ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
十八日目。
この日の朝食当番だった私は、早朝に目を覚ました。
部屋に持ち込んでいたミネラルウォーターを使って身支度をし、急いで厨房に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
食堂に行くと、リカが朝食を作ってくれていた。
『おはようございマス!腐和サン』
「おはよう。毎日早いのね」
リカが私に挨拶をしてくれたので、私も挨拶を返した。
…そういえば、ずっと気になっていたのだけれど、リカって私達が見てない間何してるんだろう。
そもそも睡眠とかいう概念はあるのかしら?
「…ところであなた、寝なくて大丈夫なの?」
『アテクシは、本体が熱暴走を起こさないよう0時から4時までの間スリープモードに入るのデス。そのスリープモードが、皆サンのいう睡眠に近いデスかね』
へえ……
AIにも睡眠は必要なのね。
初めて知ったわ。
私が料理をしながら話していると、マナが厨房に駆け込んでくる。
「ごめーん待った!?」
「いえ、全然待ってないわよ」
むしろリカが早すぎるだけだしね。
さて…と。
今日のメニューは、
和食セットがご飯、鯖の味噌煮、じゃがいもの味噌汁、切り干し大根の煮物、カブの漬物。
洋食セットがパニーニ、じゃがいものポタージュ、ズッキーニのソテー、コールスロー、ヨーグルト。
今日も栄養のある朝食を作って皆に元気を出してもらわないとね。
私達が三人で朝食を作っていると、秋山君と館井君が来てテーブルセッティングをしてくれた。
それから加賀君、古城さん、知崎君、目野さんの4人が食堂に来たけど、やっぱりネロは今日も来なかった。
どうしたものかしらね…
ーーー 化学室 ーーー
自由探索の時間、私は化学室を訪れた。
化学室からは、何やら何かをゴソゴソと物色している音が聞こえてくる。
「あら、目野さん」
「むむ!?その声は腐和サァンではありませんか!!」
「何をしているの?」
「ハッハァ!!実はですねぇ!!ここにあったベリィィィエレガンツッッッな機械ちゃん達を調べていたのです!!」
「そう……」
目野さんは相変わらず自由ね。
何だかこの学園生活を楽しんでいるようにも思える。
何というか…うん。
毎日楽しそうで羨ましいわ。
あ、そうだ。
昨日ゲットした零戦プラモデル、彼女にプレゼントしたら喜ぶんじゃないかしら?
「目野さん」
「ん!?何です腐和サァン!!」
「あなたにプレゼントしたいものがあるのだけれど、いいかしら?」
私は、モノモノマシーンで手に入れた零戦プラモデルを目野さんにプレゼントした。
すると目野さんは、目を輝かせながらものすごい勢いで食いついてくる。
鼻息も荒いし、ものすごい熱量ね…
「ふっ、腐和サァン!!それ、一体どこで手に入れたのですかァ!!?」
「購買部のモノモノマシーンよ。私はこういうのよくわからないし、目野さんにあげる」
「スゥハァ…ベリィィィィィイイイイイイワァアアアアアンダフォォオオオオオ!!!この洗練されたデザイン!!機能美!!重武装!!!やっぱり零戦ちゃんは戦闘機の頂点に相応しいですねえええええ!!!ありがとうございます腐和サァン!!家宝にさせていただきます!!」
うわ、ものすごくうるさい。
完全にトリップしちゃってるし…
うーん…
どうやらものすごく喜んでくれたって事で良さそうね。
私は、自由時間を目野さんと過ごす事にした。
化学室の机を挟んで、向かい合わせに座って一緒に話をした。
「目野さんはどうして機械技師になったの?」
「それはもう機械ちゃんが大好きだからですね!!ただの人間なんぞに興味はありませんが、機械ちゃんは常に私の知的好奇心を存分に満たしてくれますから!!私の家は町工場でしてね!!幼い頃から機械ちゃんと一緒に育って、両親の仕事を見てきたので、私と機会ちゃんはもはや一心同体なのです!!」
そんなに言うほどか……
目野さんにとって、機械の類は家族であり恋人なのね。
