ジャスティスダンガンロンパX4  強くてコロシアイ再履修   作:M.T.

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非日常編④(オシオキ編)

14時18分、異世界の水の島にて。

一人の少女、目野美香子の姿をして誰かを探す者がいた。

【超高校級の大工】館井建次郎だ。

館井は、一人の男を見つけると、男に向かって声をかけた。

男の名は、【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテアだ。

 

「ネロさん。この森に珍しい素材があるんですけど、私一人では持ち出せそうにないので手伝ってもらえませんか?」

 

館井は、目野のフリをしてネロを森の奥へと連れ込んだ。

森を歩いてしばらくすると、ネロが口を開く。

 

「まだ先にあんのか?」

 

「もう少ししたら着きますから」

 

「…おい」

 

ネロの質問に館井が答えると、ネロは館井の腕を掴んで引き留める。

館井が振り向くと、ネロは館井を睨みながら口を開く。

 

「そろそろ本題を話してくれてもいいんじゃねえか?Mr.館井」

 

ネロが言うと、館井はため息をつく。

ネロは初めから目野のアバターを使っているのが館井だと気づいていたのだ。

すると館井は、武器のハンマーを取り出して言った。

 

「悪いな。ここで死んでくれ。どうせ死ぬつもりだったのだろう?」

 

「嫌だね。てめぇの死に方くらいてめぇで決めさせろ」

 

館井がハンマーを向けると、ネロもナイフを抜く。

どんな窮地をも乗り越えた経験上どこを狙えば決定打を与えられるかを熟知しているネロと、まともに喧嘩すらした事がない高校生。

この二人が一対一になれば勝敗がどうなるかは、火を見るよりも明らかだった。

 

「この状況で俺をどうにかできるつもりだったか?生憎俺は………」

 

ネロがそう言ったその直後、突然ネロの背後からモンスターが現れる。

先程まではいなかったはずのモンスターに囲まれたネロは、咄嗟の事で反応が遅れてしまった。

モンスターの攻撃を喰らったネロは、HPを削られて身体の動きが鈍くなる。

 

「!?」

 

「流石にその数の怪物相手だと、いくらお前でも厳しいんじゃないか?」

 

「チッ…しゃらくせぇ!」

 

ネロは、次々と襲ってくるモンスターを目に留まらぬ速度で倒していく。

モンスターが襲いかかっては、ネロは持っていたナイフと魔法カードで薙ぎ払う。

だが無限に襲ってくるモンスター達を相手についにしたせいでHPが底をつき、館井に魔法カードでトドメを刺され、ついには全身疲労で動けなくなってしまった。

ネロは力なくその場に倒れ込むと、息を切らしながら悔しそうにぼやく。

 

「………ハァ、ハァ…クソッ、こんな情けねえとこ、お嬢には見せらんねぇな…まあでも、当然の報いだな」

 

ネロは、全てを諦めたようにそっと目を閉じた。

これは自分が生き残る為に何の罪もない人々を殺し、自分に優しくしてくれたメンバーを突き放した罰なのだと、これから死にゆく自分に言い聞かせていた。

ネロのHPが0になったのを確認した館井は、冷たい目でネロを見下ろしながらポツリと呟いた。

 

「……悪いな。俺が生き残る為だ」

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

VOTE

 

館井建次郎 8票

 

目野美香子 1票

 

 

 

『うぷぷぷぷ、お見事大正解ー!!【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテアクンを絞殺した殺人犯は、【超高校級の大工】館井建次郎クンなのでした!オマエラ4連続正解なんてやるぅ!』

 

『ギャハハハハ!!まさか百戦錬磨のネロボーイを殺したのが小心野郎の建次郎ボーイだったとはなぁ!!ほらほらもっとバイブス上げてけポウポウ!!!』

 

「…………やはり、勝てなかったか」

 

モノクマとモノDJが下品に笑うと、館井君は腕を組みながら静かに俯く。

彼はもう自分は助からないと悟ったのか、逃げも慌てもせずにその運命を受け入れているように見えた。

 

「あんなにしつこく犯行を否定してた割には、随分と諦めが早いんだね」

 

「もうこの状況ではどうにもならないからな。この期に及んで負けを認められないほど、俺は強情じゃない」

 

秋山君が皮肉めいた口調で言うと、館井君は全てを諦めたような表情で答えた。

私は、どうしても疑問に思っていた事があった。

どうして館井君はネロを殺してしまったの…?

