突然ウチの店に当時有名だったタレントがプライベートで店に来たんだよ。そいつはグルメタレントを自称してたんだけど、食の事を何も知らないどころか最低限のマナーも知らねえような奴でよ。人気タレントだからって調子に乗って他のお客にも迷惑かけて、あろう事かお袋にもちょっかいかけてきたから、流石に親父もブチ切れて店からそいつを追い出したんだよ。そしたらそいつは何をしてきたと思う?」

 

「ええっと…腹いせに持ち前の人気を振り翳して営業妨害をした、とか?」

 

「ああ、そうだよ。そいつはSNSでオレの店の根も葉もないデマを書き込んで世界中に発信しやがったんだ。それだけじゃなくて、サクラを大勢雇って口コミサイトで低評価爆撃を仕掛けたり、そいつの知り合いが嫌がらせの為に店に上がり込んで営業妨害してきたりしてよ。お陰で売り上げはガタ落ち、ウチは大赤字を抱えちまったんだ。あの頃はお袋なんて毎日泣いてたよ」

 

酷い話ね…

一人の馬鹿のせいで真面目に働いていた人達が泣きを見るなんて。

訴訟を起こしたくても相手は芸能人だから人脈をフルに使って揉み消したでしょうし、そもそも店が赤字で弁護士を雇うお金も無かったから、泣き寝入りするしかなかったのでしょうね。

 

「そんでオレが何とかしてやらなきゃって思って、料理の勉強に打ち込んだんだ。店を助けられるレシピを研究し続けて、やっと完成したレシピで作ったラーメンを親父とお袋に食わせてやったら、けっこう出来が良かったらしくてよ。これを看板メニューにしようって言ってくれたんだよ。そしたら常連さんがそのラーメンをすげぇ気に入ってくれて、宣伝に協力してくれたんだ。そのおかげで店の売り上げはあっという間に回復して、今じゃ地元で一番有名なラーメン店に成長したんだぜ。昔営業妨害してきたタレントも悪事がバレて捕まって、金も損害の分だけ戻ってきたんだ」

 

そうだったのね…

初めは店を助ける為に始めた料理で多くの人を幸せにできて、それがいつの間にか趣味になっていったのね。

食峰君も、自分の才能が家族の助けになってさぞ嬉しかったでしょうね。

 

「なるほどね。話してくれてありがとう。ちなみに食峰君はどんな料理が得意なのかしら?」

 

「やっぱ一番はラーメンだな!寿司とかコロッケ、最近はパテアンクルートにもチャレンジしてるぜ!あとスイーツだと三不粘だな!」

 

お、おぉう…

そうなんじゃないかとは思ったけどやっぱりものすごくハイレベルね。

私も見習わないとって軽々しく言える感じじゃないわ。

でもどうやら食峰君と仲良くなれたみたい。

 

《食峰満との好感度が1アップしました》

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

私は、食峰君と一緒に昼食を作りに厨房へ向かった。

今日の昼食の担当は、私と食峰君、リカの三人で、献立は、大豆カレー、野菜の素揚げ、インゲンのサラダ、福神漬けだ。

厨房で昼食を作っていると他の皆がテーブルセッティングをしてくれて、今回の昼食会も全員無事に参加できた。

昼食後のミーティングには、聖蘭さんは参加せず、他のここで暮らす派の人達も席を立ってしまった。

今はリカが調べてくれているUSBしか手掛かりが無い以上、地道に探索を続けていくしかない。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

結局、午後の探索の時も何も見つからなかった。

仕方なく、いつも通りの時間に夕食をとる事にした。

今日の夕食の担当は、秋山君と食峰君、リカの三人で、献立は、食峰君の作った玄米と豆腐ハンバーグ、秋山君の作ったハッシュドポテトにコンソメ風野菜スープ、リカの作ったトマトと豆乳チーズのサラダにサクランボの寒天ゼリー。

聖蘭さんと目野さんを除いた11人で夕食のミーティングをしていると、マナが提案をした。

 

「うちから提案があるっちゃけど、今から皆でプレイルームに遊びに行きませんか!」

 

私は、マナの提案に少し目を丸くした。

この状況でそんな事を言い出すとは思わなかったからだ。

 

