ジャスティスダンガンロンパX4 強くてコロシアイ再履修 作:M.T.
(非)日常編①
「ん………」
目を覚ますと、見覚えのない部屋にいた。
そうだ。
私は確か、知崎君を庇って…
誰かが運んでくれたのかしら…?
後でちゃんとお礼を言わなきゃね。
この部屋は…まるで高級ホテルの一室ね。
部屋は完全防音になっていて、部屋の中の音が隣の部屋に漏れないようになっているらしい。
部屋にはバスルームやトイレ、簡易式のキッチンも完備されていた。
大画面のテレビがあったけど、モノDJのラジオ番組か、モノクマとモノDJが登場人物の魔法少女アニメくらいしかやってなかった。
…こんな茶番番組をわざわざ作るとか、こいつら他にやる事無いのかしら。
クローゼットには私の制服と私服が一式入っていて、備え付けのドレッサーには最低限の道具が入っている。
さらにはご丁寧な事に、私のお気に入りの歯磨き粉と歯ブラシ、シャンプー類が完備してあった。
…なんというか、流石は最高峰って感じね。
でもここまで私の好みのものが揃ってると、逆に不気味ね。
特に私のお気に入りの紅茶のブランドなんて、どうやって調べたのかしら。
一応ベッドの横のデスクの引き出しも調べてみると、中には裁縫セットが入っていた。
裁縫セットの中は…針に裁ち鋏、あと糸を通すやつ、『スレダー』だったかしら…?それも入っていた。
それだけじゃなく、一枚の紙も入っていた。
「?」
紙切れを広げて読んでみると、これまた汚い文字が書かれていた。
一緒に描かれているモノDJとモノクマのイラストが不快極まりないわね。
『モノDJ 理事長&モノクマ学園長からのお知らせ
部屋の鍵は、生徒手帳をリーダーに翳すと開閉できるようになっております。生徒手帳を紛失・破壊してしまうと部屋の施錠・解錠が不可能となってしまいますのでご注意下さい。
また、女子の部屋のみ、シャワールームが施錠できるようになっています。
部屋には、バスルームとトイレが完備されていますが、夜時間は水が出ないので注意してください。
最後に、ささやかなプレゼントを用意してあります。女子には裁縫セットを、男子には工具セットをご用意しました。
裁縫セットには人体急所マップもついているので、女子のみなさんは、針で一突きするのが効果的です。
男子の工具セットを使用する場合は、頭部への殴打が有効かと思われます。』
「はあ……」
もうここまで悪趣味だと、怒りを通り越して悲しくなってくるわ。
私は、裁縫セットに入っていた紙を折り畳んでゴミ箱に捨てた。
そういえば、他の皆はどうしてるのかしら。
体育館で急に眠気に襲われたから、あれからどうなったのか全然把握できてないのよね。
皆に心配かけたでしょうし、そろそろ一声かけにいかないと。
私が外に出ると、外には玉越さんが立っていた。
玉越さんは、私の方を見てポカンとしていた。
「えっ、嘘!?もう起きたの!?」
…?
どういう事?
