ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
二十三日目。
いつも通りの時間に起きて、制服に着替え、髪を梳かしてお気に入りの髪留めで髪を留めた。
本当は朝一番にシャワーでも浴びたかったのだけれど、生憎水が出ないので、ペットボトルの水を使って顔を洗い、朝の支度を終える。
そろそろ出ようかと思ったその時、あのモノDJの喧しいアナウンスが鳴り響いた。
『ヘェイグッッモォォォニン!!ゴミクズ共ォォォ!!!朝の7時をお知らせするぜイェア!!!今日も張り切ってけェ!!!』
…このやかましいアナウンスとも、あと2日でお別れか。
そう思うとせいせいするわね。
さて、と。
食堂のテーブルセッティングをしに行かないと。
ーーー 食堂 ーー
食堂に行くと、厨房では既にマナ、秋山君、リカの三人が朝食を作ってくれていた。
私も、早速食堂の掃除やテーブルセッティングに取り掛かった。
私が食器を並べていると、ほぼ時間通りに残りのメンバーが来た。
他の4人は眠そうにしていて、直前までぐっすり眠れていたのがよくわかる。
古城さんと目野さんに関しては、もうすぐ出られる事がわかったからか、心なしか普段より顔色が良かった。
私は、テーブルセッティングがてら他の4人の手荷物検査をした。
…よし、怪しいものを持ち込んでいる人はいないわね。
「よし。今日も全員無事に揃ったね。それじゃあご飯にしようか」
4人が食堂に来たのを確認すると、秋山君は4人に声をかけた。
全員が無事揃ったので、私達は朝食を食べ始めた。
私が選んだ和食セットは、炊き込みご飯、豆腐と水菜のすまし汁、白身魚のみぞれ煮、コンニャクの甘辛煮、もずくとキュウリの出汁浸しだった。
…ホント、美味しいものを食べると今生きてるんだって実感するわね。
朝食を食べ終わった後は、全員で片付けをして、そのままお茶を嗜みながら朝のミーティングをした。
いつも通りの何の進展もないミーティングを装いつつ、リカは監視カメラの死角になるようにメモ用紙に現在のセキュリティのロック解除の進展を書いて教えてくれた。
どうやら、予定は順調に進んでいて、早ければ明日にでも学園のネットワークを掌握できるそうだ。
それを確認したら皆は、ミーティング中に顔を見合わせて笑い合った。
ミーティングを終えた後は各自自由に探索する時間となった。
私が席を立ち上がると、隣に座っていたマナが声をかけてくる。
「緋色ちゃん!一緒に探索しに行こ!」
「そうね」
私は、マナと一緒に校舎の探索をしに行く事にした。
まだ行っていないのは…校舎5階の生物室と地学室、それから普通教室ね。
私達はまず、地学室から先に見る事にした。
ーーー 地学室 ーーー
地学室には、目野さんの報告通り、巨大な地球儀、天体模型や星座早見表、実験器具などが置いてあった。
正面に大きな黒板が設置されており、後ろの本棚には地学関係の本がズラリと並んでいる。
天井からは、おそらく星の並びを見るためのものと思われる白いドーム状のカバーが吊るされていた。
壁一面には、鉱石の標本がズラリと並んでいた。
「わあ、緋色ちゃんこれキレーやね!」
マナは、地学室の鉱石の標本を見て目を輝かせていた。
よく見てみると、ダイヤモンドの原石なんかも展示してある。
まるで博物館ね。
本棚を調べてみると、何故か目野さんが言っていたA組の生徒プロフィールが本棚に挟まっていた。
私達の所属していた1年A組のクラスの情報が、事細かに記載されている。
ふと白瀬のページに目がいき、書かれている内容を読んでみた。
〜〜〜
出席番号7番 白瀬クロヱ
性別:女性
肩書き:【超高校級の脚本家】
生年月日:20XX年1月1日
出身校:魁清学園高校
出身地:東京都
得意教科:現代文、英語
苦手教科:なし
備考:彼女が脚本を手がけた『白の君と黒のあなた』が全世界興行収入一位になった功績から、【超高校級の脚本家】として我が未来ヶ峰学園にスカウトする事となった。
1学年在籍時の成績は極めて優秀。
1年A組の学級委員長を務めており、クラスメイトとの仲も良好である。
〜〜〜
このページの次には、彼女の健康診断の結果が書かれていた。
身長、体重、血液型、病気の有無などが事細かに書かれている。
この診断書は、間違いなく未来ヶ峰学園側が書いたものだ。
つまり、彼女は本当に77期生の中にいたという事になる。
でもこのプロフィールの中に、やはり私のプロフィールは無かった。
じゃあ、私は一体……?