「うち、皆がバラバラんままだと良うなかて思うっちゃん!たまには皆でリフレッシュしようや!」

 

「うん、いいんじゃないかな」

 

「わーい、ボク遊ぶの大好きー!」

 

「飯ならオレが用意するぜ!」

 

「俺は別に構わないが」

 

『皆サンの事をよく知れる良い機会デス!』

 

「そうね。そういう事なら私も参加しようかしら」

 

マナの提案に、秋山君、知崎君、食峰君、加賀君、リカが賛成した。

私も、マナの提案に賛成した。

すると、闇内君が席から立ち上がる。

 

「空気を読まぬようですまぬが、脱出の手掛かりが無いようならお断りでござる」

 

「ワシもじゃあ!!こんな野菜生活から一刻も早く抜け出したいんじゃ!!毎日毎日野菜が夢にまで出てきてもう限界じゃあ!!悠長に遊んでられるかぁ!!」

 

「くだらねぇな」

 

「俺も…すまん。正直、誰かが何か企んでいるんじゃないかって不安なんだ」

 

結局、すぐにでも脱出方法を探す派の闇内君、古城さん、ネロ、そしてずっとここで暮らす派の館井君は、食堂を去ってしまった。

もう二人のここでずっと暮らす派の聖蘭さんと目野さんは、話し合いにすら参加してくれなかった。

結局本来のターゲットだった6人は来てくれなかったので、加賀君が顎に手を当てながら言った。

 

「……意味無かったな」

 

「仕方ない、残りのメンバーでやるしかないよね」

 

 

 

ーーー プレイルーム ーーー

 

プレイルームでは、夜時間が来るまで各自自由に遊んだ。

私と食峰君は、射撃場で狙撃の練習をしていた。

食峰君は、エアガンの弾を見事的の中心に命中させた。

 

「食峰君いい筋してるわね」

 

「オレ、一応猟銃免許持ってっからな!」

 

私が拍手を送ると、食峰君はニカっと笑ってサムズアップをした。

一方で、マナと秋山君はカラオケボックスで歌っていた。

 

「うわ!秋山くん歌うまっ!」

 

「一応得意分野だからね」

 

後からマナに聞いた話だと、秋山君は見事な歌唱力で次々と90点台を叩き出したらしい。

一方で、加賀君、知崎君、リカの三人はボウリング場で遊んでいた。

 

『お見事デス、ちち!』

 

「まあ普段からたまに一人でスポーツを嗜んではいるからな」

 

「きゃはは、久遠おにいぼっちかよ!ウケる!」

 

「勘違いするな。友人を作る必要が無いから作らないだけだ」

 

「それをぼっちっていうんでしょ!知ってた?」

 

加賀君が意外にもボウリングでストライクを連発したらしく、知崎君とリカが盛り上がっていた。

夜時間の30分前、私達はプレイルームでのゲーム大会をお開きにして部屋に戻る支度をした。

私は、食峰君と一緒に部屋に戻っていった。

 

「やー楽しかったな」

 

「そうね」

 

「マリアみたいな事言うわけじゃねえけど、案外ここでの暮らしも悪くねえかもな」

 

「…でも、やっぱり動物性のものが食べられないのはちょっと窮屈よね。ハムサンドとロイヤルミルクティーが恋しいわ」

 

私がポツリと愚痴をこぼすと、食峰君が私の顔を見てくる。

…しまった。

つい、愚痴をこぼしてしまった。

私がこんな事で愚痴ってるんじゃ、皆に示しがつかないわよね。

 

「あ、ごめんなさい。つい愚痴っちゃった」

 

「ああいや、確かにって思ってよ。やっぱ動物性のもの全部ダメってなると、作るメニューも限られてくるんだよな。別にだからって皆の中の誰かを殺そうとは思わねえけど」

 

食峰君も今の生活に多少はストレスを感じていたのね。

このままだと、知崎君か古城さんが今の食生活に耐えかねて変な気を起こすって事も考えられなくはないのよね。

どうしたものか…

 

「うーん…何か皆が飽きないような献立でも作れるといいんだけどね」

 

私がポツリと呟くと、食峰君がいきなり私の肩を掴んでくる。

えっ、急に何?