「あ、ごめん。由には回復の為に強めの睡眠導入剤を打ったから半日は目を覚まさないって聞いてたのに、思ったより目を覚ますの早かったから…」
睡眠導入剤…
ああ、それで急に眠気に襲われたのね。
「それよりもう動いて大丈夫なのかい?」
「…ええ。おかげさまで。もう傷口も痛まないし、このくらいなら動けるわ」
起きた時には傷の痛みもないし、傷口ももうほとんど塞がっていた。
小鳥遊さんと加賀君には後でお礼を言わなきゃね。
「それより他の皆は?」
「ああ、今は皆で開放中の施設を探索してたんだ。あ、そうそう。あたしらが今いるのは寄宿舎で、今開放中なのは校舎の一階、寄宿舎、研究棟だったよ」
「そうなのね。教えてくれてありがとう」
「困った時はお互い様だろ?いつでも気軽に声かけてよ」
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかしら」
「それでさ、今ちょうど12時なんだけど、今から皆で食堂に集まって報告会するとこだったんだよ。今から一緒に行かないかい?」
「ええ、そうね。皆には心配かけちゃったし、顔を出さないと」
私は、玉越さんに案内されるまま寄宿舎の食堂に向かった。
それにしても、この子本当にイケメンだわ。
きっとこのリーダーシップは、リーダーとしてチームを引っ張ってきた経験から培われているのでしょうね。
◇◇◇
食堂には、既に他のメンバーが集まっていた。
私が食堂に入ると、真っ先にマナが駆け寄ってくる。
「あ!緋色ちゃん!怪我はもう大丈夫と!?」
「ええ、おかげさまで。皆、助けてくれてありがとう」
私は、皆に頭を下げてお礼を言った。
まだ会ってから数時間しか経っていないのにここまでしてもらって、感謝してもし切れないわ。
「気にしなくていいよ。それより、思ったより元気そうで良かった」
「ん」
秋山君がニコッと笑って言うと、小鳥遊さんも頷いた。
その時、いきなり知崎君が飛び出してくる。
「緋色ちゃん!!ホント無事で良かったよ〜!!ボク、緋色ちゃんが死んじゃったらどうしようかと…!」
知崎君は、わざとらしく泣きながら私に抱きついてきた。
あんな事をしでかしておいてこの図太さ、ある意味尊敬するわ…
「とりあえず全員集まった事だし、情報共有しないとね」
「待って、その前に腐和さんにアレを説明してあげるべきじゃないかな」
アレ…?
私がキョトンとしていると、秋山君が説明をしてくれた。
「実はあの後またあの体たらく二匹が現れて、俺達に校則とやらを説明していったんだ」
「校則?」
「生徒手帳のスイッチを押して空中にかざしてごらん」
秋山君に言われるがまま、私は手を空中に翳した。
すると、ブンッと音を立てて空中に画面が浮かび上がった。
表示された画面には、一世代前の携帯電話みたいにアイコンがいくつか並んでいて、その中の一つに『校則』と表示されていた。
校則のアイコンをタップすると、校則が画面に表示される。
《未来ヶ峰学園校則》
ー、生徒の皆さんはこの学園だけで共同生活を送りましょう。共同生活の期限はありません。
二、夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
三、未来ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
四、理事長ことモノDJと、学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
五、殺人事件が発生した場合、一定の捜査時間の後、全員参加の学級裁判が行われます。
六、学級裁判で正しいクロを指摘できた場合、クロだけがオシオキされ、残りのメンバーで共同生活続行となります。
七、クロの指摘に失敗した場合、クロ以外の全員がオシオキされ、クロのみ『卒業』する事ができます。
八、シロが勝ち続けた場合、最後の二人になった時点でコロシアイ生活は終了となり、残った二人は『卒業』する事ができます。
九、モノDJ及びモノクマが殺人に関与する事はありません。
十、校則は順次増えていく場合があります。
十一、男子は男湯、女子は女湯にしか入れません。
…なるほどね。
大体わかったわ。
校則を破ったら殺されるけど、校則の自由度は思ったより高いわね。
校則は一通り見た事だし、マップを確認しようかしら。
マップを見る限り、開放されているのは、
寄宿舎は16人分の個室、ラウンジ、大浴場、ランドリー、食堂、トラッシュルーム。
校舎には教室が三つ、視聴覚室、保健室、体育館、体育館前ホール、ロッカールーム、購買部、玄関ホール、謎の赤い扉。
研究棟は秋山君、古城さん、玉越さん、響さんの研究室。
行ける施設はこれだけしかないのね。
せめて図書室とかは行けるようにしてほしかったわ…
…あら?
保健室が開いてるなら、私を保健室で処置する事もできたはずよね?