「……いろちゃん。緋色ちゃん!」
「あっ」
突然後ろからマナに声をかけられて、驚きのあまり我ながら変な声を出してしまった。
振り向くと、マナが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「緋色ちゃん、大丈夫?さっきからずっと呼んどーとに返事がなかったっちゃん…」
「あっ、ごめんなさい……」
いけないいけない、考え事をしていると周りが見えなくなるのは悪い癖ね。
マナには悪い事をしちゃったわね。
「で、考え事はもう済んだ?」
「ええ。もう大丈夫よ。ずっと声をかけてくれてたのに無視しちゃってごめんなさい」
「いや、それは全然よかっちゃけど……」
私が謝ると、マナは少し困惑した様子で頭を掻いた。
あ、逆に気を遣わせちゃったわね。
私達は、そのまま地学室の探索を続けた。
その他の収穫はメダルくらいしかなかったので、次の場所の探索に移る事にした。
「隣の準備室も見てみましょう」
「うん!」
私達は、隣の地学準備室も調べた。
地学準備室には、実験器具をはじめとした備品が所狭しと並んでいる。
地学って科学の中ではマイナーな科目のイメージがあるけど、さすがは未来ヶ峰、ちゃんと研究用の設備が完備されているのね。
そんな事を考えつつ準備室を調べていると、備品の裏にモノクマメダルが落ちているのを見つけたので回収しておいた。
ここで調べられる事はこれくらいかしらね。
「ええっと次は…」
「ここから一番近いのは生物室よね」
「あ、そうそう!じゃあそこ行こ!」
『そうそう』って…
絶対今の今まで忘れてたわよね。
ーーー 生物室 ーーー
私達は、地学室と隣接した生物室に足を運んだ。
生物室の扉には、血文字で『ナマモノ』と書かれていた。
「な、ナマモノ…?」
マナは、生物室に書かれている『ナマモノ』という字に困惑していた。
いや、生物室の生物は読み方変えたらナマモノなんだけど……
…何というか、血文字だし、言葉の響きも生々しいわね。
……というか、さっきから何だか少し肌寒い気がするのだけれど?