少し臆病だけれど誰よりも良識人で、人を殺すとは思えない館井君が、どうして…

 

「館井君。どうしてネロを殺したの?」

 

私が尋ねると、館井君はしばらく黙り込んだ。

そしてようやく決心がついたのか、徐に口を開いて語り出す。

 

「……死にたくなかったから。それだけだ」

 

「『死にたくなかった』?尚更理解に苦しむな。君の頭脳では裁判に勝てない事は分かりきっていたはずだ。よりによって、黒幕に繋がる手掛かりを握っていたネロ・ヴィアラッテアを殺すなど…愚策極まりないとしか言いようが無いのだが。追い詰められて自棄になったか?」

 

館井君が私の質問に答えると、加賀君は腕を組んで館井君に鋭い視線を向けながら問い詰めた。

すると館井君は、加賀君を睨みながら低い声で話し始める。

 

「……『自棄になった』、だと?俺から言わせてもらえば、異常なのはお前達の方だ」

 

「何だと?」

 

「お前達、本当に生き残る気があったのか?1週間以内に殺人が起きなければ、俺達全員がオシオキされるのだぞ?どうせあのまま御涙頂戴の仲良しごっこを続けていたら、脱出口を見つける前に時間切れになって全員オシオキされるのがオチだっただろうな。何もせずにただ時間を浪費するなど、生きる事を諦めたと同じ事。全員がオシオキされるのを止める為には、誰かが殺らなければならなかったんだ」

 

館井君が話すと、私ははっと思考を現実に引き戻された。

もし期限内に殺人が起こらず、脱出の手がかりも見つけられなかったら、死んでいたのは私達全員だった。

皮肉にも、館井君の起こした殺人が、私達の命を救ったんだ。

 

「馬鹿馬鹿しいよ。そうやって自分のやった事を正当化する気?君は、あんな脅しを本気で信じたのか?」

 

「あんな脅しを本気で信じたからこそ、ネロは内通者になって殺人を起こそうとしていたのだろう?あいつを放置しておいたら、先を越される可能性があった。だからあいつを殺したんだ」

 

秋山君が呆れた様子で尋ねると、館井君は当然と言わんばかりに腕を組みながら答えた。

するとマナは目に涙を溜めて証言台を叩きながら反論した。

 

「ネロくんが殺人ばしようとしたかもしれんやった、って言いたかと?そげんわけなか!ネロくんは、殺人なんてしぇんって約束してくれたっちゃん!」

 

「たった数日前に出会ったばかりの犯罪者の言葉など、よく信じられるな。あいつはここに来る前から何人もの人間を殺してきた大量殺人犯なんだぞ?変な気を起こして殺人を決行する可能性がゼロだとどうして言い切れる?」

 

「っ………」

 

館井君が言うと、マナがギリっと歯を食いしばって黙り込む。

館井君がネロをターゲットにしたのは、おそらく心の中ではネロの事が心底怖かったからだ。

裏切られるのが怖かったから、先に裏切ってしまおうという判断をしてしまったのだろう。

私は、館井君の心象を察すると、どうしても彼を責め立てる事はできなかった。

 

「お前達だって、本当は心の中で誰かが殺人をするのを待っていたんじゃないのか?皆で一緒に脱出しようとか言いながら、どうせ自分の手は汚さないで誰かを生贄にして生き延びようなどと卑怯な事を考えていたのだろう?本当は、俺が殺人を犯して処刑される事で自分達が生き残れたから安心しているのだろう?」

 

「何じゃと!?」

 

