偉大なる英雄を支えたい!   作:タク-F

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原作本編入りが本格的に始まりました。


謎の少年

 香取葉子との戦いから半年が経過した。彰の特訓は修にとって地獄とも言えるトレーニングだった。

 

「最初はレイガストだったかな。スコーピオンは速かった。対峙したら絶対に追いつけないからどうやって引きつけるかを学べたけど、僕自身はうまく使えず早々にあきらめたっけ……」

 

 ぼんやりと特訓の日々を想起していると担任からの周知事項が始まった。

 

「はじめまして。くが ゆうまです。よろしく」

 

(背が低いな……)

 

 現れた小動物のような転校生の【空閑遊真】に一定の関心はあるが、それは一過性の人気が落ちても事足りると考えた為に時間を置く事にした。しかし見過ごせない事象が起きてしまった。

 

「おや? 挨拶では?」

 

 遊真の好戦的な返しに危機感を覚えた修は冷や汗を流す。一度釘を刺す為に休憩時間に連れ出す事にした。

 

「転校生……昼休みにちょっと時間をくれ」

 

「なんだよクソメガネ! 点数稼ぎかぁ〜」

 

「吐き気のする良い子ちゃんだなぁ〜」

 

 条件反射のように不良のターゲットは修も追加されたが意に介さない。ある意味で精神の成長した修はその程度の脅しには怯まなかった。

 

「別に良いよ。昼休みだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間が経過し昼休みの中庭に連れ出した修は遊真へ警告をした。

 

「転校生……空閑で良いな?」

 

「構わないよ。そっちは?」

 

「三雲修。じゃあ早速だがあいつらを煽るのはやめろ。基本的に合理性無く絡んで来る奴らだ。相手にしてたらつけ上がるしキリが無いぞ? それに気性が荒いから暴行の心理的ハードルもひく「よぉよぉメガネ! テメェがつまんねぇ事したせいで転校生君を探すハメになっただろうが! 詫び入れろやぁ!」チッ……」

 

 説明中に遊真を探していた不良が2人を見つけ干渉してきた。修は呆れながらも警告する。

 

「やめろお前達。これ以上かかわ「うるせぇつってんだろメガネ!」ぐっ…………」

 

 不良の拳が修の腹に入れられ悶絶した。しかしその程度で暴行は止まる事無く続き数分と経たず修は立てなくなった。

 

「ったく手間取らせやがって。おい転校生! 5000円出せ! お前を新しい財布に任命してやるよ!」

 

ドスン

 

 不良が遊真の胸ぐらを掴むが、次の瞬間不良は腹部を押さえ蹲る。

 

「別に断ってもお前達はこうするだろ? 手っ取り早く結論を出した方が早く無いか?」

 

「テメェ……」

 

 思わぬ反撃を受け不良は一時撤退した。

 

「ふむ……いなくなったな」

 

「空閑……お前……やり過ぎだ。あいつらに完全に目を付けられたぞ? どうするんだ?」

 

「どうもこうもないね。おれは向こうが来るなら追い払うし」

 

「そりゃお前は喧嘩が強いかもしれないが、この国ではそういう事は許されて無いんだ。自重しろ」

 

「ふむ? そうなのか?」

 

 遊真の素っ頓狂な反応に修も困惑した。そして確信した。

 

「空閑……お前日本人じゃ無いんだな。とりあえずお前は日本の常識から学ぶべきだろ……」

 

「よくわかったな。まぁともかくニホンの常識とやらはめんどくさいのな」

 

「放課後に時間をくれ。伝えないといけない事が多そうだ」

 

「お手やわらかに」

 

 遊真が了承した事で修は彰に連絡を入れた。

 

「今川先輩お疲れ様です。今日ですが学校で野暮用になりそうで難しいかもしれません」

 

『珍しいね。トラブルかい?』

 

「ちょっと転校生と……」

 

『転校生……か。了解した。気にしないで学生生活を優先してくれ』

 

 即座の了承に時間の折り合いをつけた修は遊真に常識を教える事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で……どうして僕達はこんな場所にいるんだ?」

 

 警戒区域に修と遊真は連行されており、首謀者は面子を潰された不良達の報復だった。

 

「昼間はやってくれたなぁチビ。だがここじゃあ助けは呼べねぇぞ!」

 

 連行の過程で不良は人数分の凶器を確保していた為に修は下手な介入が出来ないでいた。

 

(トリオン体なら制圧はすぐに出来るけど、ソレを行う訳にはいかない。どうにかこいつらを何とかしないと取り返しのつかない事に……っ!)

 

「選ばせてやるよチビ。金を出すか……ボコられるか!」

 

「断るよ。別にお前達に渡す必要ないだろ?」

 

「舐めんなぁ!」

 

 修の内心は荒れていたが、とうとう不良はバットを振り降ろした……が、バットはあっさりと受け止められ足を踏み抜かれた。

 

アアァァァ!!! 