どこからか冷気が漏れてるのかしら。
「調べましょう」
「う、うん…」
私達は、早速生物室を調べてみる事にした。
生物室の扉を開けた、その瞬間だった。
「寒っ!?」
扉を開けた瞬間、痛いと感じる程の冷たい風が吹きつけてくる。
生物室の中は、極寒だった。
中に置かれていた水槽には霜が降りていて、天井からはつららまで伸びていて、あまりの寒さに凍えそうになる。
加賀君の研究室のクーラーの比じゃない。
ここはまるで巨大な冷蔵庫だわ。
寒いのを我慢して生物室を探索すると、正面に大きな黒板と生物関係の本がビッシリ並んだ本棚が設置されており、その反対側には生物標本が、入って左手側の壁に接した棚には水槽や流しが並んでいた。
机は化学室同様縦と横に整列されていて、机には薬品を洗い流す用の流しが設置されている。
机の引き出しを引いてみると、ちょうど机に対応した実験器具が収納されていた。
そして入って右側の壁には、加賀君が言っていた機械が17個並んでいた。
機械の横のランプは9個点灯していて、機械の下の金属製のネームプレートには私達の名前が刻まれている。
…9個。
ちょうど、今まで死んだ皆の人数と同じ数だ。
ここに皆の遺体が入っている。
もしそれが本当なら、ここから出る時に皆の遺体を遺族に届けないと。
私は、覚悟を決めて玉越さんの名前の刻まれた機械を開けた。
「っ………」
中には、身体を斬りつけられ何度も刺された玉越さんの遺体が入っていた。
身体についた血は、ユニフォーム以外は全て綺麗さっぱり落とされていた。
彼女が最初の犠牲者だった。
私があの時、事件を未然に防げていたらこんな事には……
私は、迷いつつも次は響さんの遺体を確認した。
中には、潰されてグチャグチャになった肉塊が入っていた。
モノDJとモノクマのオシオキで、彼女は原型がなくなるまで散々にいたぶられた。
…こんなの、秋山君が見たらショックで耐えられないでしょうね。
次は小鳥遊さんの遺体だ。
小鳥遊さんは、頭が潰れ、首と胴を切り離された状態だった。
越目君のメイクのおかげか、口元の火傷は全く目立たず綺麗な顔をしている。
よく見ると、身体にはいじめでつけられたと思われる傷がいくつもあった。
…結局、最後まであなたの事はわかってあげられなかったわね。
次は越目君の遺体だ。
越目君は、顔がボロボロになっていて、両眼に青い宝石がはめられている。
身体には金と銀のマキビシが刺さり、炎と電撃で身体が焼かれてウォーターカッターで斬られ、光線銃で身体を貫かれ、胴体が真っ二つに切断されていた。
殺人犯だからって、何もここまでやらなくったって……
次は闇内君の遺体だ。
腹部には穴が開いていて、両手足に苦無で刺された穴が空いている。
絶望の表情を浮かべながらも、大切な人を守り切った彼の表情はどこか誇らしげだった。
闇内君、古城さんなら今も元気に生きてるわよ。
だから安心して眠ってね。
次は聖蘭さんの遺体だ。
首の後ろに刺された穴が開いていて、眠るように死んでいる。
遺体には、食峰君に脱がされたシスター服が被せられていた。
真実を知らずに眠りながら殺された彼女は、ある意味幸せだったのかもしれないわね。
次は食峰君の遺体だ。
全身調味料まみれになった身体を揚げられ、よく見ると身体がボロボロに食い破られている。
結局聖蘭さんを一口も食べる事ができずに、逆に自分が調理されて、その料理すら誰かの口に運ばれる事はなかった。
自分の味覚を満たす為だけに多くの女性や子供を殺してきた彼を皮肉った末路なのだろう。
次はネロの遺体だ。
遺体には一切傷がなく、眠るように死んでいる。
今までの皆の遺体の中では、一番綺麗な状態だろう。
安心して、ネロ。
あなたの望み通り、今度こそ全員でここから脱出してみせるから。
最後は館井君の遺体だ。
四肢を釘で抉られ、全身滅茶苦茶に殴られてグチャグチャの肉塊になっていた。
誰よりも明日を生きようとして、絶望の中で殺された。
こんなにも無念な事はないでしょうね。
確認してみたところ、遺体は全て本物のようだった。
この学園から出る時は、ここに置いてある皆の遺体も一緒に持って行ってあげないとね。
私が全員の遺体を確認すると、マナが寒さに凍えながら話しかけてきた。
「緋色ちゃん、そろそろ出よう?うち、寒うて凍えそう」
「そうね」
確かに、このままだと寒すぎて凍傷になりそう……
そろそろ出ないと。
