無題   作:白ノ宮

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あれ以来無言で歩き続けて駅に着いた。

 

両者ともに気まずい雰囲気で何度か暗城の方から話題提供を行ったが、後藤の返しが下手すぎてその場で会話が終わってしまっていた。

 

駅で電車を待つその間も無言が続いており、暗城は先ほどの判断は間違いだったかと内心頭を抱える。

 

二人が駅に着いた時間帯はまだ朝早く、通勤ラッシュにかすりもしない。

よって、電車の本数は少ないが基本的にどの車両も空席なのである。

そういったこともあり、電車が駅について二人は乗り込んだのだがその後の行動である。

 

暗城は何の躊躇もなく端の席に座るのだが後藤は暗城の傍にはいるが席に座ることなくつり革を掴んだのだ。その行動に興味を持ったのか暗城は後藤に質問をかける。

 

「後藤さん、何故座らないの?」

 

しかし帰ってきた返答は理解のし難いものであった。

 

「い、いえ、その....怖くて...」

 

「怖い?電車の席が?」

 

「あの、その....」

 

それ以降後藤は目線を泳がせるだけで喋らなくなってしまった。

おそらく無理に話しかけてもRPGのNPCキャラのように同じ言葉を繰り返すだけだろう。

 

後藤との対話を一旦諦めた暗城は、返答を頭の中で反芻しどういう意味なのかと考えることに意識を集中させた。

 

ふと気付けば相当時間が経っていたようで乗り換えの駅まであと一駅というところまで来てしまっていた。こういった長考に陥ることはあまりない。その原因となった人物を見ると、当の本人は携帯で何かをやっている。

 

あの後、結局答えが出てこずに無駄に集中力を使ってしまったことに後悔しながら後藤と共に学校に到着する暗城。

 

学校特有の少しだけ座り心地のいい椅子に体重を預け身を伏せる。

後藤との空間で疲労がたまってしまったのかもう学校で頑張る元気がどこかに飛んで行ってしまった。

 

(友達作りは明日にしよう。一、二週間は後藤さんと交流するのはやめておこう)

 

疲れる相手とは交流しない。そう判断するのは致し方ない事である。

 

──────

 

入学から二日目の本日は授業と言えるものはなく、全てホームルームで構成されている。そこでクラス内での係や所属する委員会を決定する。

クラス担当教員からそれぞれの説明がされた。

 

それが終わり次第、教科書の配布などが行われる。

 

─────

 

実に短い二日目が終了した。

現在は放課後であり、一年生はまだ部活に所属していないためそのままの下校となる。人によっては友達とどこかへ寄り道することもあるだろう。

 

「暗城さん、また明日!」

 

「えぇ、倉田さん。また明日」

 

友達作りは明日からといったがなんとなくの流れで、今の倉田さんの他に二人ほど友人ができた。このクラスの人たちは社交的な人間が多いらしい。こちらから話しかけることがなくてもあちらから交流を図ってくれる。

 

それで会話をしっかり続けていけば交友関係ができる。

この調子でいけば変に孤立することはなさそうだ。

 

と考えていたところである人物が頭に浮かぶ。

朝、一緒に登校をした人物である。

 

彼女は、こちらからの会話をぶった切りまくる。

そして私が見た限りでは誰かと親しく会話をしている様は一度も見ていない。

 

まさかと思い後藤さんの方を見ると、案の定机に突っ伏していた。心なしか横で少量で纏められている髪も萎れているような気がする。

 

とはいえここでお節介を働くというのは彼女にとって迷惑そのものだろう。

孤独を愛しているものに対して無理やり大人数の輪に入れようとするのはいじめのようなものだ。

 

私は人をいじめて悦に浸るような残酷な性格はしていないので、ピンク色の要塞を放置して帰路へとついた。

 

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