 

「それだよ、緋色!」

 

「え?」

 

「いやさ、簡単な話なんだよ!蓮やいろはも喜ぶような飯を作ってやれれば、皆ストレス無く過ごせんだろ?」

 

「…ええ、それはそうなんだけど…その方法がわからないから今困ってるんじゃない?」

 

「大丈夫、オレに任せとけ!オレにいい考えがあるんだ!!」

 

食峰君は、ニカっと笑顔を浮かべながら胸を叩いた。

食峰君にいい考えがあるっていうなら、それは喜ばしい事だけど…

…一体どんなプランを考えてるのかしら?

 

「明日の晩飯は楽しみにしてろよ!?とびっきり美味い飯振る舞ってやるからよ!」

 

「…ええ。それは楽しみね」

 

とびっきり美味い飯、か。

食峰君がそう言うなら、きっと今までの人生で一番の食事を振る舞ってくれるのでしょうね。

私がそんな事を考えていると、食峰君は口の前で指を立てて話しかけてきた。

 

「あっ、この事は皆には内緒にしといてくんねえか?」

 

「どうして?」

 

「ホラ、サプライズだよ!とびきり美味い飯作るんだから、皆をビックリさせたいだろ?」

 

サプライズ…か。

食峰君も粋な計らいをするのね。

そういう事なら、彼の考えに乗ってあげなきゃ野暮ってものよね。

 

「……んん、そういう事ならわかったわ。内緒ね」

 

「ありがとな!!緋色!!」

 

私が頬を掻きながら言うと、食峰君はいきなり抱きついてきた。

すごいナチュラルにスキンシップしてくるわね…

この子、何というか…やっぱりちょっと天然入ってない?

 

私は、明日の昼に食峰君がサプライズをするのを内緒にしておく約束をして、部屋に戻っていった。

…もう大浴場に行ってる時間は無いわね。

仕方ない、たまには部屋のシャワーで済ませるか。

私は、夜時間が来る前に部屋のシャワールームでシャワーを浴びて、高級感のあるキングサイズのベッドに横になった。

 

 

 


 

 

 

『モノクマ&モノDJ劇場』

 

 

 

『うぷぷぷ、いやぁー漫画肉はいいですなぁ。ほっぺたがとろけるようなジューシーな味わい…鉄串を食べているような鉄臭い風味…』

 

『ヘェイバッドボーイ!!なァにやってんだ!?動物がかわいそうだろォが!!魚食え魚!!日本男児ダロォ!?』

 

『ちぇー、しょうがないなぁ。いやぁーシャケはいいですなぁ。野生の頃を思い出しますわ〜』

 

『なァにやってんだテメェーーー!!シャケがかわいそうだろォが!!草食え草!!』

 

『うっわー、面倒くさ。ちぇー、じゃあ笹を食べますよ笹を。いやぁー笹はいいですなぁ。動物園のアイドルだった頃を思い出すよ』

 

『なァにやってんだテメェーーー!!笹がかわいそうだろォが!!霞でも食ってろ!!』

 

『うるさいなぁ、わかったよ。じゃあ霞を…』

 

『なァにやってんだテメェーーー!!霞がかわいそうだろォが!!何も食うな!!』

 

『うぷぷぷ…オマエラ、食物連鎖って知ってるよね?生き物は皆、他の生き物を殺す事で生き延びてるんだよ。それが嫌なら、のたれ死ぬか他の誰かに食われるかしかないんだよ。自分が狼に喰われる羊にならない為にはどうしたらいいか、簡単だよね?自分が狼になればいいんだよ』

 

 

 


 

 

 

十五日目。

いつも通りの時間に起きて朝の支度を終えると、あのモノDJの喧しいアナウンスが鳴り響いた。

 

『ヘェイグッッモォォォニン!!ゴミクズ共ォォォ!!!朝の7時をお知らせするぜイェア!!!今日も張り切ってけェ!!!』

 

全く、毎度毎度うるさいわね。

私は、モノDJの放送にウンザリしつつ、朝食の手伝いをしに食堂へ向かった。

 

 

 

ーーー 食堂 ーーー

 