…次にここを調べる時は、防寒着とオイルランプが必須ね。
極寒から逃げるように生物室を出た私達は、生物準備室を調べた。
生物準備室は小さな倉庫のような部屋になっていて、顕微鏡、スポイト、プレパラートなどの実験器具や化学薬品が置いてあった。
よく見ると、置いてある器具はどれも最先端だ。
実験をする時はここから実験器具を持ち出していたのかしらね。
ここには特には収穫は無さそうね。
「そろそろ次行きましょう」
「うん」
私が廊下を指差すと、マナが頷いた。
私達は、まだ調べていない5階の普通教室を調べに行く事にした。
ーーー 校舎3F廊下 ーーー
私達は、5ーA、5ーB、5ーCの順に教室を調べていった。
教室の内装は、1階の教室とほとんど変わらなかった。
5ーAの教室には、特にこれといった収穫は無かった。
5ーBの教室のボードには、
『セクシーハンサムボーイモノDJ』
とモノDJの字で落書きがされていて、隣に気持ち悪いポーズを取っているモノDJの絵が描かれていた。
本当にいちいち不愉快ね。
私は、教室の黒板を消してから隣の5ーCの教室に入った。
5ーCにも、特にこれといった収穫は無かった。
普通教室を調べていたら、ちょうど昼食を作りに行くのに丁度いい時間になったので、私達は食堂に向かった。
ーーー 食堂 ーーー
食堂に行くと、リカが既に昼食の準備をしてくれていた。
私達もリカを手伝い、秋山君がテーブルセッティングをしてくれた。
昼食が出来上がるとマナが皆を呼びに行き、全員が揃ってから安否確認を兼ねた昼食会を開いた。
今日の昼食は、トンカツ、キャベツの千切り、ポテトサラダ、豆腐の味噌汁、根菜の煮物だった。
昼食を食べ終わった後は、全員で片付けをして、昼のミーティングをしようとした、その時だった。
『レディィィィイイイス!!アーンド!!!ジェントルメェエエエエエン!!!!』
『うぷぷぷ、ご機嫌麗しゅうオマエラ!』
どこからか、例の二匹が現れた。
もういい加減この茶番にも慣れてきたわ。
すると秋山君が、頬杖をつきながらため息をついた。
「邪魔なんだけど。消えてくんない?」
『うわっ、秋山クン何その態度!?せっかくオマエラにとって嬉しいお知らせを用意してきたっていうのにさ!』
「……何?」
モノクマの言う『嬉しいお知らせ』という言葉に、加賀君が反応した。
…どうせ碌な情報じゃないんでしょうけどね。
『HEYテメェら、最近黒幕をシコシコ…あ、じゃなかった、コソコソ嗅ぎ回ってるらしいじゃねーか!!そんなに黒幕探しがしてぇなら、オレ様がとっておきの情報を提供してやるぜ!!』
『えー、オマエラの中にはとっくにお察しの人もいると思うんですけどね……実はオマエラにこのコロシアイ学園生活を強制させた黒幕は、この学園内にいます!』
………やっぱりか。
歴代のダンガンロンパでも、どういう形であれ黒幕は必ずコロシアイの舞台の中にいた。
今回のコロシアイも、黒幕がどこかにいるんじゃないかとは思ってたけど…
私が考え事をしていると、目野さんと古城さんがモノクマに反論した。
「どうせそんなのハッタリなんでしょう!?」
「そうじゃな!黒幕自ら手の内晒すような事するはずがないからのぉ!!」
『うるせぇなぁ!!シャラップ美香子ガールアンドいろはガール!!オレ様達が嘘言った事あったか!?ハァン!?黒幕は、77期生のA組の中にいるんだYO!!』
「まあ今までの流れから察するに、今回の情報も真実だろうな。俺達をここに閉じ込めた奴自身もこの学園のどこかにいる、と……くくく、どうやら犯人は俺達との直接対決をご所望らしいな」
加賀君は、腕を組みながら1人で笑っていた。
するとマナが前に出て徐に口を開く。
「そんだけ?」
『ほにょ?』
「本当にそれば言うためだけに来たと?キミ達今まで、動機ば用意したりしてうちらん不安ば煽ってきたっちゃんね?ネロくんの時なんか、『一週間以内にコロシアイが起こらな全員オシオキ』だなんて無理難題言って内通者に仕立て上げたじゃんね。なのに今回は何も無かと?」
マナは、いつになく冷静な口調でモノクマに尋ねた。
するとモノクマは、不気味な笑みを浮かべながら答える。
『うぷぷぷぷ…何もないわけないじゃないですか!むしろ、
「なっ………」
『動機はもう配ってある』…
それってつまり、今の黒幕のカミングアウトそのものがコロシアイの動機って事?