館井君が私達に軽蔑の目を向けながら言うと、古城さんが斬殺丸を抜いて館井君を睨みつける。

すると館井君は、私達全員に冷たく言い放った。

彼の金色の瞳には、私達に対する軽蔑の念がこもっていた。

 

「お前達が今まで生き残ってきたのは、決して生き残る為に行動していたからじゃない。()()()()()()()からだ。生きてここから出ようと本気で願った響や越目、そして古城を生かす為に身を挺した闇内は、本気で生きる為生かす為に行動をし死んでいった。お前達は、死んでいった者達のおこぼれと惰性で生きているだけの卑怯者だ。何もせずに生き延びたお前達なんかより、明日を生きる為に本気で行動をした者達にこそ生きる価値が………

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜〜〜…あ」

 

館井君が私達を軽蔑して語っていた中、知崎君があくびをした。

すると館井君は、不機嫌そうに顔を上げる。

 

「………誰だ今あくびをしたのは」

 

「ああ、ごめんごめん。あまりにもつまんない話をダラッダラ聞かされてたから飽きちゃってさ。ねえ建次郎おにい。死にたくないからってこの期に及んで負け惜しみ言うのやめなよ」

 

知崎君がヘラヘラ笑いながら言うと、館井君の顳顬にピキ、と青筋が浮く。

彼の瞳は、静かに知崎君を捉えていた。

 

「……負け惜しみだと?」

 

「キミはバカだから話を要約できないんだよね?ボクが君の言いたい事を皆にわかりやすいようにまとめてあげるよ。要は『俺は仕方なくネロちゃんを殺しちゃった可哀想な子だからオシオキしないでください』、だろ?」

 

「………………」

 

「卑怯で何が悪いの?いいじゃん結果的に生きてんだから。キミが何を言おうと、ボク達が生き延びてキミが死ぬって事実は変わらないよ?」

 

館井君が歯を食いしばりながら黙り込むと、知崎君は頭の後ろで手を組んでにししっと悪戯っぽく笑った。

すると加賀君も、氷のように冷たい視線を館井君に向けながら低い声で館井君を諭す。

 

「諦めろ。同情を買ってオシオキを回避できると思ったら大間違いだ。君は運が悪かったから裁判で負けて処刑される。たったそれだけの事だ」

 

「貴様ら……」

 

知崎君に思惑を見破られ、加賀君に冷静に反論された館井君は、悔しそうに知崎君と加賀君を睨んでいた。

二人は生きる為に行動を起こした館井君を責めはしなかったが、決して同情もしなかった。

どんなに崇高な理由があろうと、真実を暴かれれば断頭台を前に全員に背中を押される。

それがこの裁判で“負ける”という事だ。

 

「………チッ、少しでも同情を買ってあわよくば誰かに助けてもらおうと思ったのだがな。無駄な足掻きだったか。もういいモノクマ。さっさと始めろ」

 

もう反論の余地も無いと悟ったのか、館井君は諦めたように深くため息をついた。

館井君を助ける為に立ち上がる人は、誰もいなかった。

 

『うぷぷぷ、本当にもういいんですかね?』

 

「ああ。どうせどんなに時間稼ぎをしようと、俺が死ぬ事実は変わらないのだろうからな」

 

『そうですか!じゃあ景気良くサクッといっちゃいましょうかね!』

 

モノクマが上機嫌で言ったその時、館井君がポツリと呟く。

 

「………安心しろ小鳥遊。お前の最期の願いは、俺が叶えてやる」

 

「…………?」

 

館井君は、私達に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。

小鳥遊さんの最期の願いを叶えるって…まさか……!

 

『今回は、【超高校級の大工】館井建次郎クンのために!!』

 

館井君は懐からスプレー缶を取り出すと、それを勢いよく床に叩きつけた。

するとその直後、床に叩きつけられてひしゃげたスプレー缶から勢いよく青紫色の煙が噴き出し、あっという間に裁判場に充満した。

私は、反射的に自分の鼻と口を左腕で覆った。

 

「っ!?」

 

「うわ何じゃあこれは!?屁か!?」

 

「お前ら、吸うな!!毒ガスだ!!」

 

「ええ!?」

 

加賀君が咄嗟に口を手で覆いながら叫ぶと、他の皆が困惑する。

やられた…!

