イルガー戦事後処理と次への目標をどうぞ!
イルガー撃退の翌日だが修は本部にてバムスターとの仮想戦闘を行っていた。
「ぐうぅ…………らあぁ!」
バムスターは攻撃性能は高く無いが装甲は硬い。その上で攻防兼用の為に攻撃性能が他の
「まだ……踏み込める。あと少し……踏み込めれば……」
香取葉子との対戦後に戦ったバムスターには間合いを詰めきれず敗北を続けたが、
「僕でも攻撃すれば当たるんだ! 強い先輩達が近界民を倒せるのは……」
先日よりも間合いが2歩近い。それは反撃に被弾するリスクは上がるが、今まで当たらなかった攻撃を当てるには充分な間合いだ。
「近界民の弱点は……眼だ!」
確実に弱点である
「動きを……見ろ……腕を……振るんだ……」
1振り事に修の体力・集中力は削られていく。しかし確実に戦況が動く為に気力は反比例していた。その結果再現体のAI攻略に関しては成果に繋がっていた。
「これで……トドメだあぁ!!」
【撃破 4∶57】
「倒……した……? 僕……が?」
撃破時間から制限時間ギリギリではあった。しかしそれは確かな成長だった。
パチパチパチ
「撃破おめでとう訓練生。訓練プログラム相手に時間ギリギリとはいえ1人で倒したんだから成長してる……そうだろう?」
「……………………」
誰かが修の背後から声をかけた。しかし修は疲労から返事も、振り返る事も出来なかった。
「…………もしかして疲労困憊? えぇっとぉ〜〜」
ドサリ
「訓練生君!? ちょっと!? 訓練生君!?」
集中力の切れた修は意識を手放し倒れた。背後の人物は慌てながらも困惑していた。
「今川君……ど〜すんの?」
背後の人物……【秋山 凛花】は自身をトリオン体に換装し修を背負い司令室へと向かった。
「本当なんだな二宮、東、今川……件の少年【三雲訓練生】が【鳩原の密航関係者】に
BORDER本部長 忍田の眼光が3人に向けられる。しかし彰は怯まずに返答した。
「三雲君の知人が雨取麟児でした。そして彼の提供した情報は提出した物が全てです。彼は
「…………話を聞く限り説明に矛盾は無かったと思います。それは二宮隊とオレが保障しても良いです」
「オマケに無駄な行動力……放逐は寧ろデメリットかと」
東・二宮も彰の言葉に続いた。雰囲気を見て城戸が口を開く。
「三雲訓練生が報告通りの人物ならば記憶処理をして放逐したところで再度基地や警戒区域への侵入をする事は理解した。しかし組織に属する以上規律を守れない者の放置は出来ない。鳩原の件も記憶に新しい以上理解も出来るな?」
空気がより一層重くなる。この問いかけの結論を全員が見ている。
「しかし自由を簡単に与える訳にもいかない。よって三雲訓練生の正隊員昇格には条件を追加する。もしそれでも達成するならばその時に考えよう」
「具体的には?」
城戸は修の資料を見ながら告げる。
「本来ならばB級への昇格条件は1つのトリガーの個人ポイント4000以上を達成すること。しかし三雲訓練生に限っては現在使用している【レイガストを4000ポイント】に加え【弧月・スコーピオンのいずれか3000ポイント以上の自力獲得】と【銃手・射手トリガーから2つ以上を3000ポイント】を同時達成・維持をする事……とする。異論は無いな?」
「寛大な処遇に感謝します」
彰は頭を深々と下げた。
「会議中失礼します。件の訓練生をお連れしました」
そして修が凛花に背負われて来た。疲労により倒れているが
「三雲君……何があった?」
「バムスターとの戦闘シミュレーションを行ってました。おそらくは集中力が切れて気絶したのかと。ちなみに撃破時間4:57です」
「…………その……起してやらないか? このままでは傍目から見れば拉致だが?」
忍田の言葉で空気が凍りつく。
「本人は侵入騒動以外でトラブルを起してる訳では無く、迅が予知して尚行動させた上で現在は今川が監督している以上通告云々は置いても拉致は別問題だ」
「ふむ……確かに拉致とこの問題は関係ないのぅ」