じゃあ、自分が不利になるだけなのにあえて黒幕がここにいる事を話したのは、黒幕が自分達と同じ空間にいると認識させる事で不安を煽る為って事になるわよね。
もしそうじゃなくても、黒幕を殺したいと思っている人がいたら……
「わーいわーい!じゃあそれってつまり、黒幕をぶっ殺し放題って事だね!?やったあ!ボクが一番に見つけてぶっ殺してやるんだから!」
そう言って知崎君は、黒幕を探し出して殺す為にひと足先に食堂を出て行った。
しまった、油断した…!
知崎君が黒幕を殺すとか言ってたんだから、もっときちんと監視の目を光らせておくんだった…!
とにかく、早く追いかけて止めないと…!
「うわ足速あ!?」
「コラ、待ちなさい知崎君!」
「きゃははは!ボクを捕まえてごらんなさ〜い!」
「何じゃ何じゃ、あやつ一人で出て行ったぞ!」
「最近の若者は血気盛んですねえ!」
私が知崎君を追いかけようとすると、後ろで古城さんと目野さんが何かを言っていた。
すると秋山君がモノクマに尋ねる。
「…ねえ、止めなくていいの?」
『ん?何を?』
「知崎君はさ、お前らの親玉を殺そうとしてるんだろ?黒幕を殺されたら、お前らにとって不都合なんじゃないのか?」
『ギャハハハ!!!んなワキャねーだろ楽斗ボーイ!!黒幕だってここにいる以上はこのコロシアイの参加者!黒幕が死んだくらいじゃコロシアイは終わらねーんだYO!!』
「……だと思ったよ、クソ」
モノDJが下品に笑いながら言うと、秋山君は悔しそうに頭を掻いた。
でもこれで分かったのは、黒幕が殺されても学級裁判は開かれ、コロシアイ学園生活は続行するという事。
ここから生きて出るには最後の二人まで人数が減るか、自力で脱出口を見つけるかしか道は残されていない。
リカのお陰でやっと脱出の糸口を掴めたんだ。
あと2日で学園のネットワークを掌握できるって聞いて、やっとバラバラになった皆の心が一つになったところなんだ。
リカの努力を、皆が必死に生き抜いてきた23日間を、こんなところで台無しにされてたまるか…!
これ以上、誰かを死なせるわけにはいかないのよ!
◇◇◇
私達は、手分けして逃げた知崎君を探した。
ったくあの問題児…!
覚えてなさいよ、見つけたらガツンと言ってやるんだから!
私とマナと古城さんが校舎を、加賀君とリカが研究棟を、秋山君と目野さんが寄宿舎を探した。
するとその時、突然私達全員宛にメッセージが届く。
『みんなー!今から校舎1階の視聴覚室にしゅーごー!』
突然送られてきた知崎君からのメッセージに、私達は全員動揺を隠し切れなかったが、とりあえず全員知崎君の指示通り視聴覚室に集合した。
ーーー 視聴覚室 ーーー
知崎君が私達に召集をかけてから10分足らず、知崎君以外の7人全員が視聴覚室に集まった。
加賀君は、腕を組んで若干イライラした様子でボソッと呟く。
「…全く、あの問題児…俺達をこんな所に集めさせて何がしたいんだ」
「全くですよ!!空気読めなさすぎです!!」
…加賀君、目野さん。
あなた達それ、自分にも返ってるからね?