「幼い頃は、ウチでしか作れない部品が世界中の人々の生活を支えているというのが純粋に私の誇りでした。私も、両親と一緒に機械作りをするのが何よりの楽しみでした。私は、幼い頃から両親の仕事を見ながら機械ちゃんを作ったり修理したりしていたのですが、とても出来が良かったらしく、私を工房に立たせてくれました。私が機械部品の製造に関わるようになってから、ウチの工場の業績は鰻登りになったのです。私は、純粋に両親や皆の役に立てたのが嬉しかったです。でも私達の幸せは、長くは続きませんでした」
「え……?」
「私の才能に目をつけた大企業が、私達を買収しようとしてきたのです。徹底的に根回しされ、古くから縁があった工場からも全て買収されてしまい、資材の供給もストップされてしまったのです。おかげでウチは仕事がめっきりと減り、あっという間に倒産しました。そのせいで、一時期はまともに食べる物が無いくらい飢えに苦しんでいました。その時私は、いくら技術があろうと資材が無ければ意味がないのだと思い知りました。たとえ貧しさに苦しんでも私を命懸けで守ってくれた両親には、本当に感謝してもしきれませんでしたよ」
ひどい話ね……
人間、金に目が眩むと小さな子供を平気で飢え死にさせる程残酷になるのね。
目野さんも、良かれと思ってやった事が両親に苦しい思いをさせてしまう事になって、さぞつらかったでしょうね。
「その時学んだのは、やはり人間はクソという事です。私は、もう機械ちゃんの事しか愛さないと決めたのです。機械ちゃんは愚かなホモ・サピエンス共とは違って金に目が眩んで人を陥れたりしないし、私の問いかけに対して嘘偽りなく応えてくれますからね!」
なるほどね。
だから目野さんは、ここに来てからもすぐに知崎君の事を非難したり、ネロを拒絶したりしていたのか。
人間に裏切られた経験があるから、きっとまた裏切られるのが怖いのね。
「貧困で苦しんでいた時、奇跡が起こったのです。未来ヶ峰学園の方々が、私達を助けてくれたのです。未来ヶ峰学園は、才能ある未来の超高校級を保護する為の施設を全国に展開してましてね。そこでは食べる事に困らず、好きなだけ機械ちゃんの整備に没頭する事ができました。そこには私以外にも、将来超高校級になるであろう天才達が何人かおりましてですね。加賀さんもその一人だったのです」
そうだったのか…
それが加賀君との出会いだったのね。
噂で、未来ヶ峰学園には居場所を失った天才達を保護する為の施設があって、その施設から進学する人もいるって聞いた事あるけど、二人もそうだったのね。
「そうだったのね。加賀君とはどういう経緯で共同研究をするようになったのかしら?」
「向こうから専属の機械技師になってくれとスカウトを頂いたのです!私は加賀さん自身には興味ありませんが、彼の研究内容には興味があったので一緒に研究をする事にしたのですよ!あの人は、今までの愚かな人間とは違って純粋に私の作った機械ちゃんに好奇心を抱いてくれましたしね!」
なるほどね。
最初は変人同士化学反応を起こして波長が合っていたのかと思ってたけど…
目野さんと加賀君は、お互いを有能な研究仲間として尊敬していたからこそ、良好な関係を築けていたのね。
「話してくれてありがとう」
「いえいえ!それより、直してほしい機械ちゃんがあったらいつでも声をかけてくださいね!!」
うわ、熱量すごいわね…
でも目野さんと仲良くなれたみたい。
《目野美香子との好感度が1アップしました》
私は、目野さんと話していた後も、しばらく探索を続けていた。
するとその時だった。
『えー、オマエラ!今すぐゲームセンターに集合して下さい!』
突然、モノクマの放送が全館に鳴り響いた。
「ゲームセンター…?」
あいつらの召集だから、嫌な予感がするけど…
行かないとオシオキされるんだろうし、早く行かないと。
ーーー ゲームセンター ーーー
『ギャハハハ!!!HEYよく来たなゴミクズ共!!』
「いきなりこんな所に呼び出して何の用?」
いきなりゲームセンターに呼び出された秋山君は、少し苛立った様子で尋ねた。
まあこんな時にいきなり呼び出されたらね。