なのにどうして皆はわざわざ私を部屋に運び込んだのかしら。
「どうかしたのかい?」
「ああ、いや…今更だけど、本当にゲーム感覚でコロシアイをさせる気なのね」
「みたいだね。それじゃあ、腐和さんも校則とマップを確認した事だし、早速情報共有をしようか」
秋山君が言うと、早速越目君が手を挙げる。
「じゃあまずオレちゃんからいい?寄宿舎には個室が全員分あったぜ!」
「越目くん、それは調べんだっちゃ生徒手帳んマップ見りゃあわかるんやなか?」
「要するに何も収穫がなかったって事かよカス」
「うっ!!」
「ちょっと歌音」
越目君が自信満々に言ったけど、マナと響さんにツッコまれて悔しそうに黙った。
響さんは、言葉の粗さが目立ったせいか秋山君に注意されていた。
「そ、そう言う響ちゃんは何かわかったのかよ!?」
「寄宿舎の至る所に監視カメラがあった。あと、個室は完全防音っぽい。それから、個室の鍵を開けられるのは個室に対応した指輪だけらしいぜ。これで満足かよ?」
「あと、入ってすぐんところにあるラウンジ、ばりオシャレやったよ!フカフカのソファーとかでっかいテレビとかもついとったし!」
「あ、そうそう。寄宿舎の探索ついでで俺はトラッシュルームとランドリーを見たんだけどさ。ランドリーの洗濯機とトラッシュルームの焼却炉は夜時間中動かないらしいから皆気をつけてね」
響さんと秋山君が報告をすると、今度は食峰君が手を挙げて報告した。
「じゃあ次はオレだな!!食堂にはデッケェ厨房があったぜ!!」
「拙者が一応毒味をした故、食堂の食事の安全は保証するでござるよ」
「あと学園長曰く、食材は毎日追加されるから餓死の心配はないらしいぜ!!」
「あのクマ公共が嘘ついてなきゃの話だがなァ」
「やめてそげな事言うん。話が進まなか」
食峰君の報告にネロが水を差すと、私が注意をする前にマナが注意をした。
正直、皆ピリピリしてるんだからそういう事言うのはやめてほしいわ。
「じゃあ次はうちやな!うちは大浴場ば調べたっちゃけど、ばり広かったばい!まるで銭湯みたいやった!温泉もあるったいって!」
「マナ、脱線してないかしら?」
「あー、大浴場には生徒手帳がなかと入れんらしいばい。それと夜時間中は立ち入り禁止なんやって」
マナが報告そっちのけで大浴場の魅力をつらつらと話したので、思わずツッコミを入れた。
マナは私のツッコミでやっと脱線してる事に気付いたのか、恥ずかしそうに頭を掻きながら報告を続けた。
マナが報告すると、男湯の方を探索していた闇内君が報告する。
「脱衣所と風呂場は男女別でござる。モノクマ曰く、男子生徒は男湯、女子生徒は女湯にしか入れぬとか。その掟を破ると、機関銃で蜂の巣にされるでござる。至極無念でござる」
「当たり前じゃない。あんたいい加減にしなさいよ」
校則がなくても、異性の風呂場に入らないなんて常識じゃないの。
っていうか、わざわざモノクマに言われたって事は闇内君、一度は女湯に入ろうとしたって事よね?