自分がオシオキされる事が確定したからって、まさか私達を道連れにしようとするなんて…!

その間にも、モノクマとモノDJの声は無情にも裁判場に鳴り響く。

 

『スペシャルな!!オシオキを!!ご用意しました!!!』

 

「どうせ俺が生き残れないなら、お前らの命などどうでもいい。お前ら全員死ねばいい!!」

 

『『ではでは、オシオキターイム!!!』』

 

「フハハハハハハハハハハハ!!!」

 

館井君は、ざまあみろと言わんばかりに高笑いしていた。

モノクマはピコピコハンマーを取り出して、一緒に出てきた赤いボタンをハンマーで押した。

ボタンに付いている画面に、ドット絵の館井君をモノクマとモノDJが連れ去る様子が映っていた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

GAME OVER

 

タテイくんがクロにきまりました。

 

オシオキをかいしします。

 

ーーー

 

 

 

館井は、首に首輪をつけられると、そのまま上へ上へと引っ張り上げられる。

他のメンバーは、毒ガスの煙の中それを見ている事しかできなかった。

館井の周りには、山が並ぶ絶景を模したセットが広がっていた。

 

 

 

ーーー

 

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

 

【超高校級の大工】館井建次郎 処刑執行

 

ーーー

 

 

 

館井が連れて来られたのは、館井が修理に携わった法隆寺を模した塔が建つ庭園だった。

庭園に植えられた紅葉が赤く色づいており、住職の格好をしたモノDJは庭園に設置された長椅子に座って汚らしく柿を貪りながら塔を眺めていた。

モノDJの隣に置いてあったパソコンには館井のアバターが映っており、不安そうにキョロキョロとあたりを見渡していた。

館井は、チェーンで引き上げられて塔の頂上に吊るされ、塔の頂上に聳え立つ十字に組まれた丸太に磔にされる。

するとどこからか大工の格好をしたモノクマが現れ、カナヅチを振り回しながら不気味な表情を浮かべる。

 

次の瞬間、モノクマはどこからか和釘を取り出し、館井の右肩に容赦なく突き刺す。

そして館井の右肩に突き刺した和釘をカナヅチで何度も打ち、釘を深く貫通させた。

モノクマの釘の打ち方が下手なせいで、館井は無駄に肩を抉られて苦悶の表情を浮かべる。

モノクマは、次は館井の右肘と右手に釘を刺し、刺した釘をカナヅチでメチャクチャにカナヅチで打って館井の右腕を抉った。

 

館井の右腕の感覚がなくなってくると、今度は左腕に同じ事をする。

左肩、左肘、左手に釘を刺し、打ち、抉る。

左腕を抉られ、館井は再び苦悶の表情を浮かべた。

 

両腕に釘を打ち込むと、モノクマは今度は両脚に釘を打ち込んでいく。

ヘタクソな釘の打ち方で脚を抉られた館井は、激痛で再び表情を歪める。

刺す、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ。

釘を打つリズムが単調なのもあって、たった数分のはずなのにまるで永遠の苦痛のように感じられた。

 

館井に釘を打ち終わると、モノクマは額の汗を腕で拭いながら満足げな表情を浮かべる。

すると先程まで柿を貪っていたモノDJが勢いよく跳び上がり、ドシィンと大きな音を轟かせながら塔の屋根に着地する。

その際に塔全体が大きく揺れ、振り落とされそうになった館井は思わず青ざめる。

何とか塔から落ちずに済み、安心したのも束の間、モノDJがどこからか鐘突き棒を取り出した。

その後ろでは、モノクマが『あと108回!』と書かれたLEDプラカードを掲げていた。

 