私が食堂に行くと、食峰君、秋山君、館井君、リカの4人が朝食を作っていた。

私は、4人が朝食を作ってくれている間に食堂の掃除とテーブルセッティングを済ませた。

しばらく5人で準備をしていると、古城さんと目野さんを除いた6人が食堂に顔を出した。

古城さんはほとんど野菜しか食べられない食事に嫌気が差したらしく、部屋にお菓子を持ち込んでそれで朝食を済ませてしまい、目野さんも機械の整備で忙しいからと朝食会に参加しなかった。

その二人はともかく、一番心配なのは闇内君だ。

 

「おはよう、闇内君」

 

「…む、良い朝でござるな。腐和嬢」

 

闇内君は、少し元気が無い様子で返事をした。

目の下には濃い隈ができていて、一日や二日寝てないなんてレベルじゃない。

 

「大丈夫?顔色悪いわよ?」

 

「フフフ、お主のような綺麗な女子に心配してもらって、拙者は光栄でござるよ」

 

私が尋ねると、闇内君は元気無く笑いながら言った。

どう考えても笑い事じゃない。

 

「…あなた、まさかとは思うけど、ここ数日ずっと徹夜で脱出の手掛かりを探してたんじゃないでしょうね?」

 

私が尋ねると、闇内君は黙り込んだ。

これは図星ね。

 

「…やっぱり。そんな事だろうと思ったわ。必死に脱出の手掛かりを探してくれてるのはありがたいけど、そんなに身を削って脱出する前に身体壊したら元も子もないわよ。とりあえず、これ食べてよく寝て本調子に戻しなさい」

 

「かたじけない…」

 

私は、闇内君を叱りながらテーブルの上に朝食を置いた。

すると聖蘭さんが笑顔を浮かべながら闇内君に話しかける。

 

「あら。夜時間中は出歩いてはいけない規則ではありませんでした?」

 

「そんなルール、校則には無いでござるよ。いつどこを探そうと拙者の自由でござろう?」

 

「不埒な…いつか天罰が下りますわよ」

 

聖蘭さんが闇内君を軽蔑し、食堂内に険悪な空気が流れた。

するとその時、料理を運んでいたマナが二人を注意した。

 

「ほらそこ!喧嘩しとらんで、ご飯配るん手伝いんしゃい!」

 

マナがテーブルに皆の分の朝食を置こうとした、その時だった。

マナは、自分の足に躓いてバランスを崩してしまった。

 

「えっ、ちょっと待…おわあ!?」

 

自分の足に躓いて転んだマナは、そのまま仰向けに床に倒れ込んだ。

ギリギリ運んでいた料理はひっくり返さずに済んだけど、どうやったらそうなるのかわからないくらい芸術的な転び方をしたせいで色々と際どい事になっていた。

 

「せ、セーフ…」

 

「全然セーフじゃないわよ」

 

ギリギリで料理をキャッチしたマナが苦笑いを浮かべていたので、思わずツッコミを入れた。

すると、知崎君がマナに助け舟を出してくる。

 

「わぁ、エロエロ大変な事になってるねえ!マナちゃん大丈夫?」

 

「ああ、うん…ありがと…」

 

知崎君は、マナに手を貸して立たせた。

マナを助けた知崎君は、そのまま闇内君のところへ歩いていく。

 

「忍おにい!最近お疲れなんだって?これ蒸しタオルの代わりに目に当てとくといいよ」

 

「む?」

 

知崎君は、闇内君に丸めた布を手渡した。

それは、マナがさっきまで穿いていたショーツだった。

 

「こ、これは…」

 

「あっ!それうちの!いつの間に…返してよ闇内くん!」

 

「むむ、聲伽嬢の私物でござったか。ならば今すぐ返…と見せかけて、忍法分身の術!!」

 

「うわあ!?」

 

闇内君は、いきなり目の前で分裂すると、分身に紛れてマナから逃げた。

マナが後ろを振り向くと、闇内君がマナのショーツを片手に決めポーズを取った。

 

「くっくっく、甘いでござるよ聲伽嬢。せっかく手に入れたお宝をそう簡単に返すわけにはゆかぬ。返してほしければ力ずくで奪い返してみよ」

 

「んにゃろっ…待てー!!」

 

「そら煙玉ァ!!」

 