私が心の中でツッコミを入れた、その時だった。
『レディース!!アーーーンド!ジェントルメーーーン!!』
突然、どこからか知崎君の声が響き渡る。
その声が聴こえた直後、私達はキョロキョロと視聴覚室の中を見渡して音源を探した。
「むっ、何じゃ何じゃ!?」
「あのスピーカーちゃんからの音声ですね!」
機械慣れしていない古城さんはいきなり聴こえてきた声に驚き、目野さんはすぐに音源のスピーカーを見つけ出して指差した。
するとその直後、視聴覚室に設置された一番大きなモニターがパッと光る。
そこには、和室からメカマサムネが手を振っている映像が映っていた。
声の主からして、中に乗っているのは知崎君だろう。
『にゃはははー!驚いたー!?皆大好き蓮ちゃんだよぉ〜!』
知崎君は、やけに上機嫌で画面の向こうの私達に向かって話しかけてきた。
いきなり映像を使って話しかけてくるなんて、一体何が目的なの…?
私がそんな事を考えていたその時、知崎君がカメラを覗き込みながら言った。
『んーっとねぇ、実は皆に良いお知らせがあるんだー!』
そう言って知崎君は、誰かを引きずって私達に見せてきた。
彼が引きずって見せた人物……それは、ネロのパソコンの映像に映っていた白黒の少女、白瀬クロヱだった。
白瀬は、目隠しと猿轡をされて、手を後ろで縛られて私達の眼前に晒されていた。
「……!」
『じゃーん!!見てよこれ!ボク、ついに黒幕ちゃんを捕まえちゃいましたーーー!』
「知崎君、あんたなんて事…!」
『おーっと、動くな!ちょっとでも動いたら、こいつの首が飛んじゃうよ?』
そう言って知崎君は、メカマサムネに持たせていたサバイバルナイフを、白瀬の首元に突きつけた。
すると白瀬の首にはツゥっと赤い筋が走る。
私は、思わず前に飛び出して叫んだ。
「やめなさい!!」
『やめないよー。だってコイツがボク達を閉じ込めたのが悪いんだもん!当然の報いでしょ?』
知崎君は、メカマサムネを使って白瀬を締め上げながら上機嫌でナイフの刃先をぎらつかせる。
すると秋山君が冷めた目で知崎君を睨みながら言った。
「君、そんな事したらどうなるかわかってるの?」
『わかってるってばよ!どうせオシオキが怖いからハッタリ言ってるだけだって思ってるでしょ?ボクはやる時はやる子なんだもんね!』
メカマサムネに乗った知崎君は、ケラケラ笑いながらナイフを振り回した。
本人の顔が見えなくてもわかる。
彼は本気だ。
本気で、白瀬を殺そうとしている。
『ただなぁ…ボクだって鬼じゃないし?っていうかオシオキで死ぬのなんて絶対嫌だし、できればコイツを殺さずに済む方法を考えたいんだけどさ!皆が来てくれた事だし、ボクは皆とゲームがしたいんだよね!』
「ゲームじゃと!?」
知崎君がニコニコと笑顔を浮かべながら言うと、古城さんが知崎君を睨みつける。
すると知崎君は、大袈裟な身振り手振りをしながら言った。
『今から1時間以内にボクを探し出してみなよ!もしボクを探し出す事ができたら、その時はコイツを解放してあげる!でももし1時間以内にボクを見つけられなかったら…その時は、わかってるよね?』
そう言って知崎君は、白瀬の首を締め上げた。
これは脅しなんかじゃない。
本気だ。
早くしないと、白瀬が殺される。
もし彼女が黒幕だったとしても、殺すなんて間違ってる。
私はもう、誰かが死ぬのを見たくないのよ…!