 

 踏まれた右足を押さえ蹲る不良を見下ろす遊真。その光景に修が冷や汗を流していたその時だった。

 

(ゲート)発生! (ゲート)発生! 付近の皆様は直ちにシェルターへの非難を!』

 

(ゲート)!? 逃げろお前達! 近界民が来るぞ!」

 

 修が叫ぶが遅かった。門が形成されバムスターが出現してしまった。足を負傷した不良は当然だが残る2人も腰が抜けて逃げられ無かった。

 

「ひ……ひぃ!」

 

「助けてくれえぇ!」

 

「うぁぁぁ!!」

 

 しかしその光景を見て尚動揺しない遊真に修は呼びかける。

 

「逃げろ空閑! 相手は近界民(ネイバー)……化け物だ!」

 

「ふ〜ん……」

 

 近界民に動じない遊真と動けない不良を見て修は覚悟を決めた。

 

「仕方ない……トリガー! 起動(オン)!」

 

 修はトリガー……レイガストを起動した。動けない3人と動かない遊真を守る為にバムスターに戦いを挑んだ。

 

「こっちだ近界民!」

 

 バムスターの首に傷を負わせ注意をひく。

 

「全員逃げろ!」

 

「ふむ……どうする?」

 

 遊真は不良達に問いかけるが不良達は失神していた。

 

「ありゃ? 失神してる。どうしたものか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方の修は苦戦を強いられていた。

 

「訓練の近界民はプログラムだったから倒せただけで今僕は倒せるのか? いや……やらないと!」

 

 言葉とは裏腹に避難しない面々を気にして集中しきれない修はバムスターからの反撃を受け戦闘体を破壊されてしまった。

 

「クソッ……」

 

 憎々しくバムスターを睨むも迫る脅威に修は動けない。そんな時だった。

 

『盾』(シールド)二重(ダブル)

 

 遊真が自前のトリガーを使用し攻撃を止めた。そんな遊真に修は問いかける。

 

「空閑!? アイツ等は!?」

 

「ノびてる。まっおれに任せろ。トリガー起動」

 

 遊真のトリガーはBORDERの支給トリガーでは無い。故に意匠から性能までが大きく異なっていた。

 

「バムスターなら一撃だな。『強』(ブースト)三重(トリプル)

 

 遊真はそう呟いて一撃で粉砕した。

 

「空閑……お前は……何者だ?」

 

「おれの名前は空閑遊真……お前達の言う【向こう側の世界】から来た人間……近界民(ネイバー)ってやつさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の訓練を断ったと言う事は多分空閑遊真君が現れたんだろう。どうにかして空閑君に接触しなければ……」

 

 同時刻の彰はトレーニングメニューの構築をしながら修の動向を考えていた。

 

「お疲れ彰。ぼんち揚げ食う?」

 

「迅さんじゃないですか。ぼんち揚げは貰います。中々時間が合わないって思ってましたけど違いますよね。()()()()()()()()()()ね? それが予知で見た最善を選ぶ過程で必要なのは分かっています。なので聞かせて貰いますよ?」

 

「気づいてたよな。まっ……彰の感じてる通りおれがあのメガネ君を入隊させてお前に鍛えさせたのは事実だ。何なら基地侵入の未来を見た上で放置もした」

 

「でしょうね。まぁ接触した以上()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「おぅ! 我慢させた分とことんやってやれ…………と言うよりは()()()()だ。多分今日辺りであのメガネ君の未来が分岐した。メガネ君の行動がBORDERの未来を変える。頼めるな彰?」

 

()()()()()()()()()俺の教えられる事は叩き込みました。後は上層部が……と考えてましたがそれは俺の領分じゃあ無さそうですね」

 

「わかってんじゃん彰」

 

「俺も嵐山さん達の同期っすよ? 見る人次第では古参の扱いなんですから迅さんの人物像をある程度は識ってるんですから」

 

 彰は迅の暗躍を終えて立ち去ろうとしたが端末に不在着信が表示されていた。

 

「迅さん最後ですが……()()()()()()()()()()()

 

「お前のシナリオで充分だ」

 

 彰は笑みを浮かべて修からの不在着信を折り返す。

 

「三雲君からこういうタイミングで連絡が来たって事はトラブルだね。何があった?」

 

『すみません……基地外でトリガーを使用しました。ですがそれ以上に厄介な事態が起こったかもしれません』

 

「基地外でトリガーを……ね、近界民は?」

 

『その近界民ですが近界民って人間もいるんですか?』

 

「近界民に人間が【いる】か【いない】かで言えば【いる】ね。大雑把に言えばバムスターみたいな近界民をトリオン兵と定義していて、近界には無数の世界が存在してる。その世界では当然人間も存在するからそこから来た人間ってのは……」

 

『その……僕の学校に来た転校生が自分を近界民と言い、トリガーを使用してバムスターを倒しました。また、戦闘中に3人の民間人の目撃者がいます』

 

「なるほど……【門】の発生は検知したけど急に静まったのは君が撃退した訳では無いから……か。正直な報告は問題の解決に直結する。対応する為のシナリオにあたりその自称近界民の名前と写真と目的を確認してくれ。BORDERは正義だけの組織じゃない。後は上の人が決める事だ」

 

 彰は通話を終え迅に示した。

 

「どうやら迅さんの暗躍は終わらないみたいですね」

 

「あぁ。未来はもう動き出してる」

 

 そう告げると迅の方が先に立ち去った。それを確認した彰は別の人物への連絡を始める。

 

「お疲れ様です本部長。本部上層部にアポイントをお願いします。要件は未確定情報ですが緊急性を感じた為の報告と指示を願います」

 

 彰の中で不可避のトラブルが待ち受けていた。

 

 




この世界線のオッサム戦闘力は現状でも【バムスタープログラムに勝率6〜8割】なので通常トリオン兵に負ける可能性は充分にあります。原作より下地を付けても大きく戦闘力【は】上がりません。

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