「うわっ!?」

 

マナが闇内君を追いかけると、闇内君は煙玉を床に投げつけ、煙に紛れて逃げた。

そこからは、闇内君から下着を奪い返そうとするマナと忍術を悪用してマナにセクハラする闇内君、そしてどさくさに紛れてイタズラを仕掛ける知崎君の激しい攻防が繰り広げられた。

闇内君、徹夜の反動でいつにも増して大暴れしてるわね。

 

「な、何も見えん…」

 

「隙ありィ!!」

 

「ひゃあ!?」

 

「ふむ…Dか。揉み心地は悪くないでござるよ。尻も中々にいい肉付きでござるな」

 

「んのっ…!やった、獲った!」

 

「残念、それは拙者のふんどしでござる」

 

「んもぉ!!」

 

「にゃはは、時速60kmで走る車の窓から手を出したらおっぱいの感触と同じなんだって。知ってた?」

 

「へー、そうなんやね…って、どこ触っとーと!」

 

「はい忍おにいこれ落とし物」

 

「むっ、またお宝ゲットでござる」

 

「ブラまで盗るなぁ〜!」

 

…ホントうるさいわね。

食堂でそんなに暴れたら埃が立つじゃないの。

っていうかそれ以前に、食堂で煙玉なんて使わないで欲しいのだけれど?

 

「うるせぇなクソガキ共…」

 

「時間の浪費も甚だしい」

 

ネロと加賀君は、呆れた様子で傍観していた。

流石に私も我慢の限界なので、止めに入る事にした。

私は、それなりによく通る声で騒いでいる三人に言った。

 

「やめなさい」

 

私が言うと、騒いでいた三人はピタリと手を止める。

私は、椅子に座ってテーブルの上で指を組むと、淡々とした口調で言った。

 

「…ねえ。少しは静かにできないのかしら?あなた達、もう高校生なんだから食堂で暴れたらダメって事ぐらいわかるわよね?」

 

「「…はい」」

 

「よろしい。さ、早く朝ご飯並べちゃいましょ」

 

私がそう言ったその時、厨房から秋山君が手を拭きながら出てくる。

 

「ねえ。これは一体何の騒ぎ?」

 

秋山君は、食堂の荒れ方を見て一瞬で何があったのかを判断し、知崎君と闇内君に笑顔で声をかける。

秋山君は笑顔を浮かべてはいたものの、目が完全に笑っていなかった。

 

「知崎君、闇内君。後で話があるんだけど、いいよね?」

 

秋山君が笑顔を浮かべながら言うと、二人とも黙ったまま頷く。

するとその時、聖蘭さんが軽蔑の表情を浮かべながら席から立ち上がる。

 

「本当に、不潔極まりないですわ。もういいです。あなた方がここまで罪深い方々だとは思いませんでしたわ。帰ります」

 

「聖蘭ちゃん!?どこ行くと!?」

 

「決まっているではありませんか。研究室の礼拝堂ですわ。今も外の世界では、大勢の方々が救いを求めていらっしゃるのです。彼らの分まで私が主に祈りを捧げなくては」

 

「ご飯は?食べんと?」

 

「要りませんわ。誰かさんのせいで食欲が失せましたから。ではこれで失礼させていただきますわ」

 

そう言って聖蘭さんは、朝食も食べずに研究室へ向かってしまった。

流石に三人も朝食を食べないとなるとちょっと心配ね…

 

結局、この日は残った9人とリカが朝食会に参加した。

私が選んだ和食セットは、ご飯、油揚げの味噌汁、豆腐の卵焼き風、青梗菜とキノコの煮物、きんぴらごぼう、白菜の漬物だった。

私が朝食を食べていると、隣に座っていたマナが私に話しかけてくる。

 

「何か今日食峰君ばり張り切っとーね!」

 

「…そうね」

 

「緋色ちゃん何か知らん?」

 

どうして私に振るのよ…

…もしかして、私が昨日食峰君と話してるのを聞いてた?