やっぱりこいつ一回シメた方がいいんじゃないかしら。
「あ、そうそう!闇内くんで思い出したっちゃけど!」
闇内君で思い出したって何よ、マナ。
「お風呂場には監視カメラが無かったっちゃん!」
「えっ、それ本当?」
「うん!」
「なるほどね、風呂場だと湯気で見えないから…」
「じゃああのクマに見られたくねえ時は風呂場で話せばいいんだな!?」
思いもよらぬ大収穫だったわね。
じゃあ今のところ、風呂場だけがあいつらの監視を掻い潜れる唯一の死角って事ね。
マナの情報に皆が表情を明るくしたけど、ネロだけは不機嫌そうにため息をついていた。
「はぁ…これだからバカガキは嫌いなんだよ」
「ネロ…?」
「それはどう考えたって今言う事じゃねえだろ。お前らがこぞって風呂場に集まったらどうなると思う?」
「俺も同意見だ。そうなったら、モノクマ達にバレてより高性能な監視カメラか盗聴器が設置される可能性が高い。それだけならまだいいが、今回の情報をもとに誰かが浴場を殺人現場に選ぶ事も考えられる。どのみち、言う相手と場所を考えるべき情報だったな」
ネロに続けて、加賀君もマナの証言を非難した。
二人に叱責されたマナは、落ち込んで俯いてしまった。
「……ごめんなさい」
確かに二人の言う事ももっともだけど、ちょっと言い過ぎじゃないかしら…
そんな事を考えていると、玉越さんが二人を注意した。
「二人ともそろそろやめなよ。もう過ぎた事を責めたって仕方ないだろ?愛だって、うちらが情報を欲しがってると思ったから正直に言ってくれたんだしさ」
「それに、聲伽さんの報告が必ずしもマイナスだったわけじゃないよ。少なくともこうして情報を共有した事で、誰かが風呂場を殺人現場に選ばないように予防線を張れるじゃないか」
「大事な報告も入浴ついでとかにすればいいだけだしね。監視カメラが無いって事を皆で共有できただけでも十分な収穫だと思うわ」
玉越さんと秋山君が愛をフォローしたので、私も二人に賛同した。
これで皆少しはお互いの事を信用できるようになってくれたらいいのだけれど…
「監視カメラが無いとな…!?という事は覗きし放だ「少なくともこういうバカへの対策はできるようになったわよね」
「う、うん…緋色ちゃん容赦なかね」
私が闇内君をボコボコにして吊し上げるとマナが引き気味に見てきたけど、変態に情け容赦なんかいらないわ。
汚物は消毒よ。
「さて、寄宿舎の報告はこの辺にして…次は校舎の方の探索したうちらだね」
玉越さんが言うと、今度は加賀君、ネロ、目野さんの三人が報告をした。
「俺達は教室を調べたんだが、1ーA、1ーB、1ーCの三つが開放されていて、どの教室も構造はほとんど同じだった。夜時間中は自動で鍵がかかる仕組みらしい」
「学園内の施設で災害とかがあった場合、防災システムが発動するそうだ。それから、窓のシャッターはどうやっても開かなかったぜ」
なるほど、何が何でもコロシアイ以外では殺さないって事か。
よっぽど私達にコロシアイをさせたいのね…
「はい!!連絡手段は一切合切ナッシングです!残念でした!!」
「チッ、連絡手段が無えならいちいち報告すんじゃねえよ」
「コラ、やめな。連絡手段が無かったっていうのも十分な情報だよ」
目野さんが報告をすると響さんが悪態をついたので、玉越さんが窘めた。
すると今度は館井君、聖蘭さん、古城さんが報告をする。
「……校舎内にあった赤い扉だが、いくら調べてもビクともしなかった。以上だ」
「ええと…私は視聴覚室を調べたのですが、正面に大画面があるのと、映像を映す機械があるくらいで特におかしなところはありませんでしたわ」