『グックエスチョン楽斗ボーイ!!テメェらにはこれからオレ達が作ったフルダイブ型の新感覚アクションゲームをやってもらうぜYEAH!!』
「そんな事してる暇無いんだけど…」
「ゲームですか!?私、ゲーム機ちゃんは大好きです!!」
「ボクもゲーム大好きー!」
『HAHAHA!!美香子ガールと蓮ボーイには気に入ってもらえたようで何よりだぜ!!テメェらには今から、転生ルームで異世界に行ってもらって、そこでゲームをしてもらうぜ!!』
「…全員強制か?」
『オフコース!これからはデジタルの時代だからね!前時代的なオマエラにも、最新技術に対応してもらわないと!』
そう言ってモノクマとモノDJは、転生ルームと呼ばれる部屋に私達を連れてきた。
黒一色の背景に水面を模したような床、そして一番特徴的なのが、環状に設置された機械のような椅子だった。
ご丁寧にヘッドセットまでついていて、中心には一昔前のファミコンが設置された機械が置いてあった。
『ではオマエラにはこれから自分の名前が書かれた椅子に座って異世界に転生してもらいます!あ、一人ずつしか入れないからジャンケンなり何なりして順番決めておいてよ?』
何なのよそのクソ仕様…
「仕方ないわね…」
私達は、ジャンケンで異世界に行く順番を決めた。
結果は、
1番目 私
2番目 リカ
3番目 秋山君
4番目 ネロ
5番目 加賀君
6番目 古城さん
7番目 知崎君
8番目 目野さん
9番目 館井君
10番目 マナ
の順に異世界に行く事になった。
「私が最初か…」
「わーいわーいラッキーセブン!」
「うげぇ…うち最後かぁ」
『HAHAHA、トップバッターはヒーローガールか!んじゃあこの椅子に座って、ヘッドセットをつけてくれよな!』
私は、自分の名前が書かれた椅子に座ってヘッドセットを装着した。
見るからに怪しいけど、やるしかないわよね。
『準備は万端ですね?じゃあ椅子にあるスイッチを押してくださーい!』
「スイッチ?これを押したらどうーーーーー…」
◇◇◇
「……………あれ?」
気がつくと、見覚えのない空間にいた。
さっきまでのような暗闇の中の水面に立っているような雰囲気だけれど、さっきまであった椅子が無いし、何かが違うような気がする。
「ここは……」
私がキョロキョロとあたりを見渡していた、その時だった。
『HAHAHA!!異世界へようこそ、プレイヤーガール!!』
…うわ、出た。
どこからか、神聖幾何学模様をモチーフとした謎の乗り物に乗ったモノDJが現れた。
『んん?テメェ、見ねえ顔だな。名前は?』
は?
今まで散々私達にコロシアイをさせてきたくせに、『見ない顔』って…
……あ、違うわこれ。
これはプレイヤーネームを登録するから名前を教えろって言ってるのね。
…ったく、何で名前の登録を自分でやらなきゃいけないのよ。
最初から登録しといてくれればいいのに、面倒臭いわね。
「腐和緋色よ」
『OK、『フワ ヒイロ』だな!?んじゃあヒーローガール!これからゲームのルール説明してくから、耳かっぽじってよぉく聞いとけよ!!』
いちいち口悪いわねこいつ。
『まず、この異世界では誰もが『グリモア』と呼ばれる魔導書を持ってるんだ。グリモアを持っていれば、誰でも魔法を使う事ができるんだぜ!テメェの持ってる電子生徒手帳を普段通り使ってみろ』
私は、モノDJに言われた通り電子生徒手帳を起動させた。
すると、ボンッと煙を上げながら魔法陣が描かれた本が出現した。
本を開いてみると、ページ全てにカードを収納できるような溝がある。
『ただ、そのグリモア単体じゃあ魔法を使う事はできねえんだ。そのグリモアには溝があるだろ?その溝はカードを入れる為のものなんだぜ!この異世界、『ホープアイランド』ではプレイヤーが触ったアイテムは、プレイヤー以外は何でもカードになるんだ。カード化したものは、カードに書かれた呪文を唱える事で元の形に復元する事ができるぜ!だが、一度復元したものはもう一度カードにする事はできねえから注意しろよな!それから、カード化したアイテムは1分以内にグリモアに納めねえとアイテムに戻っちまうからな!』
…ねえ、待って。
それって完全に某狩人漫画の某強欲島ゲームのパクリじゃない。