いや、まさかね。

 

「知らないわ」

 

私は、食峰君のサプライズの為にシラを切った。

すると食峰君が席から立ち上がる。

 

「んじゃ、オレ飯の準備してっから」

 

「俺は研究室で研究をしてくる」

 

「…俺は技術室に行ってくる」

 

「ボクプレイルームで遊んでくるー!」

 

「待ちなさい知崎君。あなたには話があるわ」

 

知崎君がプレイルームで遊びに行こうとしていたので、私が止めた。

私は、秋山君と一緒に知崎君と闇内君に説教をした。

二人への説教が終わると、私は二人を解放した。

私も探索に向かおうとしていると、ネロが私に話しかけてくる。

 

「おい。ちょっと来い」

 

「?」

 

ネロは、いきなり私をプレイルームの射撃場に連れてきた。

射撃場をよく見てみると、私はすぐに違和感に気がついた。

私が違和感に気づくと同時に、ネロが銃の置いてあった場所を指す。

 

「見ろ。銃が減ってる」

 

よく見てみると、ライフルが一丁減っていた。

いつの間に…

 

「本当だ…誰かが持ち出したのかしら」

 

「そうだとするとまずいぞ。誰かが殺人を企ててるのかもな」

 

「………」

 

ネロが言うと、私は顎に手を当てて考え込んだ。

誰かが殺人を企ててる…?

この状況で殺人を企てる人がいるとしたら…

…いえ、考えすぎよね。

 

それから3時間、私はネロと一緒に寄宿舎を探索した。

…やっぱり古城さんが心配ね。

 

「ねえ、やっぱり古城さんの部屋に行ってきてもいい?すぐ戻るから」

 

「好きにしな」

 

私は、古城さんの安否確認をしに彼女の個室へ向かった。

古城さんの部屋のインターホンを鳴らし、声をかける。

 

「古城さん。今少し…」

 

『じゃかぁしいわァ!!ワシは今研究で忙しいんじゃ!!立ち去れい!!』

 

古城さんは、インターホン越しに怒声を浴びせてきた。

殺人を企てている様子は無いようだけど…相当追い詰められてるようね。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

それからしばらく寄宿舎を探索していたけれど、銃がなくなってた事以外は特にこれといった発見は無かった。

そろそろお昼の時間だし、食堂に行こうかしらね。

私達は、食堂に行く為エレベーターで1階に降りた。

1階に行くと、ラウンジにマナと知崎君がいた。

二人は、軽食を食べながらラウンジのテレビを見ているようだった。

 

「あれ?緋色ちゃん、今回はネロくんと一緒に探索?珍しかね!」

 

「緋色ちゃんもこれ食べるー?」

 

そう言って知崎君が渡してきたのは、コンソメ味のポテトチップスとビーフジャーキーだった。

よく見ると、マナも明太子のおにぎりを食べている。

二人が食べていた軽食は、どれも動物性食品が含まれた食べ物だった。

 

「…ねえ、それどうしたの?」

 

「購買部に売っとったっちゃん!やっぱり久々に食べる明太子はばりうまかね!」

 

「………!!」

 

マナは、満面の笑みを浮かべながら言った。

まさか……

 

「ねえ、それいつ買ったの!?」

 

「んー、20分くらい前?お腹空いたから何か買おうと思って購買部行ったら売ってたんだー」

 

知崎君がケラケラ笑いながら言い、私は咄嗟に手帳で時間を確認した。

20分前って…ちょうど私達がランドリーを調べてた時間帯じゃない!!

その間に殺人が起こったって事!?

 

「このバカガキ共…!」

 

「どうしてそれを早く言わないのよ!!それが売ってるって事は、殺人が起こったって事じゃない!!」

 

「えっ、嘘!?ご、ごめん…」

 

「とにかく、すぐに皆の安否確認、それから安否が確認できない人を探しに行かなきゃ!」

 

私は、すぐに他の皆にラウンジに集まるよう招集をかけた。

来てくれたのは、古城さん、聖蘭さん、目野さん、闇内君以外の5人だった。

とりあえず、私と食峰君と知崎君、秋山君とマナとネロ、加賀君と館井君とリカの三つの班に分かれて捜索を始めた。

 

「古城さーん!!聖蘭さーん!!」

 

「美香子ぉおおお!!いたら返事をしろぉおおお!!」

 

「忍おにい!!今すぐ出てこないとガチャで引き当てた美少女フィギュア粉々にすんぞ!!」

 

私達は寄宿舎を探したけど、誰も出てくる気配は無かった。

殺人が起きたって事は、今ここにはいない4人のうちの誰かが殺されたって事よね…?