「ぬはははは!!次はワシじゃな!よく聞けい愚民共!ワシが歴史的大発見をしてやったぞい!購買部にはな、『モノモノマシーン』なる珍妙な機械が置いてあったのじゃ!何やら学園中に散りばめられた金貨を集めて入れるとな、其奴が卵を産んで中から宝が出てくるというのじゃ!面白いじゃろ!?」
「ああ、あの悪趣味なガチャガチャね。まあ皆時間ある時に試してみたらいいよ。次、あたしらいいかい?」
古城さんの報告を皆にわかりやすいように言い換えた玉越さんは、次は自分が報告をした。
「あたしは由と、あと蓮を連れて保健室を見てたんだけどさ。薬とか包帯とかメスとか、まあ応急処置に必要な道具は一通り揃ってたよ。軽い怪我とか病気とかなら保健室での治療で十分なんじゃないかな」
「ん」
“中には危険な薬品もあるので使う時は一声掛けてください”
玉越さんが言うと、小鳥遊さんも手帳のメモ機能で文字を書いて表示した。
最後は知崎君の番か…
「はいはいはーい!あとねえ、ボク保健室でヤバいもの見つけちゃったんだよ〜!ねえねえ何だと思う?不思議不思議〜!」
すっごい聞いてくるけど嫌な予感しかしないわね…
「あのねあのね、大人のオ、モ…」
知崎君が言い終わる前に、玉越さんが知崎君の頭に拳骨を落として黙らせた。
玉越さんがやらなかったら私が黙らせるところだったわ。
「うちらからの報告は以上。何か気になる事があったら気軽に声かけなね」
玉越さんがミーティングを切り上げると、さっきの知崎君の発言が気になったマナがコソッと私に聞いてくる。
「ねえ緋色ちゃん、さっき知崎くん何言おうとしとったと?」
「あなたが知らなくていい事よ」
純粋なマナがそっち方向に持っていかれるなんてあってはならない事だからね。
というかそんなものまで置いてあるなんて、完全にセクハラじゃないの。
あいつら何考えてんのかしら。
私がそんな事を考えていると、古城さんが突然暴れ出した。
「ぬぁーーーもう!!いつまでつまらん話し合いを続ける気じゃ!!ワシャあ腹が減って仕方ないわい!!飯はまだか!?」
あ…
そういえばもうお昼時だものね。
「確かにもうこんな時間だしね…」
「っしゃあ!!ここはオレの出番だな!!とびっきり美味え飯を作ってやるぜ!!」
「俺も手伝っていいかな?流石に16人分の食事を一人で料理するのは骨が折れるし非効率だろ?俺も食峰君程じゃないけど料理に自信はあるんだ」
秋山君、料理できたのね。
流石、何でもそつなくこなせる人は凄いわ。
「秋山くん料理できたんやな!何作るーと?」
「うーん、よく作るのはグリーンカレーと麺から作るフォー、あと創作料理とかも趣味でやるよ」
すごい本格的ね。
私も見習わなくちゃ。
「あたしも手伝っていいかい?弟達の飯は毎日あたしが作ってたし、それなりには作れると思うよ」
玉越さんも普段料理する人なのね。
何だろう、すごい二人からイケメンオーラを感じるわ…
「そういう事ならどんどん手伝ってくれ!オメェら、アレルギーとかあったらちゃんと言えよ!」
「アレルギーというわけではないのですが…宗教上の理由で肉類は避けているので私の食事には入れないでいただけるとありがたいですわ」
「わかった、んじゃあマリアの食事には入れねぇでおくわ!他は?」
「ボク野菜アレルギーだから野菜全般無理なんだよねぇ」
「あ、狡い!じゃあワシも!ワシも実は野菜アレルギーなんじゃ!!そういうわけじゃからワシの食事には野菜を入れんでくれ!頼む!」
知崎君と古城さんのは…うん、ただの好き嫌いね。
好き嫌いをアレルギーだと平然と嘘をつかれるのは不愉快だから、ちょっと言ってやろうかしら。
「ねえ知崎君、古城さん。あなた達、イチゴやスイカは食べるの?」
「うん、ボク甘いものだーいすき!」