「一応抵抗している訳でもありませんし……」
鬼怒田・根付も通告以外は同意をする。その上で城戸は告げた。
「秋山隊員……三雲訓練生を
「わかりました」
修が凛花に起こされるまで15分はかかったがそこに追及する人間はいない。
「…………という事で三雲訓練生……君のB級への昇格条件が厳しくなった事は納得して貰えたかな?」
「…………はい。わかりました」
修は向けられた重圧に動じながらも、先日の【かげうら】で行われた話から密航がいかに問題なのかを理解した。しかしここで二宮と東が補足を加え彰に視線が向けられる。
「三雲君は自分の所有する情報を正直に提供している。この件に関して不当な処分を行われない為に俺達も必要なフォローはしていくつもりだ」
「お前がそれでも尚BORDERの隊員として行動をしたいならこの場の人間を納得させるだけの実績を積め」
「逆に言えば君が相応に強ければある程度の行動を許せる。BORDER入隊の目的が彼等の足取りを追うことなら尚更ね」
その言葉に上層部は無言を示した。
「では解散するとしよう」
「聞いたよ三雲君……(シミュレーター)バムスターを1人で倒したそうだね! 初回訓練では倒すどころか傷をつけるのがやっとだったのに良い成長だ! 撃破時間はさておきクリアはクリア。どのように立ち回ったのか・何を考えたのか振り返ろうじゃないか!」
「あの……今川先輩? さっきと雰囲気が……」
「ん? あぁ済まない。弟子が成長したのが嬉しいのでね。それと雰囲気の違いだがそれは当然問題が違うからだ。上層部からの通告と君の成長は分けて接するべきだと考えていたからね」
上層部からの通告を終えて修をシミュレーションルームへと連れて来た彰は修の成長を喜んだ。しかし困惑の表情を見て真剣な雰囲気へと戻す。
「
「気づいていますよね。でも上層部に伝えなかったのは……」
「雨取千佳ちゃんだよね? 仮説だが彼女の為に近界民と戦う力が欲しかった。彼女の兄や友人が姿を消し、彼女を守る力が必要だからBORDERに入りたかった。大筋はこのあたりかな?」
「そんな綺麗事じゃあありません。僕がそうするべきだと考えて行動しています」
「それで良いんだ。先日の村上君も所属部隊の仲間がいたからその部隊で頑張りたいと行動してる。その人間が強くなる理由は何でも良いんだ。俺はそう思う」
彰は修の背中を叩きそう告げた。そして不敵な笑みを浮かべて告げる。
「強くなろう! 目的は何でも良いけど組織に所属するなら過程は大事だからさ!」
「ッ……はい!!」
「良い返事だ。っし! 当面の目標は提示ポイントをサクッと稼ぐとしよう! そうなると裏技を使ってしまおう!」
「裏技……ですか? その……大丈夫ですか?」
「手段は真っ当だよ? でも三雲君なら出来ると謎に確信してるんだ」
彰の声色は明るい。それは次の言葉で証明される。
「俺の人脈で
「あの……もしかして僕の想像以上に過酷ですか?」
「裏技が過酷じゃないって僕は言ってないよ?」
その言葉で修は滝汗を流すも目標の為に頑張る事になる。
「ふ〜ん……雑魚メガネが1人前に勢い付くなんてよっぽど面白い事でもあったわけ?」
「「ッ!?」」
彰が人払いはしていた筈だった。しかしその部屋に入って来た人物に2人は驚愕した。
「香取ちゃん!? いつからそこに? というかこの部屋は使用中だった筈じゃ!?」
「…………扉が空いてたから入っただけなんだけど?」
香取の指先は入り口の扉を示し確かに空いていた。
「その……いつから聞いていたんですか?」
「正隊員にメガネがケンカ売るって言ってた辺り。ちょうどいいからさ……アタシが相手になってあげる。思い上がりが起きない程に完膚なきまでに……ね?」
香取葉子の不敵な笑みの意味は本人さえも知らない……
オッサムの昇格条件をめちゃくちゃ上げたのは鳩原情報回の影響を考慮しました。ここでオッサムの基礎を鍛え上げれたら果たしてどうなるのでしょう?
よろしければ感想やお気に入り登録をいただけると執筆意欲に繋がります!