次の瞬間、モノDJは勢いよく棒を振りかぶり、御堂の鐘を鳴らすかのように棒で館井の身体を勢いよく突いた。

館井は大きく目を見開いて血反吐をぶち撒け、肋骨が粉々に砕ける音がした。

その直後、モノDJは棒を後ろに引く。

だがこれで終わるはずもなく、モノDJは再び館井を棒で突いた。

2、3、4、5と数を数えながら館井を棒で突いていき、モノDJが館井を突くたびにモノクマの掲げているプラカードの数字が減っていく。

108回、ちょうど除夜の鐘を鳴らす回数だった。

 

数十分後、とうとう108回館井を突き終わる。

館井は、全身血塗れで満身創痍になってほとんど原型を留めておらず、もはやいつ死んでもおかしくない状態だった。

一方で塔は少々揺れはしていたが、モノDJが屋根の上でどんなに乱暴に跳ねても全く崩れる気配がせず、【超高校級の大工】たる館井や、彼の尊敬する太古の建築士達の技術の高さを物語っていた。

自分が修理に携わった建造物に磔にされた館井が全てを諦めて目を閉じようとした、その時だった。

 

突然どこからか暴走した巨大なブルドーザーが走ってきて、塔に体当たりを仕掛けた。

するとたったの一撃で塔の柱はミシッと音を立てて折れ、塔は呆気なく倒れた。

ちょうど塔が倒れそうな位置にあったパソコンの中では、館井のアバターがあわてふためいていた。

そしてその直後。

 

 

 

ズシィィイイイン…

 

 

 

館井が磔にされていた塔は大きな音を立てながら崩れ、庭園中に土煙が広がった。

土煙が晴れると、塔の重みで押し潰されて粉々に砕けたパソコン部品、そして全身ぐちゃぐちゃになって息絶えた館井の亡骸が地面に散らばっているのが見える。

その近くでは、大工の格好をしたモノクマ、住職の格好をしたモノDJ、そしてブルドーザーの運転手のモノクマが三人で茶を飲みながら干し柿を食べていた。

バラバラに散らばった木材の中に埋もれていた館井は、絶望の表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

『『ジェットストリーーーーーーーム!!』』

 

館井君がオシオキされると、モノクマとモノDJが下品に嘲笑った。

さっきまで毒ガスが充満していた裁判場は、モノクマ達が咄嗟に起動させたスプリンクラーから噴き出された解毒剤と強力な換気扇のおかげで、あっという間に毒ガスが消え去って安全な状態に戻っていた。

 

『ったく、マジでビビったぜ!!まさか最後の最後にテロを仕掛けてくるとはなぁ!!』

 

『自分がオシオキされるからって全員を道連れにするとか、調子に乗りすぎ!危うく全員お陀仏になっちゃうところだったよ!』

 

『にしてもよぉ、由ガールの最期の願いすら勘違いして全員を巻き添えにしようとするなんざ、どこまでも救いようの無え野郎だったなァ!!』

 

モノクマとモノDJは、小鳥遊さんが本心で私達全員を殺そうと思っていたと勘違いしたまま私達全員を殺そうとした館井君を嘲笑っていた。

私達を犠牲にしてでも生き残るという願いは叶わず、小鳥遊さんの最期の願いを勘違いして私達を道連れにしようとして、それすらも叶わず嘲笑を浴びながら苦痛の中で死んでいった彼の最期を、絶望と呼ばず何と呼ぶべきなのだろうか。

 

 

 

『何もせずにただ時間を浪費するなど、生きる事を諦めたと同じ事』

 

 

 

突然、彼の言葉が頭の中で反響した。

私は、決して誰かが殺人をするのを待っていたわけじゃない。

でも心の中で、『殺人をしてまで生き残るくらいなら死んだ方がマシだ』という思いがあったのも事実なのかもしれない。

それはきっと、本気で生きようとした彼からしてみれば、今までの犠牲者に対する冒涜だったのだろう。

彼の言葉を聞いて、私は何が正しいのかわからなくなった。

 

「いやぁ〜!危なかった!あとちょっと解毒剤撒かれるのが遅かったら死んでたとこだったよ!ホント生きてて良かった!」

 