異世界の名前とかモロそれだし。
こいつ、こんなパクリゲーを恥ずかしげもなく人にやらせるなんて、顔の皮が広辞苑でできてるのかしら。
『ホープアイランドに隠された78枚の魔法のタロットを集める事!それがプレイヤーの目的だ!クリアしたらちょっとしたご褒美を用意してあるぜ!』
「それはわかったけど、ログアウトするにはどうしたらいいの?」
『ホープアイランド内に隠された脱出チケットを持ってここに戻ってくるだけでOKだぜ!』
だけって…
ログアウト一つで何でそんなに面倒くさい事しなきゃならないのよ。
「じゃあ脱出チケットを手に入れるまでは、ここから出られないって事ね。その間、元の世界にある私達の肉体はどうなるわけ?」
『HAHAHA!いい質問だなヒーローガール!ログインしている間は、ここでの事象は全部元の世界の肉体とリンクしてるんだぜ!つまり、この世界で食えるもんがありゃ元の世界の肉体が餓死する事は無えって事さ!それと、これが一番重要だが、この異世界での死は現実世界の死と同じ!ここで死ねば、現実世界で二度と目覚める事はねえぞ!それから、テメェらの中の誰かが死んだらゲームは中断、全員強制ログアウトされるぜYEAH!』
「なるほどね…あ、ちなみにログアウト後はそのプレイヤーはどうなるのかしら?」
『ログアウト後は、そのプレイヤーのアバターにはNPCとして残ってもらうぜ!NPCには死っつー概念が無えし、NPCの行動は現実世界の肉体に影響無えから安心しろよな!それからNPC化したキャラクターはカードにできねえし、会話のログも残らねえから注意しろよ!』
NPC…
プレイヤーが操作せずに、ゲームの雰囲気を出す為にいるキャラクターよね。
『オレからの説明は以上だぜYEAH!!何か他に質問はあるか!?』
「…いいえ、特には」
『んじゃあそこのドアを開けて『はじまりの草原』に行ってくれよな!』
そう言ってモノDJは、光る扉を指差した。
光る扉を潜ると、目の前には大草原が広がっていた。
…うん。
どこまでも某ゲームのパクリだ事。
ふと自分の身体を見ると、2頭身の可愛らしいフォルムになっていた。
何だかマスコットみたいね。
私がそんな事を思いながら地面を眺めていると、足元に石が落ちているのを見つける。
石を拾い上げた瞬間、石がカードになった。
…うわ、本当に何でもカードになるのね。
モロ某念能力ゲームじゃない。
…あ、ちゃんとグリモアを通して仲間同士の交信ができるようにはなってるのね。
連絡手段を一切断たれてしまうのが一番の懸念だったから、とりあえずすぐに使える連絡手段があるのは良かったわね。
私がゲームについての考察をしながら待機していると、リカが扉を潜ってきた。
『お待たせしマシた。腐和サン』
「いえ、そこまで待ってないわよ」
私は、リカと一緒に雑談をしながら皆が集まるのを待った。
体感時間で30分後、ようやく全員がログインしてきた。
トリのマナは、バタバタと慌ただしく扉から出てきた。
「ごめーん!」
「まあゲームがこういう仕様だから仕方ないよ」
「これからどうしよっか?」
「あ。それで思い出したんだけどさ。こういうRPGゲームやった事ないとか苦手って人いる?俺まあまあ得意だから一緒に攻略してあげられるけど」
秋山君が尋ねると、館井君、古城さん、マナが手を挙げた。
「……俺はやった事ない」
「ワシもじゃ!!最近のもんはようわからんからのう!!」
「あはは、やった事なかわけやなかだけどちょっと自信なかね〜」
三人が手を挙げると、秋山君は普段通りイケメンスマイルを浮かべながら三人をフォローした。
「全然恥ずかしい事じゃないよ。別にプレイヤー同士で競争とか無いみたいだし、地道に脱出チケット探そうか」
「えっ、クリアは目指さないのですか!?」
「当たり前だろ。一刻も早くここから出る事が先決だ。…まあ、その為には島中を探索せざるを得ないんだけどさ」
目野さんが目を丸くすると、秋山君は腕を組んで呆れ返った。
目野さん、完全に楽しもうとしてるわね…
それにしてもここ、本当に何もないくせに無駄にだだっ広いわね。
…あれ?