『じゃーねー!』
知崎君のその言葉を最後に、映像がブツッと途切れた。
私達は、気がつくとお互いに顔を見合わせていた。
すると秋山君が徐に口を開く。
「…ねえ。あの映像が撮影されてた場所、和室だったよね?」
「ええ。行ってみましょう」
私達は、知崎君がメカマサムネを使って白瀬を人質に取っていた和室へと向かった。
私は、勢いよく和室の扉を開けた……のだが、案の定そこには誰もいなかった。
「おらぬじゃと!!?」
「…まあ、これで見つかったら苦労はしないわね。地道に探していきましょう」
「うん!」
話し合いの結果、私、古城さん、マナは校舎を、加賀君とリカは研究棟を、秋山君と目野さんは寄宿舎を探す事になった。
私は1階と2階を、古城さんは3階と4階を、そしてマナは5階と6階を探した。
私は、校舎の1階と2階を片っ端からくまなく探した。
…けれど、知崎君と白瀬はどこにも見つからなかった。
「いない…」
この階にはいないようね…
じゃあどこにいるっていうの…?
私は、ちょうど3階と4階を探していた古城さんと合流した。
「古城さん、二人は?」
「おらんかったぞ!」
知崎君は、3階と4階にもいないようだった。
…ったく、どこ行ったのよあの問題児…!
待ってなさいよ、絶対見つけてやるんだから…!
私は、そう心に決めながら古城さんと一緒に5階に行こうとした。
すると、その時だった。
「キャアアアアアア!!!!」
「「!?」」
突然、上の階からマナの悲鳴が聴こえてきた。
突然聴こえてきた悲鳴に、古城さんが狼狽える。
「い、今の、聲伽の声かァ!?」
「行きましょう!」
私は、古城さんの腕を半ば強引に引っ張ってマナの声がした方へと駆けつけた。
マナ、どうか無事でいて…!
ーーー 校舎6F ーーー
私達が校舎6階に駆けつけた、その瞬間。
「うわ熱ぁ!!?」
突然、私達の方に熱風が吹きつけてきた。
6階には煙が立ちこめていて、煙の中が時折赤く光る。
あそこには植物庭園があったはずだ。
まさか…!
「古城さん、煙吸わないで!」
「むっ!?お、おうわかった!」
私は、火の手が上がる校舎6階の植物庭園へと迷わず駆けつけた。
黒煙の中に、蠢く人影が見えた。
「マナ!!!」
私は、煙の中で動いた人影へと駆けつけた。
そこには、植物庭園の前で倒れているマナがいた。
「マナ、しっかりして!マナ!!」
「ううっ……げほっ、げほっ……!」
私がマナを抱き抱えて叫ぶと、マナはゆっくりと目を開け、私の腕の中で咳き込んだ。
マナは、服が燃えて全身黒い煤が付いていたものの、奇跡的に軽傷だった。
でも、火の手が収まらない限りはどうしようも…!
そんな事を考えていたその時、私の視界の端に非常ベルが映り込む。
…!!
あれだ!!
私は、迷わず非常ベルを拳で殴った。
するとその直後、耳を劈くベルの音が鳴り響き、どこからか消防士の格好をしたモノクマとモノDJが現れる。
『ヘイヘイテメェらなんて事してくれちゃってんのよ!!このまま火事で全滅なんてTOO BAD!!』
『しょうがないなぁ……こんな事もあろうかと呼んであります!!殺人ファイアマンにお任せあれ!!』
そう言ってモノクマとモノDJが後ろを指すと、どこからか消防車が走ってくる。
モノクマとモノDJは、大量の消火剤で植物庭園の火を消した。
モノクマ達の消火活動のおかげで、ようやく火の手が収まった。
「マナ、大丈夫?」
「う、うん……」
私が声をかけると、マナが力なく答えた。
私がマナの介抱をしていると、私の後ろで立ち尽くしていた古城さんが徐に口を開く。
「おい、お主ら……あれ……」
そう言って古城さんが指を差した、その先には………
「…………!」
そこには、そこにあるはずのないものがあった。
ひどく異臭が漂う、黒く焦げた死体。
気化した脂が口周りに付着するのが不愉快に感じる。
その死体には、深々と、何本もの槍が刺さっていた。
そこには………
【超高校級の脚本家】、そして【超高校級の絶望】、白瀬クロヱの死体があった。
私達が白瀬の死体を見た、その瞬間だった。
ピーンポーンパーンポーン
『死体が発見されました!生徒の皆さんは、至急校舎6階の廊下にお集まり下さい!』
私達三人が白瀬の死体を見たから、死体発見アナウンスが放送された。
だが、その直後だった。
ピーンポーンパーンポーン
『死体が発見されました!生徒の皆さんは、至急研究棟2階の【超高校級の魔術師】の研究室にお集まり下さい!』
…嘘だ。
そんなわけ……
何でもう一回死体発見アナウンスが鳴ってるのよ!!?