 

「いないわね…」

 

「校舎の方探してみようぜ!」

 

「そうね」

 

私達は、校舎を探してみる事にした。

1階と2階には4人はおらず、3階を捜索する事となった。

 

「指導室見てみようぜ!」

 

そう言って食峰君は、先に指導室を調べた。

私と知崎君も一緒に指導室に入って調べる。

…ここには誰もいないみたいね。

するとその時だった。

 

「くんくん…ねえ満おにい、緋色ちゃん!こっちから血の匂いがするよ!何でだろうねぇ?知ってた?」

 

そう言って知崎君は、廊下の方を指差した。

知崎君は、私の腕を引っ張って廊下に出ると、犬のように床に這いつくばって匂いを嗅いだ。

 

「あのねぇ、どんなにキレイに拭いても血の匂いは残るんだよ!知ってた?」

 

そう言って知崎君は、まるで警察犬のように血の匂いを辿った。

すると知崎君の触角がピンと立ち、知崎君は家庭科室を指差した。

 

「こっちー」

 

「行きましょう、食峰君」

 

「んあ、ああ…」

 

私は、食峰君を連れて知崎君と一緒に家庭科室に向かった。

家庭科室のドアを開けた、その瞬間だった。

信じられない光景が目に飛び込んできた。

 

家庭科室の水道から伸びたホースから流れる大量の水が、無残にも服を全て剥ぎ取られ横たわっていたその人に降りかかっていた。

床に溜まった水は、血が混ざって僅かに赤く染まっていた。

床の水に混じった血と首に走った深い傷は、その人がもう息をしていない事を物語っていた。

 

「嘘…!」

 

 

 

まるで神のもとへ旅立ってしまったかのように、安らかな表情を浮かべながら、二度と醒める事のない眠りについたその人は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【超高校級の聖母】聖蘭マリアだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達が聖蘭さんの遺体を見た、その直後だった。

 

 

 

ダァアアアアン!!!

 

 

 

「「「!?」」」

 

突然、廊下の方から銃声が鳴り響いた。

そしてその直後。

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

『死体が発見されました!生徒の皆さんは、至急校舎3階の廊下にお集まり下さい!』

 

 

 

私達三人が聖蘭さんの死体を見たから、死体発見アナウンスが放送された。

すると知崎君が話しかけてくる。

 

「ねえねえ、今の銃声は何だったんだろうねー?」

 

「…私が確かめに行ってくるわ。悪いけど、二人はここで待っててくれる?」

 

私は、銃声の正体を確かめに行った。

廊下を見てみると、何やら秋山君達が指導室の廊下の前で立ち尽くしていた。

 

「どうしたの!?」

 

私は、何かあったのかと思い、マナに尋ねる。

するとマナは、顔を真っ青にして指導室を指差した。

 

「緋色ちゃん…あれ…」

 

そう言ってマナが指導室を指差した直後、信じがたい光景が目に飛び込んできた。

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

『死体が発見されました!生徒の皆さんは、至急校舎3階の廊下にお集まり下さい!』

 

 

 

死体発見アナウンスが流れるのを呆然と聞き流しながら、目の前の光景をただ呆然と見つめていた。

その人は、絶望に表情を染め、血まみれの姿で壁に磔にされていた。

どうして…

さっきまであんなに元気にはしゃいでいたのに…

 

 

 

どうしてあなたが…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【超高校級の忍者】闇内忍は、そこで息絶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の???】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の美食家】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級のAI】リカ 

 

残り11名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

以上6名

 

 

 

 

 




はい。
本作のお嬢様枠だった聖蘭ちゃんと憎めない変態キャラだった闇内クンが退場です。
闇内クンも割とTwitterでは人気キャラだったんですが、アテクシは容赦しません。
聖蘭ちゃんは多分クロ予想してる人が多かったんじゃないかなぁと。
はい、そういう予想をしていただけるようミスリードさせました。

今回、トリックが複雑な代わりに犯人はわかりやすいと思います。

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
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