「当たり前じゃろが!!夏は西瓜じゃ!!」
「イチゴやスイカも一応野菜なんだけど。野菜アレルギーのくせにイチゴやスイカは食べていいなんて、おかしな話よね?」
「うぐ…!!」
「知ってる?野菜を食べない生活を続けていると正常な思考能力が低下するというデータがあるのよ。本当にアレルギーの人は他の食材やサプリメントで代用してきちんと栄養管理するはずなんだけど、あなた達はどうせそんな事してないのよね?高校生にもなって恥ずかしげもなくそんなくだらない嘘で偏食を正当化できるのは、頭に栄養が足りてないからじゃないのかしら?」
「う、うぅ……」
「あなた達は超高校級でしょ?天才なんでしょ?だったら野菜くらいちゃんと食べられるわよね?まさかとは思うけど、野菜が嫌いだから食べないとか凡人以下の無駄口叩いたりしないわよね?」
「「………はい」」
ここまで言って、やっと二人ともわかってくれた。
くだらない嘘で誤魔化そうったって、そうはいかないわ。
しばらくして、三人が作った食事が運ばれてきた。
中華料理か…しかも結構本格的な料理が並んでいる。
まだ昼間なのに豪華ね。
食峰君が作った油淋鶏と小籠包、秋山君が作ったジャコのチャーハンと杏仁豆腐、玉越さんが作ったキュウリとクラゲの冷菜に玉子とワカメのスープ。
どれも美味しそう。
「わーい!美味しそう!いただきまーす!!」
「あっ、ちょっと!?」
料理がテーブルの上に並べられると、知崎君は皆の分のお皿からちょっとずつ料理を、しかも一番美味しい部分を取って食べてしまった。
「んーおいしい!!」
「ちょっと、なんて事すんのよ!!汚いから自分の分だけ食べなさいよ!」
「毒味だよ毒味!皆の分の料理に本当に毒が入ってないか確かめてあげ…うぐっ!?」
私が知崎君の襟首を掴んで注意すると知崎君は悪びれずに笑ったけど、急に胸を押さえて苦しみ出した。
「う、うぐ…ぐ、ぐるじい…!」
「おい、どうなってんだよこれは!?」
「もしや毒でござるか!?」
「な、なんじゃとぉ!?」
「ぎゃわあああああ!!えっと、えっと、どうすればいいんでしょう!?とりあえず焼却炉に遺体を放り込んだ方がいいですかね!?」
「助からん前提で言わんでよ!うち、保健室から薬持ってくる!」
知崎君が倒れてもがき苦しむと、越目君、闇内君、古城さん、目野さんが慌てふためいた。
館井君も、声には出さなかったもののかなりオロオロしている。
マナは、知崎君を助ける為に薬を取りに保健室へ走って行こうとした。
「知崎は料理を食べてから倒れた…となると……」
そう言って館井君が料理を作った三人の方を見ると、響さんが秋山君以外の二人に詰め寄って問い詰めた。
「テメェらまさか料理に毒盛ったんじゃねえだろうな!?」
「誰がそんな事するか!!毒を盛るなんざ料理への冒涜だ!!」
「あたしらは知らないよ!」
「おお、神よ…」
響さんが問い詰めてるけど、二人とも本当に何も知らないみたいだ。
聖蘭さんは、この惨状を嘆いて祈りを捧げている。
うん。皆が騒いでるとこ申し訳ないけど、これは…
「…チッ、これだからガキは嫌いだ」
「ああ。全くだ。悪趣味にも程がある」
「ね」
私以外だと、ネロ、加賀君、小鳥遊さん、秋山君はもう真相にたどり着いているみたいだった。
秋山君は、倒れた知崎君の肩を揺すった。
「知崎君。もういい悪ふざけはやめなよ。洒落になんないから」
秋山君が知崎君を揺すると、倒れていた知崎君はパチっと目を開けて起き上がった。
そして、ぐぃーっと伸びをして大きなあくびをした。
「ふぁ〜あ。よく寝たぁ〜!」
知崎君が大きなあくびをすると、古城さんと目野さんが慌てふためく。