「ねえ、そういえば知崎君は?」
「あれ!?しゃっきまでうちん隣におったとに!!」
あの問題児、ちょっと目を離した隙に!
どこ行ったのよ全く!
「あいつなら先に行ったぞ」
「は!?」
加賀君は、そう言って左手の方角を指差した。
見ると、知崎君が遠く離れた草原でキャイキャイはしゃいでいた。
「きゃっほーーーーーい!!ハーレム作ってチートで無双して魔王とかバンバン倒しまくって毎日食って飲んで寝て量産型ラノベの主人公みたいな人生送ってやるぜえええええ!!」
あいつ、いつの間に…!
てか足速っ!?
【超高校級の陸上選手】!?
今まであんなに足速かった事なんてなかったのに…!
やっぱりあいつもう才能思い出してるじゃないの!
ふと右を見ると、加賀君が腕を組んだまま知崎君を顎で指してドヤ顔をしていた。
「な?」
「『な?』じゃないわよ!どうして教えてくれなかったの!?」
「教える義理が無い」
「な……」
ったく、どいつもこいつも自分勝手がすぎるわよ…!
仕方ない、追いかけるしかないか…
「とにかく追いかけるわよ。こんなクソゲーで死なれたりなんかしたら胸糞悪いわ」
「うん!」
私は、遠くなっていく知崎君の背中を追いかけた。
知崎君を追いかけて5分ほど走っていると、突然知崎君が立ち止まったのが見えた。
よく見ると、知崎君は何かの扉の前に立っていた。
「知崎君。あなた、何を勝手に先に行って…」
「………ねえ。これ何だと思う?」
私が知崎君に注意をしようとしたその時、知崎君は扉を指差した。
先程はじまりの草原に行く為に通った扉とはまた違う扉で、空中に扉が浮いている。
「あっ…何やろね」
「次の街に繋がる扉…だったりしないかな?」
「え?」
「いやぁ、ボクの素人考えなんだけどね。ゲームとかでこういう新しい扉を見つけたら、大体今まで行けなかった場所に行けるようになってるってパターンだったりするだろ?もしこれが別のところに行く為の扉なら、開けて見る価値はあるんじゃないのかな?」
知崎君は、さっきまでのハイテンションキャラとは打って変わって、今度は冷静沈着なキャラで自分の考察を語った。
すると、古城さんが片眉を上げながらツッコミを入れた。
「何じゃあ貴様。さっきからキャラが一貫してなくて気色悪いのぉ」
「ははっ、やだなぁ。ボクは知崎蓮だよ?」
知崎君は、冷静に笑いながら言った。
もう完全に盗んだ才能を使いこなしてるみたいね…
すると知崎君は、いきなりいつもの調子に戻って私に話しかけてきた。
「ねえねえ行こうよ緋色ちゃん!」
「そうね…どのみち、ここにずっといたって何もないしね。…でも知崎君、あんたはこれからは単独行動厳禁よ」
「ぶー」
私が釘を刺しておくと、知崎君が唇を尖らせる。
話し合いの結果、特にはじまりの草原には何も無さそうだったので、皆で扉を潜る事にした。
まずは、私、知崎君、ネロ、目野さんが扉を潜った。
扉の向こう側は、ちょうど人4人が入れそうな広さの窓付きのゴンドラのような部屋だった。
4人が扉を通ると同時に扉が閉まってしまい、私達は他の6人と断絶されてしまった。
「ハッハァ!!何が起こるのか楽しみですねぇ!!」
「わかる〜!」
…あの二人はお気楽そうで良いわね。
二人がはしゃいでいると、ネロが話しかける。
「で、どうすんだ?他の連中と分断されちまったけど」
「大丈夫よ。実はあなた達が来る前にグリモアを少し調べていたのだけれど、どうやらグリモアを通して通話ができるみたいなの。とりあえず、皆に集合場所を伝えておけば大丈夫なんじゃないかしら?」
「だといいがなぁ」
二人でこの後どうしようか話していた、その時だった。
『うぷぷぷ!ホープアイランド専用の飛行船へようこそ!』
「ぎゃあ!?」
突然、モノクマが目野さんのタンクトップの中から現れた。
どこから現れてんのよ。
『ホープアイランドは5つの島の集まりからなっていて、この飛行船はそれぞれの島を行き来する為のものなんだよ。ホープアイランドには、このはじまりの草原のある島と、炎の島、水の島、風の島、土の島があるのです!この飛行船で、オマエラが行きたい島までひとっ飛び!』