知崎君は、先程まで毒ガスの中で喚いていたのが嘘のようにケロッとした様子で笑っていた。

今の彼は、まるでこのコロシアイをギャンブル感覚で楽しんでいるようだった。

するとモノDJが下品な笑い声を上げながら両手の人差し指で私達を指差す。

 

『でもテメェらは建次郎ボーイに感謝しろよな!!アイツがネロボーイを殺さなきゃ、今頃あんな目に遭ってたのはテメェらの方だったんだからよ!!』

 

「っ………!!」

 

モノDJが私達を嘲笑いながら言うと、マナが目に涙を溜めて歯を食い縛りながらモノDJを睨む。

あいつらを許せるはずがなかった。

明日を生きる為に行動を起こした館井君が、あんな形で殺された。

私も、モノクマとモノDJに対して静かに怒りを湧き立たせていた。

私とマナがモノクマとモノDJを睨んでいると、唐突に秋山君が口を開いた。

 

「モノクマ」

 

『ん?何でしょ?』

 

「館井君に異世界の構造と再ログインの時にアバターを変更できる事を教えたの、お前らだろ」

 

『ギッ、ギッッックゥウウウウ!!?な、なななな、何の事かわかんねえなぁ!?ホワットアーユーセイイング楽斗ボーイ!』

 

秋山君が尋ねると、モノDJはわかりやすく動揺した。

この反応は図星ね。

秋山君もそう思ったのか、モノクマとモノDJに侮蔑の目を向けながら低い声で問い詰めた。

 

「とぼけるなよ。俺やリカちゃんですらあの世界の本当の構造に気付かなかったのに、RPG初心者の館井君が自力で気付けるわけがないだろ。お前らが教えたとしか考えられないんだよ」

 

「あ……」

 

今思えば、私は捜査をする前までは館井君を真っ先に犯人候補から外していた。

彼は今までRPGをやった事すらなかったからだ。

どうして初心者の彼が、ゲーム上級者の秋山君やリカですら見抜けないトリックを実行する事ができたのか疑問だったが、全てモノクマ達が教えたと考えれば納得がいく事だった。

館井君にゲームの構造を教えて犯行に走らせるなんて、こいつらどこまでも腐ってるわね。

 

「今回はお前らの悪質性が高いだろ。館井君に異世界の構造や再ログイン時のプレイヤー確認の事を教えただけじゃない。ネロさんをあんな方法で内通者にさせて館井君に殺人をやらせるなんて、どう考えても公平性を歪めてるよな?殺人に関与する事は無いと言ってたクセにどういうつもり?」

 

『ボク達はあくまで聞かれた事をそのまま答えただけですので!苦情も不平もコンプレインも受け付けません!』

 

『ったく、最近の若者はすーぐそうやって責任転嫁するよな!!俺達が何をしようが、結局内通者になる事を選んだのはネロボーイで、ネロボーイをブッ殺す事を選んだのは建次郎ボーイだったわけだろ!?殺人犯に包丁を売った店員に罪はねーんだよ!』

 

秋山君が問い詰めると、二匹はゲラゲラと下品に笑いながら全部ネロと館井君のせいにした。

すると秋山君は、二匹に嫌悪の目を向けながらさらに問い詰める。

 

「そうやって言い逃れする気?お前らは、こんな事をして何がしたいんだ」

 

 

 

『見せ物デスよね?』

 

『ほよ?』

 

突然リカが口を開くと、モノクマが首を傾げる。

リカは、目を青く光らせて二匹に鋭い視線を向けながら問い詰める。

 

『アテクシは、膨大なデータを分析した結果、ついにアナタ達の目的に辿り着きマシた。アナタ達の目的は、このコロシアイを全世界に生中継して、『絶望』を世界に蔓延させる事。違いマスか?』

 

『希望絶望うまい棒ー』

 

リカが問い詰めると、モノクマは適当を言ってはぐらかした。

するとリカは、モノクマとモノDJの目を見ながら私達の前で語り始める。

 