「ぬぁああああああ!!?い、生き返った!!悪霊じゃ此奴!!悪霊退散!!」
「落ち着いてください!知崎さんはきっとゾンビになってしまったのかと!頭部を確実に破壊しましょう!」
「オメェがまず落ち着け!」
「神よ…」
古城さんと目野さんが動揺していると越目君が落ち着けようとしたけど、越目君も十分動揺している。
聖蘭さんは、始終手を組んでお祈りをしていた。
それを見て知崎君が笑ってると、秋山君が知崎君を問い詰める。
「知崎君。こんな状況に置かれて皆がピリピリしてるの知ってるよね?」
「やだなぁ〜、ちょっとしたサプライズじゃない!皆がピリピリしてるからこそ、こうやってちょっとガス抜きをだね…」
知崎君のその発言に、自分の中で何かがプツンと切れた。
他の皆も言いたい事はあるだろうけど、ここからは私に任せてもらおう。
私は、両手でガシッと知崎君の顔面を掴むと、真正面から微笑んで言葉をかける。
「えっ、何?」
「知崎君。この共同生活では、皆の信頼が何よりも大事だってわかるわよね?今のサプライズで誰かがトラウマになって信頼が崩れたら、あなたはどうするつもりだったのかしら?」
「どうするって…え、だってちょっとした冗談…」
「どういうつもりでやったかを聞いてるんじゃないの。皆の信頼を傷つけた事に対してどう落とし前つけんのかって聞いてんのよ。ねえ」
私が知崎君を至近距離で睨みながら言うと、知崎君はだんだんとしどろもどろになる。
もうここまできたらあと一押しね。
「あなたはもう高校生なんだから、こういう時の謝り方くらいわかってるわよね?」
私がそう言うと、知崎君は皆に土下座をした。
「………ごめんなさい」
「わかってもらえたみたいで嬉しいわ。冷めちゃうから早く食べましょ」
「う、うん…」
「さすが極道の娘…怖え…」
私が立ち上がって皆に笑顔を向けると、マナが引き攣った表情を浮かべながら頷いた。
越目君が何か言ってるような気もしなくもないけど、気のせいかしら。
これで少しは軽率な行動をする人がいなくなるといいんだけど。
◇◇◇
こうして私達は最初の食事をする事になったのだけれど、これがもうとても美味しかった。
「んめぇー!!」
「うむ、美味でござる」
「おお、そっか!!」
「気に入ってくれたみたいでよかったよ」
越目君と闇内君が美味しそうに食事を食べると、三人とも喜んでいた。
「これうまかね、緋色ちゃん!」
「そうね」
「ったりめーだろが。楽斗が作ったンだからよ」
「え?」
「何でもねーよクソ!」
今、響さんの態度が急に変わった気がするんだけど。
響さん、もしかして秋山君の事…
「普通に食事をするなんて数年ぶりだな」
「たまには普通の食事もいいですねぇ!」
「……悪くねえ」
加賀君、目野さん、ネロの三人も食峰君達の食事を気に入ったみたい。
「美味い……」
「ね」
館井君も、ほとんど表情には出さなかったけど料理の味に感動していた。
小鳥遊さんも、わかりづらいけどマフラーの中で口がもぐもぐ動いていた。
「とてもおいしいですわ。私の希望にお応え頂きありがとうございます。食峰様、秋山様、玉越様」
菜食を希望していた聖蘭さんも、食峰君達が作った食事の味に満足していたみたいだ。
でもそんな中で、約二名が行儀の悪い事をしていた。
「あっ、知崎テメェ!今オレの肉奪ったろ!」
「ボーッとしてるのがイケナイんだよ。ボクのこの変な野菜あげるから許してよ」
「等価交換になってねえじゃねえか!」
「…ねえ、何かうちの皿ん野菜増えとー気がするっちゃけど」
「気のせいじゃろ!」
知崎君は隣の席の越目君の分の肉を奪っておきながら交換という名の野菜の押し付けをしていて、古城さんに至っては野菜を隣の席のマナのお皿の上に無断で置いていた。