「はわああああああ!!!何ですかそのベリィィィィファンタスティックな響きは!!」
モノクマが説明をすると、目野さんがものすごく食いついた。
行きたい島って言われてもね…
正直、まだゲームの世界観も掴めてないし、どの島から攻略していったらいいのかわからないのよね。
こういう時は、今いる場所から近い場所から攻略していくのがセオリーかしらね。
「そうね…じゃあ、ここから一番近い島に連れてってもらえる?」
『りょーかい!それじゃあ炎の島までひとっ飛び〜!』
モノクマが言った直後、飛行船が縦に揺れた。
3秒ほど飛行船で揺られたかと思うと、突然飛行船が止まった。
『着きました!炎の島です!それではオマエラ、良い旅とコロシアイを!』
ゲームの中でもコロシアイを強要してくるの、本当に気分が悪いわね。
私は、心の中でモノクマに悪態をつきつつ、飛行船のドアを開けた。
外に出てみると、何やら炎をモチーフとした外観になっていて、タロットにちなんだ街が色々とあるみたいだ。
とりあえず、皆には既に炎の街にいる事を伝えておかないとね。
「ねえ緋色ちゃん!見て見て!魔法カード売ってる店があるよ!あ、あそこでギルド申請できるんだ!ねえ申請してきていい!?」
「ダメよ。皆が集まるまで待たないと」
「てかお腹すいたー!レストランいこーよ!」
「お金持ってないじゃない」
「ちぇーっ、つまんねーの」
知崎君は、唇を尖らせて不貞腐れていた。
3分程待っていると、ようやく全員が到着した。
「これからどうしようかしらね?」
「うーん…まずは地道にお金や素材を集めるところからじゃないかな。俺達今無一文だし」
「そうね」
「じゃあ、18時に炎の島の『太陽の広間』に集合。って事でいい?」
「おっけー!」
◇◇◇
それから6時間、私は、知崎君、ネロ、目野さんの四人で地道に素材集めや資金集めに勤しんだ。
レアカードを入手したらトレードショップで換金して、その資金を使って地図を買ったり情報収集をしたりした。
知崎君が大食いの懸賞に挑戦して稼いで、ネロがその資金でギャンブルで一山当ててくれたので、3時間ほどで大金が集まり、その資金で初級魔法のカードと武器を買い集める事ができた。
この調子なら、明日には脱出チケットが入手できそうね。
クエストに挑戦してレアな素材を集めて、人数分の脱出チケットを手に入れないと。
18時ちょうど、私達は近くにあった定食屋で収穫を報告し合った。
「私達は、地道に資金調達と情報収集、それから魔法カードや地図をゲットしたわ。どうやら、Bランク以上のモンスターカード10枚かAランク以上の秘宝カード5枚をトレードショップに持っていけば脱出チケット3枚と交換してくれるそうよ。秋山君達は?」
「俺は館井君と古城さんにつきっきりでRPGのやり方を教えてたよ。それから資金調達、あとは魔法カードと武器カードの調達かな」
「何じゃああのNPCとやらは!!外の世界も、未来ヶ峰学園の事も、何も知らぬではないか!!揃いも揃って皆情弱じゃのぉ!!しかも何回話しかけても同じセリフばっかり言いおって!!情弱な上に頭まで悪いのか!!」
「だから違うんだよ古城さん。こういうゲームのキャラクターはキャラクターごとに答えられる質問があらかじめ決まってて、答えを用意していない質問に対しては『何それ?』って答えるっていうプログラミングがされてるんだよ。で、俺達は物語の流れからそのキャラクターが答えられる質問を見つけ出して、そこで初めて情報を聞き出せるんだよ」
「じゃあ、情報収集するにはしらみつぶしにNPCとやらに一人ずつ質問していかなきゃならんという事か!?」
「そうなるね」
「何じゃあ面倒臭いのう!!」
「まあでもRPGって大体そんなもんだから」
秋山君がゲームの説明をすると、古城さんが文句を言った。