『そうやってはぐらかしたって無駄デス。このコロシアイは、かつて全世界が熱狂した殺戮ゲーム、『ダンガンロンパ』の再現なのはわかっていマス。アナタ達は、アテクシ達がコロシアイをしているところを生中継して、ダンガンロンパのファン達から資金をかき集めているのデス。だからアテクシ達全員に閉鎖空間での永久的な共同生活を強いる事ができるのデスよね?』

 

『『……………』』

 

リカが指摘すると、モノクマとモノDJは黙り込んだ。

どうやら、リカの指摘は的を射ていたようだ。

リカの考察は、私が警視総監から聞かされた情報とほとんど一致していた。

やっぱりこのコロシアイはダンガンロンパの再現で、黒幕の目的は『絶望』を世界に蔓延させる事だったのね。

 

『画面の向こう側の視聴者は騙せても、アテクシの目は誤魔化せマセんよ。裏方でぬいぐるみを操ってないで、いい加減こちらに出てきてはどうデスか?【超高校級の絶望】白瀬(しらせ)クロヱサン』

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

同時刻、【超高校級のマフィア】の研究室にて。

誰もいないはずの部屋に置いてあったノートパソコンが、突然ひとりでに起動する。

ノートパソコンの画面には、白と黒に分かれた不思議な髪色をした童顔の少女が映っていた。

パソコンの画面に映っていた少女は、モノクマのぬいぐるみを抱きかかえながら不気味な笑みを浮かべていた。

 

『うぷぷ、今のところ順調に進んでるね。ぜーんぶボクの計画通りだなぁ。全ては、このセカイに絶望を振り撒くため。その為には生贄が必要なんだよ?………さてと、ボクもそろそろ動き出しちゃおっかなぁ』

 

 

 

 

 

Chapter4.コロシアイから始める異世界生活 ー完ー

 

Next ➡︎ Chapter5.この素晴らしい世界に絶望を!

 

 

 

《アイテムを入手した!》

 

『大工道具のポーチ』

 

Chapter4クリアの証。

館井の遺品。

父親から家業を継いだ記念に貰ったプレゼント。

彼の憧れ続けた父親との思い出が詰まっている。

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生き残りメンバー ーーー

 

【超高校級の警察官】腐和(ふわ)緋色(ひいろ)

 

【超高校級の幸運】聲伽(こえとぎ)(まな)

 

【超高校級の泥棒】知崎(ちさき)(れん)

 

【超高校級の考古学者】古城(こじょう)いろは

 

【超高校級の魔術師】加賀(かが)久遠(くおん)

 

【超高校級の機械技師】目野(めの)美香子(みかこ)

 

【超高校級の音楽プロデューサー】秋山(あきやま)楽斗(がくと)

 

【超高校級のAI】リカ 

 

残り8名

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のバレーボール選手】玉越(たまこし)(つばさ)

 

【超高校級のボーカリスト】(ひびき)歌音(うたね)

 

【超高校級の獣医】小鳥遊(たかなし)(ゆい)

 

【超高校級のメイクアップアーティスト】越目(こすめ)粧太(しょうた)

 

【超高校級の聖母】聖蘭(せいらん)マリア

 

【超高校級の忍者】闇内(やみうち)(しのぶ)

 

【超高校級の美食家】【超高校級の殺人鬼】食峰(しょくほう)(みつる)

 

【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア

 

【超高校級の大工】館井(たてい)建次郎(けんじろう)

 

以上9名

 

 

 

 

 

今更だけど推し教えて

  • 腐和緋色
  • 聲伽愛
  • 玉越翼
  • 小鳥遊由
  • 知崎蓮
  • 食峰満
  • 越目粧太
  • 聖蘭マリア
  • 古城いろは
  • 加賀久遠
  • 目野美香子
  • 館井建次郎
  • 秋山楽斗
  • 響歌音
  • ネロ・ヴィアラッテア
  • 闇内忍
  • リカ
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