それを目敏く見つけた私は、二人を睨みつけて注意をする。
「ちゃんと野菜も食べなさい」
「「………はい」」
私が二人に注意をすると、二人とも嫌そうな顔を浮かべて野菜を食べた。
「うっ…ぷ」
「オェ…」
「『オェ』?」
二人が野菜を吐き出そうとしたので、二人を睨みつける。
すると二人は、棒読みで台詞を言いながらバクバクとお皿の上の野菜を食べ始めた。
「わあーこれすっごくおいしい」
「やっぱり野菜は最高じゃなー」
二人を睨んで監視しつつ、皆でおいしく食事をした。
本当にどれもおいしかったわね。
でも作らせてばかりも悪いし、次からは私も手伝おうかしら…
「ご馳走様。美味しかったわ」
「そっか、良かった!」
「次からは私も手伝っていいかしら?働かせてばっかりも悪いし。今回の食事ほどじゃないけど、それなりには出来ると思うわ」
「ん」
「んじゃオレも手伝うとすっか。オレちゃんもたまに料理してインスタに上げたりすっからな」
「拙者も人並みには作れるでござるよ」
「…盛り付けが下手でも良ければ」
私が言うと、小鳥遊さんと越目君、闇内君、それから館井君も名乗り出た。
意外と料理できる人多いわね。
「うちも料理はようやるっちゃけど、まずそうって言わるーったい!シチューに塩辛入れたり、味噌汁に納豆入れたりするだけなんにね!」
シチューに塩辛…
食べてみたら意外と美味しいのかもしれないけど、いきなり食べろって言われたら結構勇気がいるわね。
「私もお料理はするのですが、何故か美味しくないと言われてしまいますの。お力になれず申し訳ありません」
「ボクは料理できるよ!ね●ねるねるねとか、卵かけご飯とかなら作れるよ!」
知崎君のそれは…
…料理?
うん、まあ料理と言われればそうね。
他の人達は…
「料理なんか嫌いじゃ!!」
「悪いが専門外だ」
「お料理メカちゃんに任せちゃえばイッパツなので、自分では作らないですね!」
「まともな料理なんざやった事ねえよ」
「くだらねぇ」
まあ予想してた通りね。
「それじゃあお腹も膨れた事だし、今から自由時間にしようかね。ちょうど6時間後の18時に夕飯にするけど、それでいいかい?」
玉越さんが聞くと、誰も文句を言わなかった。
異論は無いみたいね。
「OK。何かわかった事があったら随時報告する事。じゃ、解散!」
玉越さんが言うと、それぞれバラバラに行動し始めた。
さて、今のうちに施設を探索しておかなきゃ。
ーーー 生き残りメンバー ーーー
【超高校級の警察官】
【超高校級の幸運】
【超高校級のバレーボール選手】
【超高校級の獣医】
【超高校級の???】
【超高校級の美食家】
【超高校級のメイクアップアーティスト】
【超高校級の聖母】
【超高校級の考古学者】
【超高校級の魔術師】
【超高校級の機械技師】
【超高校級の大工】
【超高校級の音楽プロデューサー】
【超高校級のボーカリスト】
【超高校級のマフィア】ネロ・ヴィアラッテア
【超高校級の忍者】
残り16名
ちなみに探索の班分け
女子風呂、個室、ラウンジ:聲伽、響
男子風呂、食堂:食峰、闇内
ランドリー、トラッシュルーム:秋山、越目
体育館、体育館前ホール、ロッカールーム、教室:加賀、ネロ、目野
赤い扉、購買部、視聴覚室:古城、聖蘭、館井
玄関ホール、保健室:小鳥遊、玉越、知崎
今更だけど推し教えて
-
腐和緋色
-
聲伽愛
-
玉越翼
-
小鳥遊由
-
知崎蓮
-
食峰満
-
越目粧太
-
聖蘭マリア
-
古城いろは
-
加賀久遠
-
目野美香子
-
館井建次郎
-
秋山楽斗
-
響歌音
-
ネロ・ヴィアラッテア
-
闇内忍
-
リカ