最後に、加賀君、マナ、リカの班が進捗を報告する事になった。
「思ったより順調じゃないか。まだ誰も大した収穫は手に入れてないと思ってたよ」
「そういうあなたは何か収穫があったの?」
「ふふふ、俺を誰だと思っている?」
そう言って加賀君は、小アルカナのカードを3枚見せてきた。
加賀君達が集めたのは、ワンドの1〜3のカードだった。
「えっ、これ、モノDJが言ってた魔法のタロットよね?どうやって手に入れたの?」
「………頑張った」
加賀君は、誇らしげに自分の成果を自慢した。
するとリカも腕を組みながらドヤ顔をし、マナは楽しそうにキャッキャとはしゃいだ。
『アテクシにかかれば、どんなゲームでもクリア条件を見つけ出して攻略する事など朝飯前なのデス!どやっ!』
「うち、加賀くんにやり方教えてもろうたっちゃけど、すっごかハマってしもうた!やっぱRPGって楽しかね!案外ここも悪うなかかも!」
三人とも、ゲームを純粋に楽しんでいるようだ。
…三人とも、ゲームに夢中になりすぎて本来の目的忘れてないといいけど。
「とりあえず近くの宿を借りて、明日の事はそこで考えましょう」
「そうだね」
「ねえ緋色ちゃーん!ボク、あそこ泊まりたーい!」
そう言って知崎君が指差したのは、サンバのような露出度の高い格好をしたグラマラスな女性が客引きをしている派手な装飾の宿屋だった。
これって完全にそっち系の宿屋じゃない。
しかも遠目で値段見る限り高すぎだし。
「ダメよ。近くに一番安い宿があるから、そこにしましょう」
「ぶー、ダメばっかりでつまんないの」
私が一番安い粗末な宿屋を借りに行くと、知崎君は唇を尖らせる。
資金は節約しなきゃだし、一晩しか泊まらない宿にいちいちお金かけてられないわよね。
…って思ってたけど、まさか干し草のベッドだったとは。
野宿よりはマシだけど、ハッキリ言って寝心地は良くはないわね。
明日こそはクエストをして、脱出チケットを手に入れないと。
『モノクマ&モノDJ劇場』
『ヘェイ!!テメェらどうなってんだこいつぁよぉ!?さっきからオレ様の裏垢に『イビキとオナラがうるせー』だの『痩せろ』だのDMが来まくってるんだが!?テメェら一体ネットリテラシーどうなってんだ全く!!こんなんじゃ毎日7ダース食ってたポテチが6ダース半しか食えねーじゃねーか!!どうしてくれんだ!?ったくよぉ!!大体、オレ様が痩せちまったらモテ過ぎちまうだろうが!!そしたら世界の危機に陥りかねねーから、あえて太ってやってんだ!!オレ様の寛大さに感謝しな!!そしたら特別にオレ様の投げキッスをくれてやるぜ!!』
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級の泥棒】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の大工】
【超高校級の音楽プロデューサー】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級のAI】リカ
残り10名
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のバレーボール選手】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級の獣医】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の忍者】
【超高校級の美食家】【超高校級の殺人鬼】
以上7名
今回はハンターハンターネタをぶち込んでみました。
作者がハンターハンターが好きだからです。
今更だけど推し教えて
-
腐和緋色
-
聲伽愛
-
玉越翼
-
小鳥遊由
-
知崎蓮
-
食峰満
-
越目粧太
-
聖蘭マリア
-
古城いろは
-
加賀久遠
-
目野美香子
-
館井建次郎
-
秋山楽斗
-
響歌音
-
ネロ・ヴィアラッテア
-
闇内忍
-
リカ