◆◆◆
その頃、【超高校級の魔術師】の研究室では。
「う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!そんなっ、そんなあ゛あ゛あ゛!!!」
【超高校級の機械技師】目野美香子が、涙を流しながら大泣きしていた。
その近くでは、【超高校級の音楽プロデューサー】秋山楽斗と、【超高校級の魔術師】加賀久遠が立ち尽くしていた。
彼等の視線の先には………
ただの鉄屑と成り果て、二度と動かなくなった【超高校級のAI】リカの本体があった。
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級の泥棒】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の音楽プロデューサー】
残り?名
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のバレーボール選手】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級の獣医】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の忍者】
【超高校級の美食家】【超高校級の殺人鬼】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級の大工】
【超高校級のAI】リカ
【超高校級の脚本家】【超高校級の絶望】
以上11名
『うぷぷ、今のところ順調に進んでるね。ぜーんぶボクの計画通りだなぁ』
【超高校級の脚本家】【超高校級の絶望】
性別:女性
身長:148cm 体重:42kg 胸囲:88cm 血液型:A型
誕生日:1月1日(山羊座) 年齢:不明 利き手:左
出身校:魁清学園高校 出身地:東京都
趣味:不明
特技:不明
好きなもの:絶望
嫌いなもの:希望
家族構成:不明
得意教科:現代文、英語
苦手教科:なし
イメージカラー:白と黒
容姿:左右で白と黒に分かれたロングヘアーを輪っかに結んで三つ編みにしている。右目は黒、左目は赤のオッドアイ。
服装:白いブラウスと黒いサロペットの上に左右で白と黒に分かれたコートを羽織っている。左脚にだけ黒いハイソックスを着用。右が白、左が黒のローファーを着用。
パンツ:左右で白と黒に分かれたショーツ。
人称:ボク/キミ、オマエラ/男子:苗字+クン、女子:苗字+サン
映画やドラマ、ゲームなどの脚本に携わり、歴史に名を残す名作の数々を生み出してきた空前絶後の脚本家。彼女が脚本を手がけた『白の君と黒のあなた』が全世界興行収入一位になった功績から、【超高校級の脚本家】として我が未来ヶ峰学園にスカウトする事となった。
【超高校級の脚本家】という肩書きを持ちながら、裏では【超高校級の絶望】として暗躍していたテロリスト。何年も前からコロシアイの計画を立てており、リカからは黒幕ではないかと疑われていた。モノクマを思わせるような人の絶望を楽しむ趣味を持ち、『うぷぷ』という笑い方が特徴的。これでも在籍時の成績は優秀で、A組では学級委員長を務めており、クラスメイトからも人気があったようである。
【挿絵表示】
今更だけど推し教えて
-
腐和緋色
-
聲伽愛
-
玉越翼
-
小鳥遊由
-
知崎蓮
-
食峰満
-
越目粧太
-
聖蘭マリア
-
古城いろは
-
加賀久遠
-
目野美香子
-
館井建次郎
-
秋山楽斗
-
響歌音
-
ネロ・ヴィアラッテア
-
闇内忍
-
リカ